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公開番号2025102742
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2024230364
出願日2024-12-26
発明の名称熱硬化性樹脂シート及びその製造方法、車両及び車両部品、並びに車両及び車両部品の製造方法
出願人積水化学工業株式会社
代理人個人,個人
主分類B32B 27/08 20060101AFI20250701BHJP(積層体)
要約【課題】表面の硬度が高く、塗板に対する粘着力が高い熱硬化性樹脂シート及びその製造方法、その熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両及び車両部品、並びに車両及び車両部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の熱硬化性樹脂シート1Bは、第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層10及び第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層20を少なくとも有し、第1の熱硬化性樹脂組成物は第1のポリオール樹脂及び第1のイソシアネート硬化剤を含み、第2の熱硬化性樹脂組成物は第2のポリオール樹脂及び第2のイソシアネート硬化剤を含み、第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とがOHv1≧OHv2の関係を満たす。樹脂シートの製造方法は、第1の塗料を転写層40に塗工して第1の積層体を作製する工程、第2の塗料を基材50に塗工して第2の積層体を作製する工程を含む。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層及び第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも有する熱硬化性樹脂シートであって、
前記第1の熱硬化性樹脂組成物は、第1のポリオール樹脂及び第1の硬化剤を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂組成物は、第2のポリオール樹脂及び第2の硬化剤を含み、
前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とが、下記式(1)の関係を満たす熱硬化性樹脂シート。
OHv1≧OHv2 (1)
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項3】
前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項4】
動的粘弾性測定装置(DMA)を用いた粘弾性測定によって測定された前記熱硬化性樹脂シートの25℃における動的損失正接の対数(log(tan δ))が1以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項5】
前記第2の熱硬化性樹脂組成物は着色剤をさらに含む請求項4に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項6】
前記第1のポリオール樹脂及び前記第2のポリオール樹脂の重量平均分子量がそれぞれ50000以上1000000以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項7】
前記第1のポリオール樹脂及び前記第2のポリオール樹脂が、いずれも複数個の水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項8】
前記第1の硬化剤及び前記第2の硬化剤の反応開始温度が、いずれも180℃以下である請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項9】
第1のポリオール樹脂及び第1の硬化剤を含有する第1の熱硬化性樹脂組成物を含む第1の塗料を転写層に塗工し乾燥して、前記転写層と、前記転写層の上に設けられ、前記第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層とを備えた第1の積層体を作製する工程、
第2のポリオール樹脂及び第2の硬化剤を含有する第2の熱硬化性樹脂組成物を含む第2の塗料を基材に塗工し乾燥して、前記基材と、前記基材の上に設けられ、前記第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層とを備えた第2の積層体を作製する工程、及び
前記トップコート層及び前記樹脂層が互いに向かい合うように、前記第1の積層体及び前記第2の積層体を貼り合わせる工程を含み、
前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とが、下記式(1)の関係を満たす熱硬化性樹脂シートの製造方法。
OHv1≧OHv2 (1)
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂シート及びその製造方法、その熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両及び車両部品、並びにその車両及び車両部品の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
車両等の外装は、塗料によって塗装されている。塗装は、着色樹脂層用の塗料を吹付塗布したのち、トップコート層用の塗料を塗り重ね、加熱乾燥して形成されることが一般的である。トップコート層は、外的要因から車両を守るために一定程度の硬度が必要であり、これを上げるために水酸基価を高くすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、家具、鋼板等の表面に貼付は可能な装飾用シートとして、複数個の官能基を有するアクリル樹脂と、複数個の官能基を有するモノマーもしくはオリゴマーと、ブロックイソシアネートとを主成分とする熱硬化性被覆用シートが従来技術として知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、この熱硬化性被覆用シートに顔料、染料等の着色剤を含有させてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-78487号公報
特開平4-11680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吹付塗装の場合、着色樹脂層用の塗料を塗布したのち、すぐにトップコート層用の塗料を塗り重ねるため、トップコート層の強度を高めるためにトップコート層用の塗料の水酸基価を高くすると、トップコート層用の塗料が着色樹脂層と相溶し、着色樹脂層及びトップコート層からなる良質な2層構造が得られない場合があった。一方で、トップコート層用の塗料における着色樹脂層との相溶を防止するために、着色樹脂層用の塗料の水酸基価を高めると、下地との密着性が悪化してしまう。
また、従来の熱硬化性被覆用シートでは、トップコート層がなく、表面の硬度が高くしようとすると、下地との密着性が不十分になり、下地との密着性を高くしようとすると、表面の硬度が不十分になる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、表面の硬度が高く、塗板などの被着体に対する粘着力が高い熱硬化性樹脂シート及びその製造方法、その熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両及び車両部品、並びにその車両及び車両部品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、トップコート層に用いるポリオール樹脂の水酸基価と樹脂層に用いるポリオール樹脂の水酸基価とが所定の関係を有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層及び第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも有する熱硬化性樹脂シートであって、
前記第1の熱硬化性樹脂組成物は、第1のポリオール樹脂及び第1の硬化剤を含み、
前記第2の熱硬化性樹脂組成物は、第2のポリオール樹脂及び第2の硬化剤を含み、
前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とが、下記式(1)の関係を満たす熱硬化性樹脂シート。
OHv1≧OHv2 (1)
[2]前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である上記[1]に記載の熱硬化性樹脂シート。
[3]前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である上記[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂シート。
[4]動的粘弾性測定装置(DMA)を用いた粘弾性測定によって測定された前記熱硬化性樹脂シートの25℃における動的損失正接の対数(log(tan δ))が1以下である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シート。
[5]前記第2の熱硬化性樹脂組成物は着色剤をさらに含む上記[4]に記載の熱硬化性樹脂シート。
[6]前記第1のポリオール樹脂及び前記第2のポリオール樹脂の重量平均分子量がそれぞれ50000以上1000000以下である上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シート。
[7]前記第1のポリオール樹脂及び前記第2のポリオール樹脂が、いずれも複数個の水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シート。
[8]前記第1の硬化剤及び前記第2の硬化剤の反応開始温度が、いずれも180℃以下である上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シート。
[9]第1のポリオール樹脂及び第1の硬化剤を含有する第1の熱硬化性樹脂組成物を含む第1の塗料を転写層に塗工し乾燥して、前記転写層と、前記転写層の上に設けられ、前記第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層とを備えた第1の積層体を作製する工程、
第2のポリオール樹脂及び第2の硬化剤を含有する第2の熱硬化性樹脂組成物を含む第2の塗料を基材に塗工し乾燥して、前記基材と、前記基材の上に設けられ、前記第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層とを備えた第2の積層体を作製する工程、及び
前記トップコート層及び前記樹脂層が互いに向かい合うように、前記第1の積層体及び前記第2の積層体を貼り合わせる工程を含み、
前記第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、前記第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とが、下記式(1)の関係を満たす熱硬化性樹脂シートの製造方法。
OHv1≧OHv2 (1)
[10]上記[1]~[8]のいずれか1つ項に記載の熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両。
[11]上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両部品。
[12]上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シートを用いて塗装する工程を含む車両の製造方法。
[13]上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂シートを用いて塗装する工程を含む車両部品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面の硬度が高く、塗板などの被着体に対する粘着力が高い熱硬化性樹脂シート及びその製造方法、その熱硬化性樹脂シートを用いて塗装された車両及び車両部品、並びにその車両及び車両部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本発明の熱硬化性樹脂シートの一例を示す模式的な断面図である。
図2は、本発明の熱硬化性樹脂シートの一例を示す模式的な断面図である。
図3は、本発明の熱硬化性樹脂シートの一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[熱硬化性樹脂シート]
本発明の熱硬化性樹脂シートは、第1の熱硬化性樹脂組成物からなるトップコート層、及び第2の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも有する。そして、第1の熱硬化性樹脂組成物は、第1のポリオール樹脂及び第1の硬化剤を含み、第2の熱硬化性樹脂組成物は、第2のポリオール樹脂及び第2の硬化剤を含む。なお、第1のポリオール樹脂及び第2のポリオール樹脂は、それぞれ、第1の熱硬化性樹脂組成物の中に含まれているポリオール樹脂及び第2の熱硬化性樹脂組成物の中に含まれているポリオール樹脂を指す。そのため、第1の熱硬化性樹脂組成物が複数種のポリオール樹脂を含有している場合、その複数種のポリオール樹脂を合わせて第1のポリオール樹脂とし、第2の熱硬化性樹脂組成物が複数種のポリオール樹脂を含有している場合、その複数種のポリオール樹脂を合わせて第2のポリオール樹脂とする。また、本発明の熱硬化性樹脂シートは、トップコート層及び樹脂層のみからなるものであってもよいし、トップコート層及び樹脂層に加えて他の層を有していてもよい。さらに、第1のポリオール樹脂の水酸基価(OHv1)と、第2のポリオール樹脂の水酸基価(OHv2)とが、下記式(1)の関係を満たす。
OHv1≧OHv2 (1)
(【0011】以降は省略されています)

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