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公開番号2025010867
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-23
出願番号2023113143
出願日2023-07-10
発明の名称対象化合物と強く結合する化合物の網羅的スクリーニング方法
出願人公立大学法人福島県立医科大学,株式会社メディクローム,福島セルファクトリー株式会社,福島プロテインファクトリー株式会社
代理人弁理士法人むつきパートナーズ,個人
主分類G01N 33/50 20060101AFI20250116BHJP(測定;試験)
要約【課題】 本発明は、タンパク質等を含む対象化合物と不可逆的に強く結合し得る化合物を網羅的にスクリーニングする技術の提供を課題とする。
【解決手段】 対象化合物と不可逆的に結合し得る候補化合物をスクリーニングする方法であって、(i)基板上に化合物を固定するための固定用タンパク質を介して、候補化合物を記基板上にタンパク質-化合物複合体として固定化する工程であって、固定用タンパク質が血中タンパク質またはその類似体である工程と、(ii)基板上に固定化した候補化合物に対して対象化合物を接触させる工程と、(iii)基板を洗浄する工程と、(iv)候補化合物に結合した対象化合物を検出する工程とを含む、スクリーニング方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
対象化合物と不可逆的に結合し得る候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(i)基板上に化合物を固定するための固定用タンパク質を介して、前記候補化合物を前記基板上にタンパク質-化合物複合体として固定化する工程であって、前記固定用タンパク質が血中タンパク質またはその類似体である工程と
(ii)前記基板上に固定化した候補化合物に対して前記対象化合物を接触させる工程と
(iii)前記基板を洗浄する工程と
(iv)前記候補化合物に結合した対象化合物を検出する工程と
を含む、スクリーニング方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、前記(iii)の洗浄工程が、
(iii’)前記基板を振盪洗浄する工程と
(iii’’)前記基板をリンスする工程と
を含む、スクリーニング方法。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリーニング方法であって、前記(iii’’)基板をリンスする工程の後に、
(iii’’’)前記基板を洗浄液中に静置する工程
を含む、スクリーニング方法。
【請求項4】
請求項2に記載のスクリーニング方法であって、
前記工程(iv)の前に、前記工程(iii’)および(iii’’)を少なくとも2回以上繰り返す、スクリーニング方法。
【請求項5】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記対象化合物がタンパク質またはその一部であり、
前記候補化合物が低分子化合物である、スクリーニング方法。
【請求項6】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記対象化合物が病原体由来のタンパク質またはその一部であり、
前記候補化合物が治療用または予防用薬剤の有効成分として既知の化合物である、スクリーニング方法。
【請求項7】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記血中タンパク質またはその類似体が、血清アルブミン、αグロブリン、トランスフェリン、リゾチーム、アポリポプロテイン、トランスサイレンチン、オボアルブミン、ラクトアルブミン、オボトランスフェリン、または、ラクトトランスフェリンである、スクリーニング方法。
【請求項8】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記タンパク質-化合物複合体が、前記固定用タンパク質と前記候補化合物とが直接結びついたものである、スクリーニング方法。
【請求項9】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記工程(ii)の前に、前記基板表面をブロッキング処理する工程をさらに含む、スクリーニング方法。
【請求項10】
請求項1に記載のスクリーニング方法であって、
前記固定化工程が、
(a)前記固定用タンパク質と前記化合物とを溶媒中で混合してタンパク質-化合物複合体を調製する工程と
(b)前記タンパク質-化合物複合体を前記基板上に固定化する工程と
を含む、スクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質等を含む対象化合物と強く結合する候補化合物の網羅的スクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
タンパク質等と化合物の結合は、生命現象や生体反応(特に、薬剤に対する生体の影響)を明らかにする上で重要な情報となる。例えば、特定の酵素の阻害剤や特定のウイルスの感染を阻害する薬剤を開発する場合、その酵素やウイルス感染に必要なタンパク質と不可逆的に強く結合するものがあれば、有用な治療薬等の候補化合物になり得る。また、近年、注目を集めているコバレントドラック(共有結合型阻害剤)もこのコンセプトのもとに開発されている薬剤であり、アスピリンやペニシリンなどの薬剤は、コバレントドラッグの代表例として古くから使われている。
【0003】
目的タンパク質と化合物の物理的相互作用を評価する手法として、「化合物マイクロアレイ」が知られている。「化合物マイクロアレイ」は、DNAマイクロアレイにヒントを得て、DNAの代わりに有機化合物をチップ(またはスライドガラス)の上に固定化したものであり、目的タンパク質と化合物の物理的相互作用を評価する。化合物マイクロアレイ技術は、化合物ライブラリを効率よく利用する技術として原理的に優れており、化合物をスライドガラスや特殊な基板に固定化することについて様々な研究がなされてきた(例えば、非特許文献1)。
【0004】
本発明者らはこれまでに、化合物マイクロアレイに関連する技術として多種多様な構造や官能基を有する化合物であっても修飾を要せず、構造を維持したまま容易に基板に固定化する方法を開発している(特許文献1)。
しかしながら、上記のコバレントドラックのようなタンパク質等と不可逆的に強く結合する化合物を網羅的にスクリーニングする技術はほとんど存在しないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-189080号公報
【非特許文献】
【0006】
有機合成化学協会誌Vol.64 No.6 35-46.(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タンパク質を含む対象化合物と不可逆的に結合し得る候補化合物を網羅的にスクリーニングする技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため、市販のタンパク質マイクロアレイHuProt Human Proteome Microarray v3.0(CDI Labs)を購入し、本発明に係る化合物のスクリーニング方法の工程の洗浄方法について検証した。市販タンパク質マイクロアレイにはAlexa Fluor 555/647で蛍光標識したIgG抗体が搭載されているが、本発明に係る厳しい洗浄条件(具体的には、振盪機による振盪洗浄(1分間×3回)、リンス洗浄、振盪台による振盪洗浄(3分間)、および、リンス洗浄)を行うことで、搭載されているIgG抗体は全て洗い流されてしまった。従来の化合物マイクロアレイ技術において、化合物同士の相互作用後の洗浄工程はアレイチップ上に固定化された化合物が解離しないようなマイルドな条件とする必要があり、上記のような厳しい条件では、アレイチップ上に固定化したタンパク質を含む化合物群が解離してしまった(下記比較例参照)。そこで本発明者らが開発した化合物マイクロアレイの固定化技術を用いたところ、驚くべきことに基板上に固定化されたタンパク質を含む化合物が上記のような厳しい洗浄工程にも耐えうることを見出した。これにより対象化合物と不可逆的に結合し得る候補化合物を網羅的にスクリーニングする化合物マイクロアレイ技術の開発に成功した。本発明は当該知見に基づき完成されたものであり、以下の態様を含む:
すなわち、本発明の一態様は、
〔1〕対象化合物と不可逆的に結合し得る候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(i)基板上に化合物を固定するための固定用タンパク質を介して、前記候補化合物を前記基板上にタンパク質-化合物複合体として固定化する工程であって、前記固定用タンパク質が血中タンパク質またはその類似体である工程と
(ii)前記基板上に固定化した候補化合物に対して前記対象化合物を接触させる工程と
(iii)前記基板を洗浄する工程と
(iv)前記候補化合物に結合した対象化合物を検出する工程と
を含む、スクリーニング方法に関する。
ここで本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔2〕上記〔1〕に記載のスクリーニング方法であって、前記(iii)の洗浄工程が、
(iii’)前記基板を振盪洗浄する工程と
(iii’’)前記基板をリンスする工程と
を含むことを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔3〕上記〔2〕に記載のスクリーニング方法であって、
前記(iii’’)基板をリンスする工程の後に、(iii’’’)前記基板を洗浄液中に静置する工程を含むことを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔4〕上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記工程(iv)の前に、前記工程(iii’)および(iii’’)、または、前記工程(iii’)、(iii’’)、および、(iii’’)を少なくとも2回以上繰り返すことを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔5〕上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記対象化合物がタンパク質またはその一部であり、
前記候補化合物が低分子化合物であることを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔6〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記対象化合物が病原体由来のタンパク質またはその一部であり、
前記候補化合物が治療用または予防用薬剤の有効成分として既知の化合物であることを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔7〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記血中タンパク質またはその類似体が、血清アルブミン、αグロブリン、トランスフェリン、リゾチーム、アポリポプロテイン、トランスサイレンチン、オボアルブミン、ラクトアルブミン、オボトランスフェリン、または、ラクトトランスフェリンであることを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔8〕上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記タンパク質-化合物複合体が、前記固定用タンパク質と前記候補化合物とが直接結びついたものであることを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔9〕上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記工程(ii)の前に、前記基板表面をブロッキング処理する工程をさらに含むことを特徴とする。
また本発明のスクリーニング方法の一実施の形態は、
〔10〕上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のスクリーニング方法であって、
前記固定化工程が、
(a)前記固定用タンパク質と前記化合物とを溶媒中で混合してタンパク質-化合物複合体を調製する工程と
(b)前記タンパク質-化合物複合体を前記基板上に固定化する工程と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスクリーニング方法によれば、タンパク質等の対象化合物に対して不可逆的に強く結合し得る化合物をスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1に示す表は、本発明に係るスクリーニング方法を用いて、新型コロナウイルス由来Sタンパク質に対して強い結合を示す化合物をスクリーニングし、強い結合を示した上位10種の化合物を示す。表中の値は、各化合物に結合した新型コロナウイルス由来Sタンパク質を標識抗体で検出した際の蛍光強度を示す。
図2は、下記比較例1の洗浄する前の市販タンパク質マイクロアレイ(図2A)、および、下記比較例1の洗浄後の市販マイクロアレイ(図2B)上のコントロールタンパク質(Alexa Fluor 555標識したIgG)の蛍光を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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