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公開番号2025094287
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-25
出願番号2022078221
出願日2022-05-11
発明の名称焼成型導電性ペースト
出願人昭栄化学工業株式会社
代理人
主分類H05K 1/09 20060101AFI20250618BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】バインダ樹脂を含む焼成型の導電性ペーストを用いながら、膜厚でサイズが大きく、平坦で平滑な平板状導体膜を作成できるようにする。
【解決手段】ニッケルを主成分とし、平均粒径D50が0.05~1μmの範囲にある導電性粉末と、酸価が0~10の範囲内にあるアクリル樹脂と、前記アクリル樹脂を溶解する有機溶剤と、を含み、前記有機溶剤が、炭素量が3以上であり且つ沸点が300℃以下のアルコール系溶剤であり、ペースト中に含まれる水分量が0.5質量%未満であることを特徴とする焼成型導電性ペースト。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ニッケルを主成分とし、平均粒径D50が0.05~1μmの範囲にある導電性粉末と、
酸価が0~10の範囲内にあるアクリル樹脂と、
前記アクリル樹脂を溶解する有機溶剤と、
を含み、
前記有機溶剤が、炭素量が3以上であり且つ沸点が300℃以下のアルコール系溶剤であり、
ペースト中に含まれる水分量が0.5質量%未満であることを特徴とする焼成型導電性ペースト。
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
前記アクリル樹脂の配合量が前記導電性粉末100質量部に対して1~10質量部である請求項1記載の焼成型導電性ペースト。
【請求項3】
前記アルコール系溶剤の配合量が前記導電性粉末100質量部に対して10~100質量部である請求項1又は2に記載の焼成型導電性ペースト。
【請求項4】
少なくとも一辺が5.0cmの正方形を内在可能な形状であって厚さが0.5μm以上の平板状導体膜を形成するために用いられる請求項1に記載の焼成型導電性ペースト。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ニッケルを主成分とする導電性粉末を用いた焼成型導電性ペーストに関する発明であり、特には従来形成することが難しかった0.5μm以上の厚さを有し、少なくとも一辺が5.0cmの正方形を内在可能な形状の平板状導体膜の形成に適した焼成型導電性ペーストに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス分野において、電子回路や抵抗、コンデンサ、ICパッケージ等の部品を製造するために焼成型導電性ペーストが使用されている。焼成型導電性ペーストは金属、合金や金属酸化物等の導電性粉末を、必要に応じてガラス質結合剤やその他の添加剤と共に有機ビヒクル中に均一に混合分散させてペースト状としたものであり、基板上に適用した後、高温で焼成し、ペースト中に含まれる有機成分が分解し飛散することによって金属成分やガラス成分等の無機成分だけが残り、回路基板の配線や電極等の導体膜を形成する。
【0003】
前出の有機ビヒクルにはバインダ樹脂と呼ばれる樹脂成分が含まれている。そのため基板等の導体膜形成対象の上に焼成型導電性ペーストを塗布した後もすぐに周囲に流動せず、或る程度の厚みを有したまま塗布時の形状を維持することができる。そして、その後の焼成によってバインダ樹脂が分解飛散した後は、有機ビヒクル中に高濃度に分散されていた導電性粉末が互いに焼結して当初の塗膜形状を維持できるため、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等により所望のパターンに整形された導体膜が得られる。
【0004】
以上のように焼成型導電性ペーストは、比較的厚みのある厚膜導体が得られることから前出した用途に用いられる他、パターン印刷が可能であることから近年では一辺の長さが1mmにも満たない積層コンデンサや積層インダクタといった小型電子部品の電極形成にも広く用いられている。
【0005】
一方、用途によっては面積(サイズ)の大きい平板状の導体膜が必要とされる場合があり、従来は一般的にスパッタリング法や蒸着法、メッキ法等によって導体膜を形成されることが多かった。但し、これらの製法は生産設備が大型化するためコスト面で不利になる他、得られる導体膜は薄膜であることから、厚膜導体と比べた場合には導電性の高い導体膜を得ることが難しかった。なお、これらの製法でも得られた薄膜を何層も積み重ねることによって導電性の高い導体膜を得ることはできるが、その場合、製造コストの上昇が避けられない。
【0006】
その他に導電性インクを用いて面積の大きい平板状導体膜を作成することが知られている。導電性インクは、焼成型導電性ペーストと異なりバインダ樹脂を含んでおらず、低粘度の液状であることから平坦で平滑な平板状導体膜の形成に適している上に、スパッタリング法等と比べて簡便な生産設備で製造することが可能である。たとえば特許文献1には、平均一次粒径が10~30nmのニッケル粒子を分散媒に分散したニッケルインクを、スピンコーターでガラス基板上に塗布し、膜厚が400nmで、平均表面粗さがRa≦10nmの導体膜を形成することが記載されている。但し、特許文献1によって得られる導体膜はやはり薄膜であることから、高い導電性は望めない。
【0007】
また特許文献2には導電性成分としてギ酸ニッケルを使用し、これをエチレンアミンで分散した導電性インクが開示されている。エチレンアミンは粘稠で粘り気が強いため、バインダ樹脂を含まないにも拘わらず、膜厚3.66μmの導体膜が得られたと記載されている。しかしながらこの導電性インクは金属ニッケルの配合量に比べて有機成分を多量に含むため、3.66μmの膜厚を得るために、その30倍近い100μmの厚さの塗膜を形成しなければならない。そのため、特許文献2の導電性インクを用いてサイズの大きい平板状導体膜を形成した場合、塗膜全体から均一に有機成分を脱脂・揮発させることが難しく、平坦で平滑な導体膜を得るのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2007-146117号公報
特開2015-151512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者等はバインダ樹脂を含む焼成型導電性ペーストを用いて、膜厚でサイズの大きい平板状導体膜を形成しようと検討していたが、従来知られていた焼成型導電性ペーストを用いて大きなサイズ、たとえば一辺が5.0cm四方のサイズの平板状導体膜を作成すると、焼成後の導体膜表面がうねる等、平坦で平滑な平板状導体膜を得ることが難しかった。本発明者等はその原因が焼成炉に起因するものか、導電性ペーストに起因するものか、いろいろ検討したがついに特定するには至らなかった。しかしながら、いずれにしても焼成過程の塗膜中において局所的な熱収縮の差が生じたことに因るものと本発明者等は推測している。
【0010】
そこで本発明は、バインダ樹脂を含む焼成型の導電性ペーストを用いながら、膜厚でサイズが大きく、平坦で平滑な平板状導体膜を作成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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