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公開番号2025105527
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2024225875
出願日2024-12-23
発明の名称麦芽製造方法及び麦芽の抗酸化活性を向上させる方法
出願人レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C12C 1/02 20060101AFI20250703BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】麦芽製造方法及び麦芽の抗酸化活性を向上させる方法を提供する。
【解決手段】本出願は、麦芽製造方法及び麦芽の抗酸化活性を向上させる方法を開示し、ここで、穀粒は少なくとも1回の浸麦ステップに供され、ここで、穀粒は0.3~1.6ppmの溶存水素濃度を有する水素水に浸漬される。麦芽製造において富水素水を用いることにより、複数の品質指標の同時改善を同時に考慮することが可能である。富水素水のプラスの生物学的効果は特に顕著である。麦芽中のα-アミノ窒素の含有量の増加は、麦芽製造者により大きな経済的利益をもたらす。しかも、麦芽の色強度及び濁度は大幅に低減され、麦汁が度々混濁する問題が効果的に解決される。麦芽製造者及び醸造産業により所望されるとおり、麦芽、麦汁、さらには発酵飲料の内因性抗酸化活性が高まる。麦芽製造中に追加の添加剤は導入されない。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
穀粒を少なくとも1回の浸麦ステップに供し、前記穀粒を、0.3~1.6ppm、好ましくは0.3~1.2ppm、及び、より好ましくは0.6~1.2ppmの溶存水素濃度を有する水素水に浸漬することを特徴とする、麦芽の抗酸化活性を向上させる方法。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
前記浸麦ステップの後に、前記穀粒が発芽を開始し、0.3~1.6ppm、好ましくは0.3~1.2ppm、より好ましくは0.6~1.2ppmの溶存水素濃度を有する水素水を、前記穀粒の表面を湿潤に保つために少なくとも1回使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記浸麦を2回行い、前記穀粒を、第1の浸麦及び第2の浸麦の両方で水素水に浸漬することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記麦芽の抗酸化活性の指標は、DPPHフリーラジカル掃去活性、ABTSフリーラジカル掃去活性、還元力、及び/又は、金属イオンキレート化活性を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記麦芽の抗酸化活性の指標は総ポリフェノール含有量を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記麦芽の抗酸化活性の指標は、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びカタラーゼ活性を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
穀粒を少なくとも1回の浸麦ステップに供し、前記穀粒を、0.3~1.6ppm、好ましくは0.3~1.2ppm、及び、より好ましくは0.6~1.2ppmの溶存水素濃度を有する水素水に浸漬することを特徴とする、麦芽製造方法。
【請求項8】
前記浸麦ステップの後に、前記穀粒が発芽を開始し、0.3~1.6ppm、好ましくは0.3~1.2ppm、より好ましくは0.6~1.2ppmの溶存水素濃度を有する水素水を、前記穀粒の表面を湿潤に保つために少なくとも1回使用することを特徴とする、請求項7に記載の麦芽製造方法。
【請求項9】
前記浸麦を2回行い、前記穀粒を、第1の浸麦及び第2の浸麦の両方で0.3~1.6ppmの溶存水素濃度を有する水素水に浸漬することを特徴とする、請求項7又は8に記載の麦芽製造方法。
【請求項10】
麦芽の色強度を低減し、麦芽の濁度を低減し、及び/又は、麦芽中のα-アミノ窒素の含有量を高めるための、請求項7~9のいずれか一項に記載の麦芽製造方法の使用。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本出願は、麦芽製造方法、及び、麦芽の抗酸化活性を向上させる方法に関する。より具体的には、本出願は、麦芽製造における富水素水の使用方法、並びに、本方法により得られる麦芽及び発酵飲料/食品に関する。本出願はまた、麦芽の抗酸化活性を向上させるための麦芽製造における富水素水の使用に特に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
穀物粒は、そのままの形態で、又は、発芽させた穀類として飲料及び食品に使用され得る。酵素含有量が高いために、麦芽は、発酵基質として、並びに、食品及び飲料に添加される麦芽風味付け及び栄養分としてより好適である。
【0003】
世界の全麦芽の約96%がアルコールの製造に用いられ、約3%が蒸留産業に用いられ、残量が例えば麦芽飲料といった食品産業に用いられている。アルコール製造に好適な麦芽は、一定の活性を有するアミラーゼ及びプロテアーゼを含有する。オオムギの発芽によって、デンプン及びタンパク質は酵素の作用下である程度の溶解度に達して、醸造のための前駆物質を形成する。麦芽製造(麦芽処理)は、既に独立した産業となっている。麦芽製造者はオオムギ、ソルガム(Sorghum)、コムギ及びライ麦などの穀類を購入し、様々な工程でこれを処理して醸造に好適な異なる種類の麦芽を形成する。
【0004】
オオムギを例にとると、オオムギは、グリーンモルトの前処理、浸麦、発芽、焙煎/乾燥などのステップ、及び、脱根を経て麦芽が得られる。麦芽をマッシングすることで麦汁が製造される。麦汁は、アルコール醸造時における酵母代謝に必要な糖質の主な供給源である。最終生産物であるアルコール及び二酸化炭素が、ビールに特徴的な泡立ちと爽快な味わいをさらに与え、麦芽風味も持ち合わせている。麦芽中のアミラーゼ及びプロテアーゼが相乗的に作用して非発酵性の多糖類を発酵可能な糖質に変換し、同時に、α-アミノ窒素含有量、発泡性タンパク質の含有量、及び、タンパク質の分布に対応する変化が生じる。
【0005】
麦芽は、ビールに主要な化学構成成分並びにビールの良好な特徴的構成成分を提供する。ビール製造に好適な麦芽はアミラーゼ及びプロテアーゼを含有する。オオムギの発芽によって、穀粒中のデンプン及びタンパク質は酵素の作用下である程度の溶解度に達して、ビールのための前駆物質を形成する。麦芽製造プロセスは原料としてオオムギを使用し、これをグリーンモルトの前処理、浸麦、発芽、焙煎/乾燥などのステップ、及び、脱根に供する。麦芽のマッシングは、その後のビールの醸造における重要な中間プロセスである。デンプン及びタンパク質の酵素分解中に、麦芽中のアミラーゼ及びプロテアーゼが相乗的に作用して非発酵性の多糖類を発酵可能な糖質に変換し、α-アミノ窒素含有量、発泡性タンパク質の含有量、及び、タンパク質の分布に対応する変化が生じる。発酵の過程において、酵母菌は発酵可能な糖質及びアミノ窒素を利用し、これらを発酵によりビールのアルコール及び風味構成成分に変換する。
【0006】
麦芽処理は既に独立した産業となっている。麦芽製造者はオオムギ、ソルガム(Sorghum)、コムギ及びライ麦などの穀類を購入し、様々な工程でこれを処理して醸造に好適な異なる種類の麦芽を形成する。オオムギを例にとると、オオムギは発芽して麦芽となり、麦芽をマッシングすることで麦汁が生成される。麦汁は、アルコール醸造時における酵母代謝に必要な糖質の主な供給源である。最終生産物であるアルコール及び二酸化炭素が、ビールに特徴的な泡立ちと爽快な味わいをさらに与え、麦芽風味も持ち合わせている。世界の全麦芽の96%がアルコールの製造に用いられ、約3%が蒸留産業に用いられ、残量が例えば麦芽飲料といった食品産業に用いられている。
【0007】
伝統的な麦芽製造における特に重要なステップは、浸麦、発芽及びキルニングを含む。浸麦プロセスは、穀粒を水に数時間浸漬するステップ、これに続く、水を除去するための一定期間のエアレストを含む。浸漬された穀粒が酸素不足となってしまう可能性があるために、エアレストは必須であるとされている。浸麦及びエアレストは複数回反復され得る。次いで、穀粒は発芽装置に移される。発芽の目的は、穀粒内で酵素の生成を継続させることである。これらの酵素は穀類の強固な構造を分解可能であり、従って、食品及び飲料の加工に容易に使用可能である。発芽中には小さな細根が形成される。オオムギの品種及び生産される麦芽の種類に基づいて、浸麦処理を調整することにより含水量を制御することが可能である。
【0008】
麦芽の組成及び品質が発酵飲料の風味及び品質に直接影響を与える。麦芽の重要な品質指標は、α-アミノ窒素、色及び濁度を含む。オオムギ自体の品種及び品質(例えばタンパク質含有量、粒度等)の影響の他に、麦芽製造は麦芽の品質指標に影響を及ぼす重要な工程である。しかも、ビール製造者は、ビールの風味の経時変化が酸素フリーラジカルの一連の酸化/還元反応等によって引き起こされるという事実をますます認識するようになってきている。しかしながら、ビールのパッケージングに係る総酸素含有量をいくら改善しても、原料からパッケージングに至るまでの各ステップにおいて酸化が生じ得ることは避けられない。それ故、現在では、麦芽の抗酸化活性を高めることにますます注目が高まっている。
【0009】
現在浸麦及び発芽施設は十分に発達しており、オオムギ原料の品質も安定している。1つ以上の品質指標の改善に度々注目が集まり、その目標は、高品質の麦芽を製造することである。しかしながら、1つの品質指標が改善される時、他の品質指標に対する影響を同時に考慮することができないことが多い。例えば、従来技術においては、リボフラビンを添加することにより、麦芽の浸麦によって抽出される抽出物の量が0.6%増加し、及び、α-アミノ窒素の量が27mg/100g増加することが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、リボフラビンの添加はまた、麦芽の色を約1.5EBCだけ高めてしまう。これは麦汁及びビール品質に対して悪影響であり、麦芽製造者が非常に回避したいことである。マンニトールの添加によって、麦芽の浸麦により抽出した抽出物の量が1.1%増加し、及び、α-アミノ窒素の量が22mg/100g増加することもまた報告されている。しかしながら、マンニトールの添加はまた、麦芽の色強度を約0.4EBCだけ高めてしまう。これもまた望ましくない。
【0010】
オオムギ及び麦芽は抗酸化活性を有するフェノールを多く含み、それ故、ビールの色、芳香、味及び安定性に対して大きな影響を及ぼす。内因性抗酸化物質として、これらのフェノールは、フリーラジカル捕捉剤、還元剤及び金属イオンキレート化剤として作用して、酸化反応の制御に寄与することが可能である。オオムギの発芽中にポリフェノール含有量が増加傾向を示すことが判明している。これは、麦芽製造プロセスが、抗酸化活性及びフェノール系化合物の増加に関して非常に重要であることを示している。
(【0011】以降は省略されています)

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