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公開番号2025017476
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-06
出願番号2023120523
出願日2023-07-25
発明の名称床構造
出願人大成建設株式会社,藤英工業株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E04F 15/08 20060101AFI20250130BHJP(建築物)
要約【課題】仕上げ材としてタイルや石材を用いた場合に、剛性を高めることでタイルや石材の割れを抑制し、遮音性能を高めることが可能な、床構造を提供する。
【解決手段】床構造1Aは、床スラブの上方に設けられた床下地合板34、35と、床下地合板34、35の上面に、ガラス繊維材、炭素繊維材、アラミド繊維材のいずれかの繊維補強材36fを敷設した状態で、その上からエポキシ樹脂系プライマー36bが塗布されて形成された床補強層36と、床補強層36の上に接着された、石材、またはタイルからなる床仕上げ材38と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
床スラブの上方に設けられた床下地合板と、
前記床下地合板の上面に、ガラス繊維材、炭素繊維材、アラミド繊維材のいずれかの繊維補強材を敷設した状態で、その上からエポキシ樹脂系プライマーが塗布されて形成された床補強層と、
前記床補強層の上に接着された、石材、またはタイルからなる床仕上げ材と、
を備えることを特徴とする床構造。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
前記床補強層は、前記床下地合板同士の継ぎ目を跨いで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
前記床補強層の上面に、ポリマーセメントモルタル層が形成され、当該ポリマーセメントモルタル層により、前記床仕上げ材が前記床補強層に接着され、
前記床補強層は、前記エポキシ樹脂系プライマーの上面にまかれた珪砂を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の床構造。
【請求項4】
前記床スラブの上には支持脚が設けられ、前記床下地合板は前記支持脚により支持されることで、二重床が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の床構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブの上方に、床下地合板、及び床補強層を設けた後、その上に床仕上げ材が配置される床構造に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
建築物においては、床スラブ上に、床構造が構築されることがある。
例えば、特許文献1には、床スラブの上方に支持脚を介して敷設してあるフロア板が、床仕上げ材と、床仕上げ材の下面に対接するように設けられる下地板とからなり、下地板は、最下層に位置する下部剛性板と最上層に位置する上部剛性板との間に緩衝材をサンドイッチ状に挟み込んだ構成が記載されている。特許文献1において、床仕上げ材は、例えば合板である。
【0003】
このような床構造の、床の表面を形成する仕上げ材として、タイルや石材を用いることがある。これに関し、特許文献2には、床材を、基材となるパーティクルボードと最上部の石材との間に、2枚の捨張り合板を介挿させ、2枚の捨張り合板同士を目違い張りし、上部の捨張り合板と石材も目違い張りすることにより、床材の剛性を高める構成が記載されている。このような構成において、仕上げ材としての石材は、上部の捨張り合板に接着されている。
また、特許文献3には、ベースパネル、捨貼材、遮音シート、捨貼材、床石材の各積層材が下から順に積層される床パネルが記載されている。この構成において、ベースパネルと、ベースパネルの上に載る合板からなる捨貼材、捨貼材と遮音シート、遮音シートと捨貼材は、それぞれ接着剤によって固着されている。捨貼材の上に接着剤の層が形成され、この接着剤の層の上に、仕上げ材としての床石材が貼りこまれている。床パネルの各積層材を固着するのに用いる接着剤はエポキシ系の接着剤とされている。
【0004】
特許文献2、3においては、仕上げ材としての石材は、合板に接着されている。このように、タイルや石材などを仕上げ材として、木材により形成された合板に張る場合においては、合板はコンクリートよりも面外方向への剛性が低いため、仕上げ材をコンクリートに張る場合に比べると、上方から作用する荷重に対する仕上げ材の負担分が大きくなる。その結果、仕上げ材が荷重に抗することができず、割れてしまうことがある。
また、特許文献2、3の構成においては、床面に物が落下したときに生じ得る衝撃音は、タイルや石材から直接合板へと伝達するため、下階に音が伝達してしまうこともある。
仕上げ材としてタイルや石材を用いた場合に、剛性を高めることでタイルや石材の割れを抑制し、遮音性能を高めることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-159208号公報
特開2004-232314号公報
特開2003-97026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、仕上げ材としてタイルや石材を用いた場合に、剛性を高めることでタイルや石材の割れを抑制し、遮音性能を高めることが可能な、床構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、石材、またはタイルからなる床仕上げ材を備える床構造として、床下地合板の上方に、ガラス繊維材、炭素繊維材、アラミド繊維材のいずれの繊維補強材を敷設した状態で、その上部にエポキシ樹脂系プライマーが塗布された床補強層を設け、その床補強層上に石、またはタイルからなる床仕上げ材を設けることで、仕上げ材と床下地合板を含む床構造の面外剛性が増大されるために、床仕上げ材の割れを抑制可能である点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の床構造は、床スラブの上方に設けられた床下地合板と、前記床下地合板の上面に、ガラス繊維材、炭素繊維材、アラミド繊維材のいずれかの繊維補強材を敷設した状態で、その上からエポキシ樹脂系プライマーが塗布されて形成された床補強層と、前記床補強層の上に接着された、石材、またはタイルからなる床仕上げ材と、を備えることを特徴とする。ここでいう、エポキシ樹脂系プライマーとは、下塗り、中塗り、上塗りの3工程で行われる塗装において、下塗り工程で使用される下塗り塗料(プライマー)の中で、主成分にエポキシ樹脂や防錆顔料が用いられた下塗り塗料のことである。
上記のような構成によれば、床下地合板の上面に、ガラス繊維材、炭素繊維材、アラミド繊維材のいずれかの繊維補強材を敷設した状態で、その上からエポキシ樹脂系プライマーが塗布されて、床補強層が形成され、このような床補強層の上に、石材またはタイルからなる床仕上げ材が接着されている。このように、床仕上げ材と床下地合板との間に、繊維補強材を備える床補強層を設けることで、床仕上げ材と床下地合板を含む床構造全体の、面外方向の剛性が増大し、床仕上げ材が割れることを抑制できる。
また、床面に物が落下したときに生じ得る衝撃音は、タイルや石材から、繊維補強材を備えて構成された床補強層を介して、床下地合板へと伝達する。音は、繊維補強材を通過する際に低減するため、遮音性能を高めることができる。
このようにして、仕上げ材としてタイルや石材を用いた場合に、剛性を高めることでタイルや石材の割れを抑制し、遮音性能を高めることが可能な、床構造を提供することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記床補強層は、前記床下地合板同士の継ぎ目を跨いで形成されている。
捨張材として合板を使用する場合においては、複数の合板を隣接させるようにして、合板を敷き詰める必要がある。ここで、合板同士の継ぎ目においては、継ぎ目ではない部分と比較すると、床構造全体としての断面係数及び面外方向への剛性が低減し、上方から作用する荷重に対する仕上げ材の負担分が大きくなる可能性がある。その結果、仕上げ材が荷重に抗することができず、合板同士の継ぎ目において、仕上げ材が割れてしまうことがある。
これに対し、上記のような構成によれば、床補強層は、床下地合板同士の継ぎ目を跨いで形成されているため、床下地合板の間の継ぎ目における断面係数及び面外方向への剛性の低減が抑制される。したがって、上方から荷重が作用した場合における、仕上げ材の負担分は、床補強層を設けない場合に比べると低減し、仕上げ材が割れることが抑制される。
また、床下地合板の間が床仕上げ材によって上から覆われているので、床下地合板の間を貫通して、音が上方から下方へと通過することを抑制できる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記床補強層の上面に、ポリマーセメントモルタル層が形成され、当該ポリマーセメントモルタル層により、前記床仕上げ材が前記床補強層に接着され、前記床補強層は、前記エポキシ樹脂系プライマーの上面にまかれた珪砂を更に備えている。
このような構成によれば、ポリマーセメントモルタル層により、床仕上げ材が床補強層に接着されている。ポリマーセメントモルタルは、例えばエポキシ樹脂接着剤等を使用する場合に比べると、施工性に優れ、かつコストを低減することができる。
また、湿式のポリマーセメントモルタル層により、床仕上げ材の全面を床補強層に接着することが容易にできるため、床構造の剛性を更に高めることができる。
また、ポリマーセメントモルタル層は一定の重量を有するため、衝撃音の吸収に寄与し、遮音性能を更に高めることができる。
更に、床補強層のエポキシ樹脂系プライマーの上面にまかれた珪砂により、床仕上げ材を床補強層に接着するために設けられるポリマーセメントモルタル層と、床補強層との間の、接合強度を高めることができる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記床スラブの上には支持脚が設けられ、前記床下地合板は前記支持脚により支持されることで、二重床が形成されている。
二重床においては、床下地合板が支持脚により部分的に支持される構成となるため、例えば床構造を直床として設けた場合に比べると、床構造の面外方向への剛性が低くなり、上方から作用する荷重に対する仕上げ材の負担分が大きくなる可能性がある。その結果、仕上げ材が荷重に抗することができず、割れてしまうことがある。
これに対し、上記のような構成によれば、このような二重床とした場合においても、床補強層により床構造全体の面外方向への剛性が高まるため、床仕上げ材が割れることを抑制できる。
また、二重床においては、床下地合板と床スラブの間に空間ができるので、床下地合板から床スラブへと音が直接伝達するのが抑制され、遮音性能を更に高めることができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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