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公開番号2024168107
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023084533
出願日2023-05-23
発明の名称グラウト再注入工法
出願人オリエンタル白石株式会社
代理人個人,個人
主分類E01D 19/12 20060101AFI20241128BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約【課題】交通規制を伴わずに効率よく既設PC構造物のシースへグラウトを再注入することが可能なグラウト再注入工法を提供する。
【解決手段】PC構造物のシース内のグラウト未充填部分にグラウトを再注入するグラウト再注入工法において、PC構造物の下面からPC鋼材が挿通されたシースの直下の脇からシース近傍へ上方に縦孔を穿孔する縦孔穿孔工程と、前記縦孔に直角噴射治具を挿入し、この直角噴射治具からウォータージェットを噴射して前記シース周りのコンクリートを除去する横穿孔工程と、前横穿孔工程により露出した前記シースの露出部を開削するにシース開削工程と、前記シース開削工程で開削したシースの開削部分からグラウトを注入するグラウト注入工程と、を行う。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
既設PC構造物のシース内のグラウト未充填部分にグラウトを再注入するグラウト再注入工法であって、
既設PC構造物の下面からPC鋼材が挿通されたシースの直下の脇から上方に縦孔を穿孔する縦孔穿孔工程と、
前記縦孔に直角噴射治具を挿入し、この直角噴射治具からウォータージェットを噴射して前記シース周りのコンクリートを除去する横穿孔工程と、
前横穿孔工程により露出した前記シースの露出部を開削するシース開削工程と、
前記シース開削工程で開削したシースの開削部分からグラウトを注入するグラウト注入工程と、を備えること
を特徴とするグラウト再注入工法。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記シース開削工程では、前記横穿孔工程で露出したシース露出部にブラストショット装置を用いて高圧エアーで研磨材を噴射して開削すること
を特徴とする請求項1に記載のグラウト再注入工法。
【請求項3】
前記シース開削工程では、前記横穿孔工程で露出したシース露出部にブラストショット装置を用いて高圧エアーで研磨材を噴射して前記シース露出部に陥没部又は開削部を設け、その後、前記陥没部又は前記開削部に螺旋状の鋭利な先端を有する開削治具の前記先端を押し込んで開削すること
を特徴とする請求項1に記載のグラウト再注入工法。
【請求項4】
前記シース開削工程では、前記ブラストショット装置を用いて高圧エアーで研磨材を噴射するとともに、集塵機で前記縦孔内を吸引することにより、前記ブラストショット装置で噴射された研磨材を回収すること
を特徴とする請求項2又は3に記載のグラウト再注入工法。
【請求項5】
前記シース開削工程で噴射する前記研磨材は、珪砂であること
を特徴とする請求項2又は3に記載のグラウト再注入工法。
【請求項6】
前記グラウト注入工程では、真空ポンプでシース内を減圧し、その負圧を利用してグラウト注入し、その後、スネークポンプにより追加注入を行い、最後に加圧してシース内の空洞部にグラウトを充填すること
を特徴とする請求項1に記載のグラウト再注入工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、PC構造物のシース内のグラウト未充填部分にグラウトを再注入するグラウト再注入工法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、PC構造物におけるグラウトの再充填工事が活発化してきているが、その多くは主ケーブルに対する再充填工事が殆どである。また、PC構造が採用されている部材は、主桁に加えて、例えば床版が挙げられる。床版の場合、PC鋼材PC1は床版横締めや主ケーブルなど水平方向に配置されるのが一般的である(図1参照)。これらのPC鋼材PC1のシースS1内にグラウトが充填されていない場合を想定すると、グラウトの再充填を行う場合には、空洞部Caに対して注入孔を設ける必要がある(図2参照)。
【0003】
このため、端的に言うと、床版上面からの施工は容易であるが、床版上面から施工する場合、一般車両の通行を規制する必要があり、時間的制約や短時間で少数の施工を繰り返す必要があるなど、規制に伴う労務増や作業の効率化が図れないという問題がある。
【0004】
交通規制を伴わない方法を考案するならば、床版下面から空洞部Caへアプローチすることが必然であるが、シースのグラウト充填状況は既設のPC構造物の状況に応じて様々である。このため、例えば全断面が未充填であれば床版下面からの施工でも容易であるが、グラウトG1が幾らか充填されていれば床版下面から注入孔を設けようとしても、シース直下からではグラウトに直面することとなり、空洞部Caへの注入孔を設けることが困難となる。さらには、シースS1直下からの削孔を行えば、PC鋼材PC1を損傷させる恐れも十分にあり、PC構造物の性能を阻害する可能性がある。
【0005】
このような背景から、図2に示すように、シースS1の直下X1からの削孔ではなく、シースS1脇直下X2から施工することが考えられる。しかし、シースS1脇直下X2から縦孔Vhの削孔を行えば、シースS1上部側の斜線部のコンクリートC1が残ることとなり、別途、この斜線部のコンクリートC1を除去する方法が求められる。さらには、残ったコンクリートC1の先にあるシースS1を開削しなければ注入孔は完成しない。
【0006】
このため、図3に示すように、回転系のドリルD1等で先端を湾曲させて削孔する場合には斜線部のコンクリートC1の削孔やシースS1を開削することはできるが、シースS1内部のPC鋼材PC1を損傷させてしまうおそれがある。また、湾曲させるが故に、必要な曲げ半径を大きく確保しなければならず、縦孔Vhの削孔径が大きくしなければならず、PC構造物を損傷し、耐久性が低下するという問題が発生する。
【0007】
そのため、PC鋼材PC1を損傷させない方法としてウォータージェットによりコンクリートC1とシースS1の開削を実施しようとした場合には、シースS1がウォータージェットで開削される場合もあるが安定した作業性を確保することが困難である。以上のように、床版下面からのグラウト再充填には課題が多い。このため、交通規制を伴わずに床版下面からの施工でシースS1内のグラウトG1充填状況にかかわらず、効率よく作業ができ、PC鋼材PC1を損傷させるおそれもないPC構造物のグラウト再注入工法の開発が求められている。
【0008】
一方、ウォータージェットを直角に噴射する手段としては、特許文献1に、オープンケーソン1の内部空間に、高圧送水管3を垂下し、高圧送水管3の先端部には、高圧送水管3と直角にウォータージェット噴射管5を接続し、ウォータージェット噴射管5からオープンケーソン刃口内面へ向けて圧力水を噴射するオープンケーソンの施工方法が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0007]~[0009]、図面の図1~図3等参照)。
【0009】
また、特許文献2には、床版の上面を維持したまま床版ハンチ部の側方から床版ハンチ部のコンクリートをウォータージェットで所定の区間除去する段階と、コンクリートを除去した区間に補強部材を設置する段階と、床版上の通行を止めた後、補強部材を撤去して床版を撤去する段階とを含み、前記コンクリートを所定の区間除去する段階と補強部材を設置する段階とを区間を変えながら繰り返し、床版を撤去する区間の床版ハンチ部のコンクリートを除去する合成桁橋の床版の撤去方法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0021]~[0058]、図面の図1~図7等参照)。
【0010】
しかし、特許文献1に記載のオープンケーソンの施工方法や特許文献2に記載の合成桁橋の床版の撤去方法には、ウォータージェットを噴射管の直角方向に噴射することが記載されているものの、PC構造物におけるグラウトの再充填工事にそのまま適用できるものではなかった。
(【0011】以降は省略されています)

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