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公開番号2024165630
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-28
出願番号2023081983
出願日2023-05-18
発明の名称皮膚の弛み予防改善シート
出願人有限会社ちょうりゅう
代理人個人
主分類A45D 44/22 20060101AFI20241121BHJP(手持品または旅行用品)
要約【課題】皮膚の弛みの予防・改善を可能とする、皮膚の弛み予防改善シートを提供する。
【解決手段】伸縮性機能を有し、皮膚の弛み部分を覆う予防改善部と、前記予防改善部を皮膚に密着させて保持する機能を有する粘着部と、前記粘着部を保護する機能を有する剥離部と、前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力を温存させる機能を有する収縮力温存部とを備え、下層から前記剥離部、前記粘着部、前記予防改善部、および前記収縮力温存部の順に設けられており、前記予防改善部の原料である溶液ポリマーを成形する際に生じる内部応力を、前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力として有し、使用時に、前記皮膚の弛み部分に貼付した後に前記収縮力温存部を取り除き、前記予防改善部内の前記持続的伸張負荷に抗する収縮力を放出させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
伸縮性機能を有し、皮膚の弛み部分を覆う予防改善部と、
前記予防改善部を皮膚に密着させて保持する機能を有する粘着部と、
前記粘着部を保護する機能を有する剥離部と、
前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力を温存させる機能を有する収縮力温存部とを備え、
下層から前記剥離部、前記粘着部、前記予防改善部、および前記収縮力温存部の順に設けられている、皮膚の弛み予防改善シートであって、
前記予防改善部の原料である溶液ポリマーを成形収縮する際に生じる内部応力を、前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力として有し、
使用時に、前記皮膚の弛み部分に貼付した後に前記収縮力温存部を取り除き、前記予防改善部内の前記持続的伸張負荷に抗する収縮力を放出させることを特徴とする、皮膚の弛み予防改善シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢や重力等による持続的伸張負荷を原因とする皮膚の弛みを予防改善するための、皮膚の弛み予防改善シートに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
古今東西、皮膚の弛みに悩む人々は数多く存在する。そもそも、皮膚の弛みとは、皮膚の水分や皮下脂肪の減少、真皮内の弾力線維や結合織線維の退化、変性、萎縮等により、皮膚の弾力性が失われて緩みができた状態のものを言う。皮膚の弛みは、加齢に伴う皮膚の老化現象の一種で、20歳頃から出現し、紫外線、寒冷、化粧品や外用薬の多用等の外因が増強因子となり、予防には、これらの外因を避け、栄養状態をよくし、精神および身体の過労を避けること等が大切であるとされている厄介なものである。治療としては、美容外科において、弛んだ皮膚を切り取る「弛み取り術」、あるいは、コラーゲンやヒアルロン酸注射術が行われている。しかし、その効果は、美容外科医の施術技術に委ねられ、術後のトラブルも稀ではなく、時には後戻りができないというリスクを背負うという問題があった。
【0003】
一部では、伸縮性テープを顔の「しわのばし」に使用した医療補助用伸縮性テープ(例えば、特許文献1参照)があり、特許文献1の明細書段落[0010]には、「[実施例]図11は実施例1の抗炎症剤を混入しない本発明テ-プの実施例で且つ用途の実施例であるが、目尻などの「しわ」をはさむようにしてテ-プを貼付しセパレ-タ-(4)を剥離すると、テ-プは縦方向即ち矢印(A″)方向に収縮するから、「しわ」は引き伸ばされ美顔用としても効を奏する。」と記載され、伸縮性テープによる、顔の「しわのばし」の方法が提案されている。しかし、上述の実施例では、上記本発明テ-プ13の収縮力により、目尻の「しわ」を引き伸ばすことは可能ではあるが、本発明テ-プ13を取り除けば、目尻の「しわ」は元に戻る。また、持続的伸張負荷に対する皮膚の生理的性質への考慮を怠ると、望まぬ結果を生じさせることも稀ではないという問題を含んでいる。そのため、上記テープを含む従来の医療用テープでは、医療用テープを「皮膚の弛みのばし」の用途として貼付し、それにより皮膚の弛みを予防することは容易ではなく、さらに、医療用テープによって皮膚の弛みの改善を可能とする術はなく、このような不利を適切に解決できる手段がなかったのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平06-339495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、皮膚の弛みの予防に留まらず、改善をも可能とする使用効果の高い、皮膚の弛み予防改善シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の皮膚の弛み予防改善シートは、加齢や重力等による持続的伸張負荷を原因とする皮膚の弛みを予防改善するためのシートであって、伸縮性機能を有し、皮膚の弛み部分を覆う予防改善部と、前記予防改善部を皮膚に密着させて保持する機能を有する粘着部と、前記粘着部を保護する機能を有する剥離部と、前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力を温存させる機能を有する収縮力温存部とを備え、下層から前記剥離部、前記粘着部、前記予防改善部、および前記収縮力温存部の順に設けられており、前記予防改善部の原料である溶液ポリマーを成形収縮する際に生じる内部応力を、前記予防改善部内に持続的伸張負荷に抗する収縮力として有し、使用時に、前記皮膚の弛み部分に貼付した後に前記収縮力温存部を取り除き、前記予防改善部内の前記持続的伸張負荷に抗する収縮力を放出させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚の弛み予防改善シートは、持続的伸張負荷に対する皮膚の生理的性質に着目し、前記シートの予防改善部の原料である溶液ポリマーを成形収縮する際に生じる内部応力を利用することで、加齢や重力等による持続的伸張負荷を原因とする皮膚の弛みに対し、皮膚の弛み部分が被る持続的伸張負荷を減少させる効果が極めて高い。また、持続的伸張負荷が除かれると皮膚は縮み、張りのある皮膚へと元に戻るという皮膚の生理的性質を効率よく働かせることができ、皮膚の弛みの予防に留まらず、改善をも可能とし、使用効果の高い機能を備える。特に、美容外科において「弛み取り術」が困難とされる、頚部や手の甲等に対しても、使用者自身が安全かつ容易に効率よく使用することができ、使用効果の高い、皮膚の弛み予防改善シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す皮膚の弛み予防改善シートの未貼付時の状態を示す概略断面図である。
図2は、図1に示した皮膚の弛み予防改善シートの剥離部4を取り除き、粘着部3により皮膚6に密着させて保持させた貼付時の状態を示す概略断面図である。
図3は、図2に示す状態から収縮力温存部5を取り除いた状態を示す概略断面図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態を示す皮膚の弛み予防改善シートの製造過程を示す概略断面図であり、後に予防改善部2となる溶液ポリマー1を収縮力温存部5の上層に塗布した工程を示す。
図5は、本発明の第1の実施の形態を示す皮膚の弛み予防改善シートの製造過程を示す概略断面図であり、溶液ポリマー1を製膜し、持続的伸張負荷に抗する収縮力を温存させた状態で予防改善部2と収縮力温存部5を積層する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねていく過程で、持続的伸張負荷に対する皮膚の生理的性質に着目した。皮膚には、持続的伸張負荷が加わると皮膚は伸び、持続的伸張負荷が除かれると皮膚は縮み、張りのある皮膚へと元に戻るという生理的性質がある。例えば、皮膚が伸びる一例として、イヤリングの長期間使用による耳垂(耳たぶ)の変化が挙げられる。これは、イヤリングの重さが、耳垂(耳たぶ)の皮膚に対する持続的伸張負荷となり、持続的伸張負荷が加わると皮膚は伸びるという生理的性質に従い、耳垂(耳たぶ)の皮膚が伸びる。この現象は、イヤリングが重く、使用期間が長いほど顕著となる。ここで、イヤリングの使用を継続的に中止する。すると、一定期間の経過の後、耳垂(耳たぶ)の皮膚は徐々に縮み始め、張りのある皮膚へと元に戻る。これは、耳垂(耳たぶ)の皮膚からイヤリングの重さが取り除かれ、持続的伸張負荷が軽減された状態となり、持続的伸張負荷が除かれると皮膚は縮み、張りのある皮膚へと元に戻るという生理的性質に従い、変化したことを意味する。耳垂(耳たぶ)の皮膚に限らず、人体のどの部位においても皮膚の生理的性質は生じる。それは、腹部の皮膚においても同様で、胎児の成長と共に妊婦の腹部の皮膚が伸び、出産後に腹部の皮膚が徐々に縮んでいくのも、胎児の重さが妊婦の腹部の皮膚に対する持続的伸張負荷となり、持続的伸張負荷の増減に、皮膚の生理的性質が従うためである。なお、イヤリングの重さが耳垂(耳たぶ)の皮膚に対する持続的伸張負荷となる問題は、イヤリングの使用中止により、胎児の重さが妊婦の腹部の皮膚に対する持続的伸張負荷となる問題は、出産により解決される。但し、持続的伸張負荷が加わると皮膚は伸びるという性質は、持続的伸張負荷により、皮膚が際限なく伸びるというものではない。例えば、胎児の重さが妊婦の腹部の皮膚に対する持続的伸張負荷となり、腹部の皮膚は伸びていくが、多胎妊娠や小柄な妊婦等では、腹部の皮膚への追従可能な限度を超えた過剰な持続的伸張負荷となる。その結果、真皮や皮膚組織の一部に断裂が生じ、妊娠線と呼ばれる赤紫色で凹凸している線が出現する。妊娠線は妊娠時だけでなく、肥満等に伴う皮膚への過剰な持続的伸張負荷によっても生じる。
【0010】
次に、顔面の皮膚について考察する。顔面の皮膚は、その下層に位置する表情筋の動き(収縮)による伸張負荷を受けるため、国や地域の文化や言語等の異なりにより、顔面の皮膚の弛みの発生が異なる。ここで、日本人と欧米人の顔の表情の異なりを例に説明する。日本人の顔の表情は、近年の欧米化等により急速な変化を遂げているが、伝統的には、幼年期から感情をはっきり顔に出すことは差し控えるように訓練され、喜怒哀楽や愛憎の表現を意識的に抑制する。これは、感情表現の抑制、特に否定的な感情表現を抑えることが、日本人にとっては大人らしい、思慮深い教養ある行為とされているからである。一方、欧米人の顔の表情は、自由に、表情豊かに、感情をはっきり顔に出す。楽しさ、嬉しさ、共感のような積極的な感情でも、悲しみなどの否定的な感情でも、同程度に感じるままを表に出す。この双方の表情の違いによって、日本人の顔面の皮膚は欧米人より、表情筋の動き(収縮)による伸張負荷を受ける回数や時間が少なく、顔面の皮膚の弛みの発生が少なくなり、日本人は欧米人より、見掛け年齢が実年齢より若く評価される一因となっている。また、立位で正面から撮影された顔は、現在の顔、仰臥位で上から撮影された顔は、過去の顔、お辞儀をし下から撮影された顔は、将来の顔、と語られる程、姿勢の変化に伴い顔面の皮膚に対する重力の方向は変化し、その影響により顔面の皮膚の弛みにも変化が生じる。そして、皮膚の厚みは均一ではなく、部位や個人差によって異なり、下層に位置する筋肉や腱等による様々な持続的伸張負荷を受けるため、重力による、皮膚の自重が皮膚に対する持続的伸張負荷となる問題の解決は容易ではない。なぜなら、成人では、皮膚全体を一枚に広げると約1.6m

、畳一枚程度の面積があり、その重さは皮下組織も含めると体重の16%にも及ぶ。体重50kgの場合、皮膚の重さは8kgとなる。よって、皮膚の自重が皮膚に対する持続的伸張負荷となり、持続的伸張負荷が加わると皮膚は伸びるという皮膚の生理的性質を働かせてしまう問題の解決には、より積極的に皮膚の自重に抗し、皮膚を持続的に収縮させることが不可欠となる。
(【0011】以降は省略されています)

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