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公開番号2025135025
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-18
出願番号2022100872
出願日2022-06-23
発明の名称有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器、発光体、太陽電池及び光センサー
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類H10K 50/10 20230101AFI20250910BHJP()
要約【課題】発光開始電圧が低く、かつ高効率で発光する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】陽極(3)と、陰極(4)と、陽極(3)及び陰極(4)の間に配置された発光領域(5)を有し、発光領域(5)は、第一の増感層(51)及び第一の発光層(52)を含み、第一の増感層(51)は、第一のホスト材料と、第一の増感材とを含有し、第一の発光層(52)は、第二のホスト材料と、第一の発光性化合物とを含有し、第一のホスト材料と第二のホスト材料とは、互いに異なり、第一の増感材と第一の発光性化合物とは、互いに異なり、第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS1(G1)と、第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT77K(G1)との差ΔST(G1)は、数式(数1)を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子(1)。
ΔST(G1)=S1(G1)-T77K(G1)<0.5eV …(数1)
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
陽極と、
陰極と、
前記陽極及び前記陰極の間に配置された発光領域を有し、
前記発光領域は、第一の増感層及び第一の発光層を含み、
前記第一の増感層は、第一のホスト材料と、第一の増感材とを含有し、
前記第一の発光層は、第二のホスト材料と、第一の発光性化合物とを含有し、
前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは、互いに異なり、
前記第一の増感材と前記第一の発光性化合物とは、互いに異なり、
前記第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS

(G1)と、前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)との差ΔST(G1)は、下記数式(数1)を満たす、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
ΔST(G1)=S

(G1)-T
77K
(G1)<0.5eV …(数1)
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記第一の増感材は、重金属元素を含まない、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)と、前記第一のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H1)と、前記第二のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H2)とが下記数式(数2)の関係を満たす、
請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

77K
(G1)>T
77K
(H1)>T
77K
(H2) …(数2)
【請求項4】
前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)と、前記第一のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H1)とが下記数式(数21)の関係を満たす、
請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

77K
(G1)-T
77K
(H1)<0.5eV …(数21)
【請求項5】
前記第一のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H1)と、前記第二のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H2)とが下記数式(数22)の関係を満たす、
請求項3または請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

77K
(H1)-T
77K
(H2)<0.3eV …(数22)
【請求項6】
前記第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS

(G1)と、前記第一の発光性化合物の最低励起一重項エネルギーS

(BD1)とが下記数式(数3)の関係を満たす、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。


(BD1)>S

(G1) …(数3)
【請求項7】
前記第一の増感層と前記第一の発光層とが、直接、接している、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記第一の増感層は、前記陽極と前記陰極との間に配置され、
前記第一の発光層は、前記第一の増感層と前記陰極との間に配置されている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記第一の増感材の最低空軌道のエネルギー準位LUMO(G1)の絶対値と、前記第一のホスト材料の最低空軌道のエネルギー準位LUMO(H1)の絶対値とが、下記数式(数4)の関係を満たす、
請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
|LUMO(G1)|>|LUMO(H1)| …(数4)
【請求項10】
前記第二のホスト材料の最低空軌道のエネルギー準位LUMO(H2)の絶対値と、前記第一の発光性化合物の最低空軌道のエネルギー準位LUMO(BD1)の絶対値とが、下記数式(数41)の関係を満たす、
請求項8または請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
|LUMO(H2)|>|LUMO(BD1)| …(数41)
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器、発光体、太陽電池及び光センサーに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
低いエネルギーの光を高いエネルギーの光に変換する技術として、アップコンバージョンが注目されている。
発光するフォトンのエネルギーよりも低エネルギーでの駆動が可能な技術として、アップコンバージョンが注目されている。
アップコンバージョンの技術を光励起に適用した場合、発光よりも長波長の励起光を得ることができる。
例えば、無機化合物を用いたアップコンバージョンにおいては、希土類イオンのf-f遷移を用いた多段励起により、赤外光から可視光を発生できることが知られている。
また、有機物を用いた光アップコンバージョンにおいては、複数の励起状態間での相互作用(例えば、Triplet-Triplet Fusion=TTF)により、実際に長波長光励起から短波長光が得られることが知られている。
一方、アップコンバージョンの技術を電気励起に適用した場合、発光のエネルギー(ボルト(V)を電子ボルト(eV)で表示したもの)よりも低いエネルギー、つまり、より低い印加電圧で発光が得られることが期待される。すなわち、低い印加電圧での発光は、駆動電圧の低電圧化が可能であることを意味する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子と称することがある)に用いられる蛍光素子用材料は、発光層のホストにおいてTTFを起こすことにより、励起三重項を励起一重項に変換し、次いでドーパントへのエネルギー移動を経て発光として再利用することで、高効率化が達成される(例えば、特許文献1)。これは有機固体膜でのアップコンバージョン発光の一種である。
例えば、非特許文献1には、有機固体膜からなる積層構造に、増感材として燐光錯体(PtOEP)を導入したアップコンバージョン素子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2010/134350号
【非特許文献】
【0004】
Ting-An Lin et al.,ADVANCED MATERIALS COMMUNICATION,2020,32,1908175
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1のアップコンバージョン素子においては、外部量子効率(EQE)が低く(0.024%程度)、低電圧化の可能性はあるものの、素子としての低消費電力化は見込めないとされている。燐光錯体は濃度消光を起こすため、燐光錯体を有機EL素子の発光層(固体薄膜)中に導入した場合、発光層中において燐光錯体が効率的に働かないと考えられるためである。
近年では、モバイル機器のバッテリーを長持ちさせるなど、有機EL素子の更なる高性能化のニーズとして低消費電力化が求められている。
発光層中でアップコンバージョンを効率よく発現させ、低消費電力で駆動する有機EL素子が求められている。
【0006】
本発明の目的は、発光開始電圧が低く、かつ高効率で発光する有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び当該有機エレクトロルミネッセンス素子もしくは当該有機エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器を提供することである。
本発明の別の目的は、発光開始電圧が低く、かつ高効率で発光する発光体、並びに当該発光体を搭載した太陽電池及び光センサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に配置された発光領域を有し、前記発光領域は、第一の増感層及び第一の発光層を含み、前記第一の増感層は、第一のホスト材料と、第一の増感材とを含有し、前記第一の発光層は、第二のホスト材料と、第一の発光性化合物とを含有し、前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは、互いに異なり、前記第一の増感材と前記第一の発光性化合物とは、互いに異なり、前記第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS

(G1)と、前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)との差ΔST(G1)は、下記数式(数1)を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
ΔST(G1)=S

(G1)-T
77K
(G1)<0.5eV …(数1)
【0008】
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子と、電源とを備え、前記電源は、外部刺激によって電位差又は電流を発生する発電素子を備える、有機エレクトロルミネッセンス装置が提供される。
【0009】
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子または前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、第一の増感部及び第一の発光部を含む発光体であって、前記第一の増感部は、第一のホスト材料と、第一の増感材とを含有し、前記第一の発光部は、第二のホスト材料と、第一の発光性化合物とを含有し、前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは、互いに異なり、前記第一の増感材と前記第一の発光性化合物とは、互いに異なり、前記第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS

(G1)と、前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)との差ΔST(G1)は、下記数式(数1)を満たし、前記第一の増感材の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(G1)と、前記第一のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H1)と、前記第二のホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップT
77K
(H2)とが下記数式(数2)の関係を満たし、前記第一の増感材の最低励起一重項エネルギーS

(G1)と、前記第一の発光性化合物の最低励起一重項エネルギーS

(BD1)とが下記数式(数3)の関係を満たす、発光体が提供される。
ΔST(G1)=S

(G1)-T
77K
(G1)<0.5eV …(数1)

77K
(G1)>T
77K
(H1)>T
77K
(H2) …(数2)


(BD1)>S

(G1) …(数3)
(【0011】以降は省略されています)

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