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公開番号
2024167060
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-29
出願番号
2024073707
出願日
2024-04-30
発明の名称
化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
C03C
21/00 20060101AFI20241122BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約
【課題】本発明は、CS
90
が圧縮応力の総量に対してより大きく、それによりset落下強度に優れる化学強化ガラスを提供することを目的とする。
【解決手段】厚さt[mm]を有する化学強化ガラスであって、圧縮応力層深さDOC[μm]が160t[μm]以上であり、表面からの深さ90μmにおける圧縮応力値CS
90
[MPa]を、引張応力の積分値ICT[MPa・μm]で除した値CS
90
/ICT[μm
-1
]が0.0012μm
-1
以上である化学強化ガラス。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
厚さt[mm]を有する化学強化ガラスであって、
圧縮応力層深さDOC[μm]が160t[μm]以上であり、
表面からの深さ90μmにおける圧縮応力値CS
90
[MPa]を、引張応力の積分値ICT[MPa・μm]で除した値CS
90
/ICT[μm
-1
]が0.0012μm
-1
以上である、化学強化ガラス。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
前記CS
90
が5+50t[MPa]以上である、請求項1に記載の化学強化ガラス。
【請求項3】
前記DOCを表面からの深さ50μmにおける圧縮応力値CS
50
[MPa]で除した値DOC/CS
50
が0.8μm/MPa以上である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
【請求項4】
前記CS
90
を表面からの深さ50μmにおける圧縮応力値CS
50
[MPa]で除した値CS
90
/CS
50
が0.30以上である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
【請求項5】
散乱光光弾性応力計で測定され、ガラス表面からの深さx[μm]における応力値CS
x
[MPa]のプロファイルにおいて、CS
x
≧0の範囲における応力CS
x
の1階微分の値CS
x
’が2未満である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
【請求項6】
散乱光光弾性応力計で測定され、ガラス表面からの深さx[μm]における応力値CS
x
[MPa]のプロファイルにおいて、CS
x
≧0の範囲における応力CS
x
の2階微分の値CS
x
’’が-0.02~0.06である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
【請求項7】
ガラス表面応力計で測定される、表面圧縮応力値CS
0
が750MPa以上である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
【請求項8】
下記条件のサンドペーパーセット落下強度試験により測定したset落下強度が40.5cm以上である、請求項1又は2に記載の化学強化ガラス。
条件:#80サンドペーパー上に前記化学強化ガラスを搭載した電子デバイス、または前記化学強化ガラスと前記化学強化ガラスを保持する筐体とを一体とさせた電子デバイス模擬構造体を30cmの高さから落下させる。前記化学強化ガラスが割れなければ落下高さを5cm上げて、再び落下させる。落下した後に前記化学強化ガラスが割れない限り、落下高さを5cm上げた高さから落下させる工程を繰り返す。前記化学強化ガラスが初めて割れる高さを割れ高さとする。10サンプルを用いて落下試験を実施し、10サンプルの平均割れ高さをset落下強度とする。
【請求項9】
厚さt[mm]を有する化学強化ガラスであって、
電子線マイクロアナライザーにより測定される化学強化ガラスの板厚方向のNaイオン濃度プロファイルから求められる、Naイオン拡散深さが290t[μm]以上であり、 化学強化ガラスの母組成におけるNa
2
O濃度と表面からの深さ50μmにおけるNa
2
O濃度との差分ΔNa50[mol%]に対する、化学強化ガラスの母組成におけるNa
2
O濃度と表面からの深さ90μmにおけるNa
2
O濃度との差分ΔNa90[mol%]の比ΔNa90/ΔNa50が0.55以上である、化学強化ガラス。
【請求項10】
化学強化ガラスの母組成におけるNa
2
O濃度[mol%]に対する前記ΔNa90[mol%]の比が1.26以上である、請求項9に記載の化学強化ガラス。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学強化ガラス及び化学強化ガラスの製造方法に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
携帯端末のカバーガラス等には、化学強化ガラスが用いられている。化学強化ガラスは、ガラスを硝酸ナトリウムなどの溶融塩組成物に接触させて、ガラス中に含まれるアルカリ金属イオンと、溶融塩組成物に含まれるよりイオン半径の大きいアルカリ金属イオンとの間でイオン交換を生じさせ、ガラスの表面部分に圧縮応力層を形成したものである。化学強化ガラスの強度は、ガラス表面からの深さを変数とする圧縮応力値(以下、CSとも略す。)で表される応力プロファイルに依存する。
【0003】
携帯端末等のカバーガラスは、落下した時などの変形によって割れることがある。このような破壊、すなわち曲げによる破壊を防ぐためには、ガラス表面における圧縮応力を大きくすることが有効である。そのため最近では700MPa以上の高い表面圧縮応力を形成することが多くなっている。
【0004】
一方、携帯端末等のカバーガラスは、端末がアスファルトや砂の上に落下した際に、突起物との衝突によって割れることがある。このような破壊、すなわち衝撃による破壊を防ぐためには、圧縮応力層深さを大きくして、ガラスのより深い部分にまで圧縮応力層を形成して強度を向上することが有効である。
【0005】
例えば、特許文献1には、ガラス表面からの深さ90μmにおける応力値CS
90
は、落下時の衝撃による割れ耐性の向上に寄与する値であることが記載されている。
【0006】
一方で、ガラス物品の表面部分に圧縮応力層を形成すると、ガラス物品中心部には、圧縮応力の総量に応じた引張応力(以下、CTとも略す。)が必然的に発生する。当該CT値が大きくなりすぎると、ガラス物品が破壊する際に激しく割れて破片が飛散する。CT値がその閾値(以下、CTリミットとも略す。)を超えると、ガラスが自壊して加傷時の破砕数が爆発的に増加し得る。CTリミットはガラス組成に対し固有の値である。
【0007】
したがって化学強化ガラスは、表面圧縮応力を大きくし、より深い部分にまで圧縮応力層を形成する一方で、CTリミットを超えないように、表層の圧縮応力の総量が設計される。
【0008】
スマートフォンに用いるガラス系材料の強度を評価する指標の一つとして、「set落下強度試験」がある。「set落下強度試験」は、スマートフォン筐体又はスマートフォンを模したモック板とガラス系材料とを貼り合わせたサンプルを落下させて、割れが発生した落下高さを強度の指標とする試験である。set落下強度は製品として使用される際のガラス系材料の強度を反映し得る指標である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
国際公開第2022/181812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、CTリミットに着目した所定の方法で化学強化処理を行うことでset落下強度の向上を図っている。しかしながら、応力プロファイルにおいてCS
90
をより大きくするという観点では不十分な場合があった。
(【0011】以降は省略されています)
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