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公開番号
2024175031
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-17
出願番号
2024159052,2021551626
出願日
2024-09-13,2020-10-02
発明の名称
アトピー性皮膚炎の検出方法
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類
G01N
33/50 20060101AFI20241210BHJP(測定;試験)
要約
【課題】アトピー性皮膚炎を検出する新規な方法と、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の新規な判定方法の提供。
【解決手段】本発明によれば、対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎の検出方法が提供される。本発明によればまた、対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の判定方法が提供される。本発明によれば、アトピー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に対する治療効果を被験対象の生体試料に基づいて定量的に検出できる点で有利である。また、被験対象の生体試料は非侵襲的に採取したものを用いることができる点でも有利である。
【選択図】図13
特許請求の範囲
【請求項1】
対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎の検出方法。
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度とを比較する工程をさらに含む、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、対象がアトピー性皮膚炎に罹患していることが示される、請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記生体試料が体液である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項5】
対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の判定方法。
【請求項6】
前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度とを比較する工程をさらに含む、請求項5に記載の判定方法。
【請求項7】
前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、治療前の対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度またはアトピー性皮膚炎に罹った対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、あるいは、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異ならない場合に、治療効果があることが示される、請求項5または6に記載の判定方法。
【請求項8】
アトピー性皮膚炎に対する治療が、薬物療法またはプロアクティブ療法である、請求項5~7のいずれか一項に記載の判定方法。
【請求項9】
前記生体試料が体液である、請求項5~8のいずれか一項に記載の判定方法。
【請求項10】
前記脂質代謝物が、アラキドン酸代謝物、エイコサペンタエン酸代謝物およびドコサヘキサエン酸代謝物からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出方法または請求項5~9のいずれか一項に記載の判定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、先行する日本国出願である特願2019-184174(出願日:2019年10月4日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
続きを表示(約 9,500 文字)
【技術分野】
【0002】
本発明は、アトピー性皮膚炎の検出方法に関する。本発明はまた、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の判定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アトピー性皮膚炎(AD)は、憎悪と寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹によって特徴づけられる炎症性皮膚疾患である。ADは遺伝的な要素と環境的な要素の相互作用によって引き起こされるが、ADの患者数は近年増加しており、子供と成人の有症率はそれぞれ9.8~13.2%、2.5~9.4%と推定されている。また、乳児期におけるADの発症は、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎といった他のアレルギー性疾患の発症リスクを上昇させる報告もある。AD病変では、Th2細胞がIL-4やIL-13といったTh2サイトカイン、TARCといったケモカインと相関しており、血清TARCレベルはADのマーカーとして有用であることが知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Thijs J et al., Current Opinion in Allergy and Clinical Immunology, 15(5):453-460 (2015)
Judith L et al., J. Clin. Med, 4, 479-487(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アトピー性皮膚炎を検出する新規な方法を提供することを目的とする。本発明はまた、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の新規な判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは今般、アトピー性皮膚炎モデルマウスおよびアトピー性皮膚炎患者の生体試料中の脂質代謝物の量が健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物とは異なることを確認した。本発明者らはまた、前記の脂質代謝物濃度を指標にすることにより、アトピー性皮膚炎を検出できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎の検出方法または診断方法。
[2]前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度とを比較する工程をさらに含む、上記[1]に記載の検出方法または診断方法。
[3]前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、対象がアトピー性皮膚炎に罹患していることが示される、上記[1]または[2]に記載の検出方法または診断方法。
[4]前記生体試料が体液である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の検出方法または診断方法。
[5]対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎に対する治療効果の判定方法。
[6]前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度とを比較する工程をさらに含む、上記[5]に記載の判定方法。
[7]前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、治療前の対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度またはアトピー性皮膚炎に罹った対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、あるいは、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異ならない場合に、治療効果があることが示される、上記[5]または[6]に記載の判定方法。
[8]アトピー性皮膚炎に対する治療が、薬物療法またはプロアクティブ療法である、上記[5]~[7]のいずれかに記載の判定方法。
[9]前記生体試料が体液である、上記[5]~[8]のいずれかに記載の判定方法。
[10]前記脂質代謝物が、アラキドン酸代謝物、エイコサペンタエン酸代謝物およびドコサヘキサエン酸代謝物からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の検出方法もしくは診断方法または上記[5]~[9]のいずれかに記載の判定方法。
[11]前記脂質代謝物が、アトピー性皮膚炎に罹患した対象の生体試料中の濃度が健常な対象の生体試料中の濃度よりも高い傾向にあるものである、上記[1]~[4]および[10]のいずれかに記載の検出方法もしくは診断方法または上記[5]~[10]のいずれかに記載の判定方法。
[12]前記脂質代謝物が、13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGJ2、テトラノル-PGDM、20-ヒドロキシ-PGE2、15-ケト-PGE2、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGE2、テトラノル-PGEM、15-ケト-PGF2α、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGF1α、テトラノル-PGFM、6,15-ジケト-13,14-ジヒドロ-PGF1α、5-HpETE、17-HETE、11β-13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGF2α、PGK2、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGF1β、13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGE2、6-ケト-PGF1αおよびTXB2からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[11]に記載の検出方法もしくは診断方法または上記[11]に記載の判定方法。
[13]前記脂質代謝物が、アトピー性皮膚炎に罹患した対象の生体試料中の濃度が健常な対象の生体試料中の濃度よりも低い傾向にあるものである、上記[1]~[4]および[10]のいずれかに記載の検出方法もしくは診断方法または上記[5]~[10]のいずれかに記載の判定方法。
[14]前記脂質代謝物が、5-HETE、アラキドン酸(AA)、11β-13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGF2α、iPF2α-IV、EPA、4-HDoHE、10,17-DiHDoHEおよびPGD3からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[13]に記載の検出方法もしくは診断方法または上記[13]に記載の判定方法。
[15]前記脂質代謝物の濃度を質量分析法により測定する、上記[1]~[4]および[10]~[14]のいずれかに記載の検出方法もしくは診断方法または上記[5]~[14]のいずれかに記載の判定方法。
[16]脂質代謝物を含んでなる、アトピー性皮膚炎マーカー。
[17]前記脂質代謝物が、アラキドン酸代謝物、エイコサペンタエン酸代謝物およびドコサヘキサエン酸代謝物からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[16]に記載のアトピー性皮膚炎マーカー。
[18]前記脂質代謝物が、13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGJ2、テトラノル-PGDM、20-ヒドロキシ-PGE2、15-ケト-PGE2、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGE2、テトラノル-PGEM、15-ケト-PGF2α、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGF1α、テトラノル-PGFM、6,15-ジケト-13,14-ジヒドロ-PGF1α、5-HpETE、17-HETE、11β-13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGF2α、PGK2、13,14-ジヒドロ-15-ケト-テトラノル-PGF1β、13,14-ジヒドロ-15-ケト-PGE2、6-ケト-PGF1α、TXB2、5-HETE、アラキドン酸(AA)、iPF2α-IV、EPA、4-HDoHE、10,17-DiHDoHEおよびPGD3からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[16]または[17]に記載のアトピー性皮膚炎マーカー。
[19]アトピー性皮膚炎の治療薬または緩和剤の候補を対象に投与する工程と、前記対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程とを含んでなる、アトピー性皮膚炎の治療薬または緩和剤のスクリーニング方法。
[20]治療薬または緩和剤の候補の投与後の対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と比較する工程をさらに含む、上記[19]に記載のスクリーニング方法。
[21]治療薬または緩和剤の候補の投与後の対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、治療薬または緩和剤の候補の投与前の対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度またはアトピー性皮膚炎に罹った対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、あるいは、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異ならない場合に、前記治療薬または緩和剤の候補に治療効果があることが示される、上記[19]または[20]に記載のスクリーニング方法。
[22]生体試料中の脂質代謝物においてアトピー性皮膚炎マーカーを同定する方法であって、アトピー性皮膚炎に罹患した対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と、健常な対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程と、前記の測定した2つの濃度を比較する工程を含む方法。
[23]アトピー性皮膚炎に罹患した対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、当該脂質代謝物がアトピー性皮膚炎マーカーであることが示される、上記[22]に記載の同定方法。
[24]対象の生体試料中の脂質代謝物の定量手段を含んでなる、アトピー性皮膚炎の検出用キットまたは診断用キット。
[25](A)対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度を測定する工程と、(B)対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度と健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度とを比較する工程と、(C)対象の生体試料中の脂質代謝物の濃度が、健常な対象の生体試料中の当該脂質代謝物の濃度と有意に異なる場合に、対象がアトピー性皮膚炎に罹患していると決定する工程と、(N)アトピー性皮膚炎に罹患していると決定された対象に、アトピー性皮膚炎に対する治療を実施する工程を含んでなる、アトピー性皮膚炎の治療方法。
【0008】
本発明によれば、アトピー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に対する治療効果を被験対象の生体試料に基づいて定量的に検出できる点で有利である。また、被験対象の生体試料は非侵襲的に採取したものを用いることができる点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、アトピー性皮膚炎モデルマウスの作製手順を時系列で示す。
図2は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、2回目、3回目の刺激における背部皮膚の典型的な写真を示す。
図3は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、2回目、3回目の刺激における皮膚炎スコアを示す。データは平均±標準誤差(n=8)で示す。
**
P<0.01は処置前と比較した場合の有意差を示す。
図4は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、2回目、3回目の刺激におけるひっかき回数を示す。データは平均±標準誤差(n=8)で示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05、
††
P<0.01は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図5は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、2回目、3回目の刺激における耳の厚さを示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図6は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、2回目、3回目の刺激における背部の水分蒸散量(TEWL)を示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図7は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、3回目の刺激における背部皮膚病変部断片のHE染色像の典型例を示す。スケールバーは50μmを示す。
図8は、HE染色画像から測定したADモデルマウスの表皮肥厚を示す。データは平均±標準誤差(n=5-7)で示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図9は、ADモデルマウスのCAE染色の画像の典型例を示す(A:肥満細胞、B:好中球)。
図10は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、3回目の刺激におけるCAE染色の画像から定量した肥満細胞数(A)、好中球数(B)を示す。データは平均±標準誤差(n=5-7)で示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図11は、ADモデルマウスのMGG染色の画像の典型例を示す(好酸球)。
図12は、ADモデルマウスのDNFB処置前、1回目、3回目の刺激におけるMGG染色の画像から定量した好酸球数を示す。データは平均±標準誤差(n=5-7)で示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図13A~Cは、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGD2を経由した脂質メディエーターの量を示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図14A~Eは、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGE2を経由した脂質メディエーターの量を示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
††
P<0.01は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図15は、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGF2αを経由した脂質メディエーターの量を示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図16は、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGI2を経由した脂質メディエーターの量を示す。
*
P<0.05はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図17は、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来、COX下流のTXB2の量を示す。
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示す。
図18AおよびBは、ADモデルマウス尿中に排泄されたAA由来で、酵素非依存的酸化により産生する脂質メディエーターの量を示す。
*
P<0.05はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図19AおよびBは、ADモデルマウス尿中に排泄されたn-3系脂肪酸由来、LOX下流の脂質メディエーターの産生量を示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01はDNFB処置前と比較した場合の有意差を示し、
†
P<0.05、
††
P<0.01は1回目の刺激と比較した場合の有意差を示す。
図20A~Dは、ADモデルマウスの3回目のDNFB刺激後の皮膚病変部から抽出したcox-1(A)、cox-2(B)、mpges-1(C)、Akr1b3(D)、Txs(E)、H-pgds(F)、mpges-2(G)、cpges(H)およびL-pgds(I)のmRNA発現量を示す。データは平均±標準誤差(各n=5-7)で示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01は対照(溶媒処理)と比較した場合の有意差を示す。
図21は、ADモデルマウスの皮膚病変部のCOX-1、COX-2、mPGES-1、AKR1B3、溶媒(ビークル)、正常ヤギ血清、正常ウサギIgGおよびTXSの免疫染色画像の典型例を示す。スケールバーは50μmを示す。
図22AおよびBは、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGD2を経由した脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(各n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図23A~Dは、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGE2を経由した脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(各n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図24A~Cは、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGF2αを経由した脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図25は、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、COX下流のPGI2を経由した脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図26AおよびBは、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、LOX下流の脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図27は、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA由来、CYP下流の脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図28は、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたAA、AAの酵素非依存的酸化により生じた脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01は対照(n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図29は、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたEPAの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(各n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図30AおよびBは、AD患者(n=10-14)の尿中に排泄されたDHA由来でLOX下流の脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均値±標準誤差で示す。
*
P<0.05は対照(各n=3-4)と比較した場合の有意差を示す。
図31Aは、テープストリッピング(Tape Stripping)処置を行ったマウス(非アレルギー性皮膚炎モデルマウス)を用いた実験を時系列で示す。図31Bは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの背部皮膚断片のHE染色像の典型例を示す。スケールバーは50μmを示す。図31Cは、HE染色画像から測定した非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの表皮肥厚を示す。データは平均±標準誤差(n=4-7)で示す。図31Dは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの皮膚部から抽出したTslp、Il-4、Il-13およびCcl17のmRNA発現量を示す。データは平均±標準誤差(n=4-7)で示す。図31Eは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの尿中に排出されたAA由来、COX下流の脂質メディエーターの量を示す。データは内部標準に対する比率であり平均±標準誤差(n=4-7)で示す。
*
P<0.05はテープストリッピング処置を行った日(0日)と比較した場合の有意差を示す。図31Fは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの皮膚部から抽出したCox-2、mPGES-2、Akr1B3およびH-pgdsのmRNA発現量を示す。データは平均±標準誤差(n=4-7)で示す。図31Gは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの皮膚部の免疫染色画像の典型例を示す(左:ISO(アイソタイプ抗体による陰性対照)、右:AKR1B3抗体)。スケールバーは50μmを示す。
図32Aは、非アレルギー性皮膚炎モデルマウスのMGG染色の画像から定量した好酸球数(左)、好中球数(中)、肥満細胞数(右)を示す。データは平均±標準誤差(n=4-7)で示す。
*
P<0.05、
**
P<0.01は対照(n=4-7)と比較した場合の有意差を示す。非アレルギー性皮膚炎モデルマウスの尿中に排泄されたPGF2αを経由した脂質メディエーター(左)およびPGE2を経由した脂質メディエーター(中、右)の量を示す。
【発明の具体的説明】
【0010】
本発明において「脂質代謝物」とは、生体において酵素依存的酸化または酵素非依存的酸化(本明細書中「OX」ということがある)による分解で生じた脂質の分解物を意味し、炎症反応を制御する生理作用を持った脂質メディエーターを包含する。酵素依存的酸化は、生体内に存在する脂質代謝酵素により進行する。当該酵素としては、アトピー性皮膚炎の発症および進展に関連する脂質代謝酵素(好ましくはアトピー性皮膚炎の発症および進展により活性化される脂質代謝酵素)が挙げられ、例えば、シクロオキシゲナーゼ(本明細書中「COX」ということがある)、リポキシゲナーゼ(本明細書中「LOX」ということがある)(例えば、5-LOX、15―LOX)、シトクロムp450(本明細書中「CYP」ということがある)が挙げられる。また、酵素依存的酸化または酵素非依存的酸化により分解される脂質の例としては、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸が挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)
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