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公開番号2024161277
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-15
出願番号2024154789,2020190410
出願日2024-09-09,2020-11-16
発明の名称2ストロークエンジン
出願人株式会社やまびこ
代理人個人
主分類F02B 25/14 20060101AFI20241108BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】2ストロークエンジンにおいて気筒内の掃気効率を向上させる。
【解決手段】少なくとも一つの掃気ポート16に連なる掃気通路が可変掃気通路14(ch)を構成する。可変掃気通路14(ch)の上端部は、これに連なる可変掃気ポート16(ch)から吐出される掃気ガスの水平面上での吐出方向を規定するガイド面50を有する。ガイド面50は、掃気ガスの第1の吐出方向を規定する上方ガイド部50(H)と、掃気ガスの第2の吐出方向を規定する下方ガイド部50(L)を備えている。可変掃気通路14(ch)の上端部において、上方ガイド部50(H)の位置における掃気通路の有効断面積と、前記下方ガイド部50(L)の位置における掃気通路の有効断面積とが異なり、下方ガイド部の位置の掃気通路の有効断面積が相対的に大きい。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
シリンダ内に配置されて上死点と下死点との間を往復動し且つ燃焼室を画成するピストンと、
前記シリンダに開口し且つ前記ピストンによって開閉される、前記燃焼室内の既燃ガスを排出するための排気ポートと、
新気を受け入れて、該新気を前記ピストンの下降動作によって予圧縮するクランク室と、
掃気行程において前記燃焼室と前記クランク室とに連通し且つ前記クランク室で予圧縮した新気を掃気ガスとして前記燃焼室に吐出するための複数の掃気ポートに連なる複数の掃気通路を備え、該掃気ポートが前記ピストンによって開閉され、
前記掃気ポートから吐出される掃気ガスを、前記排気ポートとは反対側に位置する吸気ポート側のシリンダ壁面に指向させて、前記掃気ポートから吐出された掃気ガスが、前記吸気ポート側のシリンダ壁で反転して前記排気ポートに向かって進んで前記燃焼室を掃気する反転掃気式の2ストロークエンジンであって、
前記複数の掃気通路のうち、少なくとも一つの前記掃気ポートに連なる前記掃気通路が可変掃気通路を構成し、
該可変掃気通路に連なる前記掃気ポートが可変掃気ポートを構成し、
該可変掃気通路の上端部は、前記可変掃気ポートから吐出される前記掃気ガスの、前記ピストンの上下動作に沿って広がる垂直面と直交する横方向に広がる水平上での吐出方向を規定するガイド面を有し、
該ガイド面が、掃気行程の初期に前記掃気ガスの第1の吐出方向を規定する上方ガイド部と、該上方ガイド部の下方に位置し、前記掃気ガスの第2の吐出方向を規定する下方ガイド部とを少なくとも備え、
前記該可変掃気通路の上端部において、前記上方ガイド部の位置における前記掃気通路の有効断面積と、前記下方ガイド部の位置における前記掃気通路の有効断面積が異なることを特徴とする2ストロークエンジン。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
前記上方ガイド部の位置における前記掃気通路の前記有効断面積が、前記下方ガイド部の位置における前記掃気通路の前記有効断面積の20~70%である、請求項3に記載の2ストロークエンジン。
【請求項3】
前記ガイド面が、前記上方ガイド部、前記下方ガイド部を含む上下方向に多段階の面で構成されている、請求項1又は2に記載の2ストロークエンジン。
【請求項4】
前記ガイド面が、前記上方ガイド部、前記下方ガイド部を含む上下方向に湾曲した無段階の面で構成されている、請求項1又は2に記載の2ストロークエンジン。
【請求項5】
前記2ストロークエンジンが4つの前記掃気ポートを有し、
該4つの掃気ポートのうち、少なくとも1つの掃気ポートに連なる前記掃気通路が前記可変掃気通路である、請求項1に記載の2ストロークエンジン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は2ストロークエンジンに関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来の一般的な2ストロークエンジンは、掃気行程において、クランク室で予圧縮された混合気を使って気筒内の掃気が行われる。2ストロークエンジンは、クランク室と燃焼室とに連通する掃気通路を備えている。掃気通路の上端開口つまり掃気ポートは、上死点と下死点との間を往復動するピストンによって開閉される。また、このピストンの動作によって排気ポートが開閉される。
【0003】
燃焼行程でピストンが下降すると、ピストンの下死点近傍で排気ポートと掃気ポートが開口され、掃気ポートが開くと同時に気筒内の掃気が開始される。掃気ポートは掃気通路を介してクランク室に連通しており、掃気ポートが開くと同時に、予圧縮された混合気が掃気ガスとして掃気ポートから気筒内に吐出される。
【0004】
クランク室で混合気を予圧縮する従来より周知の2ストロークエンジンでは、掃気行程で発生する「混合気の吹き抜け」の問題を有している。「混合気の吹き抜け」は、掃気ポートから吐出された混合気つまり掃気ガスが掃気に貢献することなく直接的に排気ポートから排出される現象である。この吹き抜け現象は、未燃焼の混合気が排出されてしまうため環境を汚染させてしまうだけでなく給気効率(η
tr
)が低下して燃料消費率が悪化する。
【0005】
混合気の吹き抜け問題に対処するために、掃気の方法として「反転掃気」が提案され、現在の2ストロークエンジンの主流となっている。「反転掃気」は、掃気ポートから吐出される混合気、つまり掃気ガスを、排気ポートとは反対側である吸気側のシリンダ壁面に指向させることによって行われる。反転掃気式2ストロークエンジンは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1から分かるように、掃気ポートから吐出された掃気ガスは、吸気側のシリンダ壁面に差し向けられる。そして、その後、掃気ガスは気筒内で反転して排気ポートに向かって進む。
【0006】
ここに、特許文献1は、掃気通路の上端部の断面形状を、掃気ポートを一辺とする略三角形にすることで、掃気ポートから吐出される掃気ガスを吸気側のシリンダ壁面に差し向けることを提案している。
【0007】
環境問題が叫ばれる中、排気ガス規制が厳しくなっている。これに応えるために、混合気の吹き抜けを防止するため様々な提案が行われている。掃気ポートはピストンの下降動作に伴って開き、そして有効開口面積が大きくなる。特許文献2、3は、この過程で、掃気ポートから吐出される混合気つまり掃気ガスの方向を変化させる発明を開示している。
【0008】
説明を分かり易くするために、ピストンの上下動作に沿って広がる面を「垂直面」と呼び、これと直交する横方向に広がる面を「水平面」と呼ぶ。
【0009】
特許文献2は、掃気通路の上端部分つまり掃気ポート近傍の部分の天井壁面が三次元形状を有し、三次元形状の天井壁面によって、掃気ガスの吐出方向を垂直面上で変化させる発明を開示している。この発明によれば、掃気ポートが開き始めたときには掃気ガスが上方に差し向けられる。更にピストンが下降して掃気ポートの有効開口面積が拡大するに従って掃気ガスが徐々に下方に差し向けられる。
【0010】
特許文献3は、掃気通路の上端部分つまり掃気ポート近傍の部分の天井壁面が、気筒の吸気側の第1の面と、排気側の第2の面とに区分され、吸気側の第1の面は、排気側の第2の面に比べて、掃気ガスを上方に差し向ける相対的に大きな傾斜角度を有する発明を開示している。この掃気通路の形状に関連して掃気ポートの上縁が段付き形状を有し、掃気ポートの上縁において、吸気側の第1ハーフ上縁が、排気側の第2ハーフ上縁に比べて上方に位置している。
(【0011】以降は省略されています)

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