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公開番号2025032881
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023138382
出願日2023-08-28
発明の名称微粒子粉末の製造方法および製造装置
出願人月島機械株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01D 29/39 20060101AFI20250305BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】7μm以下の微粒子を安定的に製造でき、フィルターの目詰まりが生じにくく、エネルギーコストを抑え生産効率を高める。
【解決手段】微粒子粉末の製造装置1は、晶析装置10内で旋回流を生じさせた母液中で複数の原料を反応させて粒径7μm以下の微粒子を含むスラリーを製造する微粒子スラリー製造装置2と、スラリーを攪拌しながら洗浄液を加えて洗浄するスラリータンク30と、スラリーから前記母液および前記洗浄液の一部を除去して濃縮する攪拌式クロスフローろ過装置6と、初期濃縮工程、希釈洗浄工程、および最終濃縮工程を切り替える切替装置70と、最終濃縮スラリーを加熱した撹拌翼で混合しつつ移送して伝導伝熱により乾燥させる乾燥装置8とを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
反応処理器内で旋回流を生じさせた母液中で複数の原料を反応させて粒径7μm以下の微粒子を含む微粒子スラリーを製造する微粒子スラリー製造工程と、
前記微粒子スラリーを、スラリータンクと攪拌式クロスフローろ過装置とが循環経路上に配置されてなるろ過設備に供給し、前記ろ過設備で前記微粒子スラリーを循環させながら初期濃縮を行い、初期濃縮スラリーを得る初期濃縮工程と、
前記スラリータンク内で前記初期濃縮スラリーに洗浄液を供給しながら前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過することにより洗浄スラリーを得る希釈洗浄工程と、
前記洗浄スラリーを前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過して最終濃縮を行い、最終濃縮スラリーを得る最終濃縮工程と、
前記最終濃縮スラリーを乾燥装置に供給し、前記最終濃縮スラリーを、加熱された撹拌翼で攪拌しつつ移送して伝導伝熱により乾燥させ、微粒子粉末を得る乾燥工程とを具備し、
前記攪拌式クロスフローろ過装置は、フィルターで隔てられたスラリー室およびろ液室と、前記スラリー室内に前記フィルターに沿って配置された攪拌体と、前記攪拌体を前記フィルターに沿って移動させ前記フィルターの表面への微粒子堆積を防ぐ駆動部とを有し、前記スラリータンクから供給された前記微粒子スラリーまたは前記初期濃縮スラリーまたは前記洗浄スラリーを前記スラリー室へ供給することでろ過を行うことを特徴とする微粒子粉末の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記微粒子粉末は二次電池用正極材料前駆体であって、前記微粒子スラリー製造工程においては、第1原料である遷移金属元素を含む溶液を、第2原料であるアルカリ溶液と反応させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする微粒子を得ることを特徴とする請求項1記載の微粒子粉末の製造方法。
【請求項3】
前記初期濃縮工程は前記微粒子スラリー製造工程より得られた微粒子スラリーを前記攪拌式クロスフローろ過装置によりろ過し、固形分濃度が35~65wt%となるまで濃縮して前記初期濃縮スラリーを得ることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子粉末の製造方法。
【請求項4】
前記最終濃縮工程は、前記洗浄スラリーを前記攪拌式クロスフローろ過装置により固形分濃度が50~65wt%となるまで濃縮して前記最終濃縮スラリーを得ることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子粉末の製造方法。
【請求項5】
前記微粒子スラリー製造工程は、前記反応処理器内の前記母液および前記原料を含む反応液を一旦外部に流出させ、流出させた前記反応液を前記反応処理器内に返送することにより前記反応液の循環系を形成し、前記反応液の流入力により前記反応処理器内に旋回流を生成させ、前記反応液の循環系から、前記原料の反応により晶析した微粒子を含む前記微粒子スラリーを製造することを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子粉末の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程は、前記最終濃縮工程が完了した最終濃縮スラリーを撹拌伝熱装置により乾燥させる工程であり、前記撹拌伝熱装置は、一端に流入口が形成され他端に流出孔が形成されたケーシングと、前記ケーシンング内に軸線回りに回転可能かつ前記軸線を互いに平行にして配置された複数の回転軸と、前記回転軸のそれぞれに軸方向に間隔をあけて、かつ各前記回転軸の撹拌翼が前記軸線方向に見て一部重なりあうように固定された撹拌翼と、これら前記撹拌翼を加熱する加熱機構を有し、前記回転軸を回転させることにより、加熱された前記撹拌翼が前記流入口から供給された前記最終濃縮スラリーと前記ケーシング内に保持されている湿粉体を混合しつつ前記流出孔へ移送し、その間に前記最終濃縮スラリーと前記湿粉体との混合物を伝導伝熱により乾燥して、微粒子粉末へ転換することを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子粉末の製造方法。
【請求項7】
反応処理器内で旋回流を生じさせた母液中で複数の原料を反応させて粒径7μm以下の微粒子を含む微粒子スラリーを製造する微粒子スラリー製造装置と、
スラリータンクと攪拌式クロスフローろ過装置とが循環経路上に配置されてなるろ過設備と、
前記スラリータンク内に洗浄液を供給するための洗浄液供給装置と、
(a)前記ろ過設備で前記微粒子スラリーを循環させながら初期濃縮を行い、初期濃縮スラリーを得るための初期濃縮工程、(b)前記スラリータンク内で前記初期濃縮スラリーに前記洗浄液供給装置から洗浄液を供給しながら前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過することにより洗浄スラリーを得る希釈洗浄工程、および(c)前記洗浄スラリーを前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過して最終濃縮を行い、最終濃縮スラリーを得る最終濃縮工程、を切り替えるための切替装置と、
前記最終濃縮スラリーを加熱された撹拌翼で攪拌しつつ移送して伝導伝熱により乾燥させ、微粒子粉末を得る乾燥装置とを具備し、
前記攪拌式クロスフローろ過装置は、フィルターで隔てられたスラリー室およびろ液室と、前記スラリー室内に前記フィルターに沿って配置された攪拌体と、前記攪拌体を前記フィルターに沿って移動させ前記フィルターの表面への微粒子堆積を防ぐ駆動部とを有し、前記スラリータンクから供給された前記微粒子スラリーまたは前記初期濃縮スラリーまたは前記洗浄スラリーを前記スラリー室へ供給することでろ過を行うことを特徴とする微粒子粉末の製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子粉末の製造方法および製造装置に関し、例えば二次電池正極活物質前駆体などの製造に適した方法と装置に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
微粒子粉末の製造、例えば、二次電池正極活物質前駆体などの製造においては、近年、最終製品の性能を向上するためにできるだけ微粒子の粒径を小さくすることが望まれており、遷移金属元素を含む溶液をアルカリ溶液と接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物成分を含む原液スラリーを得る工程と、前記スラリー中の沈殿物成分の洗浄・濃縮を行って洗浄・濃縮スラリーを得る工程と、前記洗浄・濃縮スラリーを乾燥して微粒子粉末を得る工程とを有する製造方法が一般に用いられる。
【0003】
しかし、この種の微粒子粉末の製造方法では、原液スラリーの製造工程の条件を調整して微粒子を得た場合には、ろ過・洗浄工程においてフィルターでのろ過時に形成されるケーキ層のろ過抵抗が非常に大きくなるため、一般に使用されるフィルタープレス(加圧ろ過)などのケーキろ過方式の適用は困難であった。
【0004】
また、フィルタープレス方式では、濾室全体を均一なケーキ厚みとすることが難しく、厚さが不均一なケーキ層に洗浄水を透過して洗浄を行う置換洗浄方式を採用しようとすると、洗浄水はケーキ厚の薄い箇所に集中して透過しやすい一方、ケーキが厚い箇所は洗浄水が透過しにくいため、洗浄の度合いにむらがでることが避けられず、ケーキ層の全体を均一に洗浄することが難しかった。
【0005】
そこで、特許文献1または特許文献2に開示された方法が提案されている。特許文献1、2の方法では、遷移金属元素を含む溶液をアルカリ溶液と接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物成分を含む原液スラリーを得た後に、クロスフローろ過によって前記スラリー中の沈殿物成分の濃縮を行ない、得られた濃縮スラリーに熱風を吹き付ける対流伝熱による熱風乾燥法で乾燥する工程とを有する。
【0006】
前記クロスフローろ過は、フィルターの内壁に対して平行に原液スラリーを流しながらろ過を行う方法である。フィルター内壁に平行して流れるスラリーの剪断力により、フィルター表面に固形分がケーク層として堆積することを抑制し、これにより、原液スラリーが微粒子を含む場合においても比較的早いろ過速度を維持できる利点がある。クロスフローろ過方式には、中空糸膜、チュ-ブラー膜、スパイラル膜などのカートリッジ式膜モジュールの利用が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2012-87039号公報
特開2012-99470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2の方法において7μm以下の微粒子を製造する際は、精密ろ過膜(MF膜)、限界ろ過膜(UF膜)などといった目の細かい膜ろ過方式が必要となる。しかし、中空糸膜、チューブラー膜、スパイラル膜モジュールなどを用いるカートリッジ式のクロスフローろ過方式は、モジュール内部においてスラリーが流通する流路が狭いため、濃縮過程においてスラリー濃度を高くすることができない。
また、仮に7μm以下の微粒子を製造できたとしても、流路の閉塞が起こらないような薄いスラリー濃度でクロスフローろ過による洗浄濃縮工程を行い、次いで熱風を吹き付ける対流伝熱による熱風乾燥法で乾燥する工程を行うことになる。その結果、洗浄工程における洗浄液量が増加し、かつ乾燥工程におけるエネルギーコストがかかり、生産効率を向上しにくいという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、原液スラリーの製造工程において7μm以下の微粒子粉末を製造でき、エネルギーコストを抑え、かつ生産効率が高められる微粒子粉末の製造装置および製造方法を提供することを課題としている。
【0010】
本発明の態様1に係る微粒子粉末の製造方法は、反応処理器内で旋回流を生じさせた母液中で複数の原料を反応させて粒径7μm以下の微粒子を含む微粒子スラリーを製造する微粒子スラリー製造工程と、前記微粒子スラリーを、スラリータンクと攪拌式クロスフローろ過装置とが循環経路上に配置されてなるろ過設備に供給し、前記ろ過設備で前記微粒子スラリーを循環させながら初期濃縮を行い、初期濃縮スラリーを得る初期濃縮工程と、前記スラリータンク内で前記初期濃縮スラリーに洗浄液を供給しながら前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過することにより洗浄スラリーを得る希釈洗浄工程と、前記洗浄スラリーを前記攪拌式クロスフローろ過装置でろ過して最終濃縮を行い、最終濃縮スラリーを得る最終濃縮工程と、前記最終濃縮スラリーを乾燥装置に供給し、前記最終濃縮スラリーを、加熱された撹拌翼で攪拌しつつ移送して伝導伝熱により乾燥させ、微粒子粉末を得る乾燥工程とを具備し、前記攪拌式クロスフローろ過装置は、フィルターで隔てられたスラリー室およびろ液室と、前記スラリー室内に前記フィルターに沿って配置された攪拌体と、前記攪拌体を前記フィルターに沿って移動させ前記フィルターの表面への微粒子堆積を防ぐ駆動部とを有し、前記スラリータンクから供給された前記微粒子スラリーまたは前記初期濃縮スラリーまたは前記洗浄スラリーを前記スラリー室へ供給することでろ過を行うことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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