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公開番号2025008278
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023110290
出願日2023-07-04
発明の名称核燃料計測システム及び核燃料計測方法
出願人株式会社東芝,東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人弁理士法人東京国際特許事務所
主分類G21C 17/10 20060101AFI20250109BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】対象物に含有された核燃料の重量及び燃焼度を、その対象物に関する事前情報が少ない場合でも好適に計測できること。
【解決手段】対象物1を挟んで対向位置に設けられ、ミュオンμを計測してミュオン軌跡を検出するミュオン軌跡検出器11と、対象物の近傍に設置されて、対象物から放射されるガンマ線等の放射線を計測する放射線検出器12と、ミュオン軌跡検出器にて検出されたミュオン軌跡を再構成すると共に、ミュオン軌跡が放射線検出器を透過したか否かを判定する軌跡判定部26と、ミュオン軌跡が放射線検出器を透過していな事象を選定して、ミュオン軌跡検出器の計測値に基づき対象物における核燃料の重量を導出する核燃料重量判定部27と、ミュオン軌跡が放射線検出器を透過していな事象を選定して、ミュオン軌跡検出器及び放射線検出器の各計測値に基づき対象物における核燃料の燃焼度を導出する燃焼度判定部28と、を有するものである。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
計測対象の対象物を挟んで互いに対向位置に設けられ、ミュオンを計測してミュオン軌跡を検出するミュオン軌跡検出器と、
前記対象物の近傍に設置されて、前記対象物から放射されるガンマ線、中性子線及び荷電粒子線の少なくとも1つを計測する放射線検出器と、
前記ミュオン軌跡検出器にて検出された前記ミュオン軌跡を再構成すると共に、前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過したか否かを判定する軌跡判定部と、
前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過していない事象を選定して、前記ミュオン軌跡検出器の計測値に基づき前記対象物に含有された核燃料の重量を導出する核燃料重量判定部と、
前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過していない事象を選定して、前記ミュオン軌跡検出器及び前記放射線検出器の各計測値に基づき前記対象物に含有された核燃料の燃焼度を導出する燃焼度判定部と、を有して構成されたことを特徴とする核燃料計測システム。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記軌跡判定部は、ミュオン軌跡検出器の計測値に基づきミュオンが対象物を通過するときのミュオン軌跡の変化を計測し、このミュオン軌跡の変化の大きさからミュオン散乱を導出し、
前記核燃料重量判定部は、前記軌跡判定部の判定結果からミュオン軌跡が放射線検出器を透過していない事象を選定して、前記ミュオン散乱と核燃料の重量との関係性から、前記対象物に含有された前記核燃料の重量を導出するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項3】
前記燃焼度判定部は、軌跡判定部の判定結果から、放射線検出器としてのガンマ線検出器をミュオン軌跡が透過していない事象を選定して、前記ガンマ線検出器による放射線としてのガンマ線の計測値から対象物に含有された評価対象となる核種の核種量を導出し、
ミュオン軌跡検出器の計測値から導出された核燃料の重量と前記核種量とから、前記対象物の単位重量当たりの核種量を導出し、前記対象物の前記単位重量当たりの核種量と燃焼度との関係性から前記対象物の前記燃焼度を導出するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項4】
前記燃焼度判定部は、軌跡判定部の判定結果から、放射線検出器としての中性子検出器をミュオン軌跡が透過していない事象を選定して、前記中性子検出器による放射線としての中性子線の計測値から対象物に含有された評価対象となる核種の核種量を導出し、
ミュオン軌跡検出器の計測値から導出された核燃料の重量と前記核種量とから、前記対象物の単位重量当たりの核種量を導出し、前記対象物の前記単位重量当たりの核種量と燃焼度との関係性から前記対象物の前記燃焼度を導出するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項5】
前記燃焼度判定部は、軌跡判定部の判定結果から、放射線検出器としての荷電粒子検出器をミュオン軌跡が透過していない事象を選定して、前記荷電粒子検出器による放射線としての荷電粒子線の計測値から対象物に含有された評価対象となる核種の核種量を導出し、
ミュオン軌跡検出器の計測値から導出された核燃料の重量と前記核種量とから、前記対象物の単位重量当たりの核種量を導出し、前記対象物の前記単位重量当たりの核種量と燃焼度との関係性から前記対象物の前記燃焼度を導出するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項6】
前記燃焼度判定部は、複数種類の放射線検出器による複数種類の計測値からそれぞれ導出された燃焼度の値が、予め定められた許容範囲に含まれるか否かを判定し、前記許容範囲に含まれる値を用いて前記燃焼度を導出するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項7】
前記ミュオン軌跡検出器及び前記放射線検出器による各計測値に基づいて、核分裂性核種の含有割合を導出する核分裂性核種割合判定部を更に有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の核燃料計測システム。
【請求項8】
前記核分裂性核種割合判定部は、核燃料重量判定部にて導出された核燃料の重量と、燃焼度判定部にて導出された燃焼度と、予め評価された前記燃焼度に対する核分裂性核種の核種量の関係性とに基づいて、対象物に含有された前記核分裂性核種の含有割合を評価するよう構成されたことを特徴とする請求項7に記載の核燃料計測システム。
【請求項9】
計測対象の対象物を挟んで互いに対向位置に設けられ、ミュオンを計測してミュオン軌跡を検出するミュオン軌跡検出器と、
前記対象物の近傍に設置されて、前記対象物から放射されるガンマ線、中性子線及び荷電粒子線の少なくとも1つを計測する放射線検出器とを準備し、
軌跡判定部が、前記ミュオン軌跡検出器にて検出された前記ミュオン軌跡を再構成すると共に、前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過したか否かを判定するステップと、
核燃料重量判定部が、前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過していない事象を選定して、前記ミュオン軌跡検出器の計測値に基づき前記対象物に含有された核燃料の重量を導出するステップと、
燃焼度判定部が、前記ミュオン軌跡が前記放射線検出器を透過していない事象を選定して、前記ミュオン軌跡検出器及び前記放射線検出器の各計測値に基づき前記対象物に含有された核燃料の燃焼度を導出するステップと、を有することを特徴とする核燃料計測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物に含有された核燃料を計測する核燃料計測システム及び核燃料計測方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
ウランなどの核燃料は、核セキュリティの観点から国際的な取り扱いが厳しく管理されている。特に、原子炉で使用された使用済み燃料は、大量の核分裂性成分を含むので高い放射能を持ち、崩壊熱による発熱が生じるため、臨界の防止、遮蔽、冷却などの対策を講じたうえで厳重な管理が必要になる。従って、核燃料の重量と初期組成に加えて、使用履歴及び燃焼度などの情報を正確に管理する必要がある。
【0003】
通常の使用済み核燃料は、燃料プールで一定期間保管することで短半減期の核種を減衰させた後に、再処理施設または長期貯蔵施設に輸送される。燃料中に含有される核種のうち、遮蔽管理に係る放射性核種の組成、臨界管理に係るウラン235などの核分裂性核種の残留量は、主に燃焼度によって変化することから、使用済み燃料の安全性を確保するためには、燃焼度の評価が重要となる。
【0004】
使用済み燃料の燃焼度評価方法は、燃料に蓄積されている核分裂生成物からの放射線を計測することによって行われる。特に、セシウム(Cs-137)から放射されるガンマ線、キュリウム(Cm-244)から放射される中性子線を計測する。ガンマ線の計測には、ゲルマニウム半導体検出器などのガンマ線スペクトル検出器が用いられ、中性子線の計測には、核分裂電離箱のようなガンマ線に対する分離性が有る検出器が用いられる。また、α線などの荷電粒子線を精度良く計測することで、燃焼度を直接評価することや、表面部分の汚染を評価することができる。
【0005】
既存の燃焼度計測装置は、原子炉で発生した使用済み燃料を再処理施設で受け入れる際などに用いられる。最も保守的な臨界管理としては、燃料が燃焼していないと仮定する「新燃料仮定」が用いられる。この新燃料仮定では、貯蔵時の燃料間隔を大きくすること、高価な中性子吸収材を使用することなどが要求され、コストが高くなる傾向にある。
【0006】
使用済み燃料が燃焼して反応度が低下していることを考慮し、使用済燃料輸送・貯蔵施設を合理化することを「燃焼度クレジット」と呼ぶ。この燃焼度クレジットを用いた設計においては、前述の燃焼度計測装置に代表されるような燃焼度の把握技術が重要となる。
【0007】
一般的に、原子炉で発生した使用済み燃料は、その形状・重量の他に、初期組成と運転履歴が管理されており、計測の前段階で燃料に関連する多くの情報が保有されているため、新燃料仮定のような過度に保守的な管理を行う必要はない。
【0008】
一方、核セキュリティの観点から、初期組成と運転記録のない燃料を検査することも必要になる。また、原子力発電所の事故に伴って発生する燃料デブリは、炉心中の複数の燃料を混合しているため、運転記録からそのデブリに含まれる燃料の燃焼度を計算することができない。また、核燃料と他の物質が混合している場合には、含有する核燃料の重量及び核分裂性核種の重量を推定することが困難である。このような条件では、使用済み燃料の管理における新燃料仮定と同様に、最も保守的な条件を仮定して対象を管理する必要があるため、管理コストが大幅に増大する。従って、事前情報が不足している核燃料に対しても、計測により燃焼度を把握する手法が求められている。
【0009】
事前情報が不足している核燃料または燃料デブリ中の核物質の重量を計測する方法としては複数の方法が提案されている。例えば、透過力の強い宇宙線ミュオンの散乱角分布を計測することで、組成不明の物質中に含まれる核燃料の重量を計測する方法が提案されている。
【0010】
また、宇宙線ミュオンに加えて、ガンマ線と中性子線を計測することで、物質中に含まれる核燃料の重量の推定精度を向上させる方法が提案されている。また、宇宙線ミュオンとX線の計測を組み合わせることにより、物質組成の判定と物質形状の判定を同時に行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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