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公開番号
2024165150
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023081056
出願日
2023-05-16
発明の名称
SARS-CoV-2中和抗体
出願人
花王株式会社
,
株式会社Epsilon Molecular Engineering
,
学校法人北里研究所
代理人
弁理士法人アルガ特許事務所
主分類
C12N
15/13 20060101AFI20241121BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】SARS-CoV-2及びその変異株に対して幅広く結合活性及び中和活性を示すシングルドメイン抗体及びその利用法を提供する。
【解決手段】下記(a)又は(b)で示されるエピトープに結合する抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列の33番目のチロシンから43番目のシステインまでの領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ、及び配列番号1で示されるアミノ酸配列の124番目のアスパラギン酸から137番目のロイシンまでの領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列の51番目のチロシンから56番目のフェニルアラニンまでのアミノ酸領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ及び178番目のグリシンから194番目のバリンまでの領域又はこれに相当する領域に含まれるエピトープ
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記(a)又は(b)で示されるエピトープに結合する抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列の33番目のチロシンから43番目のシステインまでの領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ、及び配列番号1で示されるアミノ酸配列の124番目のアスパラギン酸から137番目のロイシンまでの領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列の51番目のチロシンから56番目のフェニルアラニンまでのアミノ酸領域又はこれに相当するアミノ酸領域に含まれるエピトープ及び178番目のグリシンから194番目のバリンまでの領域又はこれに相当する領域に含まれるエピトープ
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
前記(a)で示されるエピトープに結合する抗体が、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるCDR1と、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるCDR2と、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む構造ドメインを1つ以上有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記(b)で示されるエピトープに結合する抗体が、配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるCDR1と、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるCDR2と、配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む構造ドメインを1つ以上有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
単一ドメイン抗体、少なくとも1つの当該単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体多量体、又は少なくとも1つの当該単一ドメイン抗体と他の分子を連結させた抗体のいずれかである、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
前記単一ドメイン抗体がヒト化された特徴を有する、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の抗体をコードする核酸。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項記載の抗体を含む、SARS-CoV-2感染症の治療薬。
【請求項8】
前記(a)で示されるエピトープに結合する抗体と前記(b)で示されるエピトープに結合する抗体を組み合わせてなる、SARS-CoV-2感染症の治療薬。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はSARS-CoV-2を中和する抗体に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
SARS-CoV-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)は、SARS-CoVやMERS-CoVと同様ベータコロナウイルス属に属し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。2019年に中国湖北省武漢市付近で発生が初めて確認され、その後、COVID-19の世界的流行を引き起こしている。
【0003】
SARS-CoV-2は、一般的なコロナウイルスと同様に、4つの構造タンパク質、16の非構造タンパク質(nsp1-16)、及びいくつかの付属タンパク質をコードする大きなポジティブセンスRNAゲノムを有している。構造タンパク質は、スパイクタンパク質、ヌクレオカプシド、膜タンパク質、エンベロープタンパク質から成り、スパイクタンパク質は、受容体結合を担うN末端のS1サブユニットと膜融合を担うC末端のS2サブユニットから構成される。S1サブユニットはさらに、N末端ドメイン(NTD)、受容体結合ドメイン(RBD)、サブドメイン1(SD1)、サブドメイン2(SD2)に分割されている。S2サブユニットは、さらに、融合ペプチド(FP)、ヘプタドリピート1(HR1)及びヘプタドリピート2(HR2)に分割されていることが知られている(非特許文献1参照)。
【0004】
SARS-CoVと同様に、SARS-CoV-2は、そのスパイクタンパク質を介して宿主細胞受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と結合して細胞内に侵入する。受容体との結合は、スパイク蛋白質の構造変化を引き金とし、活性化状態へと変化させる。活性化されたスパイクは、S1/S2部位でプロテアーゼ(SARS-CoV及びSARS-CoV-2ではTMPRSS2)によって切断され、S1サブユニットが放出され、S2サブユニット上のFPが露出する。FPは標的細胞膜に挿入され、HR1とHR2がリフォールドして融合後のコンフォメーションを形成し、標的細胞とのウイルス膜融合を促進することが知られている(非特許文献2参照)。
【0005】
低温電子顕微鏡や結晶解析によるSARS-CoV-2三量体スパイクのプレフュージョンコンフォメーションやSARS-CoV-2スパイクRBDと完全長ヒトACE2の構造解析が進んでおり、ACE2への結合様式の解明やヒトACE2とのより強い接触を形成するRBD上の重要な変異点の知見、更には、SARS-CoVとSARS-CoV-2のRBDを標的とする交差反応性抗体の同定に向けたエピトープの洞察が提供されている。さらに、SARS-CoV-2スパイク蛋白質の糖鎖解析から、SARS-CoV-2スパイク蛋白質は、SARS-CoV同様に多くのグリコシル化部位を有しており、その中でもSARS-CoVには無い、ユニークなグリコシル化部位も報告されており、この様な特異な糖鎖がエピトープのマスキングを介した免疫回避を促進する可能性があることも報告されている(非特許文献3参照)。
【0006】
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、宿主細胞にウイルスが侵入する際に不可欠な役割を果たしており、中和抗体の主要な標的となる。コロナウイルスS1サブユニットの機能性と高い免疫原性のため、これまでにコロナウイルスに対して特徴づけられたほとんどの中和抗体は、S1サブユニット、特にRBDを標的としていることが報告されている。また、以前のSARS及びMERSの感染の流行中にもいくつかの中和抗体が開発され、コロナウイルス感染症の治療での使用の可能性が証明されている。
しかし、SARS-CoV RBDに特異的な多くの既知の中和抗体(S230、m396、80Rなど)は、1μMまでの濃度でもSARS-CoV-2に結合せず、一方で、単一のB細胞の選別によってSARS-CoV-2感染者から単離されたモノクローナル抗体はいずれも、SARS-CoVのRBDと交差反応を示さないことが報告されている。この様に、多くの既存の中和抗体は交差反応性に乏しいが、SARS-CoVとSARS-CoV-2の両方に中和活性を示す47D11やS309といったIgG抗体やシングルドメイン抗体としてVHH-72-Fc等が存在することも報告されている(非特許文献3参照)。現在までに、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を標的とした中和抗体薬が世界各国で承認されている。
【0007】
COVID-19はその発生から3年以上経った2023年2月現在においても完全な収束には至らず、その原因の1つはSARS-CoV-2変異株の出現によるものである。SARS-CoV-2変異株では、スパイクタンパク質のアミノ酸配列に様々な変異(アミノ酸の置換、欠損又は挿入)が生じており、従来のウイルス株と比較しての感染力や抗原性の変化が確認されている。国立感染症研究ではこうしたSARS-CoV-2の変異のリスクを分析し、その評価に応じて、変異株を「懸念される変異株(VOC)」と「注目すべき変異株(VOI)」と定めている。これまでに、SARS-CoV-2変異株が世界各地で出現しており、現在ではVOCの1つであるオミクロン株が世界的な流行株として広まっている。さらに、承認されている中和抗体薬の中にはVOCの1つであるオミクロン株に対する中和活性が低下することが報告されている(非特許文献4参照)。そのため、SARS-CoV-2変異株の流行を抑制するためには、既存の変異株だけでなく将来的に出現する新規変異株に対しても有効な中和抗体の開発が重要である。
【0008】
免疫応答における抗体は、生体が感染によって抗原と接触した後、比較的感染初期に患者の血中で増加するイムノグロブリンM(以下、「IgM」と略すことがある)と、その後に増加するIgG等があることが知られている。ここで、一般的なIgは軽鎖と重鎖とで構成されているが、ラクダ科の動物は、軽鎖を含まない重鎖抗体を産生することが知られている。また、重鎖抗体の可変領域を含む単一のドメインは、天然のシングルドメインであり、それ自身でも抗体として機能する。このため、「単一ドメイン抗体」(以下、「VHH」と略すことがある。)と呼ばれている。
ウイルスの立体構造エピトープが、例えば、酵素ポケットのような穴状の構造や、ドメイン間の割目の構造部分を含む場合、従来のIgGではその大きさからこうしたエピトープに結合することができなかった。これに対し、上記のVHHは、その分子量がIgG抗体の10分の1と小さいため、上記のような構造のエピトープにも結合することができ、多くの糖鎖で修飾されたウイルス粒子の表面等にも結合できるため、標的分子になり得る分子の幅が広くなる。
【0009】
さらに、VHHは耐酸性や耐熱性にも優れており、IgGとは異なって培養細胞で産生させる必要がなく、微生物等で生産することができる。このため、量産しやすく、精製も容易であるという利点がある。さらに、VHHは1本鎖のペプチドで構成されているため、蛋白質工学の技術又は化学修飾等の技術を用いて機能の改変がしやすく、抗体薬物複合体(ADC)を作製しやすいという特徴を有することが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Neutralizing nanobodies bind SARS-CoV-2 spike RBD and block interaction with ACE2. Nat Struct Mol Biol. 2021;28:326.
Development of multi-specific humanized llama antibodies blocking SARS-CoV-2/ACE2 interaction with high affinity and avidity. Emerging Microbes & Infections 2020;9;1034-1036
Structural Basis for Potent Neutralization of Betacoronaviruses by Single-Domain Camelid Antibodies. Cell 2020;181:1004-1015.
Efficacy of Antibodies and Antiviral Drugs against Omicron BA.2.12.1, BA.4, and BA.5 Subvariants. N Engl J Med. 2022;387:468-470.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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