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公開番号2025031576
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2024122642
出願日2024-07-29
発明の名称鋼板およびその製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250228BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】液化ガス輸送船のタンク、または液化ガス貯蔵に供するため、耐アンモニア応力腐食割れ性を確保するだけでなく、別途の矯正加工の工程を経ることなく使用することができ、低温靭性にも優れる鋼板を提供する。
【解決手段】所定の成分組成を有し、鋼板の表面から0.5mm位置においてベイナイトの体積率を20%以下とし、さらに、板厚1/4の位置において、フェライトの体積率を50%以上90%以下とし、かつ、円相当径:2μm以上のフェライトの総数における、円相当径:10μm未満のフェライトの個数割合を80%以上95%以下とし、円相当径:10~20μmのフェライトの個数割合を4%以上20%以下とし、円相当径:20μmを超えるフェライトの個数割合を1%以下とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.06%以上0.13%以下、
Si:0.10%以上0.30%以下、
Mn:0.50%以上2.00%以下、
P:0.030%以下、
S:0.0030%以下、
Al:0.010%以上0.060%以下、
Nb:0.005%以上0.030%以下、
Ti:0.004%以上0.030%以下、
Ca:0.0005%以上0.0030%以下、
N:0.0010%以上0.0070%以下および
O:0.0040%以下を含み、
以下の式(1)で示される炭素当量(Ceq)が0.31以上0.40以下であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
鋼板の表面から0.5mm位置におけるベイナイトの体積率が20%以下で、
さらに、板厚1/4の位置において、
フェライトの体積率が50%以上90%以下であって、
かつ、円相当径:2μm以上のフェライトの総数における、
円相当径:10μm未満のフェライトの個数割合が80%以上95%以下であり、
円相当径:10~20μmのフェライトの個数割合が4%以上20%以下であり、
円相当径:20μmを超えるフェライトの個数割合が1%以下である
鋼板。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(V+Mo+Cr)/5 (1)
ここで、上記式(1)中の元素記号は各成分の鋼中含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記の成分組成に加え、質量%で、
Cu:2.00%以下、
Ni:2.00%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
V:1.00%以下、
W:1.00%以下および
Co:1.00%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する、請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
鋼板表面に圧延方向に沿って2mの長尺を当てた際の、前記鋼板表面と前記長尺との隙間の最大値が14mm以下である請求項1または2に記載の鋼板。
【請求項4】
質量%で、
C:0.06%以上0.13%以下、
Si:0.10%以上0.30%以下、
Mn:0.50%以上2.00%以下、
P:0.030%以下、
S:0.0030%以下、
Al:0.010%以上0.060%以下、
Nb:0.005%以上0.030%以下、
Ti:0.004%以上0.030%以下、
Ca:0.0005%以上0.0030%以下、
N:0.0010%以上0.0070%以下および
O:0.0040%以下を含み、
以下の式(1)で示される炭素当量(Ceq)が0.31以上0.40以下であって、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を、
熱間圧延するにあたり、
950℃以上1250℃以下の温度に加熱した後、
熱間圧延開始温度をAr

変態点+150℃以上とし、
未再結晶温度領域における累計圧下率を25%以上75%以下とし、
該未再結晶温度領域の圧延における鋼板幅方向の最高温度と最低温度の差を50℃以下とし、
熱間圧延終了温度(FT)が以下の式(2)の関係を満足して熱間圧延を行うと共に、
かかる熱間圧延の終了後、鋼板の表面から0.5mm位置における冷却速度を5.0℃/s以下として室温まで冷却する
鋼板の製造方法。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(V+Mo+Cr)/5 (1)
ここで、式(1)中の元素記号は各成分の鋼中含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
Ar

+1250×Ceq-450<FT (2)
ここで、FTは熱間圧延終了温度(℃)、Ar

は冷却過程におけるAr

変態点の温度(℃)を表す。
【請求項5】
前記の成分組成に加え、質量%で、
Cu:2.00%以下、
Ni:2.00%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
V:1.00%以下、
W:1.00%以下および
Co:1.00%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項4に記載の鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油ガス(以下、LPGと記載)や液化アンモニアを積載するタンクに使用される低温靭性およびアンモニア応力腐食割れ抵抗に優れた鋼板と、その製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現に向けて、燃焼時に二酸化炭素が排出されないアンモニアが新たなエネルギー源として注目されている。また、水素も燃焼時に二酸化炭素を排出しないため、クリーンエネルギーの候補とされており、アンモニアはかかる水素を安定的に輸送する形態としても有望視されている。
ここで、液化アンモニアの国際的な輸送は、船舶が主になると想定される。また、中期的には、化石燃料もエネルギー源としての需要があることから、例えばLPG、液化ブタン、ジメチルエーテル、ブテンなどと液化アンモニアとの積み荷の切替えや混載輸送が行われると考えられる。
【0003】
LPGおよびアンモニアは、低温下で液化ガスとしてタンクに積載されることから、タンクに用いられる母材に対し優れた低温靭性が要求される。加えて、液化アンモニアは鉄鋼材料の応力腐食割れを引き起こすことが知られている。
よって、タンクの安全性を担保する観点から、タンクには液化アンモニアによる応力腐食割れを防止する措置を講じる必要がある。この液化アンモニアによる応力腐食割れを防止するため、液化ガスを輸送する船舶および設備に関する国際規定のIGCコード(International Code for the Construction and Equipment of Ships Carrying Liquefied Gases in Bulk )では、タンク用の炭素マンガン鋼の降伏点(以下、YSと記載)を440MPa以下としたり、タンク製造工程において溶接残留応力除去処理を行うなどの対策が規定されている。
【0004】
また、輸送効率の向上のためタンクの大型化が図られており、適用される鋼材には、高い引張強度(以下、TSと記載)が要望されている。
具体的には、LPGや、液化アンモニアタンク用の鋼材として、延性―脆性破面遷移温度vTrsが-55℃以下の靭性を有し、YSが325~440MPa、TSが440~560MPaの範囲の機械特性が求められる。さらには、靭性が同等で、YSが355~440MPa、TSが490~610MPaの鋼材の要望も聞かれる。
【0005】
かような、液化ガス用タンクに必要な低温靱性を有し、YSの制約および高TS化の要望を満たすための技術が、特許文献1~3に記載されている。
すなわち、特許文献1に開示された技術では、熱間圧延及び加速冷却によりフェライトの形態を制御し母材の降伏比抑制を図っている。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術では、熱間圧延及び複数回の加速冷却によってフェライトの結晶粒径分布を制御することで母材の低降伏比化を実現している。
【0007】
加えて、特許文献3には、熱間圧延及び加速冷却により硬質相を分布させ、フェライトとの硬度差を生み出すことで降伏比を低下する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2006-89830号公報
特開2019-214752号公報
特開2010-90406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記した特許文献1および特許文献2に記載された手法では、熱間圧延後に加速冷却が必要となる。特に板厚が15mm以下の場合、加速冷却による熱変形が生じて鋼板の平坦度が悪化する問題がある。
【0010】
さらに、特許文献3に開示された技術では、空冷による低降伏比鋼材の製造が可能であるが、硬い硬質相の存在による靭性低下が懸念され、加えてCu、Ni、Cr、Moの内2種以上の添加が必要であり、製造コストに改善の余地が存在する。
(【0011】以降は省略されています)

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