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公開番号2025067580
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177673
出願日2023-10-13
発明の名称剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び剥離シート
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人英明国際特許事務所
主分類C08L 83/07 20060101AFI20250417BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】低温下で保存した場合にも付加反応制御剤の分離や析出がなく、低温保存安定性に優れ、高温下でのポットライフに優れる、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含む剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(A)ケイ素に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)下記(C-1)及び(C-2)を含む付加反応制御剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.06~0.60質量部、かつ(C-2)及び(C-1)の質量比(C-2)/(C-1)が、0.10~5.00、
(C-1)沸点が150~189℃であるアセチレンアルコール
(C-2)25℃での屈折率が1.420~1.450、かつ沸点190℃以上の化合物
(D)白金族金属系触媒
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含む剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(A)ケイ素に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有し、ケイ素に結合したアルケニル基の含有量が0.001~0.3mol/100gであり、25℃における粘度が1~10,000mPa・sである、オルガノポリシロキサン:90~100質量部未満、
(B)ケイ素に結合した水素原子を1分子中に少なくとも3個有し、ケイ素に結合した水素原子の含有量が0.5~2.0mol/100gであり、25℃における粘度が2~200mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のアルケニル基の個数に対する(B)成分中のケイ素に結合した水素原子の個数比が0.5~5.0倍となる量、
(C)下記(C-1)及び(C-2)を含む付加反応制御剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.06~0.60質量部、かつ(C-2)及び(C-1)の質量比(C-2)/(C-1)が、0.10~5.00、
(C-1)沸点が150~189℃であり、下記式(1)
TIFF
2025067580000013.tif
19
62
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は脂肪族不飽和結合を有さない、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、2個のRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表されるアセチレンアルコール:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.02~0.40質量部、
(C-2)25℃での屈折率が1.420~1.450、かつ沸点190℃以上の化合物:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.02~0.40質量部、
(D)白金族金属系触媒:(A)~(C)成分の合計質量に対して白金族金属として0.1~200ppm
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
第2-1の液体組成物及び第2-2の液体組成物からなる2液型剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、
前記第2-1の液体組成物が、(A)成分及び(D)成分を含み、
前記第2-2の液体組成物が(B)成分及び(C)成分を含み、任意で(A)成分を含む、
請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
第3-1の液体組成物、第3-2の液体組成物、及び第3-3の液体組成物からなる3液型剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、
(I)前記第3-1の液体組成物が、(A)成分単体であり、
前記第3-2の液体組成物が、(B)成分、(C)成分、及び任意で(A)成分を含み、
前記第3-3の液体組成物が、(D)成分及び任意で(A)成分を含む、又は、
(II)前記第3-1の液体組成物が、(A)成分及び(C)成分を含み、
前記第3-2の液体組成物が、(B)成分及び任意で(A)成分を含み、
前記第3-3の液体組成物が、(D)成分及び任意で(A)成分を含む、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
(C-1)成分が、1-エチニル-1-シクロヘキサノール及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールから選択される、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
(C-2)成分が、ビス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシロキサン及び3-メチル-1-ドデシン-3-オールから選ばれる1種以上の化合物である、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
(A)成分が、ケイ素に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有し、ケイ素に結合したアルケニル基の含有量が0.01~0.08mol/100g、25℃における粘度が60~1,000mPa・sであるオルガノポリシロキサンである、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
(A)成分が、下記(A-1)及び(A-2)成分を含む混合物であり、(A)成分全体として、ケイ素に結合したアルケニル基の含有量が0.001~0.3mol/100gである、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(A-1)ケイ素原子に結合するアルケニル基を1分子中に2個以上有し、ケイ素に結合したアルケニル基の含有量が0.001mol/100g以上0.3mol/100g未満であるオルガノポリシロキサン:50~99.9質量部、
(A-2)ケイ素原子に結合する(メタ)アクリル基含有基を1分子中に0.1~20個、及びケイ素原子に結合するアルケニル基を1分子中に0.1個以上有するオルガノポリシロキサン:0.1~50質量部
【請求項8】
(A-1)成分が、下記式(2)で表される、オルガノポリシロキサンである、請求項7記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R
1
3
SiO
1/2

a
(R
1
2
SiO)
b
(R
1
SiO
3/2

c
(SiO
4/2

d
(2)
(式中、R
1
は互いに独立に、水酸基、炭素数2~12のアルケニル基、又は脂肪族不飽和結合を有さない、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R
1
のうち少なくとも2個はアルケニル基であり、a~dはそれぞれ2≦a≦202、5≦b≦1,000、0≦c≦100、及び0≦d≦100を満たす0又は正数であり、ただし、0≦c+d≦100である。)
【請求項9】
(A-2)成分が、下記式(3)で表される、オルガノポリシロキサンである、請求項7記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R
2
3
SiO
1/2

e
(R
2
2
SiO)
f
(R
2
SiO
3/2

g
(SiO
4/2

h
(3)
(式中、R
2
は互いに独立に、水酸基、炭素数2~12のアルケニル基又は(メタ)アクリル基含有基、又は脂肪族不飽和結合を有さない、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R
2
のうち少なくとも0.1個はアルケニル基であり、R
2
のうち0.1~20個は(メタ)アクリル基含有基であり、e~hはそれぞれ2≦e≦202、5≦f≦1,000、0≦g≦100、及び0≦h≦100を満たす0又は正数であり、ただし、0≦g+h≦100である。)
【請求項10】
(B)成分が、下記式(4)で表される、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの1種以上である、請求項1記載の剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

3
i

j
SiO
(4-i-j)/2
(4)
(式中、R
3
は、互いに独立に、非置換又は置換の、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~12の一価炭化水素基であり、i及びjはそれぞれ0.7≦i≦2.1、0.001≦j≦1.0、かつ0.8≦i+j≦3.0を満たす正数である)。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離シート用硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及びこれを用いた剥離シートに関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、紙やプラスチック等の基材と粘着材料との接着を防止するために、基材面にオルガノポリシロキサン組成物の硬化皮膜を形成させて剥離特性を付与させている。上記の基材面にオルガノポリシロキサン硬化皮膜を形成させる方法としては、付加反応による剥離性皮膜形成方法が硬化性に優れることから広く用いられている。この付加反応による剥離性皮膜形成方法には、オルガノポリシロキサン組成物を有機溶剤に溶解させたタイプ、乳化剤を用いて水に分散させてエマルションにしたタイプ、オルガノポリシロキサンのみからなる無溶剤タイプがあるが、溶剤タイプは人体や環境に対して有害な場合があるという欠点を有するため、安全性の面から、溶剤タイプから無溶剤タイプへの切り替えが進んでいる。また、エマルジョン型は水を除去するのに高いエネルギーを必要とするため、比較的低温短時間の硬化条件で硬化皮膜を得ることが難しい。このため無溶剤型のオルガノポリシロキサン組成物が、最も多く使用されている。無溶剤型は基本配合として主剤(アルケニル基含有シロキサン)、架橋剤(SiH基含有シロキサン)及び白金触媒からなるが、室温下では、白金触媒の付加反応を抑制し、高温下では速やかに付加反応を進行させる付加反応制御剤が必要となる。
【0003】
制御剤としては、古くからアセチレンアルコール類が有用であることが公知となっているが、アセチレンアルコール類の中にはオルガノポリシロキサン組成物に対する相溶性が低い物があり、特に2液又は3液で制御剤が高濃度になる配合ではアセチレンアルコール類の分離等が問題となる場合がある。実際、付加反応に対する制御能力と入手の容易さから多く用いられている1-エチニル-1-シクロヘキサノールは、オルガノポリシロキサン組成物に対する相溶性が悪い。さらに融点が約31℃であることから、低温保管時に固体として析出しやすいといった問題が生じることがある。そのため、オルガノポリシロキサン組成物に対する相溶性と低温での保存安定性を改善した制御剤として、アセチレンアルコールの水酸基をシリル化した制御剤も公知となっている。しかしながら、これらの制御剤を単独で使用した場合、相溶性と低温での保存安定性は改善できるものの、硬化性やポットライフ低下の問題が生じることがある。
【0004】
そこで、特開平9-143371号公報、特開平8-176448号公報には、沸点の異なる2種類の制御剤を併用したオルガノポリシロキサン組成物が開示されている。特開平9-143371号公報は、沸点130℃以下と沸点170℃以上の2種類の付加反応抑制剤の併用により、特に塗工ロール上で薄膜化された際のゲル物の発生を抑制している。一方で特開平8-176448号公報は沸点150℃以上と沸点150℃未満の2種類のアセチレン性化合物の併用により、優れた硬化性及び安定したポットライフを得ることができると記載されている。またSiH基量の異なる2種類のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを組み合わせることにより、剥離性と皮膜の基材への密着性を両立させている。
【0005】
さらに、特開平11-166122号公報には、少量のアセチレンアルコールと大量のシリル化されたアセチレンアルコールの2種類の制御剤を併用したオルガノポリシロキサン組成物が開示されている。この2種類の制御剤の併用により、経時によって剥離特性や硬化性が変化しにくい安定性に優れたオルガノポリシロキサン組成物を提供できると記載されている。特許文献2に各種基材への密着性についての記載があるが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと密着性についての関係を示したものであり、制御剤の配合量と密着性についての関係性については何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平9-143371号公報
特開平8-176448号公報
特開平11-166122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、0℃以下のような低温下で保存した場合にも付加反応制御剤の分離や析出がなく、低温保存安定性に優れ、高温下でのポットライフに優れ、塗工ロール上での塗工作業中にゲル物の発生がなく、薄膜安定性に優れ、各種基材に塗工された時には高い硬化性を有し、さらには、その硬化皮膜は、各種基材への密着性に優れる剥離シート硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及びこれを用いた剥離シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、第1の付加反応制御剤である沸点が150~189℃のアセチレンアルコールの配合量を増やすにしたがい、硬化皮膜の各種基材への密着性が向上する、という特異な効果を見出した。しかしながら、このようなアセチレンアルコールはオルガノポリシロキサン組成物に対する溶解性が低いため、配合量を増やすと低温での保管時にアセチレンアルコールの分離や析出が発生する。そこで、オルガノポリシロキサン組成物に対する溶解性が高い、第2の付加反応制御剤である25℃での屈折率が1.420~1.450、かつ沸点190℃以上の化合物を併用することで、上記アセチレンアルコールの配合量を抑えつつ、硬化皮膜の各種基材への密着性を向上させることができる。
【0009】
理論に縛られるものではないが、本発明者らは、付加反応制御剤の配合量を増やすにしたがい、硬化皮膜の各種基材への密着性が向上する効果を以下のように考えている。密着性を向上させる方法としては、オルガノポリシロキサン組成物中のケイ素に結合した水素原子の数を増やす方法が古くから知られている。これは、ケイ素原子に結合した水素原子と基材が相互作用するためと考えられる。付加反応制御剤の配合量が少ない場合は、加熱により急速に反応が進行し、ケイ素原子に結合した水素原子はケイ素に結合したアルケニル基との付加反応に優先的に消費される。そのため、ケイ素原子に結合した水素原子が基材と相互作用する余地が少ない。一方で、付加反応制御剤の配合量が多い場合は、反応は徐々に進行し、ケイ素原子に結合した水素原子は基材と相互作用しながら、ケイ素に結合したアルケニル基と付加反応していく。そのため、ケイ素原子に結合した水素原子と基材との相互作用が形成されやすく、硬化皮膜の各種基材への密着性が向上するのではないかと推測している。
【0010】
また、(C-2)成分を併用する効果としては、上記の通り(C-1)成分のアセチレンアルコールの配合量を抑えるという以外に、以下のような働きがあると考えている。本発明に用いられるオルガノポリシロキサン組成物は、25℃での屈折率が1.40付近である。一方で、(C-1)成分の一例としての1-エチニル-1-シクロヘキサノールは、25℃での屈折率が1.481であり、オルガノポリシロキサン組成物との屈折率が大きく異なることが相溶性を低下させる一因である。この相溶性の低さのために、(C-1)成分の配合量を増やした組成、特に2液化又は3液化すると、低温での保存安定性が低下する。(C-2)成分は25℃での屈折率が1.420~1.450であるために、オルガノポリシロキサン組成物及び(C-1)成分のどちらにも相溶しやすく、両者の相溶化剤のような働きができるのではないかと推測している。
(【0011】以降は省略されています)

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