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公開番号2025008611
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023110923
出願日2023-07-05
発明の名称計算機システムおよびパラメータの決定方法
出願人株式会社日立製作所
代理人藤央弁理士法人
主分類G06F 9/50 20060101AFI20250109BHJP(計算;計数)
要約【課題】イベント駆動型分散アプリケーションを実行するためのリソースのスケーリングを制御する判定用メトリクスの閾値を決定する。
【解決手段】計算機システムは、インスタンスを提供する実行環境システム、およびインスタンスのスケーリングを制御するオートスケーリングシステムと接続する。実行環境システムでは、インスタンスを用いて、同じサービスを提供するアプリケーションが複数実行される。計算機システムは、対象アプリケーションの処理の実行ログを取得し、実行ログを用いて負荷パターンを生成し、負荷パターンに基づいて、スケーリングの実行を制御するための判定用メトリクスの閾値を設定し、対象アプリケーションの処理およびスケーリングをシミュレーションするシミュレーション処理を複数回実行し、シミュレーション処理の結果に基づいて、判定用メトリクスの閾値を決定する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
計算機システムであって、
プロセッサ、前記プロセッサに接続されるメモリ、および前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを備え、
インスタンスを提供する実行環境システム、および前記インスタンスのスケーリングを制御するオートスケーリングシステムと接続し、
前記実行環境システムでは、前記インスタンスを用いて、同じサービスを提供するアプリケーションが複数実行され、
前記アプリケーションは、複数のイベント駆動型のイベント処理を含み、
前記プロセッサは、
対象アプリケーションの処理の実行ログを取得し、
前記実行ログを用いて、前記対象アプリケーションにおける前記イベント処理の処理フロー、および前記処理フローが処理するリクエスト数の時間推移の組みを一つ以上含む負荷パターンを生成し、
前記負荷パターンに基づいて、前記スケーリングの実行を制御するための判定用メトリクスの閾値を設定し、前記対象アプリケーションの処理および前記スケーリングをシミュレーションするシミュレーション処理を複数回実行し、
前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記判定用メトリクスの閾値を決定することを特徴とする計算機システム。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記プロセッサは、
前記実行ログに基づいて、複数の前記処理フローを生成し、
前記実行ログに基づいて、前記対象アプリケーションが処理するリクエスト処理数の時間推移を算出し、
前記実行ログに基づいて、複数の前記処理フローの各々について、前記処理フローにおける前記イベント処理間の遷移確率を算出し、
複数の前記処理フローの各々について、前記処理フローにおける前記イベント処理間の遷移確率に基づいて、発生頻度を算出し、
複数の前記処理フローの各々の発生頻度に基づいて、前記対象アプリケーションが処理するリクエスト処理数の時間推移における各時間のリクエスト処理数を分配することによって、複数の前記処理フローの各々が処理するリクエストの数の時間推移を算出することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記プロセッサは、サービスレベルおよび運用方針を定義した運用プランを満たすように前記判定用メトリクスの閾値を決定することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記プロセッサは、前記負荷パターンおよび前記判定用メトリクスの閾値に基づいて、前記インスタンスの数を設定して、前記対象アプリケーションの処理をシミュレーションするシミュレーション処理を複数回実行することによって、前記インスタンスの最大数および最小数を決定することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記プロセッサは、前記負荷パターン、前記シミュレーションの結果、および前記判定用メトリクスの閾値を表示するため表示情報を生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
計算機システムが実行するオートスケーリングを制御するためのパラメータの決定方法であって、
前記計算機システムは、
プロセッサ、前記プロセッサに接続されるメモリ、および前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを備え、
インスタンスを提供する実行環境システム、および前記インスタンスのスケーリングを制御するオートスケーリングシステムと接続し、
前記実行環境システムでは、前記インスタンスを用いて、同じサービスを提供するアプリケーションが複数実行され、
前記アプリケーションは、複数のイベント駆動型のイベント処理を含み、
前記パラメータの決定方法は、
前記プロセッサが、対象アプリケーションの処理の実行ログを取得し、前記メモリに格納する第1のステップと、
前記プロセッサが、前記実行ログを用いて、前記対象アプリケーションにおける前記イベント処理の処理フロー、および前記処理フローが処理するリクエスト数の時間推移の組みを一つ以上含む負荷パターンを生成し、前記メモリに格納する第2のステップと、
前記プロセッサが、前記負荷パターンに基づいて、前記スケーリングの実行を制御するための判定用メトリクスの閾値を設定し、前記対象アプリケーションの処理および前記スケーリングをシミュレーションするシミュレーション処理を複数回実行する第3のステップと、
前記プロセッサが、前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記判定用メトリクスの閾値を決定し、前記メモリに格納する第4のステップと、
を含むことを特徴とするパラメータの決定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のパラメータの決定方法であって、
前記第2のステップは、
前記プロセッサが、前記実行ログに基づいて、複数の前記処理フローを生成するステップと、
前記プロセッサが、前記実行ログに基づいて、前記対象アプリケーションが処理するリクエスト処理数の時間推移を算出するステップと、
前記プロセッサが、前記実行ログに基づいて、複数の前記処理フローの各々について、前記処理フローにおける前記イベント処理間の遷移確率を算出するステップと、
前記プロセッサが、複数の前記処理フローの各々について、前記処理フローにおける前記イベント処理間の遷移確率に基づいて、発生頻度を算出するステップと、
前記プロセッサが、複数の前記処理フローの各々の発生頻度に基づいて、前記対象アプリケーションが処理するリクエスト処理数の時間推移における各時間のリクエスト処理数を分配することによって、複数の前記処理フローの各々が処理するリクエストの数の時間推移を算出するステップと、を含むことを特徴とするパラメータの決定方法。
【請求項8】
請求項7に記載のパラメータの決定方法であって、
前記第4のステップは、前記プロセッサが、サービスレベルおよび運用方針を定義した運用プランを満たすように前記判定用メトリクスの閾値を決定するステップを含むことを特徴とするパラメータの決定方法。
【請求項9】
請求項7に記載のパラメータの決定方法であって、
前記プロセッサが、前記負荷パターンおよび前記判定用メトリクスの閾値に基づいて、前記インスタンスの数を設定して、前記対象アプリケーションの処理をシミュレーションするシミュレーション処理を複数回実行することによって、前記インスタンスの最大数および最小数を決定するステップを含むことを特徴とするパラメータの決定方法。
【請求項10】
請求項7に記載のパラメータの決定方法であって、
前記プロセッサが、前記負荷パターン、前記シミュレーションの結果、および前記判定用メトリクスの閾値を表示するため表示情報を生成するステップを含むことを特徴とするパラメータの決定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント駆動型分散アプリケーションを実行するためのリソースのオートスケーリング技術に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
クラウド環境等で各種アプリケーションサービスを展開するにあたり、複数のサーバに配置されたコンテナの運用負荷を低減するためのKubernetes(k8s)やAmazon ECS(Elastic Container Service)など、オーケストレーションツールおよびサービスの活用が進んでいる。
【0003】
オーケストレーションツールの主要機能の一つとして、リソースのオートスケーリング機能がある。オートスケーリング機能では、アプリケーションが使用するリソースの負荷状況を示す判定用メトリクスの監視、判定用メトリクスがスケーリング基準値(閾値)を超えた場合にリソースの動的な追加、アプリケーションの処理スループットを高め、判定用メトリクスが閾値を下回った場合のリソースの停止が行われる。リソースの追加によってアプリケーションの処理スループットを高めることができ、また、リソースの停止によってリソース使用量を抑えることができる。たとえば、クラウドのマネージドコンテナサービスなど、リソースを常時起動していると従量課金額が高くなるようなサービス利用では、オートスケーリング機能の利用が推奨される。
【0004】
業務ロジックをアプリケーションに落とし込むとき、1件のリクエストに対して異なる処理を呼び出すイベントが発生し、イベント駆動で並列分散処理を実行するケースがある。このようなケースでは、あるイベントに対応する処理が別のイベントに対応する処理を待ったり、別のイベントを生成するなど、複雑な並列分散処理を含んだアプリケーションとなる。以降、前述の性質を持つアプリケーションを、イベント駆動型分散アプリケーションと記載する。
【0005】
オートスケーリングに用いる判定用メトリクスの変動を捉えて評価し、リソースをオートスケーリングする技術として、特許文献1、2に記載の技術が知られている。
【0006】
特許文献1は、課金の効率がよいシステムの運用が可能となる技術を提供することを課題とする。要求された処理を複数のコンピュータノードに分散して実行するシステムにおいて、該システムで実行するタスクの管理を行うコンピュータノードが、納期が指定された処理要求を受け付けた際に、記憶部に記憶された、前記システムが備えるコンピュータノードが実行するタスクを管理する管理情報を参照して、該処理要求のタスクをコンピュータノードに割り当てるシミュレーションを実行し、前記割り当てのシミュレーションにより、前記処理要求のタスクを納期内に処理終了可能なコンピュータノードがなく、さらに他のコンピュータノードでも納期内に処理終了可能なタスクを移動しても前記処理要求のタスクを納期内に処理終了可能なコンピュータノードを用意できないと判定された場合に、前記システムにコンピュータノードを増設する処理を実行することを特徴とするオートスケーリング方法について開示している。
【0007】
特許文献2は、プロアクティブな自動スケーリングシステムは、発見的手法と機械学習を使用して、負荷レベルの変化を引き起こすスケーリングイベントの前に、アプリケーションに割り当てられたコンピューティングリソースを積極的かつ動的かつ自動的にスケーリングする方法について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2013-210683号公報
米国特許第11226844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
SLAおよび運用方針を満たすようにスケーリングを制御するためには、判定用メトリクスの閾値を適切に設定する必要がある。そのために、特許文献1、2に記載の技術を用いてイベント駆動型分散アプリケーションおよびオートスケーリングサービスのシミュレーションを実行し、判定用メトリクスの閾値を算出する方法が考えられる。
【0010】
同じサービスを提供するイベント駆動型分散アプリケーションであっても、リージョンおよびユーザによってイベント駆動型分散アプリケーションの実装は異なる。そのため、イベント駆動型分散アプリケーションのイベントのフローは様々あり、また、イベントの分岐の傾向も異なる。したがって、イベントのフローを特定し、また、イベントのフローの発生頻度を特定した上でシミュレーションを行う必要がある。また、クラウドシステム上でのアプリケーションサービスの運用によって、アプリケーションサービスを提供する基盤の管理も複雑化している。そのため、各イベント駆動型分散アプリケーションの挙動を把握することは難しい。そのため、従来技術をそのまま適用することは難しい。
(【0011】以降は省略されています)

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