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公開番号2025019920
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-07
出願番号2023123825
出願日2023-07-28
発明の名称トンネル切羽前方の地山評価方法、トンネル切羽前方の地山評価システム及び削孔データ処理プログラム
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E21D 9/00 20060101AFI20250131BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】適切な地山評価を行うことができ、複数メーカの削岩機による地山評価を同一の評価指標を用いて比較する。
【解決手段】トンネル切羽前方の地山評価方法は、削岩機1の削孔データのうち、予め設定したデータ抽出基準を満たす有効データを抽出する有効データ抽出工程と、有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定工程と、を含む。削岩機1が複数ある場合には、複数の削岩機1からそれぞれ取得した削孔データを共通化する共通化工程を含む。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
トンネル切羽前方の地山評価方法であって、
削岩機の削孔データのうち、予め設定したデータ抽出基準を満たす有効データを抽出する有効データ抽出工程と、
前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定工程と、
を含むトンネル切羽前方の地山評価方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記削岩機が複数である場合に、複数の前記削岩機からそれぞれ取得した前記削孔データを共通化する共通化工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル切羽前方の地山評価方法。
【請求項3】
前記岩盤強度推定工程は、試験体を用いて予め決定した削孔速度と圧縮強さとの関係に基づいて、前記削岩機における削孔速度からトンネル切羽前方の岩盤強度を推定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル切羽前方の地山評価方法。
【請求項4】
前記削孔データは、少なくとも削孔速度、打撃圧、フィード圧及び回転圧に関するデータであり、
前記有効データ抽出工程では、削岩機により削孔された削孔長のうち、前記削孔データを抽出しない抽出除外区間を設定し、
前記抽出除外区間は、
本削孔が行われる前段階の区間となる本削孔前の区間と、
本削孔が行われる区間において、前記削孔データが予め設定したデータ抽出基準を満たさない区間となる削孔制御区間と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル切羽前方の地山評価方法。
【請求項5】
前記削孔制御区間は、前記削孔データのフィード圧が予め設定したデータ抽出基準を満たさない区間であることを特徴とする請求項4に記載のトンネル切羽前方の地山評価方法。
【請求項6】
前記岩盤強度推定工程は、前記削孔データの回転圧が予め設定した閾値を超えた場合に、当該閾値を超えた部分を含むように所定の区間を設定し、当該所定の区間を岩盤強度が低い軟質の岩盤であると推定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のトンネル切羽前方の地山評価方法。
【請求項7】
削岩機と、
前記削岩機から取得した削孔データを処理する管理端末装置と、
を備えたトンネル切羽前方の地山評価システムであって、
前記管理端末装置は、
前記削岩機から取得した削孔データを読み込む読込手段と、
前記削孔データから有効データを抽出する有効データ抽出手段と、
前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定手段と、
を備えたトンネル切羽前方の地山評価システム。
【請求項8】
前記管理端末装置は、前記削岩機が複数ある場合に、複数の前記削岩機からそれぞれ取得した前記削孔データを共通形式に変換する変換手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載のトンネル切羽前方の地山評価システム。
【請求項9】
前記管理端末装置は、前記岩盤強度を空間補間する可視化手段を備えていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のトンネル切羽前方の地山評価システム。
【請求項10】
削岩機から取得した削孔データを処理するための削孔データ処理プログラムであって、
コンピュータに、
削岩機から取得した削孔データを読み込む読込み処理と、
前記削孔データを共通形式へ変換する変換処理と、
前記削孔データから有効データを抽出する有効データ抽出処理と、
前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定処理と、
を実行させる削孔データ処理プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル切羽前方の地山評価方法、トンネル切羽前方の地山評価システム及び削孔データ処理プログラムに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事では、発破掘削時にドリルジャンボと呼ばれる削岩機が用いられている。近年、自動または手動で削孔位置を決め、削孔速度やドリル回転圧力を自動制御して削孔可能なコンピュータ化したドリルジャンボ、通称コンピュータジャンボが用いられるようになってきている。このような削岩機の普及により、削孔時に得られる削孔速度や回転ドリルの圧力等の機械データ、さらには機械データから算出される切羽評価指標を用いて、切羽及びその周辺地山を評価するシステムの開発が進められている。
従来、削孔データを用いた地山評価に関する技術として、例えば特許文献1~4に開示されたものが知られている。特許文献1~3には、削岩機で得られた削孔データから掘削体積比エネルギあるいは破壊エネルギ係数と呼ばれる切羽評価指標を算出して用いる切羽評価手法について記載されている。
特許文献4には、削岩機の削孔データから正規化削孔速度比と呼ばれる切羽評価指標を算出して用いる切羽評価手法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5867957号公報
特許第4421146号公報
特開2022-61417号公報
特開2022-174364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~4の切羽評価手法は、削岩機の削孔データから切羽評価指標としての掘削体積比エネルギ、破壊エネルギ係数、正規化削孔速度比を算出して求めることができる。しかしながら、特許文献1~4の切羽評価手法では、トンネル切羽前方の強度物性を求めることができず、地山評価を適切に行うことができなかった。そのため、これらの切羽評価指標と強度物性との関係を別途把握して地山評価を行う必要があるという課題があった。
また、削岩機の削孔データから求められる切羽評価指標は、削岩機のメーカ毎に異なるものであった。そのため、異なるメーカの削岩機による削孔を行った場合に、両者を同一の切羽評価指標を用いて比較すること、例えば支保設計や発破薬量の算出に活用することが難しかった。つまり、削岩機のメーカ共通で、かつ強度物性と関連付けられた定量的な切羽評価指標が必要であった。
本発明は、前記した課題を解決し、適切な地山評価を行うことができ、複数メーカの削岩機による地山評価を同一の評価指標を用いて比較できるトンネル切羽前方の地山評価方法、トンネル切羽前方の地山評価システム及び削孔データ処理プログラムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のトンネル切羽前方の地山評価方法は、トンネル切羽前方の地山評価方法であって、削岩機の削孔データのうち、予め設定したデータ抽出基準を満たす有効データを抽出する有効データ抽出工程と、前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定工程と、を含むことを特徴とする。
本発明では、削岩機から取得した削孔データのうち、岩盤強度の把握に有効な有効データを抽出して地山評価を行うことができるので、最適な発破設計によるコスト低減を図ることができる。
また、複数の削岩機、例えばメーカ毎に仕様の異なる削岩機の制御特性を考慮して岩盤強度の把握に有効なデータを抽出することにより、評価結果の精度向上を図ることができる。
前記トンネル切羽前方の地山評価方法は、前記削岩機が複数である場合に、複数の前記削岩機からそれぞれ取得した前記削孔データを共通化する共通化工程を含むことが好ましい。
この構成では、複数の削岩機におけるトンネル切羽前方の地山評価を、同一の評価指標を用いて比較できるので、評価結果の精度向上を図ることができる。また、例えば削岩機の削孔データがメーカ毎に異なる形式で複数のファイルに保存されるものであっても、共通化により削孔データを一元管理することができる。
前記岩盤強度推定工程では、試験体を用いて予め決定した削孔速度と圧縮強さとの関係に基づいて、前記削岩機における削孔速度からトンネル切羽前方の岩盤強度を推定することが好ましい。
この構成では、試験体を用いて予め決定した関係を基準として岩盤強度を推定できるので、削岩機の評価結果の精度向上を図ることができる。また、複数の削岩機におけるトンネル切羽前方の地山評価についても同様に、評価結果の精度向上を図ることができる。
【0006】
前記削孔データは、少なくとも削孔速度、打撃圧、フィード圧及び回転圧に関するデータである。前記有効データ抽出工程では、削岩機により削孔された削孔長のうち、前記削孔データを抽出しない抽出除外区間を設定することが好ましい。前記抽出除外区間は、本削孔が行われる前段階の区間となる本削孔前の区間と、本削孔が行われる区間において、前記削孔データが予め設定したデータ抽出基準を満たさない区間となる削孔制御区間と、を含むことが好ましい。
この構成では、地山性状の評価に適した区間の削孔データを抽出して地山評価を行うことができるので、最適な発破設計によるコスト低減を図ることができる。また、評価結果の精度向上を図ることができる。
前記削孔制御区間は、前記削孔データのフィード圧が予め設定したデータ抽出基準を満たさない区間であることが好ましい。
削孔データのフィード圧が予め設定したデータ抽出基準を満たさない区間は、岩盤強度の把握に適さない可能性が高い区間であるから、この区間を除外することにより評価結果の精度向上を図ることができる。
前記岩盤強度推定工程では、前記削孔データの回転圧が予め設定した閾値を超えた場合に、当該閾値を超えた部分を含むように所定の区間を設定し、当該所定の区間を岩盤強度が低い軟質の岩盤であると推定することが好ましい。
この構成では、削孔データの回転圧により軟質の岩盤であることを容易に推定することができ、評価結果の精度向上を図ることができる。
【0007】
前記課題を解決するための本発明のトンネル切羽前方の地山評価システムは、削岩機と、前記削岩機から取得した削孔データを処理する管理端末装置と、を備えている。前記管理端末装置は、前記削岩機から取得した削孔データを読み込む読込手段と、前記削孔データから有効データを抽出する有効データ抽出手段と、前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定手段と、を備えている。
本発明では、削岩機から取得した削孔データのうち、岩盤強度の把握に有効な有効データを抽出して地山評価を行うことができるので、最適な発破設計によるコスト低減を図ることができる。
また、複数の削岩機、例えばメーカ毎に仕様の異なる削岩機の制御特性を考慮して岩盤強度の把握に有効なデータを抽出することにより、評価結果の精度向上を図ることができる。
前記管理端末装置は、前記削岩機が複数ある場合に、複数の前記削岩機からそれぞれ取得した前記削孔データを共通形式に変換する変換手段を備えていることが好ましい。
この構成では、複数の削岩機におけるトンネル切羽前方の地山評価を、同一の評価指標を用いて比較できるので、評価結果の精度向上を図ることができる。また、例えば削岩機の削孔データがメーカ毎に異なる形式で複数のファイルに保存されるものであっても、共通化により削孔データを一元管理することができる。
前記管理端末装置は、前記岩盤強度を空間補間する可視化手段を備えていることが好ましい。
この構成では、空間補間された岩盤強度に基づいてトンネル切羽前方の地山評価を行うことができるので、評価結果の精度向上を図ることができる。
【0008】
前記課題を解決するための本発明の削孔データの処理プログラムは、削岩機から取得した削孔データを処理するためのものであり、コンピュータに、削岩機から取得した削孔データを読み込む処理と、前記削孔データを共通形式へ変換する変換処理と、前記削孔データから有効データを抽出する有効データ抽出処理と、前記有効データに基づいて岩盤強度を推定する岩盤強度推定処理と、を実行させる。
本発明では、削岩機から取得した削孔データのうち、岩盤強度の把握に有効な有効データを抽出して地山評価を行うことができるので、最適な発破設計によるコスト低減を図ることができる。
また、複数の削岩機、例えばメーカ毎に仕様の異なる削岩機の制御特性を考慮して岩盤強度の把握に有効なデータを抽出することにより、評価結果の精度向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトンネル切羽前方の地山評価方法、トンネル切羽前方の地山評価システム及び削孔データ処理プログラムによれば、適切な地山評価を行うことができ、複数メーカの削岩機による地山評価を同一の評価指標を用いて比較できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一実施形態に係るトンネル切羽前方の地山評価方法、トンネル切羽前方の地山評価システム及び削孔データ処理プログラムにおけるシステム構成例を示した概略図である。
削岩機による削孔の様子を示した説明図である。
削岩機のドリフタ及び削孔ロッドの動作イメージを示した説明図である。
削孔機のメーカ毎の削孔データに基づく共通形式化を示した説明図である。
削岩機の機械特性を考慮した有効データの抽出方法を説明するための説明図である。
削孔速度と圧縮強さとの関係を示したグラフである。
岩盤強度の分布を示した図であり、(a)は削孔箇所を示した説明図、(b)は削孔箇所に基づく削孔データから岩盤強度分布を示した説明図である。
削孔データの処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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