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公開番号2025088324
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-11
出願番号2023202964
出願日2023-11-30
発明の名称Ni基合金およびNi基合金の製造条件推定装置
出願人三菱重工業株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C22F 1/10 20060101AFI20250604BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】高温クリープ延性に優れる析出強化型Ni基合金の製造条件を容易に推定可能なNi基合金の製造条件推定装置を提供する。
【解決手段】本開示のNi基合金の製造条件推定装置は、C、Cr、Al、およびTiを含有するNi基合金の製造条件の推定装置であって、化学組成からCALPHAD法に基づいて、Ni基合金中に析出すると予測される析出物の種類および各析出物の体積分率を計算する平衡状態図計算部と、M23C6型炭化物およびγ’相の分布状態を計算する、析出速度論計算部と、M23C6型炭化物およびγ’相の分布状態および所定の条件に基づいて、製造条件を推定する、製造条件推定部と、を備える。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
C、Cr、Al、およびTiを含有するNi基合金の製造条件の推定装置であって、
前記Ni基合金の化学組成からCALPHAD法に基づいて、前記Ni基合金中に析出すると予測される析出物の種類および前記各析出物の体積分率を計算する、平衡状態図計算部と、
前記Ni基合金の化学組成と、前記Ni基合金の製造条件と、マトリックスとなるγ相の組織条件と、前記平衡状態図計算部で計算された前記析出物の種類および前記平衡状態図計算部の計算結果に基づいて決定されたパラメータとから、析出速度論に基づいて前記Ni基合金中のMC型炭化物、M
23


型炭化物およびγ’相の分布状態を計算する、析出速度論計算部と、
前記析出速度論計算部で計算された前記M
23


型炭化物およびγ’相の分布状態、晶出MC型炭化物中の炭素を除く全ての含有炭素から生成可能な前記M
23


型炭化物のうち結晶粒界に析出する割合の目標である目標結晶粒界M
23


型炭化物割合、1μm当たりの前記結晶粒界に析出する前記γ’相の面積の目標である目標結晶粒界γ’相面積、および、結晶粒の全面積に対する前記結晶粒内にある円相当径20nm未満の前記γ’相の面積率の目標である目標結晶粒内微細γ’相面積率に基づいて、前記製造条件を推定する、製造条件推定部と、
を備える、Ni基合金の製造条件推定装置。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記目標結晶粒界M
23


型炭化物割合が、70%以上である、請求項1に記載のNi基合金の製造条件推定装置。
【請求項3】
前記目標結晶粒界γ’相面積が、0.19μm

以下である、請求項1に記載のNi基合金の製造条件推定装置。
【請求項4】
前記目標結晶粒内微細γ’相面積率が、0.1%以下である、請求項1に記載のNi基合金の製造条件推定装置。
【請求項5】
前記Ni基合金の化学組成から、Scheil-Gulliverモデルに基づき、前記Ni基合金中に晶出する晶出物の種類および前記各晶出物の体積分率を計算する、Scheil-Gulliver計算部をさらに、備え、
前記析出速度論計算部が、前記Ni基合金の化学組成と、前記Ni基合金の製造条件と、前記マトリックスとなるγ相の組織条件と、前記平衡状態図計算部で計算された前記析出物の種類および前記平衡状態図計算部の計算結果に基づいて決定されたパラメータと、前記Scheil-Gulliver計算部で計算された前記晶出物の種類および前記各晶出物の体積分率と、から前記Ni基合金中の前記M
23


型炭化物および前記γ’相の分布状態を計算する、請求項1または請求項2に記載のNi基合金の製造条件推定装置。
【請求項6】
前記Ni基合金の化学組成が、質量%で、
C:0.02~0.06%、
Si:0.15%以下、
Mn:0.15%以下、
P:0.01%以下、
S:0.005%以下、
Cu:0.1%以下、
Cr:18~20%、
Mo:5.5~7.0%、
W:0.8~1.2%、
Co:11~14%、
Al:1.8~2.3%、
Ti:2.90~3.25%、
Fe:2%以下、
B:0.004~0.010%
を含有し、
残部がNiおよび不可避的不純物からなる、請求項1に記載のNi基合金の製造条件推定装置。
【請求項7】
化学組成が、質量%で、
C:0.02~0.06%、
Si:0.15%以下、
Mn:0.15%以下、
P:0.01%以下、
S:0.005%以下、
Cu:0.1%以下、
Cr:18~20%、
Mo:5.5~7.0%、
W:0.8~1.2%、
Co:11~14%、
Al:1.8~2.3%、
Ti:2.90~3.25%、
Fe:2%以下、
B:0.004~0.010%
を含有し、
残部がNiおよび不可避的不純物からなり、
晶出MC型炭化物中の炭素を除く全ての含有炭素から生成可能なM
23


型炭化物のうち結晶粒界に析出する割合が、70%以上であり、
1μm当たりの前記結晶粒界に析出するγ’相の面積が0.19μm

以下であり、
結晶粒の全面積に対する、前記結晶粒内にある円相当径20nm未満のγ’相の面積率が0.1%以下である、Ni基合金。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、Ni基合金およびNi基合金の製造条件推定装置に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
火力発電プラント、航空機のタービンで用いられる高温部材(タービン翼など)は、高温環境下での機械的特性を満足するために、Niを主成分とするNi基合金が多く使用される。
【0003】
高温部材に用いられるNi基合金では、マトリックスであるγ(ガンマ)相(FCC相)に、γ相と結晶格子が整合するγ’(ガンマプライム)相(L1

構造、例えば、Ni

Al相)を析出させることで高い強度を得ている。
【0004】
使用されるタービン部品等においては、その形状が複雑で表面に凹凸や切欠き部分が多く、部材表面が平滑とは言い得ないことが多い。その場合、実際に使用される複雑形状の部材あるいは凹凸の多い部材としては、切欠き試験片(ノッチ試験片)による高温クリ―プ破断試験を行った場合の高温クリープ寿命(切欠き高温クリープ寿命)が長いことが望まれる。切欠き高温クリープ寿命を延ばすためには、高温クリープ延性を改善することが有効である。
【0005】
高温における延性を改善する技術として、特許文献1には、質量%で、C:0.01-0.15%、Cr:10-25%、Co:5-20%、Mo:8-15%、Al:0.5-2%、Ti:0.5%以下、B:0.006%以下を含み、残部をNiおよび不可避不純物からなる組成を有する固溶強化型のNi基超合金であって、合金内の粒界の長さに対して炭化物で被覆された粒界の長さの割合で定義される粒界被覆率が30%以上であり、未固溶炭化物が、平均円相当径が0.85~0.95μm、平均数密度が、1.8×10
-2
~2.4×10
-2
個/μm

であり、700℃における伸びが30%以上で、室温における伸びと700℃における伸びの差が10%以内であることを特徴とするNi基超合金が開示されている。
【0006】
また、高温におけるクリープ延性を改善する技術として、特許文献2には、所定形状に積層成形されたNi基合金からなる積層造形体に対して施す熱処理方法であって、前記Ni基合金が、質量%で、Co:15~25%、Cr:10~25%、Mo:0~3.5%、W:0.5~10%、Al:1.0~4.0%、Ti:0~5.0%、Ta:0~4.0%、Nb:0~2.0%、C:0.03~0.2%、B:0.001~0.02%、Zr:0~0.1%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、前記積層造形体に、そのNi基合金の各成分元素の含有量(mass%)に応じて1255℃以上、1350℃以下の温度で、0.5時間以上、100時間以下の時間加熱する炭化物析出最適化熱処理工程と、前記炭化物析出最適化熱処理工程の後、前記積層造形体を、800~950℃の範囲内の温度で1~30時間加熱する時効処理工程とを有することを特徴とするNi基合金積層造形体の熱処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許6419102号公報
特許6931545号公報
【非特許文献】
【0008】
Ernst Kozeschnik, “Modeling Solid-State Precipitation”, Momentum Press (2013)
木島秀弥, ”物性値計算ソフトウェアJMatProの凝固物性値計算”, 鋳造工学 第86巻 第12号 (2014) pp.951-956.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1および2の技術では、固溶強化型あるいは析出強化型Ni基合金の結晶粒界炭化物のみに着目しており、析出強化型Ni基合金の主要強化相であるγ’相に対しては、着目していない。また、特許文献1および2の手法では、化学組成ごとに様々な条件で熱処理を行い、適切な熱処理条件を探索する必要があり、検討に多くの時間とコストが必要となる。
【0010】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、高温クリープ延性に優れる析出強化型Ni基合金および当該Ni基合金の製造条件を容易に推定可能なNi基合金の製造条件推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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