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公開番号2025088776
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-11
出願番号2024208596
出願日2024-11-29
発明の名称金属有機フレームワークの製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社,学校法人 関西大学
代理人個人,個人
主分類C07F 3/06 20060101AFI20250604BHJP(有機化学)
要約【課題】短時間で安価にZn-MOFを製造する方法を提供すること。
【解決手段】置換基を有していてもよいトリアゾレート及びオキサレートが配位結合した亜鉛イオンを含む金属有機フレームワークの製造方法であって、25℃における水100cm3に対する溶解度が0.05g以上である亜鉛化合物を用いる、金属有機フレームワークの製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
置換基を有していてもよいトリアゾレート及びオキサレートが配位結合した亜鉛イオンを含む金属有機フレームワークの製造方法であって、25℃における水100cm

に対する溶解度が0.05g以上である亜鉛化合物を用いる、金属有機フレームワークの製造方法。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
水を含有する溶媒に前記亜鉛化合物、置換基を有していてもよいトリアゾール化合物及びオキサレート化合物を添加し、反応させる、請求項1に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項3】
前記亜鉛化合物1モルに対して、置換基を有していてもよいトリアゾール化合物を0.8~3モル、オキサレート化合物を0.4~0.6モル添加する、請求項2に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項4】
前記亜鉛化合物、前記トリアゾール化合物及び前記オキサレート化合物の合計の濃度が、前記溶媒中で0.1~10mol/Lである、請求項3に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項5】
前記溶媒がさらにアルコールを含有する、請求項2に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項6】
前記溶媒中のアルコールと水の比率(体積比)が、アルコール1に対して、水が0.3以上20以下である、請求項5に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項7】
前記アルコールがメタノール及び/又はエタノールである、請求項5に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項8】
前記反応が0~100℃で5分以上攪拌させる、請求項2に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項9】
前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛である、請求項1に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【請求項10】
前記トリアゾール化合物が1,2,4-トリアゾールである、請求項2に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属有機フレームワークの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
有害な温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO

)を工業廃棄物から捕捉することは、地球規模の二酸化炭素量の抑制に貢献することができ、地球温暖化対策にとって重要な技術である。
ガスの分離方法には、膜分離法、吸着分離法、吸収分離法、深冷分離法がある。膜分離法は、圧力を駆動力として、膜を透過するガスの速度差によってガスを分離する手法であり、ガス分離の途中で相変化をほとんど伴わないため、他のガス分離方法に比べ消費エネルギーが小さい。世界的な気候変動から、温室効果ガスの削減が求められている昨今、消費エネルギーが少ない膜分離法は、従来の分離手法の代替や、温室効果ガスの分離回収の手段として注目を集めている。
【0003】
ガスを吸着することができる多孔質材料としては、従来、活性炭やゼオライトが代表的であったが、近年、金属と架橋配位子とで構築された配位高分子によるナノサイズ細孔を有する多孔質材料が注目されている。例えば、多孔質材料として、金属有機フレームワーク(Metal Organic Frameworks、以下、「MOF」と記載する場合がある。)を用いた二酸化炭素の吸着が報告されている(特許文献1)
【0004】
特許文献1の実施例には、MOFの製造方法として、シュウ酸亜鉛と1,2,4-トリアゾール、水、メタノールを混合し、180℃で約48時間、水熱合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、合成温度が高く、合成時間が長い点で改良の余地があり、また経済性の点でも好ましくない。
そこで、特許文献2では、式:Zn

Ht

CL(式中、Htは、1,2,4-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾレートと1またはそれを超える他のシクロアゾカルビル化合物との組合せであり、CLは、オキサレートまたはオキサレートとオキサレート以外の1またはそれを超えるキレート配位子との組合せである)のZn MOFを作製するための方法であって、(1)2モル当量の1,2,4-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾレートと1またはそれを超える他のシクロアゾカルビル化合物との前記組合せを、1モル当量のオキサレートまたはオキサレートとオキサレート以外の1またはそれを超えるキレート配位子との組合せと反応させて、シクロアゾカルビルキレート配位子化合物を溶媒中の懸濁液として形成するステップと;(2)2モル当量のZn
2+
を前記懸濁液に添加して前記Zn MOFを形成するステップとを含む方法が開示されている(特許文献2、請求項1)。
【0005】
特許文献2には、製造方法の一実施形態として、「シュウ酸またはその水和物(1モル当量)および1,2,4-トリアゾール(2モル当量)を、低級アルコールまたは低級アルコールと水との混和性混合物、好ましくはエタノールまたは水性エタノールに溶解および/または懸濁して、1,2,4-トリアゾリウムオキサレートの乳白色の沈殿を形成する。この懸濁液に、塩基性亜鉛塩(2モル当量のZn)を激しく撹拌しながら固体として加え、粘稠な乳白色の懸濁液を形成する。次に、CALF-20を形成する反応がPXRDで評価した場合に完了するまで、懸濁液を室温で撹拌する。この反応は室温で最大16~22時間かかり得る。固体生成物CALF-20を濾過により回収し、水およびエタノール(例えば、各5~10mL)で順次洗浄し、室温で乾燥させる。」と記載されている(特許文献2、段落0014)。なお、ここでCALF-20とは、化学式Zn

Tz

Ox(ここで、Tz=1,2,4-トリアゾレート、Ox=オキサレート)を有するZn(II)材料である。またPXRDは粉末X線回折を示す。
特許文献2によれば、不純物を避け、空時収量を増加させ、同時に高圧、高温およびそのような条件に関連する安全上の危険を回避することができる旨、記載されている(特許文献2、段落0005)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2016-516677号公報
特表2021-522226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示されるMOFの製造方法は、特許文献1に開示される方法と比較して、反応温度が120℃未満と低く、経済性に優れた方法である。
しかしながら、特許文献2の段落0017に記載されるように、「塩基性亜鉛塩は、塩基性炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、または酸化亜鉛であり得、これらはアルコール、水またはそれらの混合物に難溶性~不溶性である」ため、MOF中の亜鉛イオンの均一分散には限界があり、反応時間も長くなりやすいと考えられる。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、短時間で安価にZn-MOFを製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水に対する溶解度が一定以上の亜鉛化合物を用いることで、短時間で安価に亜鉛イオンを含む金属有機フレームワーク(以下、「Zn-MOF」と記載することがある。)を合成し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は下記[1]~[11]に関する。
【0009】
[1]置換基を有していてもよいトリアゾレート及びオキサレートが配位結合した亜鉛イオンを含む金属有機フレームワークの製造方法であって、25℃における水100cm

に対する溶解度が0.05g以上である亜鉛化合物を用いる、金属有機フレームワークの製造方法。
[2]水を含有する溶媒に前記亜鉛化合物、置換基を有していてもよいトリアゾール化合物及びオキサレート化合物を添加し、反応させる、上記[1]に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[3]前記亜鉛化合物1モルに対して、置換基を有していてもよいトリアゾール化合物を0.8~3モル、オキサレート化合物を0.4~0.6モル添加する、上記[2]に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[4]前記亜鉛化合物、前記トリアゾール化合物及び前記オキサレート化合物の合計の濃度が、前記溶媒中で0.1~10mol/Lである、上記[2]又は[3]に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[5]前記溶媒がさらにアルコールを含有する、上記[2]~[4]のいずれかに記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[6]前記溶媒中のアルコールと水の比率(体積比)が、アルコール1に対して、水が0.3以上20以下である、上記[5]に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[7]前記アルコールがメタノール及び/又はエタノールである、上記[5]又は[6]に記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[8]前記反応が0~100℃で5分以上攪拌させる、上記[2]~[7]のいずれかに記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[9]前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[10]前記トリアゾール化合物が1,2,4-トリアゾールである、上記[2]~[9]のいずれかに記載の金属有機フレームワークの製造方法。
[11]前記亜鉛化合物の溶液を調製する亜鉛化合物溶液調製工程と、置換基を有していてもよいトリアゾール化合物及びオキサレート化合物を前記亜鉛化合物溶液に添加する添加工程を有する、上記[2]~[10]のいずれかに記載の金属有機フレームワークの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、短時間で安価にZn-MOFを製造し得る、金属有機フレームワークの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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