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公開番号2024161744
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076727
出願日2023-05-08
発明の名称光制御デバイスおよびその駆動方法
出願人日本放送協会
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G02F 1/295 20060101AFI20241113BHJP(光学)
要約【課題】導波路を増加させたときの回路規模の増大を抑制できる光制御デバイスを提供する。
【解決手段】光制御デバイス1は、光を入力する光入力部3と、複数の導波路9を有して当該複数の導波路9を通過する光の位相が制御される位相制御部5と、位相が制御された光を出力する光出力端7と、位相制御部5を駆動させる駆動回路部2と、を備え、駆動回路部2は、位相制御部5の導波路9ごとに設けられた位相制御分割電極21と、複数の位相制御分割電極21のそれぞれに平面視において重なるように形成された共通電極25と、を備え、それぞれの位相制御分割電極21は、導波路9に沿った一方向に並んで互いに離間して絶縁された複数の制御電極Eからなり、平面視において、複数の位相制御分割電極21全体における複数の制御電極Eは、導波路9に沿った一方向を行とし、且つ、複数の導波路9が並ぶ方向を列とするマトリクスに配置されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
光を入力する光入力部と、複数の導波路を有して当該複数の導波路を通過する光の位相が制御される位相制御部と、位相が制御された光を出力する光出力端と、前記位相制御部を駆動させる駆動回路部と、を備える光制御デバイスであって、
前記駆動回路部は、
前記位相制御部の導波路ごとに設けられた位相制御分割電極と、
複数の前記位相制御分割電極のそれぞれに平面視において重なるように形成された共通電極と、を備え、
それぞれの前記位相制御分割電極は、導波路に沿った一方向に並んで互いに離間して絶縁された複数の制御電極からなり、
平面視において、複数の前記位相制御分割電極全体における複数の制御電極は、導波路に沿った一方向を行とし、且つ、複数の導波路が並ぶ方向を列とするマトリクスに配置されていることを特徴とする光制御デバイス。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
複数の前記位相制御分割電極は導波路に沿った全長がそれぞれ等しく、
平面視において、前記マトリクスの行に配置されたすべての制御電極は、導波路に沿った長さがそれぞれ異なり、且つ、前記マトリクスの列に配置されたすべての制御電極は、導波路に沿った長さがそれぞれ同じであり、前記制御電極の長さが短いものほど前記光出力端の側または前記光入力部の側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光制御デバイス。
【請求項3】
前記制御電極の長さが最短のものを単位電極として、前記単位電極以外の制御電極は、前記単位電極の長さを2のべき乗倍した長さを有することを特徴とする請求項2に記載の光制御デバイス。
【請求項4】
前記駆動回路部は、
制御周期ごとに、位相制御をする場合、前記複数の導波路のそれぞれにおいて前記複数の制御電極の少なくとも1つを選択し、選択した制御電極を駆動するTTLレベルの駆動信号をそれぞれ生成する制御回路部と、
前記制御電極ごとに設けられ、入力する前記駆動信号が示す電圧を一時的に保持する一時記憶部と、
前記制御電極ごとに設けられ、前記一時記憶部に保持された電圧に基づいて位相制御電圧を当該制御電極に印加するドライバ回路と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光制御デバイス。
【請求項5】
複数の前記一時記憶部は、
前記制御電極ごとに設けられ、前記制御電極を駆動する駆動信号が示す電圧を第1書き込み信号に応じて保持する第1メモリと、
前記制御電極ごとに設けられ、前記第1メモリが保持する電圧を第2書き込み信号に応じて保持する第2メモリと、を備え、
前記ドライバ回路は、前記第2メモリが保持する電圧、または当該電圧をレベルシフトした所定電圧を前記位相制御電圧として当該制御電極に印加し、
前記制御回路部は、
前記駆動信号を生成し、前記マトリクスの列ごとに前記第1メモリへ前記駆動信号をそれぞれ出力する駆動信号発生回路と、
前記マトリクスの行ごとに前記第1メモリへ前記第1書き込み信号を出力することで当該導波路を選択する導波路選択回路と、
すべての前記第2メモリへ前記第2書き込み信号を出力することですべての前記第2メモリがそれぞれ保持する電圧を前記制御周期ごとに書き換えるドライブ信号書き換え回路と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の光制御デバイス。
【請求項6】
複数の前記一時記憶部は、
前記マトリクスの列ごとに設けられ、当該マトリクスの列において各行にそれぞれに対応した複数の制御電極を駆動する複数の駆動信号が示す複数の電圧をクロック信号の立ち上がりごとにそれぞれ保持し、保持される複数の電圧に対応した複数の出力を有するシフトレジスタと、
前記制御電極ごとに設けられ、前記シフトレジスタが保持する複数の電圧のいずれかに対応した出力に接続されて当該複数の電圧のいずれかを書き込み信号に応じて保持するメモリと、を備え、
前記ドライバ回路は、前記メモリが保持する電圧、または当該電圧をレベルシフトした所定電圧を前記位相制御電圧として当該制御電極に印加し、
前記制御回路部は、
前記マトリクスの行ごと且つ列ごとに駆動信号を生成し、生成した駆動信号を複数の前記シフトレジスタへそれぞれ出力する駆動信号発生回路と、
複数の前記シフトレジスタへ共通のクロック信号を出力するクロック発生回路と、
すべての前記メモリへ前記書き込み信号を出力することですべての前記メモリがそれぞれ保持する電圧を前記制御周期ごとに書き換えるドライブ信号書き換え回路と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の光制御デバイス。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光制御デバイスを駆動する光制御デバイスの駆動方法であって、
前記光制御デバイスの前記駆動回路部は、制御回路部と、前記制御電極ごとに設けられた一時記憶部およびドライバ回路を有し、
前記光制御デバイスは、制御周期ごとに、
前記制御回路部によって、位相制御をする場合、前記複数の導波路のそれぞれにおいて前記複数の制御電極の少なくとも1つを選択し、選択した制御電極を駆動するTTLレベルの駆動信号をそれぞれ生成する工程と、
前記複数の一時記憶部のそれぞれによって、入力する前記駆動信号が示す電圧を一時的に保持する工程と、
前記複数のドライバ回路のそれぞれによって、前記一時記憶部に保持された電圧に基づいて位相制御電圧を当該制御電極に印加する工程と、を有することを特徴とする光制御デバイスの駆動方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御デバイスおよびその駆動方法に係り、特に、電気光学材料を用いた位相制御部を備える光制御デバイスおよびその駆動方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
空間光通信や奥行センサ、レーダー、LiDAR(Light Detection And Ranging)、立体ディスプレイなどへの応用に向け、光ビームパターンを制御する光制御デバイスの研究開発が進められている。このうち、光の位相制御と多光束干渉を基本原理とする光フェーズドアレイ(Optical Phased Array; 以下、OPA)は、機械的な走査なしに光ビームを掃引できるため、小型・軽量な光制御デバイスに応用できるものと期待されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
OPAは、光を入力する部分(光入力部)と、光位相の制御部(位相制御部)と、位相が制御された光の出力部(光出力部)と、を備える光路を複数用い、出力光の回折・干渉効果によって光ビームパターンを得るデバイスである。例えば図12に示す光導波路型OPA101では、光入力部103と、光ビームスプリッタ部104と、位相制御部105と、光出力部としてのマルチ光導波路部106と、を備えている。マルチ光導波路部106は、光出力端107を備える光導波路108を複数併置した構造を適用している。なお、図12では導波路108として光導波路コアのみ図示しており、コア周囲のクラッド層の図示を省略している。
【0004】
位相制御部105には、例えば外部電圧の印加等により屈折率が変化する材料が使用される。例えば液晶材料や電気光学材料、あるいは、熱光学材料が位相制御部の材料に利用されることが知られている(例えば特許文献2、特許文献3、非特許文献2参照)。このうち、電気光学(Electro Optics:EO)材料には、その屈折率nが、外部から印加される電界強度Eにより、次の式(1)にしたがって変化する性質があり、この現象はEO効果と呼ばれている。ここで、r
33
はEO効果の大きさを示す物性値であってEO係数と呼ばれている。また、n
0
は外部電圧印加のない場合の屈折率を示す。
【0005】
n=n
0
-0.5・n
0
3
・r
33
・E … (1)
【0006】
例えばEO材料よりも屈折率が低い材料によって、線状のEO材料の周囲を取り囲めば、中心のEO材料を導波路(導波路コア:位相制御器)として機能させることができる。さらにEO材料もしくはそれを取り囲む材料の上面と下面に、それぞれ電極として機能する導電性薄膜を配置した位相制御部を形成すれば、光導波路にかかる電界強度を制御することが可能となる。
【0007】
また、長さがLである位相制御部に入射した波長λの光は、位相制御部において、外部電圧が印加されない場合、光の位相が、次の式(2)に示す位相φ
0
だけ変化する。これに対して、位相制御部の電圧を印加するための電極(位相制御電極)に外部電圧が印加される場合、光の位相が、次の式(3)に示す位相φ
E
に変化する。ここで、Eは外部電圧によりEO材料に生じる電界強度を示す。r
33
はEO係数を示し、n
0
は外部電圧印加のない場合の屈折率を示す。
【0008】
φ
0
=2π・n
0
・L/λ [rad] … (2)
φ
E
=2π・(n
0
-0.5・r
33
・n
0
3
・E)・L/λ [rad] … (3)
【0009】
したがって、外部電圧の大きさによる位相変化量の違いを用いることで、位相制御部による光位相の制御が可能である。たとえば全ての位相制御部への入射光の位相が同一であるとき、隣接する位相制御部の電界強度がΔEだけ異なるように印加電圧を選ぶことにより、隣接する光出力端における光の位相差を、次の式(4)に示す位相差Δφとすることができる。
【0010】
Δφ=π・r
33
・n
0
3
・ΔE・L/λ [rad] … (4)
(【0011】以降は省略されています)

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