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公開番号
2025116689
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-08
出願番号
2024011254
出願日
2024-01-29
発明の名称
オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法、並びに抗菌・抗ウィルス部材
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
アクシス国際弁理士法人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20250801BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】抗菌性及び抗ウィルス性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼材を提供する。
【解決手段】Cu濃度が30質量%以上のCu濃化層を最表面に有し、平均結晶粒径が20μm以下であり、且つ50μm角の断面領域に存在する長径が80nm以上のε-Cu相が200個以上である、オーステナイト系ステンレス鋼材である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
Cu濃度が30質量%以上のCu濃化層を最表面に有し、平均結晶粒径が20μm以下であり、且つ50μm角の断面領域に存在する長径が80nm以上のε-Cu相が200個以上である、オーステナイト系ステンレス鋼材。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記Cu濃化層の内側に酸化物層を有する、請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項3】
質量基準で、Cr:13.00~30.00%、Cu:2.00~5.00%を含む、請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項4】
質量基準で、C:0.100%以下、Si:1.00%以下、Mn:3.00%以下、Ni:6.00~20.00%、P:0.100%以下、S:0.030%以下、N:0.100%以下、Mo:8.00%以下、Al:0.10%以下を更に含み、残部がFe及び不純物からなる、請求項3に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項5】
質量基準で、Ti:1.00%以下、Nb:1.00%以下、Zr:1.00%以下、Co:1.00%以下、V:1.00%以下、W:1.00%以下、REM:0.100%以下、Ca:0.100%以下、Sn:0.100%以下、B:0.0100%以下から選択される1種以上を更に含む、請求項4に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項6】
Cu溶出量が0.08μg/cm
2
以上である、請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項7】
表面を研磨した後のCu溶出量が0.03μg/cm
2
以上である、請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項8】
抗菌・抗ウィルス部材に用いられる、請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法であって、
オーステナイト系ステンレス鋼スラブを、45.0%以上の仕上圧延率及び900℃以上の仕上熱延温度にて熱間圧延して熱延材を得る熱延工程と、
前記熱延材を5.0℃/秒以上の平均冷却速度で800℃以下の温度まで冷却する冷却工程と、
前記冷却工程で冷却された前記熱延材を750~900℃の温度で焼鈍して熱延焼鈍材を得る焼鈍工程と、
前記熱延焼鈍材を、露点が-30℃以下の非酸化雰囲気下、900℃までの温度域を6.0℃/秒以上の昇温速度で加熱し、800~1200℃の温度で熱処理するCu拡散熱処理工程と
を含み、
前記焼鈍工程が酸化雰囲気で行われる場合は、前記焼鈍工程後に酸化皮膜除去工程を更に含む製造方法。
【請求項10】
前記冷却工程後の前記熱延材の平均結晶粒径が20μm以下である、請求項9に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法、並びに抗菌・抗ウィルス部材に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼材は、耐食性に優れているため、厨房機器、家電機器、医療器具、内装建材、輸送機器などの広範な用途で使用されており、細菌の繁殖やウィルスの付着などが起こり易い環境下での使用も多くなっている。近年、このような細菌の繁殖やウィルスの付着などによる人体への悪影響を懸念する傾向が強まっており、とりわけ、清潔さが必須とされる医療器具や厨房機器に加え、多数の人が集まる建造物や輸送機器に用いられる各種部材にも抗菌性や抗ウィルス性が要求されている。
【0003】
抗菌・抗ウィルス性を有する金属元素としては、AgやCuなどが知られていることから、これらの金属元素を添加することで抗菌・抗ウィルス性を付与したステンレス鋼材及びその製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、C:0.1重量%以下、Si:2重量%以下、Mn:5重量%以下、Cr:10~30重量%、Ni:5~15重量%及びCu:1.0~5.0重量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもち、時効処理で析出したCuリッチ相(ε-Cu相)が0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散している抗菌性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼材が提案されている。
特許文献2には、1.0重量%以上のCuを含み、Cuリッチ相(ε-Cu相)が0.2体積%以上の割合でマトリックスに分散析出しているオーステナイト系又はフェライト系ステンレス鋼を基材とし、前記Cuリッチ相の析出部を除く前記基材の表面に不動態皮膜が形成されていることを特徴とする接触抵抗の低いステンレス鋼材が提案されている。
【0004】
特許文献3には、0.5重量%以上のCuを含むステンレス鋼を基材とし、機械研磨仕上げ後にFe/Crの原子比が0.4以下に調整された不動態皮膜が基材表面に形成されている抗菌性に優れたステンレス鋼材が提案されている。
特許文献4には、重量%にて1%以上3%未満のCuを含むステンレス鋼材の表面にCu濃化層が形成され、該濃化層のCu最大濃度が3重量%以上であり、該濃化層が300℃で5秒以上保定する光輝焼鈍処理か、または250℃~350℃の間を10℃/秒以下の平均加熱速度で徐加熱する光輝焼鈍処理により形成された酸化皮膜を含むものであり、ステンレス鋼材の表面に♯80~♯240の研磨目を有していることを特徴とする抗菌性ステンレス鋼材が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献に開示のオーステナイト系ステンレス鋼材は、ε-Cu相の分布状態が適切に制御されていないため、所望の抗菌性が得られなかったり、抗菌性が早期に失われ易かったりすることがある。また、ウィルスは、細菌に比べて小さいため、ε-Cu相の間にウィルスが付着した場合には、抗ウィルス性がほとんど得られないこともある。
そこで、本出願人は、特許文献5において、組成に加えて、ε-Cu相の分布状態(特に、表面におけるε-Cu相の面積率、ε-Cu相の平均粒子径及びε-Cu相の最大粒子間距離)を制御したオーステナイト系ステンレス鋼材を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第3232532号公報
特許第4368985号公報
特許第3934244号公報
特許第3895874号公報
特開2022-151130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献5に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材は、ε-Cu相の分布状態を制御しているため、特許文献1~4に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材に比べて抗菌性及び抗ウィルス性が向上する。
しかしながら、特許文献5に記載のオーステナイト系ステンレス鋼材は、ε-Cu相が小さかったり、その量も少なかったりすることがあるため、抗菌性及び抗ウィルス性が十分に向上しない場合がある。
【0008】
また、抗菌性及び抗ウィルス性は、最表面に存在するCuの量に依存することから、Cuを最表面に濃化させることにより抗菌性及び抗ウィルス性を向上させることができる。Cuを表面に濃化させる方法として、特許文献4には光輝焼鈍の前に表面研磨を行うことにより表面にCu濃化層を形成する方法が記載されているが、この方法ではCu濃化層が酸化皮膜よりも内側に形成されるため、Cuの溶出が阻害されてしまい、抗菌性及び抗ウィルス性が十分に向上しない。
【0009】
本発明は、抗菌性及び抗ウィルス性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法、並びに抗菌・抗ウィルス部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の問題を解決すべくオーステナイト系ステンレス鋼材について鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
ε-Cu相が全体に析出しているオーステナイト系ステンレス鋼素材を用い、熱処理(Cu拡散熱処理)することにより、オーステナイト系ステンレス鋼素材内部のε-Cu相から表面にCuが拡散してCu濃化層を形成できる。
Cu濃化層の表面に酸化物層(Fe、Cr、Siなどの酸化物の皮膜)が形成されると、Cuの溶出が阻害されるため、Cu拡散熱処理では酸化をできるだけ抑制しなければならない。Cuの拡散は高温ほど速く進行し、低温では酸化物層の形成が促進されるため、Cu拡散熱処理は、非酸化雰囲気において昇温速度及び温度を適切に制御することが重要である。一方、Siは極めて酸化し易い元素であるため、Cu拡散熱処理の雰囲気などを制御するだけでは酸化物層の形成を十分に抑制できない。
そこで、オーステナイト系ステンレス鋼素材の結晶粒界を増大し、Cu拡散熱処理によるCu濃化層の形成を促進させる。特に、結晶粒界は結晶粒内に比べてCuの拡散速度が極めて速いため、結晶粒界にε-Cu相を予め析出させておくことによって表面にCuを拡散できる。また、表面の結晶粒界上には、欠陥のない酸化物層が形成され難いため、Cu拡散は阻害されず、最表面にCu濃化層を形成することが容易になる。
また、結晶粒界にε-Cu相を予め析出させることで、Cuの拡散に必要な熱処理温度を低くすることができるため、結晶粒界のε-Cu相を残存させたままCu濃化層を形成できる。このため、長期間の使用において最表層のCuが枯渇した場合であっても、表面を研磨することにより、内部の結晶粒界のε-Cu相を露出させ、抗菌性及び抗ウィルス性を発揮させることができる。
本発明は、以上のような背景の下で完成するに至ったものである。
(【0011】以降は省略されています)
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