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公開番号2025149998
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024050624
出願日2024-03-27
発明の名称製パン用グルテン改質剤
出願人日油株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類A21D 2/14 20060101AFI20251002BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】パン製造時の作業時間を短縮でき、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンが得られる製パン用グルテン改質剤を提供すること。
【解決手段】液糖、及びルテインを含有することを特徴とし、グルテンを改質する製パン用グルテン改質剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
液糖、及びルテインを含有することを特徴とする、製パン用グルテン改質剤。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
グルテン、及び請求項1に記載の製パン用グルテン改質剤を含み、
ルテインの含有量が、前記グルテン1000000質量部に対して0.2~20質量部であることを特徴とする、製パン用穀粉生地。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテインを液糖に分散させることで、パン製造時の作業時間を短縮することができ、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンが得られる製パン用グルテン改質剤に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
パンは、原料として小麦粉などの穀粉、食塩、イーストと、必要に応じて砂糖、乳製品、油脂等を加え、水と混ぜて生地を調製し、生地をイースト発酵させて焼成したものである。イースト発酵によって発生する発酵臭は、それ自体をパンの風味と捉えられることもあるが、穀粉本来の風味を感じにくくする原因にもなっている。穀粉本来の風味は、パンを喫食する際に美味しいと感じる要因の一つであるため、穀粉本来の風味が感じられるパンは求められている。
消費者のパンの嗜好傾向は多様であるが、米食文化の日本人にとってなじみ深い食感は、もっちりであり、その食感をパンでも嗜好する傾向にある。パンにもっちり感を付与する方法としては、酸性水中油型乳化油脂組成物を含有する湯種生地(特許文献1)やDEが2~9であるデキストリンを水相中に含有する製パン用乳化油脂組成物(特許文献2)が提案されている。しかし、もっちり感を付与したパンの歯切れは悪く、食べにくい食感になってしまう。そのため、パンの歯切れを向上させる方法として、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、プロピレングルコールモノ脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を使用する方法が提案されている(特許文献3)が、歯切れを向上させると、もっちり感はなくなってしまい、もっちり感と歯切れを両立することは難しいとされている。
製パンメーカーは、近年の人件費上昇や原料価格の高騰によって製造コストが上がってしまうことを課題としてとらえている。その対策の一つとして、製パンメーカーではパン製造時の作業時間の短縮化を図っている。作業時間を短縮する方法として、穀粉生地に澱粉やグリコーゲンなどのグルコース構成多糖に作用する転移酵素(6-α-グルカノトランスフェラーゼ)を配合することで穀粉生地の弾力性を向上させ、原料を混合し穀粉生地を作製するためのミキシング時間を短縮する方法(特許文献4)が提案されている。また、事前に作製した液状の発酵種(液種)を用いてパンを製造する液種法において、液種に用いられる糖類、イーストおよび水からなる発酵液を超音波に照射することで、酵母あるいは乳酸菌による発酵を促進させ、発酵時間を短縮する方法(特許文献5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-201468号公報
特開2013-102745号公報
特開2009-39070号公報
特開2020-58318号公報
特開平6-14694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、特許文献2の方法では、もっちり感は得られるが、歯切れが悪い食感のパンになってしまう。特許文献3の方法では、パンの歯切れは向上するが、もっちり感は損なわれ、そして乳化剤特有の風味により、穀粉本来の風味が向上したパンは得られない。特許文献4の方法では、穀粉生地を作製するためのミキシング時間を短縮することはできるが、もっちり感や歯切れの良い食感は得られず、穀粉本来の風味が向上したパンは得られない。また、特許文献5の方法では、発酵時間を短縮することはできるが、もっちり感や歯切れの良い食感は得られない。
したがって、本発明の課題は、パン製造時の作業時間を短縮でき、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンが得られる製パン用グルテン改質剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カロチノイドであるルテインを液糖に分散させた製パン用グルテン改質剤を、グルテンを含有する穀粉生地に使用することによって、ルテインの穀粉生地への分散性が向上し、さらに、ルテインがグルテンを改質することで上記課題を解決することの知見を見出し、本発明を開発するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は下記[1]~[2]である。
[1]液糖、及びルテインを含有することを特徴とする、製パン用グルテン改質剤。
[2]グルテン、及び[1]記載の製パン用グルテン改質剤を含み、
ルテインの含有量が、前記グルテン1000000質量部に対して0.2~20質量部であることを特徴とする、製パン用穀粉生地。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製パン用グルテン改質剤によれば、グルテンを含有する穀粉生地に配合することにより、ルテインがグルテンを改質しグルテンの繋がりが良くなり、製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性を向上させる。これにより、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンを得ることができる。さらに、製パン用グルテン改質剤により、ルテインの穀粉生地への分散性が向上し、ミキシング時間が短くてもルテインがグルテンを改質しグルテンの繋がりが良くなり、製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性の向上に寄与できるため、パン製造時のミキシング時間を短縮することができる。
なお、本発明におけるもっちり感とは、一定の歪率で一定時間パンを圧縮し続けた際に、応力の低下量が少ないことであり、本発明のおける歯切れが良いとは、パンを破断するための応力値が小さいことを言う。もっちり感、歯切れともに、パンを喫食した際に食感として感じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において製パンとは、穀粉、イースト、水を含有する穀粉生地を焼成してパンを製造することを意味し、製パン用とは製パン時に配合する原料を意味する。
本発明の製パン用グルテン改質剤は、液糖及びルテインを含有することを特徴とし、グルテンを含有する製パン用穀粉生地に配合することにより、ルテインがグルテンを改質しグルテンの繋がりが良くなり、製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性を向上させる。これにより、もっちり感と歯切れ、穀粉本来の風味が向上したパンを得ることができる。さらに、製パン用グルテン改質剤により、ルテインの穀粉生地への分散性が向上し、ミキシング時間が短くてもルテインがグルテンを改質しグルテンの繋がりが良くなり、製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性の向上に寄与できるため、パン製造時のミキシング時間を短縮することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
[液糖]
本発明に用いられる液糖とは、液体状態の糖類、または、粉糖を溶液状態にしたものである。
具体的には、グルコース、マント―ス、シュークロース、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、テトラオ―ス、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、澱粉加水分解物及びこれらを還元した糖アルコール、又は、それらの混合物の液状物、例えば、水飴、還元水飴、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖などが用いられる。
流通する商品としては、例えば、「RCS-50」(王子コーンスターチ(株)製、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖)、「アマミール」(三菱商事フードテック(株)製、還元水飴)、「ハローデックス」((株)林原製、水飴)、「G2シラップMS-500[N]」(三和澱粉工業(株)製、水飴)、「ハイフラクトースF-500[N]」(三和澱粉工業(株)製、果糖ぶどう糖液糖)などが挙げられる。
また、本発明に用いられる液糖の粘度は、B型粘度計にて20℃条件下で0.1~10,000mPa・s以下であることが好ましい。液糖の粘度が10,000mPa・sを超える場合、本発明の製パン用グルテン改質剤の穀粉生地への分散性が低下し、その結果、ルテインの穀粉生地への分散性も低下してしまうため、作業時間を短縮できるという効果を十分に発揮することはできない。
本発明の製パン用グルテン改質剤における液糖の含有量は、ルテインを含む原料の含有量によって適宜調整される。例えば、下限値としては、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上である。
【0010】
[ルテイン]
ルテインは、カロチノイド系色素の1種類であり、生体内で網膜の黄斑部に局在することで、目に進入するエネルギーの高い光を吸収し、光によって生じる活性酸素を除去することで光に対する目の保護に有益な成分として知られている。本発明における製パン用グルテン改質剤は、フリー体のルテイン又はエステル体のルテインのうち少なくとも1種を含むものである。ルテインは、グルテンを含有する製パン用穀粉生地中に含有された際、混合することで、ルテインがグルテンを改質しグルテンの繋がりが良くなり、当該製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性を向上させ、もっちり感と歯切れが向上したパンが得られる。また、グルテンが改質されることでパンの内相は均一な気泡膜が形成され、パンを咀嚼した際に唾液とパンがなじみやすく、穀粉本来の風味が向上したパンが得られると推察される。色素であるルテインに、このようなパンにおける効果があることはこれまで知られておらず、本発明は従来技術からは想定できない新たな効果を見出したものである。また、油溶性であるルテインをあらかじめ液糖に分散させて製パン用グルテン改質剤とすることで、ルテインの穀粉生地への分散性が向上し、ミキシング時間が短くてもルテインがグルテンを改質し、グルテンの繋がりが良くなり、製パン用穀粉生地の伸展性と弾力性の向上に寄与できるため、穀粉生地を作製するためのミキシング時間を短縮することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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