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公開番号2025092168
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023207882
出願日2023-12-08
発明の名称再生液晶ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 67/00 20060101AFI20250612BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】流動性、機械的強度の維持率が高く、得られる成形品の外観不良が抑制された再生液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂(WA)50~95質量%と板状充填材(WB)2.5~30質量%と球状充填材(WC)2.5~20質量%とを含有する廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)と、未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)、未使用板状充填材(VB)および未使用球状充填材(VC)とを溶融混練してなる再生液晶ポリエステル樹脂組成物。再生液晶ポリエステル樹脂組成物中の未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)と液晶ポリエステル樹脂(WA)の合計含有率が50~95質量%、未使用板状充填材(VB)と板状充填材(WB)の合計含有率が2.5~30質量%、未使用球状充填材(VC)と球状充填材(WC)の合計含有率が2.5~20質量%、廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)の含有率が50~85質量%。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)と、未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)、未使用板状充填材(VB)、および未使用球状充填材(VC)とを溶融混練して得られる再生液晶ポリエステル樹脂組成物であって、
該廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)が、液晶ポリエステル樹脂(WA)50~95質量%と板状充填材(WB)2.5~30質量%と球状充填材(WC)2.5~20質量%とを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であり、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)と液晶ポリエステル樹脂(WA)の合計の含有率が50~95質量%であり、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用板状充填材(VB)と板状充填材(WB)の合計の含有率が2.5~30質量%であり、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用球状充填材(VC)と球状充填材(WC)の合計の含有率が2.5~20質量%であり、かつ
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)の含有率が50~85質量%であることを特徴とする再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記未使用板状充填材(VB)が、タルクであることを特徴とする請求項1に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
前記板状充填材(WB)が、タルクであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
前記未使用板状充填材(VB)及び板状充填材(WB)の平均粒径が、1~100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
前記未使用球状充填材(VC)が、ガラスビーズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
前記球状充填材(WC)が、ガラスビーズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
前記未使用球状充填材(VC)及び球状充填材(WC)の平均粒径が、3~80μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
下記式で求められる曲げ応力の維持率が90%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生液晶ポリエステル樹脂組成物。
曲げ応力の維持率(%)=(S

/S

)×100
ただし、S

,S

は以下の通りである。


:廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)として未再生の前記廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)を用いた前記再生液晶ポリエステル樹脂組成物について、ISO178に準拠して測定した曲げ応力(MPa)


:廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)として再生を5回行った前記廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)を用いて得られた前記再生液晶ポリエステル樹脂組成物について、ISO178に準拠して測定した曲げ応力(MPa)
【請求項9】
廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)と、未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)、未使用板状充填材(VB)、および未使用球状充填材(VC)とを溶融混練して再生液晶ポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、
該廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)が、液晶ポリエステル樹脂(WA)50~95質量%と板状充填材(WB)2.5~30質量%と球状充填材(WC)2.5~20質量%とを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であり、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)と液晶ポリエステル樹脂(WA)の合計の含有率が50~95質量%となるように該未使用液晶ポリエステル樹脂(VA)を用い、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用板状充填材(VB)と板状充填材(WB)の合計の含有率が2.5~30質量%となるように該未使用板状充填材(VB)を用い、
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる未使用球状充填材(VC)と球状充填材(WC)の合計の含有率が2.5~20質量%となるように該未使用球状充填材(VC)を用い、かつ
該再生液晶ポリエステル樹脂組成物中に含まれる廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)の含有率が50~85質量%となるように該廃液晶ポリエステル樹脂組成物(W)を用いることを特徴とする再生液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、再生液晶ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
本発明は、特に、成形時の廃棄率の高いコネクタ等の小型電子製品の成形時に排出される廃液晶ポリエステル樹脂組成物のリサイクルに好適である。ただし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステル樹脂(以下、「LCP」と称することがある)は、耐熱性、機械強度、絶縁性、難燃性のバランスに優れ、かつ成形加工しやすいという特長を活かして、電気・電子用部品および光学機器用部品などをはじめ、様々な用途に適用されている。このような用途において、各種用途における要求特性(例えば、曲げ強度)を満たすために、しばしば液晶ポリエステル樹脂に、ガラス繊維やタルク等の充填材を配合した強化LCP組成物が用いられている(特許文献1~8)。
【0003】
特許文献1には、充填材としてガラス繊維とこれを粉砕して得られるガラス微粉を配合した強化LCP組成物が提案されている。特許文献2には、充填材としてガラス繊維を配合した強化LCP組成物が提案されている。特許文献1,2には、ガラス繊維以外の充填材として数多くの板状、粒状充填材の例示の中に、タルク、ガラスビーズが記載されているが、ガラス繊維以外の充填材を配合した具体例はなく、その含有量比等についても何ら検討されていない。
特許文献3には、液晶ポリエステル樹脂に無機充填材を配合し得る旨の記載があり、数多くの無機充填材の例示の中に、ガラスビーズ、タルクの例示はあるが、充填材を配合した具体例はなく、その含有量比等についても何ら検討されていない。
特許文献4には、充填材としてガラス繊維とタルク等の板状充填材を併用する旨の記載があるが、球状充填材についての記載はない。
特許文献5には、充填材として繊維状、粉粒状、板状の充填材を配合してもよい旨の記載があり、繊維状充填材と粒状又は板状充填材との併用が好ましい旨の記載はあるが、具体的にはチョップドガラスファイバー又はミルドガラスファイバーのみが使用されている。
特許文献6,7には、充填材としてタルクとガラス繊維を配合した強化LCP組成物が記載され、更に他の充填材としてガラスビーズの例示もあるが、具体的に他の充填材を用いた記載はなく、その含有量比についても何ら検討されていない。
特許文献8には、充填材としてタルクとガラスビーズを併用した液晶ポリマー組成物が記載されている。特許文献8には、タルクとガラスビーズの配合量比において、広範な記載があるが、特許文献8は液晶ポリマー組成物のリサイクルについての記載も示唆もなく、そのための配合量比の検討は何らされていない。
【0004】
一方で、近年、環境負荷低減を目的とした循環型社会形成が推進されており、温室効果ガス並びに最終廃棄量の削減が見込まれるマテリアルリサイクルが重要視されている。
【0005】
LCPは、他の樹脂と比べて高い流動性や絶縁性を有することから、コネクタのような小型電子製品への採用実績が多い。小型電子製品は、その成形工程において、製品部に対するスプルーやランナーの占める割合が90%にものぼるほど多く、廃棄率が高いため、マテリアルリサイクルが強く望まれる。しかし、従来において、LCP、特に充填材を含有する強化LCP組成物において、要求品質を高く維持し得るリサイクル技術の開発は十分に進んでいない。
例えば、電子部品用途では、近年のハンダの鉛フリー化によりリフロー温度が高温化しているが、液晶ポリエステル成形品よりなる電子部品を高温でリフロー処理すると、成形品表面の膨れ(以下、ブリスターと呼ぶことがある)が発生する。このブリスターの発生の要因としては、樹脂に内包される分解ガスや、成形機内で溶融可塑化時に巻き込んだ空気や水分の揮発が考えられ、このため、リサイクルで溶融成形を繰り返すとブリスターはより一層発生し易くなる。ブリスターは製品の外観不良や寸法不良の原因となるため、ブリスターを極力防止する必要があるが、従来のリサイクル技術では、ブリスター等の外観不良を抑制することができていない。
【0006】
特許文献1では、強化LCP組成物のリサイクルを課題としているが、特許文献1のように、充填材としてガラス繊維を用いた強化LCP組成物では、後掲の比較例2に示すように、リサイクルにより流動性、機械的強度、得られる成形品の外観等の低下の問題がある。
特許文献8には、充填材としてタルクとガラスビーズを併用する記載があるが、前述の通り、特許文献8には、強化LCP組成物のリサイクルという課題はなく、リサイクルのための廃LCP組成物と未使用LCP組成物との割合などについての検討は全くなされていない上に、そのリサイクル方法についても何ら検討されていない。
なお、特許文献9には、リサイクル樹脂組成物の記載があるが、液晶ポリエステル樹脂組成物に関するものではなく、また、充填材としてはガラス繊維のみを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許6473796号公報
特開2008-013702号公報
特許第6157778号公報
特開2014-237740号公報
特開2008-19428号公報
特開2008-138181号公報
国際公開第2012/117475号
特開2015-40249号公報
特開2001-26719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、従来提案されている強化LCP組成物はリサイクルに適しておらず、廃強化LCP組成物の廃材を回収し、これをリサイクルして再生強化LCP組成物とした場合、流動性や機械的強度、得られる成形品の外観が大きく損なわれる問題があった。
この原因は、従来提案されている強化LCP組成物では、溶融混練及びその後の成形工程における熱履歴や剪断力等による充填材の破砕や樹脂の劣化等により、リサイクルに際して機械的強度や流動性、成形品外観など、品質の著しい低下を引き起こすためである。
それゆえ、LCP業界では、リサイクル材を活用した高品質な再生強化LCP組成物は未だ提供されていない。
【0009】
このようなことから、リサイクル材を配合して繰り返し製造した場合にも、良好な品質を維持し得る再生強化LCP組成物の開発が強く望まれている。
【0010】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、リサイクル材を配合することにより得られた再生液晶ポリエステル樹脂組成物であって、流動性の維持率、得られる成形品の曲げ応力の維持率が高く、また、得られる成形品を加熱した際のブリスター、表面平滑性不良等の外観不良が抑制された再生液晶ポリエステル樹脂組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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