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公開番号2025179238
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-09
出願番号2025157004,2023566274
出願日2025-09-22,2022-12-01
発明の名称積層体、接着剤組成物及び回路基板材料
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C09J 7/30 20180101AFI20251202BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】耐熱性に優れ、低誘電正接であり、湿熱耐久試験前後での接着力の維持率が高い接着層を形成することができる接着剤組成物と、この接着剤組成物を用いた積層体及び回路基板材料を提供する。
【解決手段】基材あるいは導体層の少なくとも一方の面に接着層を有する積層体であって、前記接着層が、ポリエステル系樹脂(A)、ポリエポキシ系化合物(B)、及びフィラー(C)を含有する接着剤組成物の硬化物であり、前記接着層の10GHzにおける誘電正接(Df)(温度23℃、相対湿度50%RH環境下)が0.005以下である、積層体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
基材あるいは導体層の少なくとも一方の面に接着層を有する積層体であって、
前記接着層が、ポリエステル系樹脂（Ａ）、ポリエポキシ系化合物（Ｂ）、及びフィラー（Ｃ）を含有する接着剤組成物の硬化物であり、
前記接着層の１０ＧＨｚにおける誘電正接（Ｄｆ）（温度２３℃、相対湿度５０％ＲＨ環境下）が０．００５以下である、積層体。
続きを表示（約 910 文字）【請求項２】
前記フィラー（Ｃ）がフッ素系ポリマー粉末（Ｃ１）及び／または粘土鉱物（Ｃ２）を含有する、請求項１に記載の積層体。
【請求項３】
前記接着剤組成物の前記ポリエポキシ系化合物（Ｂ）の含有量が、前記ポリエステル系樹脂（Ａ）のカルボキシ基に対する前記ポリエポキシ系化合物（Ｂ）のエポキシ当量が０．８以上２未満となる量である、請求項１又は２に記載の積層体。
【請求項４】
前記ポリエステル系樹脂（Ａ）の酸価が３ｍｇＫＯＨ／ｇ以上で、ガラス転移温度が－５℃以上である、請求項１～３のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項５】
前記ポリエステル系樹脂（Ａ）が、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位とを含有する、請求項１～４のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項６】
前記ポリエステル系樹脂（Ａ）が、前記多価カルボン酸類由来の構造単位として、芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位を含有する、請求項５に記載の積層体。
【請求項７】
前記接着剤組成物の前記フィラー（Ｃ）の含有量が、前記ポリエステル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して１～１００重量部である、請求項１～６のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項８】
前記基材が、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理紙、ポリオレフィン樹脂コート紙、ポリメチルペンテンフィルム、及びフッ素系樹脂フィルムよりなる群から選択される少なくとも１種である、請求項１～７のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項９】
更に導体を積層してなる、請求項１～８のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項１０】
請求項１～９のいずれか一項に記載の積層体を有する回路基板材料。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ポリエステル系樹脂を含有する接着剤組成物の硬化物よりなる接着層を有する積層体に関する。詳しくは、本発明は、耐熱性に優れ、低誘電正接であり、湿熱耐久試験前後での接着力の維持率が高い接着層を有する積層体に関する。
本発明はまた、この積層体を有する回路基板材料に関する。
本発明はまた、この積層体の接着層に好適な接着剤組成物に関する。
続きを表示（約 1,700 文字）【背景技術】
【０００２】
ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れているため、フィルムやペットボトル、繊維、トナー、電機部品、接着剤、粘着剤等、幅広い分野で用いられている。
ポリエステル系樹脂は、そのポリマー構造ゆえに極性が高いので、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エポキシ樹脂等の極性ポリマー、及び銅、アルミニウム等の金属材料に対して優れた接着性を発現することが知られている。この特性を利用し、ポリエステル系樹脂は、金属とプラスチックの積層体を作製するための接着剤としての使用が検討されている。
【０００３】
特許文献１には、硬化時の寸法安定性に優れ、硬化後の接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性、低誘電率及び低誘電正接に優れる熱硬化性接着シートが提案されている。この熱硬化性接着シートは、有機金属化合物又はエポキシ基含有化合物の少なくともいずれか一方と反応し得る反応性官能基と、ハロゲン以外のヘテロ原子を有する官能基との合計量が０．０１ｍｍｏｌ／ｇ以上、９ｍｍｏｌ／ｇ以下の樹脂（例えばポリエステル系樹脂）、有機金属化合物、及び３官能以上のエポキシ基含有化合物を含む熱硬化性組成物から形成されてなる。
【０００４】
特許文献２には、耐湿熱性と耐カチオン酸性に優れ、エポキシ樹脂との相溶性、接着性を併せ持った共重合ポリエステル及びそれを含有する接着剤組成物が提案されている。この共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分と、ダイマージオール、第１のグリコール、第２のグリコール又はオキシ酸、炭素数２～１０のアルキレングリコールからなる。
【０００５】
特許文献３には、湿熱環境下での長期耐久性に優れ、更には高い接着性を有する接着剤組成物として、エステル結合濃度が７ミリモル／ｇ以下、酸価が３ｍｇＫＯＨ／ｇ以上、ガラス転移温度（Ｔｇ）が－５℃以上、の要件を満足するポリエステル系樹脂（Ａ１）を含有する接着剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
特開２０１７－０３１３０１号公報
特開２００３－１８３３６５号公報
国際公開第２０２１／０７９６７０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
近年、フレキシブル銅張積層板やフレキシブルプリント基板等の電子材料分野においては、そこに用いられる接着層に求められる物性として、接着性に優れ、耐熱性、湿熱耐久性に優れることに加え、伝送信号の高周波化に伴い、更なる低誘電率及び低誘電正接といった低誘電特性、特には低誘電正接が強く求められている。
ところが、耐熱性や湿熱耐久性の向上を目的に樹脂を設計すると、誘電正接が高くなる傾向があり、これらの特性を高いレベルで両立させることは困難であった。
【０００８】
例えば、特許文献１の開示技術では、誘電率・誘電正接や吸水率の低下を目的として、長鎖アルキル基を有する多価カルボン酸や多価アルコールを多量に使用しているので、接着性が低下する等の問題があった。また、特許文献１では湿熱環境下での長期耐久性の点については考慮されておらず、更なる改良が求められる。
【０００９】
特許文献２に開示された接着剤組成物を用いて銅張積層板等を作製した場合、湿熱環境下での長期耐久性には比較的優れることが想定される。しかし、当該共重合ポリエステルは、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコールを共重合成分としている、或いは、エポキシ樹脂との反応点となる酸価が付与されていない。このため、当該共重合ポリエステルは、接着性や耐熱性に劣るといった問題がある。
【００１０】
特許文献３に開示された接着剤組成物は、これらの課題を解決したものであるが、低誘電正接において更なる改善が望まれる。
（【００１１】以降は省略されています）

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