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公開番号2025155845
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-14
出願番号2025012737
出願日2025-01-29
発明の名称珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子及びその製造方法
出願人日揮触媒化成株式会社
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類C01B 33/193 20060101AFI20251002BHJP(無機化学)
要約【課題】粒子の外殻が緻密で、且つ、粒子表面の親水性サイトが制御され、吸湿性の小さい、低屈折率な粒子を提供する。
【解決手段】この粒子は、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する。この粒子の画像解析による平均粒子径は15~150nmである。また、この粒子の屈折率は1.08~1.38である。更に、水蒸気ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A1)と、窒素ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A2)との比(A1/A2)が1.0以下である。加えて、この粒子を200℃で3時間乾燥させた後、25℃で相対湿度90%の雰囲気下に24時間放置した時の質量増加が、粒子100質量部に対して4.0質量部以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子であって、
前記粒子の画像解析による平均粒子径が15~150nm、屈折率が1.08~1.38、水蒸気ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A1)と、窒素ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A2)との比(A1/A2)が1.0以下であり、
前記粒子を200℃で3時間乾燥させた後、25℃で相対湿度90%の雰囲気下に24時間放置した時の質量増加が、粒子100質量部に対して4.0質量部以下であることを特徴とする粒子。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記粒子の前記比表面積(A2)と、前記平均粒子径から算出される比表面積(A3)との比(A2/A3)が1.00~1.30であることを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項3】
前記粒子のシアーズ測定法によって算出される粒子表面のシラノール基の数密度が0.1~1.5個/nm

であることを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項4】
前記粒子のメタノール分散液のパルスNMR測定から算出される比表面積(A4)と、前記比表面積(A3)との比(A4/A3)が0.65以下であることを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項5】
前記粒子の
29
Si-NMR解析において、ケミカルシフトが-78~-120ppmに現れる珪素原子のQ

~Q

構造を表す各々のピークの面積の合計に対する、ケミカルシフトが-108~-120ppmに現れる前記珪素原子のQ

構造を表すピークの面積の割合が82%以上であることを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項6】
前記外殻の厚みが3.0~12.0nmであることを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項7】
前記粒子が、アルキル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含むことを特徴とする請求項1記載の粒子。
【請求項8】
アルカリ水溶液を準備する第一工程と、
珪素を含む化合物の溶液と、アルカリ可溶の前記珪素以外の無機元素の化合物の水溶液の各々の溶液を、前記珪素の酸化物をSiO

と表し、前記無機元素の酸化物をMOxと表した時、モル比(MOx/SiO

)が0.01~2.0となるように、前記アルカリ水溶液中に同時に添加して、複合酸化物粒子aの分散液を作製する第二工程と、
珪素を含む化合物の溶液と、アルカリ可溶の前記珪素以外の無機元素の化合物の水溶液の各々の溶液を、前記第二工程の前記モル比(MOx/SiO

)よりも小さいモル比となるように添加して、平均粒子径が15~150nm、且つ、前記平均粒子径から前記複合酸化物粒子aの平均粒子径を減じて2で除した値が3~14nmの複合酸化物粒子bの分散液を作製する第三工程と、
前記複合酸化物粒子bの分散液に酸を加え、前記複合酸化物粒子bを構成する珪素以外の元素の少なくとも一部を除去して、シリカ粒子の分散液を作製する第四工程と、
前記シリカ粒子の分散液をpH9.0~11.0にて150~300℃に加温する第五工程と、
前記第五工程で得られたシリカ粒子の分散液をpH5.0~8.0にて150~400℃に加温する第六工程と、
を順に含む粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第六工程より後に、下記式(8)に示す有機珪素化合物と、その部分加水分解物の少なくとも一方を加えることを特徴とする請求項8記載の粒子の製造方法。


-SiX
4-n
(8)
(式中、Rは炭素数1~10の非置換又は置換炭化水素基で、Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、水素原子であり、nは0~3の整数を示す。)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するために、その表面に反射防止膜が形成されている。例えば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウム等の低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成することが行われている。しかしながら、これらの方法はコスト的に高価である。そこで、シリカ等からなる低屈折率粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子の製造方法が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。この粒子は屈折率が低く、これを用いて形成された透明被膜は、屈折率が低く反射防止性能に優れている。
【0004】
更に、基材や表示装置等の鉛筆硬度(硬度)と耐擦傷性(強度)を向上させるために、基材や表示装置等の表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成させることが知られている。具体的には、透明性を有する有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック、表示装置等の表面に形成させている。この時、被膜中に、シリカ等の粒子を配合することによって、基材との密着性、強度等が向上することが知られている。このような粒子を用いる場合、マトリックス成分への分散性を向上させるために、有機珪素化合物で表面処理することが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
更に、被膜の耐水性を向上させるために、塗布液に有機フッ素化合物(PFAS)を添加することが知られている(例えば、特許文献5参照)。近年、このPFASは、人体や環境への影響が懸念され、国際的にも「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)にて、使用を禁止する指針が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7-133105号公報
特開2001-233611号公報
特開2013-226539号公報
特開2013-224436号公報
特開2009-108262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内部に空洞を有する粒子は、中実粒子に比べて低屈折率であるものの強度は低い。このため、これを反射防止膜に使用した場合、反射防止能は向上するものの、膜の硬度や強度が低下するおそれがある。そのため、粒子には、低屈折率であることだけでなく、十分な硬度と強度とを要求される。また、内部に空洞を有する粒子を含む反射防止膜が表示素子に使用される場合、膜面における反射率の均一性が要求される。ところが、屈折率の低い反射防止膜に空気中の水分や水滴が付着すると、色ムラとして視認される。これは、水の屈折率が、反射防止膜や、内部に空洞を有する粒子と屈折率が異なるため、水が付着した部分と付着していない部分とで屈折率差が生じるためである。従来は、塗布液にPFASを配合し、被膜表面にPFASを存在させることによって発現する撥水効果により、水分や水滴の付着を抑制してきた。しかしながら、近年のPFASフリー化の流れにおいては、内部に空洞を有する粒子としては、吸湿しにくいことが要求されている。そこで、粒子(外殻)を緻密化、且つ、表面の親水性サイトを制御し、吸湿性を小さく(耐水性を高く)させて、粒子が低屈折率であることと、十分な硬度及び強度とを有することを実現させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、以下のような粒子を見出した。この粒子は、珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する。この粒子の画像解析による平均粒子径は15~150nmである。また、この粒子の屈折率は1.08~1.38である。更に、水蒸気ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A1)と、窒素ガスを用いたBET法により算出される比表面積(A2)との比(A1/A2)が1.0以下である。加えて、この粒子を200℃で3時間乾燥させた後、25℃で相対湿度90%の雰囲気下に24時間放置した時の質量増加が、粒子100質量部に対して4.0質量部以下である。
【0009】
以下、この「珪素を含む外殻と、その内側に空洞を有する粒子」を単に「粒子」あるいは「本発明の粒子」ということがある。
【0010】
この粒子は、低屈折率であり、粒子の外殻が緻密であり、且つ、粒子表面の親水性サイトが制御され、高い耐水性を有する。このような粒子を含む塗布液によれば、反射防止性能に優れ、色ムラが発生しにくく、高い硬度と強度とを有する被膜付基材が得られる。
(【0011】以降は省略されています)

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