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公開番号2025068122
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2025027113,2021567161
出願日2025-02-21,2020-12-07
発明の名称トマト黄化えそウイルス抵抗性のナス科植物の作出方法
出願人キッコーマン株式会社,国立大学法人北海道大学
代理人弁理士法人鷲田国際特許事務所
主分類A01H 6/82 20180101AFI20250417BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】トマト黄化えそウイルス(TSWV)の感染を阻害する性質、感染後のTSWVの増殖を抑制する性質及び/又はTSWVの感染症状の発現を抑制する性質を有する、TSWV抵抗性のナス科植物の作出方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、受容体様キナーゼRLK遺伝子及びその相同遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1種の遺伝子が変異を有し、この変異によって、変異を有する遺伝子の発現が抑制されているか、又は変異を有する遺伝子のコードするタンパク質がトマト黄化えそウイルスに対して非機能的であり、トマト黄化えそウイルス抵抗性を有する、ナス科植物の作出方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
cDNA配列が配列番号1に示される塩基配列を含む受容体様キナーゼRLK遺伝子を選択する工程と、
ナス科植物のゲノム内の前記受容体様キナーゼRLK遺伝子に対して、配列番号3に示される塩基配列に対応する領域にフレームシフト変異を導入する工程と、
トマト黄化えそウイルスに対する罹病率が、前記フレームシフト変異を有していない対照トマト植物よりも低下したナス科植物を選別する工程と
を含み、
前記罹病率が、トマト黄化えそウイルスの接種から20日以上経過した時点における目視判定可能な感染症状の有無、及び/又はPCRによって検出される前記トマト黄化えそウイルスの遺伝子の有無に基づくものである、
トマト黄化えそウイルス抵抗性ナス科植物の作出方法。
続きを表示(約 550 文字)【請求項2】
前記変異を、ゲノム編集技術によってゲノム内の遺伝子に導入する、請求項1に記載のトマト黄化えそウイルス抵抗性ナス科植物の作出方法。
【請求項3】
前記配列番号3に示される塩基配列に対応する領域が、配列番号8又は配列番号9に示される塩基配列になるように変異を導入する、請求項1又は2に記載のトマト黄化えそウイルス抵抗性ナス科植物の作出方法。
【請求項4】
前記ナス科植物がトマトである、請求項1~3のいずれか一項に記載のトマト黄化えそウイルス抵抗性ナス科植物の作出方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の作出方法によって得られた、トマト黄化えそウイルス抵抗性ナス科植物。
【請求項6】
請求項5に記載のナス科植物の部分。
【請求項7】
果実である、請求項6に記載のナス科植物の部分。
【請求項8】
種子である、請求項6に記載のナス科植物の部分。
【請求項9】
請求項5に記載のナス科植物又は請求項6~8のいずれか一項に記載のナス科植物の部分の加工品。
【請求項10】
食用である、請求項9に記載の加工品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト黄化えそウイルス抵抗性のナス科植物、ナス科植物細胞、及びナス科植物の作出方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
農産物の流通が盛んになるのに伴い、以前は局所的に発生していたウイルス病が世界中に蔓延するようになった。その代表的なものがブニヤウイルス科のトスポウイルス属とジェミニウイルス科のベゴモウイルス属に属するウイルスである。
【0003】
トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus;以下、しばしば、「TSWV」と略す)は、科学的・経済的な影響を与える非常に重要なウイルスとして、数多存在する植物ウイルスの中でも、上位5位以内に入っている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
トマト黄化えそウイルスは、1915年に発見された比較的歴史の古い植物ウイルスの一種であるが、完全なウイルス粒子の精製が困難であったことから、他のウイルスに比べその研究が遅れていた。1990年代に入りようやく研究が多くなり、現在は、ブニヤウイルス科のトスポウイルス属のタイプウイルスとして分類されている。ブニヤウイルス科にはトスポウイルス属以外に4属あるが、これらはすべて動物に感染するウイルスで、同じ科の中に動物ウイルスと植物ウイルスが属する分類学的に極めて特殊なウイルスグループである(例えば、非特許文献2、3を参照)。
【0005】
TSWVは、直径100nm前後の被膜をもつ球状ウイルスで、その中に3分節の閉環ひも状のヌクレオキャプシドが入っている。ウイルスゲノムは、やはり3分節の1本鎖RNAから成り、基本的にマイナス鎖として遺伝子翻訳系を経る。
【0006】
TSWVを含むトスポウイルス属やトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を含むジェミニウイルス科ベゴモウイルス属が世界中で多発するようになった大きな要因は、流通のグローバル化に伴い、両ウイルスの重要な媒介虫が花卉を含む農産物などに付着して、その分布を拡大したことによる。
【0007】
TSWVは、媒介できるアザミウマは、ダイズウスイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマなど多種が知られている。アザミウマは、幼虫期にのみ吸汁によりTSWVを獲得でき、幼虫は孵化する前にも伝染能を有するが、一般的には、成虫になってから同じく吸汁時にTSWVを伝染させる。当初、日本でTSWVを媒介するアザミウマは、在来種であるヒラズハナアザミウマやダイズウスイロアザミウマであったが、TSWV重要媒介虫として知られるミカンキイロアザミウマが1990年に海外から日本に侵入し、その遠距離移動能力から発生分布を拡大するのに伴い、TSWVの発生様相は激変した。
【0008】
アザミウマ類は、花粉を好むため、TSWVを含むトスポウイルス属ウイルスは様々な花卉類に大きな被害を及すとともに、その周辺で栽培される野菜類にも被害を拡大させる。TSWVの宿主範囲は、900植物種以上と非常に広く、現在では、トマト、ピーマン、タバコ、メロン、キク、ダリア、ガーベラ及びトルコキキョウなどの野菜・花卉植物を中心に世界的に発生が見られる(例えば、非特許文献4を参照)。また、TSWVは、キク科やタデ科のような雑草にも感染することが可能で、越冬するものもあり、翌年の伝染源となる。トスポウイルス属のウイルスは、一度感染すると植物に定着しやすく、根絶は困難である。
【0009】
これまでのTSWVを含むトスポウイルス属のウイルスの防除法は、抵抗性育種による品種対策、若しくは媒介虫であるアザミウマの徹底した進入阻止防除とTSWV感染株の早期抜き取り処分しかなかった。しかし、アザミウマは、1mm以下の非常に小さな虫で、侵入阻止のためには圃場を目の細かい網で隔離せざるを得ず、圃場内の気温上昇が懸念されることから、容易には実施されていないのが現状である。さらに、アザミウマは花粉を好み、花被の中に入ってしまい薬剤を回避するため、農薬防除も有効な手段にはならなかった。
【0010】
また、TSWVへの抵抗性を植物に付与する育種的手法としては、例えば、1998年にトスポウイルス属に対する抵抗性をもつ野生トマト
Solanum
peruvianum
L.から抵抗性遺伝子Sw-5が特定され、栽培種に導入された(例えば、非特許文献5を参照)。Sw-5は、トマトにおける有望な抵抗性遺伝子であったが、広く実用化されるより前に、当該遺伝子の抵抗性を打破するTSWV分離株が世界中の各地で現れた(例えば、非特許文献6を参照)。同様のことはトウガラシ属のTSWV抵抗性遺伝子Tswでも起こっている。このような現象は、これら優性の抵抗性遺伝子にはしばしば見られる現象であり、現在有用な抵抗性遺伝子が乏しい状況にある。
(【0011】以降は省略されています)

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