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公開番号2024176426
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023094946
出願日2023-06-08
発明の名称内燃機関制御装置及び内燃機関の制御方法
出願人日立Astemo株式会社
代理人弁理士法人信友国際特許事務所
主分類F02D 45/00 20060101AFI20241212BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】ピストン温度の推定精度が低下することを抑制できる内燃機関制御装置及び内燃機関の制御方法を提供する。
【解決手段】内燃機関制御装置は、ピストン温度推定部12と、温度補正判定部15と、温度補正部14と、目標量算出部16と、を備えている。ピストン温度推定部12は、内燃機関のピストン温度を推定する。温度補正判定部15は、ピストン推定温度を補正する補正タイミングであるか否かを判定する。温度補正部14は、温度補正判定部15において判定された補正タイミングでピストン温度推定部12によって推定されたピストン推定温度を所定温度に補正する。目標量算出部16は、ピストン推定温度又は温度補正部によって所定温度に補正されたピストン温度に基づいて、内燃機関のアクチュエータの制御目標量を算出する。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関に設けたセンサからのセンサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて前記内燃機関のピストン温度を推定するピストン温度推定部と、
前記センサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて、前記ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を補正する補正タイミングであるか否かを判定する温度補正判定部と、
前記温度補正判定部において判定された前記補正タイミングで前記ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を所定温度に補正する温度補正部と、
前記ピストン温度推定部によって推定された前記ピストン推定温度又は前記温度補正部によって前記所定温度に補正された前記ピストン温度に基づいて、前記内燃機関のアクチュエータの制御目標量を算出する目標量算出部と、
を備えた内燃機関制御装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記温度補正判定部は、少なくとも前記ピストン温度が原因のノックが発生したタイミングを前記補正タイミングと判定する
請求項1に記載の内燃機関制御装置。
【請求項3】
前記温度補正判定部は、少なくとも前記ピストン推定温度とノック時の前記ピストン温度との偏差が所定以上の場合で、かつ、前記ピストン温度が原因のノックが発生したタイミングを前記補正タイミングと判定する
請求項2に記載の内燃機関制御装置。
【請求項4】
前記温度補正判定部は、前記内燃機関のオイルジェット流量が変化したときのノック強度の変化に基づいて、ノックの発生原因が、前記ピストン温度が原因のノックであるか否かを判定する
請求項2に記載の内燃機関制御装置。
【請求項5】
前記温度補正判定部は、点火時期が一定の状態で、前記オイルジェット流量の変化に対するノック強度の変化が予め設定した所定値よりも大きい場合、前記ピストン温度が原因のノックであると判定する
請求項4に記載の内燃機関制御装置。
【請求項6】
前記温度補正判定部は、オイルジェット流量が変化したときの点火時期の変化に基づいて、ノックの発生原因が、前記ピストン温度が原因のノックであるか否かを判定する
請求項2に記載の内燃機関制御装置。
【請求項7】
前記温度補正判定部は、ノック強度が一定の状態で、前記オイルジェット流量の変化に対する点火時期の変化が予め設定した所定値よりも大きい場合、前記ピストン温度が原因のノックであると判定する
請求項6に記載の内燃機関制御装置。
【請求項8】
前記温度補正判定部は、前記内燃機関の油温と水温との温度差に基づいて、ノックの発生原因が、前記ピストン温度が原因のノックであるか否かを判定する
請求項2に記載の内燃機関制御装置。
【請求項9】
前記温度補正判定部は、前記油温から前記水温を引いた温度差が予め設定した所定値より大きい場合に前記ピストン温度が原因のノックと判定する
請求項8に記載の内燃機関制御装置。
【請求項10】
前記温度補正部は、ノックが発生した際の前記ピストンの温度を前記所定温度に設定する
請求項1に記載の内燃機関制御装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関制御装置及び内燃機関の制御方法に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
通常、車両に搭載された内燃機関は、気温、湿度、気圧等の特定の環境条件で適合された各種アクチュエータの操作量に応じて動作する。例えば、実路走行時においては、適合時に想定する環境条件や内燃機関の運転条件から外れた条件で走行する場合がある。この環境条件は、各種センサを用いて検出され、検出した条件に応じた操作量の補正が行われる。
【0003】
また、実路走行時に、適合条件となるのは環境条件だけでなく、内燃機関そのものの状態(例えば壁温、冷却水温、部品)が変化し、適合時に想定した状態からずれる。このため、実路走行時に自動車の各種性能(燃費性能、排気性能)の向上には、内燃機関の状態を推定、検知することで運転中の状態を把握し、把握した内燃機関の状態に応じたアクチュエータの操作が重要になる。
【0004】
内燃機関の性能に関わる状態としては、内燃機関のピストン温度がある。ピストン温度は、燃費性能や排気性能に対して影響するアクチュエータの操作量に関連する物理量である。例えば、ピストン温度が高い条件では、ピストン近くのガスの加熱が進むため、異常燃焼(ノッキング)が発生しやすくする。一方で、ピストン温度が低い条件では、ピストンに付着した燃料が液体のまま残存しやすいため、未燃炭化水素や、すすの発生につながり排気性能が悪化する可能性がある。そのため、内燃機関に設けた各種アクチュエータを操作するためには、ピストン温度の推定精度を向上させることが求められている。
【0005】
ピストン温度を推定し、内燃機関に設けたアクチュエータを制御する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、エンジン状態推定部と、壁面温度推定部と、操作量算出部と、を備えた内燃機関制御装置が記載されている。エンジン状態推定部は、運転条件に関するパラメータ及び燃焼の化学的条件に関するパラメータ、動作状況に関するパラメータに基づいて、ガスから壁面へのエネルギ伝達量を算出する。壁面温度推定部は、ガスから壁面へのエネルギ伝達量に基づいて、壁面温度を推定する。そして、操作量算出部は、壁面温度推定部が推定した壁面温度に基づいて、内燃機関に設けたアクチュエータの操作量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2022-032184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、内燃機関内のガスからピストンへのエネルギ伝達量を時間積分することでピストン温度を推定していた。また、時間積分の過程で、内燃機関内のガスからピストンへのエネルギ伝達量に含まれる誤差が蓄積される。そのため、特許文献1に記載された技術では、ピストン温度の推定精度が時間経過とともに低下するという問題を有していた。
【0008】
本目的は、上記の問題点を考慮し、ピストン温度の推定精度が低下することを抑制できる内燃機関制御装置及び内燃機関の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するため、内燃機関制御装置は、ピストン温度推定部と、温度補正判定部と、温度補正部と、目標量算出部と、を備えている。ピストン温度推定部は、内燃機関に設けたセンサからのセンサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて内燃機関のピストン温度を推定する。温度補正判定部は、センサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて、ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を補正する補正タイミングであるか否かを判定する。温度補正部は、温度補正判定部において判定された補正タイミングでピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を所定温度に補正する。目標量算出部は、ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度又は温度補正部によって所定温度に補正されたピストン温度に基づいて、内燃機関のアクチュエータの制御目標量を算出する。
【0010】
また、内燃機関の制御方法は、以下(1)から(4)に示す処理を含む。
(1)内燃機関に設けたセンサからのセンサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて内燃機関のピストン温度をピストン温度推定部で推定する処理。
(2)センサ出力及びアクチュエータ操作量、内燃機関状態量に基づいて、ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を補正する補正タイミングであるか否かを温度補正判定部で判定する処理。
(3)温度補正判定部において判定された補正タイミングでピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度を所定温度に温度補正部で補正する処理。
(4)ピストン温度推定部によって推定されたピストン推定温度又は温度補正部によって所定温度に補正されたピストン温度に基づいて、内燃機関のアクチュエータの制御目標量を目標量算出部で算出する処理。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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