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公開番号2024179392
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2023098205
出願日2023-06-15
発明の名称誘導加熱装置
出願人個人
代理人
主分類H05B 6/36 20060101AFI20241219BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】直進走行する長尺金属の誘導加熱装置の加熱効率の向上を図る。
【解決手段】直進する被加熱材を包囲して約1000℃に誘導加熱する装置であって、ソレノイド型誘導コイルの構造を従来の銅管からCCコンポジット管又は黒鉛管に螺旋溝を入れてコイルを形成したものに変更し、水冷を排除する。被加熱材への誘導加熱に抵抗発熱コイルの輻射加熱が付加され、加熱能力及び加熱効率の向上が得られる。コイルの導体断面積とコイルピッチを入側から出側に向けて傾斜的に増加させ、加熱能力を上流側優位に分配させ、コイルの実効長を拡大する。コイルの昇温(2000℃)と加熱時間増(2倍以上)により輻射加熱が有効になる。コイル出側の異常昇温(2600℃)が回避され、耐火物が耐久する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
直進する棒・線・条・平・板状の鋼材をソレノイド型コイルに貫通させて誘導加熱する装置であって、ソレノイド型コイルの導体材質を水冷銅管から黒鉛又はCCコンポジットに変更して抵抗発熱体の機能を併発させるとともにコイル長を拡張し、該ソレノイド型コイルの形状を入口側から出口側に向けて導体断面積とコイルピッチとをそれぞれ傾斜的に増加させて、抵抗加熱能力の分布を入口部で最大、出口部で最小としたことを特徴とする誘導加熱装置。
続きを表示(約 230 文字)【請求項2】
ソレノイド型コイルを内装する炉体の構造が、炉内を非酸化性にする雰囲気制御装置と、耐火物である黒鉛・アルミナ・アルミナ繊維・マグネシアのどれか2種以上を使用した多層の耐火断熱壁とを具備したことを特徴とする請求項1に記載した誘導加熱装置。
【請求項3】
被加熱材の目標加熱温度が1000±200℃の場合、ソレノイド型コイルの温度を1600℃以上2600℃以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した誘導加熱装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は直進する長尺金属の連続誘導加熱において、省エネルギーに適した誘導加熱装置に関している。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
金属、特に鉄鋼の加熱に当たって、その優れた冶金的特徴と便宜性からしばしば誘導加熱が適用される。誘導加熱の最大の特徴は、高エネルギー密度とそれに起因する急速加熱である。急速加熱により、鋼の表皮焼入、結晶粒微細化による強靱化、無脱炭処理等の冶金的効果が得られる。また非加熱材と誘導コイルの形状の整合により部分加熱、局所熱処理等も容易で特殊な応用であろう。
他方、問題として、高価な電力を使用するも加熱効率(=必要加熱量J/消費電力量J)があまり良くないことが挙げられる。高級品や小物であったり少量多品種生産であれば加熱効率は特に問題とされてこなかったが、省エネルギーは製品・設備の大小に関わらず喫緊の課題である。
【0003】
加熱効率に関わる理論的要因は概ね解明されている。従って装置の設計に際しては、被加熱物に対してコイル形状・周波数・起磁力(アンペアターン)・コイルと被加熱材間距離・コイル保護等の要因の適正化が図られる。
太い鋼材をキューリー点以下に加熱する場合、加熱効率は約80%に近い水準が得られるが、細径鋼線を約1000℃に加熱する場合、諸要因、特にコイル径比(=材料径/コイル径)の縮小により誘導効率が低く、加熱効率は50%に満たないことが多い。
【0004】
誘導加熱は交流の表皮効果を応用したものである。表皮効果は被加熱材だけでなく1次側導体にも発現する。誘導効率を強化すべく表皮効果を強化すると1次側の表皮効果作用の増加をもたらし、コイル発熱の増大となる。エネルギーロスは被加熱材側にもあるが、誘導コイル及び電源を含めた回路全体の方が大きい。
【0005】
特許文献1に事例があるように、誘導コイルは通常銅管を材料としてコイル状に形成し、冷却水路が組み込まれる。コイルの水冷が不都合であるわけではなく発熱が不都合である。発熱の一部でも利用できれば省エネルギーに寄与することになる。
【0006】
以上、誘導加熱の一般的な問題を提示したが、長物鋼材(棒鋼・線材・条鋼・平鋼・板材等)を直進させて連続的に誘導加熱する際の問題を検討する。
火炎炉又は輻射式電気加熱炉であれば、熱源から被加熱物への伝熱性は大きくないので炉長が長くなり、入口部は冷材の侵入により炉壁温度が低下する。出口部で炉壁・鋼材とも最高温度になる。入口部の加熱能力が強化されるがこの傾向は解消されない。また炉長・炉体の拡大は当然放熱損失の増大をもたし、加熱効率の低下となる。
対して誘導加熱では加熱能力・エネルギー密度が極めて大きく、且つ直接加熱であるので炉長(コイル長)は著しく短縮され、加熱能力はコイル各部ほぼ均等であり、放熱損失は僅かである。ただコイルの発熱損(投入電力の数10%で水冷により廃棄される)だけはどうすることもできない。
【0007】
特許文献2にはコイルの発熱損を回収する誘導加熱コイルが開示されている。それによると、コイルの材料を黒鉛で造形して従来の水冷銅管を排し、誘導加熱に併行してジュール熱によって赤熱したコイルから非加熱材に輻射加熱を上乗せし、加熱効率の向上を図る。黒鉛の空気酸化による消耗に対してはアルミナ粉末を溶射被覆する。
【0008】
当該方法の問題点を検討する。
第1に、被加熱物を1個ずつ出入して加熱する回分式にしろ、長尺物を貫通走行加熱する連続式にしろ、誘導加熱の加熱速度は通常火炎又は輻射加熱のそれの10倍から数10倍大きい。そうでないと誘導加熱の意味がない。加熱速度が大きいと言うことは加熱時間が極めて短いことになる。輻射加熱を上乗せしても短時間であるから加熱強化への寄与は小さいと帰結される。上記ハイブリ加熱を成功させるには当加熱時間不足問題を解決しなければらない。
解決案には超高温輻射による輻射の抜本強化の可能性が想定されるが、充分な定量的検討が不可欠であり、残念ながら記載や暗示はなされていない。
【0009】
第2に、誘導コイルには加熱能力に対応して通常大電流が付加されコイルの発熱が大きい。その上コイル内面に対面する被加熱物への伝熱面積は小さいので輻射量は大きくない。両作用からコイルは容易に昇温する。昇温は輻射伝熱を促進するが、外部への輻射放熱も増大し、効率低下を誘発する。発熱体コイルに耐火断熱体を周設して外部への熱損を軽減しようとすると異常高温による耐火物問題が発現する。
特に連続加熱の場合、コイル入口部は冷材の侵入によりコイルは冷却されるが出口部では異常昇温になりやすい。2600℃の超高温コイルを想定すると、誘導加熱に準ずる能力の増強も期待されそうだが、耐火物耐久の問題が解決不能になる。
電力損の軽減策としての誘導と輻射のハイブリ加熱は着想としては優れるが、実用化するためには、輻射を有効とするための超高温輻射と耐火物の耐久と言うトレードオフの関係を解決しなければならない。
両伝熱の10倍以上の出力比(被加熱側から見ると入力比)に起因する既述の加熱時間の本質的不足問題も、ある程度は超高温輻射に期待が持てそうだが、当該問題も解決しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
公開特許公報2022-082731
特許公報昭和41-7142
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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