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公開番号2025018716
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-06
出願番号2023122691
出願日2023-07-27
発明の名称燃料ガス生成装置および燃料ガス生成方法
出願人カナデビア株式会社,国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類C10J 3/56 20060101AFI20250130BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】ガス分散ノズルの閉塞に起因して正常な運転が妨げられる可能性を低減できる燃料ガス生成装置を提供する。
【解決手段】原料を熱分解するガス化炉(1-b)と、前記ガス化炉(1-b)で生じる熱分解ガスを改質して燃料ガスを生成する改質炉(1-a)と、前記ガス化炉(1-b)から移送される熱分解残渣を燃焼させる燃焼炉(1-c)と、を備え、前記改質炉(1-a)は、前記ガス化炉(1-b)の上方に設置されており、前記改質炉(1-a)と前記ガス化炉(1-b)との間に、前記熱分解ガスを前記改質炉(1-a)へ移送するためのガス分散ノズル(1-h)が設けられており、前記ガス化炉(1-b)は、その内部に流動砂層(1-e)を備え、かつ、前記原料を前記流動砂層(1-e)の内部に供給する原料供給口(1-d)を備える、燃料ガス生成装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原料を熱分解するガス化炉と、
前記ガス化炉で生じる熱分解ガスを改質して燃料ガスを生成する改質炉と、
前記ガス化炉から移送される熱分解残渣を燃焼させる燃焼炉と、を備える燃料ガス生成装置であって、
前記改質炉は、前記ガス化炉の上方に設置されており、
前記改質炉と前記ガス化炉との間に、前記熱分解ガスを前記改質炉へ移送するためのガス分散ノズルが設けられており、
前記ガス化炉は、その内部に流動砂層を備え、かつ、前記原料を前記流動砂層の内部に供給する原料供給口を備える、燃料ガス生成装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記ガス化炉から前記熱分解残渣を前記燃焼炉に排出するチャー排出口の、前記ガス化炉の底面からの高さを100%としたときに、前記原料供給口は、前記チャー排出口から前記ガス化炉の底面方向に30%以上70%以下の位置に設けられている、請求項1に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項3】
前記原料供給口に、前記原料を移送するための原料挿入管が連結されており、
前記原料挿入管が、水平方向に対して、30°以上60°以下の角度で前記ガス化炉に対して設置されている、請求項1に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項4】
前記流動砂層の内部に供給される前記原料に対してキャリアガスを供給するキャリアガス供給部を備える、請求項1に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項5】
前記流動砂層が、橄欖石、アルミナ、および、焼成石灰からなる群から1種以上を含む、請求項1に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項6】
前記燃料ガスの一部を、前記キャリアガスの少なくとも一部として、前記キャリアガス供給部に供する、燃料ガス供給管を備える、請求項4に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項7】
前記燃料ガスに含まれるCOをCO

に転換して転換ガスを生成する転換部、
前記転換ガスから、H

と、CO

およびCH

を含むオフガスと、を分離して前記オフガスを得る、オフガス分離部、
前記オフガスの一部を、前記キャリアガスの少なくとも一部として、前記キャリアガス供給部に供する、オフガスのキャリアガス供給部への供給管、および、
前記オフガスの別の一部を、前記燃焼炉へ供給する、オフガスの燃焼炉への供給管、を備える請求項4に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項8】
前記燃焼炉から排出される燃焼排ガスからCO

を分離する、CO

分離部、および、
前記CO

分離部にて分離されたCO

を、前記キャリアガスの少なくとも一部として、前記キャリアガス供給部に供する、CO

供給管、を備える、請求項4に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項9】
前記ガス化炉へ供給される流動ガスに含まれる酸素濃度を調節する酸素濃度調節部を備える、請求項1に記載の燃料ガス生成装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の燃料ガス生成装置を使用して実施される燃料ガス生成方法であって、
前記原料供給口を介して、前記原料を前記流動砂層の内部に供給する、原料供給工程、
前記原料の熱分解を前記流動砂層の内部で進行させて熱分解ガスを得る、熱分解ガス生成工程、および、
前記熱分解ガス生成工程にて得られた前記熱分解ガスを前記改質炉に供給し、前記熱分解ガスを改質して燃料ガスを生成する、改質工程、を含む、燃料ガス生成方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料ガス生成装置および燃料ガス生成方法に関する。より詳細には、下水汚泥等の原料から燃料ガスを生成して、当該燃料ガスからエネルギー(例えば、電気)を回収するための燃料ガス生成装置、および当該燃料ガス生成装置を用いて実施される燃料ガス生成方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
現在、国内で発生する下水汚泥の処理方法としては、当該下水汚泥を脱水して得られる脱水汚泥を、焼却処理して焼却灰に変換し、当該焼却灰を埋立処分する方法が主流である。脱水汚泥の焼却処理を実施する装置としては、流動焼却炉を含む装置が一般的に採用されている。従来の脱水汚泥の焼却処理は、例えば、流動媒体として珪砂が使用され、かつ、流動床底部から燃焼用空気が流動ガスとして供給される流動焼却炉を用いて、含水率が70~80重量%である脱水汚泥を、800~850℃程度の条件下で焼却処理することにより実施される。
【0003】
近年は、温室効果ガス削減等の観点から、流動焼却炉における燃焼空気の供給方法が効率化されたプラント、および、焼却処理の対象となる脱水汚泥の含水率を低減することと、燃焼排ガスのボイラ熱を回収すること等との組み合せによって発電し、下水汚泥からエネルギーを回収するプラント等も実用化されている。
【0004】
下水汚泥等を燃焼させる方法および装置として種々の方法および装置が開発されている。例えば、特許文献4には、流動媒体を流動加熱する燃焼炉と、該燃焼炉で加熱した流動媒体を燃焼排ガスから分離して導入すると共に固体原料を導入し、分散板の下部から供給される水蒸気により流動層を形成して前記固体原料をガス化し、ガス化ガスを流動層上部のフリーボードから取り出す流動層ガス化炉とを有し、流動層ガス化炉内の未燃固形分を流動媒体と共に前記燃焼炉に戻して燃焼させるようにした2塔式ガス化炉の原料供給装置であって、流動層ガス化炉の流動層の内部に固体原料を供給する2軸スクリューフィーダーを備えたことを特徴とする2塔式ガス化炉の原料供給装置が開示されている。特許文献4に記載の2塔式ガス化炉は、下水汚泥および脱水汚泥に該当する含水廃棄物等の固体原料を燃焼させ、ガス化ガス(燃料ガス)を生成する設備である。また、前記固体原料として、特許文献4には、含水廃棄物以外に、石炭、バイオマスおよび廃プラスチックが挙げられている。
【0005】
また、前記固体原料として、屎尿処理装置等から排出された汚泥中に含まれる水分を油と置換し、発熱量の増大を図った高発熱量汚泥も知られている。前記高発熱量汚泥は、低水分かつ高発熱量である一方、繊維質等の微粉成分を含み得る。特許文献5には、流動砂層を内部に備える流動砂層型汚泥燃焼炉を用いて、高発熱量汚泥を燃焼させて燃料ガスを生成する際に、前記微粉成分に起因して燃焼効率が低下することを回避するための技術が開示されている。具体的には、特許文献5には、流動砂層型汚泥燃焼炉において、高発熱量汚泥における微粉成分を直接当該流動砂層内に供給すると共に、高発熱量汚泥における微粉成分以外の成分である塊状物を、当該流動砂層型汚泥燃焼炉上部から投下供給する技術が開示されている。
【0006】
特許文献6には、循環粒子とガス化剤の存在下で原料をガス化するガス化炉と、ガス化炉でのガス化時に生成したチャーを導入して燃焼することにより循環粒子を加熱する燃焼炉と、燃焼炉からの燃焼ガスを分離器に導いて排ガスと循環粒子とに分離し循環粒子を前記ガス化炉に戻すようにしているガス化方法であって、分離器で分離した循環粒子を移動させつつ原料を混合することにより原料を熱分解させて熱分解ガスを取り出し、かつ、熱分解残渣をガス化炉に供給して改質ガス化により改質ガス化ガスを生成することを特徴とするガス化方法およびガス化装置が開示されている。特許文献6に記載のガス化方法およびガス化装置は、原料として、バイオマス、石炭、廃棄物、石油残渣、重質油等の種々の有機物原料を使用するガス化方法およびガス化装置である。特許文献6に記載のガス化方法およびガス化装置においては、要するに、原料を熱分解して熱分解ガスを取り出した残渣を、ガス化炉にて改質ガス化して、改質ガス化ガス(燃料ガス)を生成している。
【0007】
非特許文献4には、バイオマスを原料として使用し、燃料反応器(Fuel Reactor)と空気反応器(Air Reactor)の2つの反応器からなり、燃料反応器内で、金属酸化物の存在下で、原料を酸化(燃焼)させると共に、金属酸化物を還元させ、金属を得、当該金属を空気反応器に導入して、当該空気反応器内にて当該金属を空気の存在下で酸化して金属酸化物を得、当該金属酸化物を当該燃料反応器に導入する、化学ルーピング法を用いて、当該原料から燃料ガスを生成する方法が開示されている。前記化学ルーピング法は、金属酸化物および金属を酸素キャリアとして、燃料反応器および空気反応器を循環させる方法である。
【0008】
さらに、近年は、脱水汚泥を乾燥して、含水率が20重量%程度の乾燥汚泥とし、前述の従来の下水汚泥等を燃焼させる方法および装置を用いて、当該乾燥汚泥を低酸素雰囲気下で熱分解ガス化して、CO、H

、CH

等の燃料ガス成分を製造し、当該燃料ガス成分をガスエンジンに供給して発電するシステムを備えるプラントも実用化している。また、前記システムを適用して、脱水汚泥の代わりに、バイオマス、石炭、廃棄物、石油残渣、重質油等の種々の有機物原料を原料として、燃料ガス成分を製造し、当該燃料ガス成分をガスエンジンに供給して発電するプラントも実用化している。
【0009】
しかしながら、前記システムでは、当該燃料ガス中に空気由来のN

分が存在する。また、前記システムでは、流動層ガス化炉、流動砂層型汚泥燃焼炉、ガス化炉および燃料反応器等の原料からガスを生成する炉の出口にて、冷却によって当該燃料ガスが凝縮してガスエンジンで悪影響を及ぼすタール分が生成され、そのために、当該タール分を1000℃程度の高温で燃焼させて分解する等の処理を行うことが必要となる。これらの理由から、前記システムは、前記燃料ガスの発熱量が4MJ/m

程度と低く、エネルギー回収率も低いことから、当該システムには未だ技術改良の余地が残されている。
【0010】
前記技術の改良を目指した発明として、例えば、特許文献1には、バイオマスから高効率でエネルギーを回収する発明として、3塔式循環流動床炉を含む装置、および当該装置を用いるガス化方法が掲載されている。特許文献1に記載の装置は、ガス化炉、改質炉、燃焼炉およびライザーから構成されている。前記ガス化炉は、バイオマス原料を、ガス化して、「H

、CO、CO

およびCH

等からなる主成分とタールとを含有する燃料ガス」、並びに、「チャー(熱分解残渣)」に転換する炉である。前記改質炉は、燃料ガス中のタールを流動媒体が保有する改質機能によって改質し、当該燃料ガス中のタールをさらにH

、CO等に変換することによって、当該燃料ガスにおけるガス成分の生成量を増量する炉である。前記燃焼炉は、チャーを空気によって燃焼させて熱源とし、当該熱源によって流動媒体を加熱する炉である。特許文献1に記載の装置およびガス化方法では、燃料ガス中のH

の高濃度化とCO

分離回収とを主目的として、流動媒体としてCaOが使用されている。また、特許文献3には、特許文献1に記載されたような通常の3塔式循環流動床炉では、改質炉にて触媒として機能するCaOは、他の炉であるガス化炉および燃焼炉を循環することによる機能低下するとの課題を解決するために、CaOを循環させることなく、1つの塔内、すなわち改質炉内のみで、タールを効率的に改質することが可能なタール改質装置及びタール改質方法が開示されている。具体的には、特許文献3には、前記熱分解炉からの前記熱分解ガスが導入される改質炉本体と、前記熱分解ガスと接触していない酸化カルシウム粒子を貯蔵するCaO粒子貯蔵部と、該CaO粒子貯蔵部の前記酸化カルシウム粒子を前記改質炉本体内に導入する粒子導入部と、前記改質炉本体内に配置された前記酸化カルシウム粒子を含む流動層と、前記タールを含む前記熱分解ガスと水蒸気とを同時又は個別に前記流動層に導入するガス導入部と、を備え、800℃以上の前記熱分解ガスの温度及び/又は前記改質炉本体に設けられた加熱手段により直接、前記流動層の前記酸化カルシウムを850~950℃に加熱し、前記流動層において、前記酸化カルシウム粒子の触媒作用によって前記熱分解ガスに含まれる前記タールが850~950℃の温度で前記水蒸気により改質されることを特徴とするタール改質装置及びタール改質方法が開示されている。
(【0011】以降は省略されています)

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