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公開番号2024110486
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-16
出願番号2023015057
出願日2023-02-03
発明の名称水電解システム
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人個人,個人
主分類C25B 15/023 20210101AFI20240808BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】熱線型半導体式の濃度測定部を用いて、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を精度良く取得することができる水電解システムを提供する。
【解決手段】水電解システムは、水の電気分解により酸素を生成する酸素極を含む水電解部と、酸素極から排出される排出ガスと、希釈ガスと、を混合可能な混合部と、混合部から送られる対象ガス中の水素濃度を測定する熱線型半導体式の濃度測定部と、濃度測定部が測定した水素濃度である測定水素濃度を、対象ガス中の酸素濃度を基準に補正して補正水素濃度とする濃度補正部と、補正水素濃度を用いて排出ガス中の水素濃度を算出する濃度算出部と、を備え、濃度補正部は、対象ガス中の酸素濃度が設定濃度以上である場合、測定水素濃度を増加補正して補正水素濃度とし、対象ガス中の酸素濃度が設定濃度より低い場合、測定水素濃度を減少補正して補正水素濃度とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水電解システムであって、
水の電気分解により酸素を生成する酸素極を含む水電解部と、
前記酸素極から排出される排出ガスと、希釈ガスと、を混合可能な混合部と、
前記混合部から送られる対象ガス中の水素濃度を測定する熱線型半導体式の濃度測定部と、
前記濃度測定部が測定した水素濃度である測定水素濃度を、前記対象ガス中の酸素濃度を基準に補正して補正水素濃度とする濃度補正部と、
前記補正水素濃度を用いて前記排出ガス中の水素濃度を算出する濃度算出部と、を備え、
前記濃度補正部は、
前記対象ガス中の酸素濃度が設定濃度以上である場合、前記測定水素濃度を増加補正して前記補正水素濃度とし、
前記対象ガス中の酸素濃度が前記設定濃度より低い場合、前記測定水素濃度を減少補正して前記補正水素濃度とする、水電解システム。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
請求項1に記載の水電解システムであって、
前記対象ガスは、前記排出ガスと前記希釈ガスとの混合ガスである、水電解システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水電解システムであって、さらに、
前記水電解システムの異常の有無を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記濃度算出部によって算出された前記排出ガス中の水素濃度が閾値濃度以上である場合、前記水電解システムに異常がある旨の出力を行う、水電解システム。
【請求項4】
請求項1に記載の水電解システムであって、さらに、
前記混合部への前記排出ガスの供給の実行と停止とを切替可能な供給切替部を備え、
前記希釈ガスは、前記水電解システムが設置された室内の空気であり、
前記混合部への前記排出ガスの供給が実行されている際、前記対象ガスは、前記排出ガスと前記希釈ガスとの混合ガスであり、
前記混合部への前記排出ガスの供給が停止されている際、前記対象ガスは、前記空気である、水電解システム。
【請求項5】
請求項4に記載の水電解システムであって、さらに、
前記水電解システムの異常の有無を判定する判定部を備え、
前記混合部への前記排出ガスの供給が実行されている際、前記判定部は、前記濃度算出部によって算出された前記排出ガス中の水素濃度が第1閾値濃度以上である場合、前記水電解システムに異常がある旨の出力を行い、
前記混合部への前記排出ガスの供給が停止されている際、前記判定部は、前記補正水素濃度が第2閾値濃度以上である場合、前記水電解システムに異常がある旨の出力を行う、水電解システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解システムに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、水の電気分解(電解)により酸素を生成する酸素極と水素を生成する水素極とを含む水電解システムが知られている。水電解システムにおいて生成された水素のうち一部は微量ではあるものの電解質膜を透過して酸素極に透過することがある。酸素極へと透過したのち酸素極から排出される排出ガス中に含まれる水素は、通常時であればほとんど検知されず検知されても非常に低濃度であるが、水電解システムにおいて異常が生じた場合の指標として水素濃度は精度良く取得されるべきである。特許文献1に開示されたガス生成システムは、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を検出する接触燃焼式ガスセンサを備えた水電解システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-9023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接触燃焼式ガスセンサでは、センサの測定対象となる対象ガスの燃焼およびその燃焼を促進する触媒の加熱が繰り返し行われることから、シンタリング等による劣化が生じやすい。また、接触燃焼式ガスセンサは、低濃度での分解能が高くない傾向にある。そのため、酸素極から排出される排出ガスを対象ガスとし、その対象ガスに微量に含まれ得る水素を検知対象とする場合には不適であった。一方、熱線型半導体式のセンサでは、耐久性が高く低濃度での分解能も高い反面、その測定値は排出ガス中に含まれる酸素の影響を受ける。このため、熱線型半導体式のセンサを用いても、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を精度良く取得しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、熱線型半導体式の濃度測定部を用いて、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を精度良く取得することができる水電解システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、水電解システムが提供される。この水電解システムは、水の電気分解により酸素を生成する酸素極を含む水電解部と、前記酸素極から排出される排出ガスと、希釈ガスと、を混合可能な混合部と、前記混合部から送られる対象ガス中の水素濃度を測定する熱線型半導体式の濃度測定部と、前記濃度測定部が測定した水素濃度である測定水素濃度を、前記対象ガス中の酸素濃度を基準に補正して補正水素濃度とする濃度補正部と、前記補正水素濃度を用いて前記排出ガス中の水素濃度を算出する濃度算出部と、を備え、前記濃度補正部は、前記対象ガス中の酸素濃度が設定濃度以上である場合、前記測定水素濃度を増加補正して前記補正水素濃度とし、前記対象ガス中の酸素濃度が前記設定濃度より低い場合、前記測定水素濃度を減少補正して前記補正水素濃度とする。
【0008】
熱線型半導体式の濃度測定部は、低濃度での分解能が高いことから、水素がほとんど検知されず検知されても非常に低濃度である対象ガス中の水素濃度の測定に用いるには好適である。また、熱線型半導体式の濃度測定部による測定の際には、濃度測定部表面へのガス吸着を利用して測定を行うため、加熱を原因としたシンタリング等による劣化は起きない。その一方で、濃度測定部が測定した水素濃度である測定水素濃度は、対象ガスに含まれる酸素の影響を受ける。具体的には、酸素濃度が大気組成よりも高い対象ガスを測定した場合には、酸素濃度が大気組成と同じである対象ガスを測定した場合と比べて、測定水素濃度は低くなる傾向にある。一方、酸素濃度が大気組成よりも低い対象ガスを測定した場合には、酸素濃度が大気組成と同じである対象ガスを測定した場合と比べて、測定水素濃度は高くなる傾向にある。このような傾向を考慮して、この構成によれば、測定水素濃度を対象ガス中の酸素濃度を基準に補正した補正水素濃度とすることから、どのような酸素濃度の対象ガスであったとしても、その対象ガスで測定された測定水素濃度の値を、酸素濃度が大気組成と同じであった場合に測定される値に近付けることができる。そして、酸素極から排出される排出ガスと希釈ガスとの混合ガスが対象ガスである場合には、そのような酸素の影響を軽減した補正水素濃度を用いて、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を算出することから、熱線型半導体式の濃度測定部を用いて、酸素極から排出される排出ガス中の水素濃度を精度良く取得することができる。
【0009】
(2)上記形態の水電解システムにおいて、前記対象ガスは、前記排出ガスと前記希釈ガスとの混合ガスであってもよい。
排出ガスに含まれる水は、濃度測定部表面へのガス吸着を阻害する虞がある。その点、この構成によれば、濃度測定部が測定する対象ガスは排出ガスと希釈ガスとの混合ガスであるため、排出ガスと比べて湿度が低下した対象ガスを濃度測定部が測定することから、水によるガス吸着の阻害を生じにくくすることができる。また、排出ガスが水素を含む場合、その排出ガスが希釈ガスで希釈されて対象ガスが生成されるため、希釈前の排出ガスと比べて水素濃度が低下した対象ガスを低濃度での分解能が高い濃度測定部が測定することから、測定水素濃度を精度良く検出することができる。そして、そのような測定水素精度を補正した補正水素濃度を用いて排出ガス中の水素濃度を算出することから、熱線型半導体式の濃度測定部を用いて、排出ガス中の水素濃度を一層精度良く取得することができる。
【0010】
(3)上記形態の水電解システムにおいて、さらに、前記水電解システムの異常の有無を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記濃度算出部によって算出された前記排出ガス中の水素濃度が閾値濃度以上である場合、前記水電解システムに異常がある旨の出力を行ってもよい。
この構成によれば、濃度算出部によって算出された排出ガス中の水素濃度が閾値濃度以上である場合、水電解システムに異常がある旨の出力が行われることから、水電解システムの異常に対して対応することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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