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公開番号2024129486
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-27
出願番号2023038719
出願日2023-03-13
発明の名称トンネルの変位予測方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E21D 9/00 20060101AFI20240919BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】上半掘削による変位が収束する前に下半掘削に伴う変位が生じる場合であっても、実挙動に可及的に合致した変位進行による変位予測を行うことのできる、トンネルの変位予測方法を提供する。
【解決手段】トンネルの変位予測方法であり、着目断面における変位特性曲線を求める変位特性曲線設定工程(ステップS10)と、2次元の解析モデルを用いた数値解析により、上半トンネルと下半トンネルの掘削によって生じるそれぞれの変位量を求める上下半変位量算定工程(ステップS12)と、変位特性曲線設定工程の着目断面における変位量が、上下半変位量算定工程にて算定されている変位量と合うように変位特性曲線を補正する変位曲線作成工程(ステップS14)と、着目断面における上半トンネルの掘削と下半トンネルの掘削によるそれぞれの変位量を求め、双方の変位量を加算して着目断面の全変位量を算定する全変位量算定工程(ステップS16)とを有する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
変位予測対象のトンネルを、上半トンネルを先行掘削し、下半トンネルを後行掘削する、ベンチカット工法にて施工する際に、トンネルの縦断方向における該上半トンネルもしくは該下半トンネルの切羽から任意の距離にある着目断面における変位を予測する、トンネルの変位予測方法であって、
着目断面における切羽到達前と切羽通過後の掘削完了時における変位特性曲線を求める、変位特性曲線設定工程と、
前記変位予測対象のトンネルを解析対象とした2次元の解析モデルを用いた数値解析により、前記上半トンネルの掘削によって生じる、応力解放率を考慮した切羽到達時と掘削完了時のそれぞれの変位量と、前記下半トンネルの掘削によって生じる、応力解放率を考慮した切羽到達時と切羽通過後の掘削完了時のそれぞれの変位量を求める、上下半変位量算定工程と、
前記変位特性曲線設定工程の前記着目断面における切羽到達時と切羽通過後の掘削完了時の変位量が、前記上下半変位量算定工程にて算定されている、前記上半トンネルと前記下半トンネルのそれぞれの切羽到達時と切羽通過後の掘削完了時のそれぞれの変位量と合うように、前記変位特性曲線を補正することにより、前記上半トンネルの上半変位曲線と、前記下半トンネルの下半変位曲線を求める、変位曲線作成工程と、
前記上半変位曲線と前記下半変位曲線に基づいて、前記変位予測対象のトンネルの前記着目断面における、前記上半トンネルの掘削による変位量と前記下半トンネルの掘削による変位量を求め、前記上半トンネルと前記下半トンネルの切羽からの距離である切羽離れを考慮して、双方の該変位量を加算することにより該着目断面の全変位量を算定する、全変位量算定工程とを有することを特徴とする、トンネルの変位予測方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記変位特性曲線設定工程では、
所定の断面形状及び断面積のトンネルの3次元の解析モデルを用いた数値解析により、前記変位特性曲線を求めること、又は、3次元解析に基づく公知の地山の特性曲線を利用することを特徴とする、請求項1に記載のトンネルの変位予測方法。
【請求項3】
前記上下半変位量算定工程では、前記変位特性曲線設定工程にて求められている前記変位特性曲線を用いて、前記応力解放率を求めることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの変位予測方法。
【請求項4】
前記上下半変位量算定工程では、前記上半トンネルと前記下半トンネルの切羽到達前と切羽通過後の掘削完了時のそれぞれの応力解放率α、βに関し、応力解放率αを30~50%に設定し、応力解放率βを100-α%に設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの変位予測方法。
【請求項5】
前記上下半変位量算定工程では、前記変位予測対象のトンネルの施工区間において設定される設計断面に対して、事前の土質調査により特定されている地山の物性値を用いた2次元の解析モデルに基づき、前記上半トンネルの切羽到達時と切羽通過後の掘削完了時、次いで前記下半トンネルの切羽到達時と切羽通過後の掘削完了時のステップ解析を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの変位予測方法。
【請求項6】
前記トンネルの施工の過程で実施される、変位計測工程をさらに有し、
前記変位曲線作成工程では、前記変位計測工程にて計測された計測データを反映して、前記上半変位曲線と前記下半変位曲線を修正することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの変位予測方法。
【請求項7】
前記変位予測対象のトンネルの断面積と等価な断面積の円形断面のトンネルの直径をDとした際に、ベンチ長が5D以下のミニベンチもしくはショートベンチのベンチカット工法を用いたトンネルの施工の際に適用することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの変位予測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの変位予測方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの施工においては、掘削に伴う壁面の変形量を、日々の計測方法である所謂A計測にて計測して記録することにより、安全管理を行っている。また、2次元解析や3次元解析により、掘削中の壁面の変位量を予測することが一般に行われている。
しかしながら、2次元解析では、上半トンネルの切羽と下半トンネルの切羽を同時に掘削する、所謂全断面掘削か、上半トンネルの切羽の掘削完了後に下半トンネルの掘削を行う、上半先進掘削(ロングベンチカット工法)の2通りでしか掘削の過程を表すことができない。いずれの掘削方法であっても、掘削された切羽が着目断面に到達する以前と以後において、地山の持っている応力をある割合にて解放することにより、掘削や変位が表現されている。
【0003】
ここで、ベンチカット工法によるトンネルの施工概要を、図1を参照して概説する。尚、図1では、トンネルの掘進方向に直交する断面形状が、馬蹄形を呈するトンネルの例を示している。図1に示すように、トンネルTの施工においては、上半トンネルを先進掘削することにより、掘進方向の前方に上半切羽K1が施工され、ベンチB離れた後方に、下半切羽K2が施工されている。
上半切羽K1と下半切羽K2の間の任意地点に着目断面Uがあるとした場合、着目断面Uと上半切羽K1との間が上半切羽離れS1となり、着目断面Uと下半切羽K2との間が下半切羽離れS2となる。
ここで、断面形状が馬蹄形のトンネルTの断面積と等価な断面積の円形断面のトンネルの直径(換算径)をDとした際に、ベンチBの長さ(ベンチ長)が5D以下の場合を、ミニベンチもしくはショートベンチと称し、ベンチBの長さが5Dを超える場合を、ロングベンチと称することができる。
図1に示すように、掘削断面が上半トンネルと下半トンネルに分かれているベンチカット工法において、2次元解析では上半トンネルの掘削(上半掘削)と下半トンネルの掘削(下半掘削)によるそれぞれの変位量は、それぞれに固有の異なるステップにて計算される。
【0004】
ところで、ベンチ長が短いミニベンチやショートベンチにおいては、上半掘削による変位が収束する前に、下半掘削に伴う変位が生じる場合が往々にしてある。このように、上半掘削による変位と下半掘削による変位を分離できない状況では、解析結果が実挙動と合致せず、2次元解析では変位進行を予測することができないといった課題がある。
【0005】
ここで、図2には、全断面掘削、ロングベンチのベンチカット工法、ミニベンチもしくはショートベンチのベンチカット工法の各施工方法に関し、着目断面における掘削の経過時間と変位量の関係を概念的に示している。
図2において、実線はロングベンチのベンチカット工法、一点鎖線はミニベンチもしくはショートベンチのベンチカット工法、点線は全断面掘削の場合の概念図である。図2に示すように、全断面掘削では、掘削後の短時間の間に変位が収束する。一方、ロングベンチのベンチカット工法では、上半掘削による変位が収束した後に、下半掘削による変位が生じることから、上半掘削による変位と下半掘削による変形を明確に分離することができる。
対して、ミニベンチもしくはショートベンチのベンチカット工法では、上半掘削による変位が収束する前に下半掘削による変位が生じることから、双方の変位を分離することができない。そのため、2次元解析では変位進行を予測することができないことになる。
【0006】
そこで、変位予測対象のトンネルの3次元モデルを用いて、掘削ステップを忠実に再現した3次元解析を実行することにより、解析中の上半切羽位置と下半切羽位置を任意に設定できることから、ベンチ長が短い場合でも変位進行の予測が可能になる。しかしながら、このような3次元解析では、2次元解析に比べて解析の準備と実行に多くの時間がかかるといった固有の課題がある。
【0007】
ここで、特許文献1には、トンネルの最終変位量予測方法が提案されている。この最終変位量予測方法は、任意に標準モデルとして設定した3次元有限要素法モデルによって、掘削進行状況を反映した3次元有限要素法シミュレーション解析を行い、地山種別及び支保構造並びに掘削工法別毎に、各計測ポイントの初期変位速度と地山剛性比αとの関係式、少なくとも最終変位量と地山剛性比αとの関係式を得る第1手順と、トンネルの掘削後に、切羽前面に設置した3Dレーザースキャナによる計測によって各計測ポイントの初期変位速度データを取得する第2手順と、第1手順によって得た初期変位速度と地山剛性比αとの関係式に当てはめ、掘削部位の地山剛性比α1を算出し、最終変位量と地山剛性比αとの関係式に基づいて、各計測ポイントの最終変位量を算出する第3手順とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2016-121487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のトンネルの最終変位量予測方法によれば、トンネル現場において容易に運用し得る山岳トンネルの変位量予測方法を提供できるとしているが、このトンネルの最終変位量予測方法は、上記するように、上半掘削による変位が収束する前に下半掘削に伴う変位が生じる場合に、実挙動に可及的に合致した変位進行による変位予測を実現する手段を開示するものではない。
【0010】
本発明は、解析に要する時間が長くなることを解消でき、上半掘削による変位が収束する前に下半掘削に伴う変位が生じる場合であっても、実挙動に可及的に合致した変位進行による変位予測を行うことのできる、トンネルの変位予測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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