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公開番号2024176104
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023094362
出願日2023-06-07
発明の名称水素ガス製造システム及び水素ガス製造方法
出願人大陽日酸株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C25B 9/00 20210101AFI20241212BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】原料水と同等以上の重水素Dの含有比率を有する水素ガスを高い回収率で製造することが可能な水素ガス製造システムを提供する。
【解決手段】重水を含む原料水を収容する第1タンク10と、原料水を電気分解して水素ガスを発生させる電気分解装置30と、水素ガスを貯留する貯留器50と、原料水を第1タンク10から電気分解装置30に送液する送液装置20と、電気分解装置30で発生した水素ガスを貯留器50に送気する送気装置40と、を有し、送液装置40が、電気分解装置30内に残存する原料水の減少に伴い、第1タンク10から電気分解装置30に原料水を補充するように制御され、送気装置40が、補充の前後にわたり継続的に、電気分解装置30で発生した水素ガスを貯留器50に送気するように制御され、貯留器50が、補充の前後にわたり電気分解装置30で発生した水素ガスを貯留する水素ガス製造システム100。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
重水を含む原料水を収容する第1タンクと、
前記原料水を電気分解して水素ガスを発生させる電気分解装置と、
前記水素ガスを貯留する貯留器と、
前記原料水を前記第1タンクから前記電気分解装置に送液する送液装置と、
前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを前記貯留器に送気する送気装置と、
を有し、
前記送液装置が、前記電気分解装置内に残存する前記原料水の量の減少に伴い、前記第1タンクから前記電気分解装置に前記原料水を補充するように制御され、
前記送気装置が、前記補充の前後にわたり継続的に、前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを前記貯留器に送気するように制御され、前記貯留器が、前記補充の前後にわたり前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを貯留することを特徴とする水素ガス製造システム。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記電気分解装置が、
陽極を収容する陽極室と陰極を収容する陰極室とがイオン交換膜を介して隣り合う電気分解セルと、
前記第1タンクから供給される前記原料水を収容する第2タンクと、
前記第2タンクと前記陽極室とを連結し、前記第2タンクから前記陽極室に前記原料水を供給するための送液配管と、
前記陽極室と前記第2タンクとを連結し、前記陽極室から前記第2タンクに前記原料水を返送するための返送配管と、
前記送液配管及び前記返送配管を介して、前記第2タンクと前記陽極室との間で前記原料水を循環させる循環装置と、
を有する、請求項1に記載の水素ガス製造システム。
【請求項3】
重水を含む原料水を第1タンクに収容する工程と、
前記原料水を前記第1タンクから電気分解装置に送液する工程と、
前記電気分解装置にて前記原料水を電気分解して水素ガスを発生させる電気分解工程と、
前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを貯留器に送気する工程と、
を有し、
前記電気分解装置内に残存する前記原料水の量の減少に伴い、前記第1タンクから前記電気分解装置に前記原料水を補充し、
前記補充の前後にわたり継続的に、前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを前記貯留器に送気し、前記貯留器が、前記補充の前後にわたり前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを貯留することを特徴とする水素ガス製造方法。
【請求項4】
前記電気分解装置が、陽極を収容する陽極室と陰極を収容する陰極室とがイオン交換膜を介して隣り合う電気分解セルと、前記第1タンクから供給される前記原料水を収容する第2タンクと、を有し、
前記電気分解工程では、前記第2タンクと前記陽極室とを連結する送液配管を介して、前記第2タンクから前記陽極室に前記原料水を供給しつつ、前記陽極室と前記第2タンクとを連結する返送配管を介して、前記陽極室から前記第2タンクに前記原料水を返送することで、前記送液配管及び前記返送配管を介して、前記第2タンクと前記陽極室との間で前記原料水を循環させる、請求項3に記載の水素ガス製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解することにより水素ガスを製造する水素ガス製造システム及び水素ガス製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
天然に存在する水や水素ガス等を構成する水素原子の安定同位体として、質量数が1である(原子核が1個の陽子のみからなる)水素

H(以下、Hとも記す)と、質量数が2である(原子核が1個の陽子と1個の中性子からなる)重水素

H(以下、Dとも記す)と、質量数が3である(原子核が1個の陽子と2個の中性子からなる)三重水素

H(以下、Tとも記す)があり、D又はTの含有比率はHに比べて圧倒的に小さい。半導体製造分野や原子力分野においては、Dが特に有効となる用途が知られている。このため、Dの含有比率を高めた水や水素ガスを低コストで製造することが求められている。
【0003】
ところで、一般的な水素ガスの製造方法としては、水を電気分解して酸素ガスと水素ガスとを発生させる電気分解法がよく用いられている。電気分解法において、重水素濃縮水(通常の純水よりも重水素Dの含有比率が高められた水)を原料水として用いることで、重水素濃縮水素ガス(通常の水素ガスよりも重水素Dの含有比率が高められた水素ガス)を製造することが可能であることが知られている。特許文献1には、バッチ式の電気分解装置を用いて重水素濃縮水素ガスを発生させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平8-323154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原料水としての重水素濃縮水を電気分解して重水素濃縮水素ガスを得る場合、同位体効果により、原料水に含まれる軽水(H

O)が先に分解される。そのため、得られる水素ガス中の全水素原子に占めるDの含有比率は、電気分解開始直後は低く、徐々に上昇していくという経時変化が生じる。従来、重水素濃縮水素ガスを製造する際は、目的とするDの含有比率に達するまでに発生させた水素ガスを廃棄していたため、水素ガスの回収率が低く、製造コストが高くなるという課題があった。
【0006】
また、理論上は、電気分解装置に一度投入した重水素濃縮水(原料水)に含まれるDの全量を水素ガスに変換できれば、最終的に得られる水素ガス中の全水素原子に占めるDの含有比率は、原料水中の全水素原子に占めるDの含有比率と同等となる。しかし、実際の電気分解装置の運用においては、特許文献1に記載されるようなバッチ式の電気分解装置の場合は電極が原料水に浸かる必要があり、フロー式の電気分解装置の場合は送液ポンプを駆動させるために最低限の液量を確保する必要があり、電気分解装置内に原料水が残留することが避けられない。そのため、投入した原料水の全量を電気分解することは不可能であり、前述した経時変化が生じる事象も踏まえると、従来の水素ガス製造方法では、得られる水素ガス中の全水素原子に占めるDの含有比率は、原料水中の全水素原子に占めるDの含有比率よりも低くなるという課題があった。
【0007】
上記課題を鑑みて、本発明は、原料水中の全水素原子に占める重水素Dの含有比率と同等以上の重水素Dの含有比率を有する水素ガスを高い回収率で製造することが可能な水素ガス製造システム及び水素ガス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。電気分解装置から得られる水素ガスを貯留器で貯留することで、水素ガス中の全水素原子に占めるDの含有比率を経時的に平均化することができる。また、電気分解装置の運用上、装置内に残留した原料水中の全水素原子に占めるDの含有比率は、電気分解開始前よりも高くなっているため、電気分解装置内の原料水の量の減少に伴い、電気分解装置に重水素濃縮水(原料水)を補充することによって、Dの含有比率がより高い水素ガスを継続的に発生させることができる。これらを組み合わせることで、発生した水素ガスを廃棄することなく、原料水中の全水素原子に占めるDの含有比率と同等以上のDの含有比率を有する水素ガスを製造することができる。
【0009】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
【0010】
[1]重水を含む原料水を収容する第1タンクと、
前記原料水を電気分解して水素ガスを発生させる電気分解装置と、
前記水素ガスを貯留する貯留器と、
前記原料水を前記第1タンクから前記電気分解装置に送液する送液装置と、
前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを前記貯留器に送気する送気装置と、
を有し、
前記送液装置が、前記電気分解装置内に残存する前記原料水の量の減少に伴い、前記第1タンクから前記電気分解装置に前記原料水を補充するように制御され、
前記送気装置が、前記補充の前後にわたり継続的に、前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを前記貯留器に送気するように制御され、前記貯留器が、前記補充の前後にわたり前記電気分解装置で発生した前記水素ガスを貯留することを特徴とする水素ガス製造システム。
(【0011】以降は省略されています)

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