TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025000340
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-07
出願番号2023100144
出願日2023-06-19
発明の名称養生用剥離フィルム、接着樹脂の養生方法、繊維シートの施工方法および構造物の補修方法
出願人前田工繊株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類E21D 11/00 20060101AFI20241224BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】アミンブラッシング現象の発生抑制と空気溜まりの発生抑制の両立を図ることが可能であると共に、重ね塗りした複数の接着樹脂の層間接着性を高くすること。
【解決手段】養生用剥離フィルム10が接着樹脂の表面を大気から遮断して覆う樹脂製のフィルム本体11と、フィルム本体11に一定のピッチで排気可能に開孔した複数の微孔12とを有し、各接着樹脂30a~30dに被覆して養生した後に養生用剥離フィルム10を剥離する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
構造物の補強または補修のために塗布した接着樹脂を被覆して養生する養生用剥離フィルムであって、
前記養生用剥離フィルムが接着樹脂の表面を大気から遮断して覆う樹脂製のフィルム本体と、
前記フィルム本体に一定のピッチで排気可能に開孔し、前記接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する複数の微孔とを有し、
前記フィルム本体が接着樹脂の養生後に接着樹脂の表面および複数の突部から剥離可能であることを特徴とする、
養生用剥離フィルム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記微孔の口径が50~800μmの範囲であり、かつ前記微孔の形成ピッチが0.5~20mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の養生用剥離フィルム。
【請求項3】
接着樹脂の表面を養生用剥離フィルムで被覆し、養生期間の経過後に養生用剥離フィルムを剥離する接着樹脂の養生方法であって、
前記接着樹脂の表面を請求項1に記載の養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、
前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、
前記複数の突部を形成した既設の接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を積層して接着する工程とを具備することを特徴とする、
接着樹脂の養生方法。
【請求項4】
養生用剥離フィルムと繊維シートを併用して構造物に塗布した接着樹脂を含侵させて繊維シートを構造物に貼付する繊維シートの施工方法であって、
前記接着樹脂の表面を請求項1に記載の養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、
前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、
前記複数の突部を形成した既設の接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を含侵接着させて繊維シートを構造物に貼付することを特徴とする、
繊維シートの施工方法。
【請求項5】
前記養生用剥離フィルムを用いた接着樹脂の養生工程と養生用剥離フィルムの剥離工程を繰り返して積層した複数の繊維シートを含侵接着することを特徴とする、請求項4に記載の繊維シートの施工方法。
【請求項6】
構造物の表面を接着樹脂で被覆する構造物の補修方法であって、
前記構造物の表面に接着樹脂を塗布した後に、
前記接着樹脂の表面を請求項1に記載の養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、
前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、
前記複数の突部を形成した接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を塗布する工程とを繰り返し行って複数の接着樹脂を一体に積層して形成することを特徴とする、
構造物の補修方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は養生用剥離フィルム、接着樹脂の養生方法、繊維シートの施工方法および構造物の補修方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
繊維シートを貼付した構造物の補修技術として、構造物の表面に予めプライマーを塗布した後、繊維シートを貼り付け、繊維シートに塗布したエポキシ樹脂系の接着樹脂をシート内に含浸させて硬化させることが知られている(特許文献1)。
施工にあたり、接着樹脂を用いて繊維シートを貼り付ける際、空気中の二酸化炭素と水分が接着樹脂中のアミンと反応することに、接着樹脂の表層に不純物の脆弱層(アミンブラッシング層)が形成されることが知られている。脆弱層を放置して繊維シートを貼り付けると層間密着性が阻害されて、繊維シートの層間に浮きや剥がれを生じる。
【0003】
このような不具合を解消するため、特許文献1には、繊維製の剥離シートを使用して脆弱層を除去することが開示されている
具体的には、構造物の表面に繊維シートを貼り付ける際、接着樹脂の硬化前に繊維製の剥離シートを接着面に押し付けながら接着することで、接着樹脂の表層に形成される脆弱層を繊維製の剥離シートの内部に含侵させ、接着樹脂の硬化を待って繊維製の剥離シートを剥離することで、脆弱層を除去しようとするものである。
【0004】
また特許文献2には、通気性のない剥離シートで接着樹脂の表面を覆うことで、アミンブラッシング現象の発生を抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第7153995号公報
特開2002-235444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の繊維製の剥離シートはつぎの問題点を有している。
<1>塗布した接着樹脂の表面にタックがある状態のときに剥離シートを剥がそうとすると、剥離シートが剥がし難い。
特に気温の低い冬季に施工する場合は、塗布した接着樹脂の硬化に要する時間が長くなる。
そのため、接着樹脂の十分な硬化を待ってから剥離するため、剥離シートの剥離作業を終えるまでの時間が長くかかり、施工が遅れる要因となる。
<2>繊維製の剥離シートは接着樹脂の含浸性が優れるため、剥離シートを引き剥がす際に含浸した接着樹脂が剥離されることになって、構造部側に残る接着樹脂の塗布量が大幅に減る。
【0007】
特許文献2に記載の剥離シートはつぎの問題点を有している。
<1>剥離シートに通気性がないため、アミンブラッシング現象の発生を抑制できる反面、貼付面に空気溜まりが生じて施工面の品質が低下する。
そのため、アミンブラッシング現象の発生抑制と、空気溜まりの発生抑制の両立を図ることが難しい。
<2>剥離シートを剥がすと接着樹脂の表面が鏡面のような表面になるため、次層を接合する際における機械的接着性が劣ることになって、層間接着性が低くなる。
【0008】
本発明は既述した課題を解決できる、養生用剥離フィルム、接着樹脂の養生方法、繊維シートの施工方法および構造物の補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、構造物の補強または補修のために塗布した接着樹脂を被覆して養生する養生用剥離フィルムであって、前記養生用剥離フィルムが接着樹脂の表面を大気から遮断して覆う樹脂製のフィルム本体と、前記フィルム本体に一定のピッチで排気可能に開孔し、前記接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する複数の微孔とを有し、前記フィルム本体が接着樹脂の養生後に接着樹脂の表面および複数の突部から剥離可能である。
本発明の他の形態において、前記微孔12の口径dが50~800μmの範囲であり、かつ前記微孔の形成ピッチが0.5~20mmの範囲である。
本発明は、接着樹脂の表面を養生用剥離フィルムで被覆し、養生期間の経過後に養生用剥離フィルムを剥離する接着樹脂の養生方法であって、前記接着樹脂の表面を前記した養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、前記複数の突部を形成した既設の接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を積層して接着する工程とを具備する。
本発明は、養生用剥離フィルムと繊維シートを併用して構造物に塗布した接着樹脂を含侵させて繊維シートを構造物に貼付する繊維シートの施工方法であって、前記接着樹脂の表面を請求項1に記載の養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、前記複数の突部を形成した既設の接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を含侵接着させて繊維シートを構造物に貼付する。
本発明の他の形態において、前記養生用剥離フィルムを用いた接着樹脂の養生工程と養生用剥離フィルムの剥離工程を繰り返して積層した複数の繊維シートを含侵接着してもよい。
本発明は、構造物の表面を接着樹脂で被覆する構造物の補修方法であって、前記構造物の表面に接着樹脂を塗布した後に、前記接着樹脂の表面を請求項1に記載の養生用剥離フィルムで覆って養生する工程と、前記接着樹脂の養生後に養生用剥離フィルムを剥離して接着樹脂の表面に該接着樹脂と一体に複数の突部を一体に形成する工程と、前記複数の突部を形成した接着樹脂の表面に別途の接着樹脂を塗布する工程とを繰り返し行って複数の接着樹脂を一体に積層して形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は少なくともつぎの一つの効果を奏する。
<1>養生用剥離フィルムは、アミンブラッシング現象の発生抑制と、空気溜まりの発生抑制の両立を図ることが可能であるので、従来と比べて接着樹脂の表面を高品質に養生することができる。
<2>養生用剥離フィルムを剥離した接着樹脂の表面に形成された複数の突部が、次層の接着樹脂を接合する際のジベル筋的作用を発揮するので、複数の接着樹脂を重ね塗りしたときの層間接着性が格段に高くなる。
<3>養生用剥離フィルムは接着樹脂の表面にタックがある状態であっても剥離フィルムのみを剥離することができる。
そのため、接着樹脂の硬化に長時間を要する低温環境下で施工する場合においても、完全硬化を待たずに剥離フィルムを簡単に剥離できるので、従来と比べて接着樹脂の施工期間を短縮することができる。
<4>養生用剥離フィルムは、繊維シートに接着樹脂を含侵接着させて構造物を補強する構造物の補強方法だけでなく、構造物の表面に接着樹脂を繰り返し塗布して補修する構造物の補修方法にも使用することができて汎用性に富む。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

前田工繊株式会社
運搬車両用の荷台被覆シート
3か月前
前田工繊株式会社
養生用剥離フィルム、接着樹脂の養生方法、繊維シートの施工方法および構造物の補修方法
16日前
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
分解安定型フィルター工法および港湾施設の防砂構造
6日前
個人
高速道路トンネルの強靭化法
1か月前
能美防災株式会社
水噴霧設備
4か月前
株式会社奥村組
削孔システム
5か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
戸田建設株式会社
ロックボルト
2か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機
3か月前
株式会社神島組
破砕工法
2か月前
株式会社奥村組
インバート用打設設備
3か月前
株式会社堤水素研究所
発破装置
4か月前
株式会社奥村組
インバートの打設方法
3か月前
株式会社奥村組
テールシールの交換構造
3か月前
株式会社エステック
掘削機及び掘削装置
28日前
日特建設株式会社
ビット及び削孔機
5か月前
テクノス株式会社
鋼製セグメント製造設備
5か月前
日本車輌製造株式会社
油圧ユニット
1か月前
株式会社エステック
カッターヘッド及び掘削機
3か月前
株式会社郡産業
ハンマーグラブ用ソケット
2か月前
西松建設株式会社
土層分布検知方法
1か月前
大成建設株式会社
トンネルの変位予測方法
3か月前
ケミカルグラウト株式会社
貫通位置予測方法
3か月前
株式会社ケー・エフ・シー
注入材施工管理システム
2か月前
鉱研工業株式会社
二重管ドリルロッドの接続用治具
3か月前
株式会社奥村組
シールド掘進機の後胴部の伸縮方法
3か月前
戸田建設株式会社
ずり搬出装置
3か月前
株式会社ケー・エフ・シー
導水構造及びその構築方法
3か月前
株式会社フジタ
トンネルの出来形管理方法および装置
3か月前
システム計測株式会社
ケリーバ保持治具
28日前
個人
発電用掘削方法および発電用掘削装置
1か月前
株式会社フジタ
トンネル覆工コンクリート用締固め装置
5か月前
続きを見る