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公開番号2025106635
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-16
出願番号2022086679
出願日2022-05-27
発明の名称IgA腎症予防治療薬
出願人学校法人順天堂,学校法人東京理科大学
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A61K 39/00 20060101AFI20250709BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】IgA腎症の根治治療に繋がる新たな予防治療薬を提供すること。
【解決手段】抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細菌を標的とするIgA腎症予防治療薬。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細菌を標的とするIgA腎症予防治療薬。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記IgA腎症予防治療薬が、IgA腎症ワクチン又は前記扁桃常在菌の除菌剤である請求項1記載の予防治療薬。
【請求項3】
前記ワクチンが、弱毒化ワクチン、不活化ワクチン、VLPワクチン、組み換えタンパク質ワクチン、mRNAワクチン、DNAワクチン及びウイルスベクターワクチンから選ばれるワクチンである請求項2記載の予防治療薬。
【請求項4】
扁桃が、口蓋扁桃、舌扁桃、咽頭扁桃及び耳管扁桃から選ばれる1種以上の扁桃である請求項1~3のいずれか1項記載の予防治療薬。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、IgA腎症予防治療薬に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
IgA腎症は、腎糸球体メサンギウム領域へのIgA沈着をもって定義される、世界で最も罹患率の高い原発性糸球体腎炎である。血尿と蛋白尿を伴う緩徐な腎機能障害の進行を呈することが多いが、未治療の場合約4割が末期腎不全に移行する予後不良の疾患である。
【0003】
これまでに、IgA腎症患者の腎糸球体に沈着するIgAは、そのヒンジ部O結合型糖鎖にガラクトースが欠損したIgA1(galactose deficient IgA1:Gd-IgA1)であることが明らかにされている。事実、Gd-IgA1は、IgA腎症患者の血清でも増加していることから、腎炎惹起の1st hitとしてのGd-IgA1産生制御を目指し、これまで多くの基礎・臨床研究が行われてきた。しかしながら本発明者らが開発したGd-IgA1に対するモノクローナル抗体(KM55;非特許文献1、2)の世界的な普及に伴い、健常者血清にも、Gd-IgA1が存在(ときに増加)することも判明した。すなわち、血清Gd-IgA1の増加のみでは腎炎の発症・進展を十分説明できず、伏在する新規病態が示唆された。つまり、Gd-IgA1自体にさらなる質的変化が起こることが、病態の進展および慢性化の必要条件であると考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
Nephrol Dial Transplant 30:1315-21
Kidney Int 93:700-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IgA腎症は、その発見から50年あまりが経過する現在でも詳細な病因・病態が不明であることから、病態に基づく根治治療法が確立されていない。そのため、本症を原因とする末期腎不全患者があとをたたない。したがって、本疾患による透析移行化阻止には、根治治療に繋がる病態を解明することが必須であり、急務である。
従って、本発明の課題は、IgA腎症の根治治療に繋がる新たな予防治療薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、Gd-IgA1の質的変化に関して検証した結果、IgA腎症モデルマウス(gddYマウス)及びIgA腎症患者の血清に、メサンギウム細胞に存在する特定の蛋白を認識するIgA型の自己抗体が存在することを見出した。マウス血清を用いた質量解析により、主な自己抗原がβ2スペクトリンであることを同定したが、抗β2スペクトリンIgA抗体は、IgA腎症患者血清にも高頻度に存在することが明らかになった。さらには、gddYマウスの腎尿細管間質に、抗β2スペクトリンIgA抗体産生形質細胞を含むIgA陽性形質細胞が多数浸潤していること、このようなIgA陽性形質細胞はIgA腎症患者の腎尿細管間質にも存在することを証明した。β2スペクトリンは、本来細胞質にユビキタスに発現する細胞骨格形成蛋白であるが、本発明者らは、糸球体構成細胞のフローサイトメトリー解析とin vivoでの抗β2スペクトリン抗体の打ち込み実験により、β2スペクトリンが、腎メサンギウム細胞においてのみ細胞表面に発現していることを見出した。これらのことから、メサンギウム細胞表面に発現するβ2スペクトリンが標的自己抗原となり、本症におけるIgA分子のメサンギウム領域への選択的沈着を生じさせていることを見出し、IgA腎症が組織特異的な自己抗体をもつという点で自己免疫疾患であるといえることを見出した。
本症では腎糸球体メサンギウム領域にIgA抗体が沈着することは、病態の1st hitを形成すると考えられていることから、腎メサンギウム領域に選択的に沈着する抗β2スペクトリンIgA抗体は、病原性をもつといえる。この自己抗体の誘導機序を解明すべく研究した結果、gddYの血清にはgddYの口腔内細菌に対するIgA抗体は検出されるものの、腸内細菌に対するIgA抗体は検出されないことを見出した。gddYの血清中にはβ2スペクトリンIgA抗体が検出されることから、この自己抗体はgddYの腸管粘膜ではなく、上気道粘膜で誘導されることが示唆された。そこで、β2スペクトリンを認識する抗体が、gddYの口腔内粘膜に存在する細菌に結合するかを検証した結果、gddYの口腔内細菌の一部が、このモノクローナル抗体によって認識されることが明らかになり、gddY口腔内の特定細菌とβ2スペクトリンには免疫交差が生じていることが明らかになり、つまりは、抗β2スペクトリンIgA抗体は、gddYマウスの口腔内のある種の常在細菌により分子模倣の機序を通して産生されることが判明した。
また、IgA腎症患者の血清β2スペクトリンIgA抗体陽性患者の扁桃リンパ球の培養上清には抗β2スペクトリンIgA抗体が含まれることを見出し、ヒトIgA腎症では、扁桃が自己抗体産生の責任粘膜であり、その機序として扁桃常在細菌が抗β2スペクトリンIgA抗体を誘導・産生していることが判明し、抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細菌を標的とするIgA腎症ワクチン又は当該細菌の除菌剤を用いれば、IgA腎症の根治予防治療ができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[4]を提供するものである。
[1]抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細を標的とするIgA腎症予防治療薬。
[2]前記IgA腎症予防治療薬が、IgA腎症ワクチン又は前記扁桃常在菌の除菌剤である[1]記載の予防治療薬。
[3]前記ワクチンが、弱毒化ワクチン、不活化ワクチン、VLPワクチン、組み換えタンパク質ワクチン、mRNAワクチン、DNAワクチン及びウイルスベクターワクチンから選ばれるワクチンである[2]記載の予防治療薬。
[4]扁桃が、口蓋扁桃、舌扁桃、咽頭扁桃及び耳管扁桃から選ばれる1種以上の扁桃である[1]~[3]記載の予防治療薬。
【発明の効果】
【0008】
本発明の予防治療薬を用いれば、扁桃における抗β2スペクトリンIgA抗体の誘導が予防又は抑制でき、結果として抗β2スペクトリンIgA抗体の腎糸球体メサンギウム領域への沈着が予防又は抑制できるため、IgA腎症の根治予防治療が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
抗生剤非投与群、投与群gddYの腎臓に浸潤するIgA陽性形質細胞の代表的なフローサイトメトリー解析結果を示す図である。
腎間質単核球生細胞中のIgA陽性形質細胞の割合を示す図である。Control:非投与群(N=7)、Abx:抗生剤投与群(N=7)
β2スペクトリン認識モノクローナルのgddY口腔内細菌に対する結合性をフローサイトメトリーにて検証した結果を示す図である。コントロール抗体:抗NPモノクローナル抗体
各患者扁桃単核細胞培養上清に含まれる抗β2スペクトリンIgA抗体をELISA法にて解析した結果を示す図である。-:IgA腎症患者のうち、血清抗β2スペクトリンIgA抗体が陰性の患者、+:IgA腎症患者のうち、血清抗β2スペクトリンIgA抗体が陽性の患者
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細菌を標的とするIgA腎症予防治療薬である。
ここで、抗β2スペクトリンIgA抗体誘導性扁桃常在細菌とは、ヒト扁桃常在細菌であって、当該扁桃形質細胞において抗β2スペクトリンIgA抗体を誘導する細菌である。
(【0011】以降は省略されています)

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