公開番号2025005168 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-01-16 出願番号2023105231 出願日2023-06-27 発明の名称積層物の不健全部の検出方法 出願人株式会社大林組,国立大学法人北海道大学,一般財団法人電力中央研究所 代理人弁理士法人一色国際特許事務所 主分類G01N 22/02 20060101AFI20250108BHJP(測定;試験) 要約【課題】積層物の不健全部を検出する際に、簡易な装置で省人化及び省力化を実現する。 【解決手段】複数の層が積層された積層物の不健全部を検出する検出方法であって、(1)積層物の健全部とあらかじめ推定されたリファレンス領域に対して、受信強度に基づいて、計測距離dmを変数とするリファレンスデータER(dm)を取得する、リファレンスデータ取得ステップと、(2)積層物の不健全部を検出しようとする検出対象領域xに対して、受信強度に基づいて、計測距離dmを変数とする計測データEV(x,dm)を取得する、計測データ取得ステップと、(3)不健全部の想定面積Svの、受信部における電磁波の有効受信面積に対する割合を反射率αとしたときに、反射率αが所定の値より大きい場合に、検出対象領域xに前記不健全部が存在すると推定する、不健全部検出ステップと、を有する、積層物の不健全部の検出方法である。 【選択図】図1 特許請求の範囲【請求項1】 複数の層が積層された積層物の不健全部を検出する検出方法であって、 (1)前記積層物の健全部とあらかじめ推定されたリファレンス領域に対して、 前記積層物の表面から第1距離d 1 だけアンテナを離間して配置し、前記アンテナの送信部から電磁波を放射して前記アンテナの受信部で前記電磁波を受信した際の、第1受信強度E R1 を測定し、 前記積層物の表面から前記第1距離d 1 と異なる第2距離d 2 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第2受信強度E R2 を測定し、 前記第1受信強度E R1 及び前記第2受信強度E R2 に基づいて、前記第1距離d 1 及び前記第2距離d 2 を含む計測距離d m を変数とするリファレンスデータE R (d m )を取得する、リファレンスデータ取得ステップと、 (2)前記積層物の不健全部を検出しようとする検出対象領域xに対して、 前記積層物の表面から第3距離d 3 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第3受信強度E V3 を測定し、 前記積層物の表面から前記第3距離d 3 と異なる第4距離d 4 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第4受信強度E V4 を測定し、 前記第3受信強度E V3 及び前記第4受信強度E V4 に基づいて、前記第3距離d 3 及び前記第4距離d 4 を含む計測距離d m を変数とする計測データE V (x,d m )を取得する、計測データ取得ステップと、 (3)前記不健全部の想定面積S v の、前記受信部における電磁波の有効受信面積に対する割合を反射率αとしたときに、 前記リファレンスデータE R (d m )と、前記計測データE V (x,d m )とに基づいて、前記反射率αを算出し、前記反射率αが所定の値より大きい場合に、前記検出対象領域xに前記不健全部が存在すると推定する、不健全部検出ステップと、 を有する、積層物の不健全部の検出方法。 続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】 前記リファレンス領域において前記受信部で受信する前記電磁波は、直接波と、前記複数の層の界面における反射波とを有し、 前記複数の層の界面における反射波を合成した合成反射波の、前記積層物の表面からの深さを合成反射波深さd s として、 振幅A R が前記計測距離d m 及び前記合成反射波深さd s に応じて変化するリファレンスデータ数理式を算出し、 前記リファレンスデータE R (d m )を、前記リファレンスデータ数理式を用いて較正する、 請求項1に記載の積層物の不健全部の検出方法。 【請求項3】 前記リファレンスデータE R (d m )と前記リファレンスデータ数理式との差が最小となるよう、最適化手法により前記リファレンスデータE R (d m )における前記合成反射波深さd s を算出し、 前記合成反射波深さd s 及び前記計測データE V (x,d m )とに基づいて、前記反射率αを算出する、 請求項2に記載の積層物の不健全部の検出方法。 【請求項4】 前記検出対象領域xにおいて前記受信部で受信する前記電磁波は、直接波と、前記複数の層の界面における反射波と、想定不健全部における反射波とを有し、 前記想定不健全部における反射波の、前記積層物の表面からの深さを想定不健全部反射波深さd v として、 振幅A V が前記計測距離d m 及び前記想定不健全部反射波深さd v に応じて変化する計測データ数理式を算出し、 前記計測データE V (x,d m )と前記計測データ数理式との差が最小となるよう、最適化手法により、前記反射率α及び前記想定不健全部反射波深さd v を算出する、 請求項1に記載の積層物の不健全部の検出方法。 【請求項5】 前記不健全部検出ステップにおいて、 算出された前記想定不健全部反射波深さd v に基づいて、前記積層物の表面からの前記不健全部の深さを推定する、 請求項4に記載の積層物の不健全部の検出方法。 【請求項6】 前記不健全部検出ステップにおいて、 算出された前記反射率αに基づいて、前記不健全部の相対面積を推定する、 請求項4に記載の積層物の不健全部の検出方法。 【請求項7】 複数の層が積層された積層物の不健全部を検出する検出方法であって、 (1)前記積層物の健全部とあらかじめ推定されたリファレンス領域に対して、 前記積層物の表面から第1距離d 1 だけアンテナを離間して配置し、前記アンテナの送信部から電磁波を放射して前記アンテナの受信部で前記電磁波を受信した際の、第1受信強度E R1 を測定し、 前記積層物の表面から前記第1距離d 1 と異なる第2距離d 2 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第2受信強度E R2 を測定し、 前記第1受信強度E R1 及び前記第2受信強度E R2 に基づいて、前記第1距離d 1 及び前記第2距離d 2 を含む計測距離d m を変数とするリファレンスデータE R (d m )を取得する、リファレンスデータ取得ステップと、 (2)前記積層物の不健全部を検出しようとする検出対象領域xに対して、 前記積層物の表面から第3距離d 3 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第3受信強度E V3 を測定し、 前記積層物の表面から前記第3距離d 3 と異なる第4距離d 4 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第4受信強度E V4 を測定し、 前記第3受信強度E V3 及び前記第4受信強度E V4 に基づいて、前記第3距離d 3 及び前記第4距離d 4 を含む計測距離d m を変数とする計測データE V (x,d m )を取得する、計測データ取得ステップと、 (3)前記検出対象領域xにおいて前記受信部で受信する前記電磁波は、直接波と、前記複数の層の界面における反射波と、想定不健全部における反射波とを有し、前記想定不健全部における反射波の、前記積層物の表面からの深さを想定不健全部反射波深さd v としたときに、 前記リファレンスデータE R (d m )と、前記計測データE V (x,d m )とに基づいて、前記想定不健全部反射波深さd v を算出し、前記想定不健全部反射波深さd v が所定の値より大きい場合に、前記検出対象領域xに前記不健全部が存在すると推定する、不健全部検出ステップと、 を有する、積層物の不健全部の検出方法。 【請求項8】 振幅A V が前記計測距離d m 及び前記想定不健全部反射波深さd v に応じて変化する計測データ数理式を算出し、 前記計測データE V (x,d m )と前記計測データ数理式との差が最小となるよう、最適化手法により、前記想定不健全部反射波深さd v を算出する、 請求項7に記載の積層物の不健全部の検出方法。
発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、積層物の不健全部の検出方法に関する。 続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】 【0002】 近年、構造物の維持や補修に関わる投資は増加する傾向にある。構造物の維持や補修に関わる修繕工事の一つである外壁タイルの補修工事は、経験に依存する工事であることに加え、作業量が多い。また、外壁タイルの補修工事は、屋外で危険を伴う工事でもあるため、継続して従事する作業員は慢性的に不足している。このため、外壁タイルの補修工事においては、作業の省人化や省力化が求められている。 【0003】 ところで、外壁タイルの補修工事では、外壁タイルが補修対象であるかどうかを判別する検査(以下、「外壁タイル検査」と呼ぶことがある)が行われる。外壁タイル検査は、検査員による打診検査が一般的に採用されている。しかし、打診検査では、判別精度が検査員に依存する。つまり、検査員の熟練度や技量により判別精度にばらつきが生じることや、長時間の打診検査を続けることで検査員の判断力が低下し、判別精度が低下することがある。 【0004】 また、外壁タイル検査は、上述した打診検査の他に、超音波や、赤外線、X線その他の電磁波を用いた、計測装置による検査(以下、まとめて「計測装置による検査」と呼ぶことがある)が採用されることがある。計測装置による検査では、打診検査と比較して、判別精度が検査員に依存することをある程度抑制することができる。しかし、計測装置による検査では、安全対策装置等が別に必要になったり、分析装置による複雑な計算が必要になったりすることがあった。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 特開2004-28643号公報 特開2009-145312号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上述した計測装置による検査では、打診検査と比べてある程度省人化できるものの、安全対策装置等の取扱いや、分析装置による複雑な計算が必要になることにより、省力化に限界があった。 【0007】 本発明の目的の一例は、積層物の不健全部を検出する際に、簡易な装置で省人化及び省力化を実現することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の一態様は、複数の層が積層された積層物の不健全部を検出する検出方法であって、 (1)前記積層物の健全部とあらかじめ推定されたリファレンス領域に対して、前記積層物の表面から第1距離d 1 だけアンテナを離間して配置し、前記アンテナの送信部から電磁波を放射して前記アンテナの受信部で前記電磁波を受信した際の、第1受信強度E R1 を測定し、前記積層物の表面から前記第1距離d 1 と異なる第2距離d 2 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第2受信強度E R2 を測定し、前記第1受信強度E R1 及び前記第2受信強度E R2 に基づいて、前記第1距離d 1 及び前記第2距離d 2 を含む計測距離d m を変数とするリファレンスデータE R (d m )を取得する、リファレンスデータ取得ステップと、 (2)前記積層物の不健全部を検出しようとする検出対象領域xに対して、前記積層物の表面から第3距離d 3 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第3受信強度E V3 を測定し、前記積層物の表面から前記第3距離d 3 と異なる第4距離d 4 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第4受信強度E V4 を測定し、前記第3受信強度E V3 及び前記第4受信強度E V4 に基づいて、前記第3距離d 3 及び前記第4距離d 4 を含む計測距離d m を変数とする計測データE V (x,d m )を取得する、計測データ取得ステップと、 (3)前記不健全部の想定面積S v の、前記受信部における電磁波の有効受信面積に対する割合を反射率αとしたときに、前記リファレンスデータE R (d m )と、前記計測データE V (x,d m )とに基づいて、前記反射率αを算出し、前記反射率αが所定の値より大きい場合に、前記検出対象領域xに前記不健全部が存在すると推定する、不健全部検出ステップと、 を有する、積層物の不健全部の検出方法である。 【0009】 本発明の一態様は、複数の層が積層された積層物の不健全部を検出する検出方法であって、 (1)前記積層物の健全部とあらかじめ推定されたリファレンス領域に対して、前記積層物の表面から第1距離d 1 だけアンテナを離間して配置し、前記アンテナの送信部から電磁波を放射して前記アンテナの受信部で前記電磁波を受信した際の、第1受信強度E R1 を測定し、前記積層物の表面から前記第1距離d 1 と異なる第2距離d 2 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第2受信強度E R2 を測定し、前記第1受信強度E R1 及び前記第2受信強度E R2 に基づいて、前記第1距離d 1 及び前記第2距離d 2 を含む計測距離d m を変数とするリファレンスデータE R (d m )を取得する、リファレンスデータ取得ステップと、 (2)前記積層物の不健全部を検出しようとする検出対象領域xに対して、前記積層物の表面から第3距離d 3 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第3受信強度E V3 を測定し、前記積層物の表面から前記第3距離d 3 と異なる第4距離d 4 だけ前記アンテナを離間して配置し、前記送信部から電磁波を放射して前記受信部で前記電磁波を受信した際の、第4受信強度E V4 を測定し、前記第3受信強度E V3 及び前記第4受信強度E V4 に基づいて、前記第3距離d 3 及び前記第4距離d 4 を含む計測距離d m を変数とする計測データE V (x,d m )を取得する、計測データ取得ステップと、 (3)前記検出対象領域xにおいて前記受信部で受信する前記電磁波は、直接波と、前記複数の層の界面における反射波と、想定不健全部における反射波とを有し、前記想定不健全部における反射波の、前記積層物の表面からの深さを想定不健全部反射波深さd v としたときに、前記リファレンスデータE R (d m )と、前記計測データE V (x,d m )とに基づいて、前記想定不健全部反射波深さd v を算出し、前記想定不健全部反射波深さd v が所定の値より大きい場合に、前記検出対象領域xに前記不健全部が存在すると推定する、不健全部検出ステップと、 を有する、積層物の不健全部の検出方法である。 【発明の効果】 【0010】 本発明の上記態様によれば、積層物の不健全部を検出する際に、簡易な装置で省人化及び省力化を実現することができる。 【図面の簡単な説明】 (【0011】以降は省略されています)
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