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公開番号
2024155683
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-31
出願番号
2023181578
出願日
2023-10-23
発明の名称
アンモニアを燃焼させるシステムと方法
出願人
個人
代理人
主分類
F02B
43/00 20060101AFI20241024BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約
【課題】ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンにおいて、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼装置に供給するとともに、良好に燃焼させて燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することが可能なシステムに関する。
【解決手段】アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にすることに
より、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減するために、アンモニアタンク及び配管内部の気化したアンモニアを吸引してアンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧以下に保持する装置、吸引した気化したアンモニアを圧縮して温度と圧力を上昇させ排気管に設置された窒素酸化物低減装置(SCR)に供給する装置、圧縮して温度と圧力が上昇した気体状のアンモニアの温度を下げることにより凝縮・液化させる装置、液化したアンモニアをアンモニアタンクに戻す装置により構成される、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステムと方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するために、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にするための装置が設置されていることを特徴とする、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
続きを表示(約 2,300 文字)
【請求項2】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するために、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にするという方法を用いることを特徴とする、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させる方法。
【請求項3】
アンモニアが蒸発する際の気化熱を利用してアンモニア自身の温度を下げることにより、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にしてもアンモニアが液化した状態を保つことができるようにする装置が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
【請求項4】
アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にしてもアンモニアが液化した状態を保つことができるように、アンモニアが蒸発する際の気化熱を利用してアンモニア自身の温度を下げるという方法を用いることを特徴とする、請求項2に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させる方法。
【請求項5】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にすることにより、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するために、アンモニアタンク及び配管内部の気化したアンモニアを吸引してアンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧以下に保持する装置、吸引した気化したアンモニアを圧縮して温度と圧力を上昇させる装置、圧縮して温度と圧力が上昇した気体状のアンモニアの温度を下げることにより凝縮・液化させる装置、液化したアンモニアをアンモニアタンクに戻す装置が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
【請求項6】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアタンク及び配管内部の気化したアンモニアを吸引してアンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧以下に保持する装置、吸引した気化したアンモニアを圧縮して温度と圧力を上昇させる装置、圧縮して温度と圧力が上昇した気体状のアンモニアの温度を下げることにより凝縮・液化させる装置、液化したアンモニアをアンモニアタンクに戻す装置を設置して、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にするという方法を用いることにより、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止することができることを特徴とする、請求項2に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させる方法。
【請求項7】
アンモニアを貯蔵するタンクやアンモニアを供給する配管の亀裂、破孔や接合部に隙間が発生して空気が流入した場合、タンク内における液体アンモニア、気化したアンモニア、流入した外気(空気)の密度差から、タンク内においてはタンク上部から順に、気化したアンモニア、流入した空気、液化アンモニアの層が形成されるという特性を利用して、アンモニアタンク内部の液面付近に設置された酸素濃度センサーにより、アンモニアを貯蔵するタンクやアンモニアを供給する配管の亀裂、破孔や接合部に発生した隙間から流入した外気を検知できるシステムを備えていることを特徴とする、請求項1に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
【請求項8】
タンク及び、アンモニアを供給する配管の亀裂、破孔や接合部の隙間から流入した外気は、その密度差から、タンク内においてタンク下部の液体状のアンモニアとタンク上部の気体状のアンモニアの中間に留まるという特性を利用して、アンモニアの貯蔵・供給系統に流入してタンク下部の液体状のアンモニアとタンク上部の気体状のアンモニアの中間に留まった外気を連続的に吸引して、そのまま、又は何らかの後処理をした後に大気中に連続して放出する装置を備えることを特徴とする、請求項1に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
【請求項9】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置された燃焼装置において、助燃タンクから供給される炭素(C)を含む燃料の混焼率をゼロにすることにより、アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンから排出されるCO
2
をゼロとするために、電気エネルギーを供給する装置から供給された電気エネルギーを用いてアンモニアの燃焼を改善させるための装置が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させるシステム。
【請求項10】
アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置された燃焼装置において、電気エネルギーを供給する装置から供給された電気エネルギーを用いてアンモニアの燃焼を改善させて助燃タンクから供給される炭素(C)を含む燃料の混焼率をゼロにするという方法を用いることにより、アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンから排出されるCO
2
をゼロとすることができることを特徴とする、請求項2に記載された、アンモニアを安全に貯蔵して燃焼させる方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに貯蔵された毒性を持つアンモニアを、ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに安全に供給し、燃焼室において効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減するための装置を備えるシステムと方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
炭素成分(C)を多量に含む化石燃料の燃焼が地球温暖化を促進しているとの観点から、炭素成分を含まない燃料として水素とアンモニアが注目されている。水素は貯蔵や輸送面で解決すべき課題が多いが、アンモニアは主に肥料の原料として、既に生産・運搬・貯蔵に関する技術が確立されており、世界的に流通しているため、アンモニアをディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの燃料として活用する研究が実施されている。しかし、アンモニアは毒性を持つとともに、現在のディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの主燃料である化石燃料に比べ、着火性が悪い、燃焼速度が遅い、燃焼時に他の大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を生成する可能性が高いなどの燃焼に関する解決すべき課題を持つだけではなく、単位質量(容積)当たりの発熱量が極端に小さい(石油系燃料の約2.5分の1)という物理的な特性を持っているため、これをディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの燃料として使用できる状態にするには多くの技術的な課題を克服する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、「アンモニアの燃焼率を高めて未燃アンモニアを減少させ、CO
2
削減を図るために、燃焼室内に点火源となる燃料油とガス状のアンモニアとを投入する燃料投入手段とを有する、燃焼室内でアンモニア予混合気を形成して混合燃焼させるディーゼルエンジンに関する技術」が記載されている。
特許文献2には、「アンモニア燃焼エンジンにおいて効率よくアンモニアを燃焼させるために、アンモニア分解触媒を用いて分解したアンモニアガスを、アンモニア分解ガスに含まれる水素の当量比が所定の下限値以上となるように調節した後に、主燃焼室に噴出孔を介して連通した副燃焼室に提供し、燃料過剰条件下で点火して燃焼させ、未燃水素の混じる可能燃焼ガスを噴出孔から噴流トーチ火炎として主燃焼室に噴出させ、噴流トーチ火炎による未燃水素の燃焼により、主燃焼室に供給されたアンモニアと空気の予混合気体に点火して燃焼させる技術」が記載されている。
特許文献3には、「燃料としてアンモニアを用いた内燃機関では、燃焼室に供給したアンモニアの一部が燃焼室内で燃焼せずに排出される可能性があるとともに、燃焼室内での混合気の燃焼に伴ってNOxが生成される可能性があるため、燃焼室から排出された排気ガス中に含まれる未燃アンモニア及びNOxを後処理装置によって良好に浄化する技術」が記載されている。
【0004】
しかし、いずれの技術も「アンモニアは毒性を持つとともに、現在のディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの主燃料である化石燃料に比べ、着火性が悪い、燃焼速度が遅い」という基本的な課題には対応していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6702475号公報
特開2021-161921号公報
特願2012-512766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンモニア(NH
3
)は炭素成分(C)を含まないため、燃焼(酸化反応)に際してCO
2
を排出しない燃料とされているが、着火性、燃焼速度、燃焼時に大気汚染物質であるNOxを多く生成する可能性があるなどの燃焼に係わる特性を石油系燃料と比較した場合、毒性を持つとともに、現在のディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの主燃料である化石燃料に比べ、着火性が悪い、燃焼速度が遅い、燃焼時に他の大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を生成する可能性が高いなどの燃焼に関する解決すべき課題を持つだけではなく、単位質量(容積)当たりの発熱量が極端に小さい(石油系燃料の約2.5分の1)という物理的な特性を持っているため、技術的に改善すべき課題が多い。ことに起因する事項として、単位質量当たりの発熱量が石油系燃料(軽油やA重油)の約40%(2.5分の1)と大幅に少ないため、ディーゼルエンジンやボイラーにおいて同一の性能(出力)を得るためには、約2.5倍の燃料タンクと燃料噴射装置を必要とする。
【0007】
そこで本発明は、下記の要素を備えた、既存のディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの燃焼装置にも適用可能な、アンモニアを安全にタンクに貯蔵して移送するとともに、ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの燃焼装置においてアンモニアの燃焼を改善し、排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するシステムを提供することを目的とする。
1.アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にすることにより、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止する。
2.アンモニアが蒸発する際の気化熱を利用してアンモニア自身の温度を下げることにより、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にしてもアンモニアが液化した状態を保つことができるようにする。
3.アンモニアタンク及び配管内部の気化したアンモニアを吸引してアンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧以下に保持する装置、吸引した気化したアンモニアを圧縮して温度と圧力を上昇させる装置、圧縮して温度と圧力が上昇した気体状のアンモニアの温度を下げることにより凝縮・液化させる装置、液化したアンモニアをアンモニアタンクに戻す装置によって構成されるシステムに、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にしてもアンモニアが液化した状態を保つことができるようにするための構造と機能を持たせる。
4.アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置された燃焼装置において、助燃タンクから供給される石油系燃料の混焼率をゼロにすることにより、アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンから排出されるCO
2
をゼロとするために、電気エネルギーを供給する装置から供給された電気エネルギーを用いてアンモニアの燃焼を改善させる。
5.アンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管の外周部を密閉された二重構造として内部を真空にするとともに、二重構造の内部にアンモニアの漏洩検知装置を設置することにより、大気中を含む外部への放出を防止できるとともにアンモニアの漏洩検知器により漏洩をリアルタイムで知ることにより素早い対応が可能になる。
6.アンモニアを貯蔵するタンクの全周又は周囲の一部に真空断熱装置を設置して密閉構造とし、タンクと真空断熱装置との間に構成される密閉空間の複数箇所に弁を設置することにより、全ての弁を閉じた場合はタンク内の温度を低温に保つことが可能になり、弁を開いてタンクに貯蔵されたアンモニアの沸点よりも高い温度の流体を流動させた場合は、タンク内に貯蔵されたアンモニアの気化を促進することが可能になる
7.アンモニアタンク及び配管内部の気化したアンモニアを吸引して圧縮することにより温度と圧力を上昇させ、排気管に設置された窒素酸化物低減装置(SCR)に供給することにより、アンモニアの燃焼によって生成された窒素酸化物(NOx)を低減させることができる。
8.アンモニアをディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの燃焼装置に供給するためのポンプ(アンモニアの供給ポンプ)を作動させた状態で、アンモニアの貯蔵タンクの供給元弁の開度を調整することにより、アンモニアの貯蔵タンクからアンモニアの供給ポンプに至るアンモニアの供給系統内部の圧力を大気圧よりも低い値に保持することにより、
アンモニアの供給系統からの漏洩を未然に防止することが可能となる。
9.アンモニアの供給系統において、内部の圧力が大気圧よりも高くなる部分を容器で覆い、内部を密閉状態にした状態でその一部をブロワーによって吸引し、吸引された密閉容器内の気体の温度を任意の値に設定可能な熱交換器を備えるとともに、ブロワーと熱交換器の間にアンモニアの濃度計を設置することにより、密閉されたアンモニアの供給系統からアンモニアが漏洩しても、外部に放出されることがないという安全性を保つとともに、アンモニアが漏洩した場合、速やかにこれを検知することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アンモニアは、現在のディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンの主燃料である化石燃料に比べ、毒性を有する、着火性が悪い、燃焼速度が遅い、燃焼時に他の大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を生成する可能性が高いなどの燃焼に関する解決すべき課題を持つだけではなく、単位質量(容積)当たりの発熱量が極端に小さい(石油系燃料の約2.5分の1)という物理的な特性を持っている。また、燃焼時に多くの窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があるため、これに対応する技術を開発する必要がある。
本発明は、これらの課題を解決するために、次に示すようなシステムを提供する。
【0009】
請求項1に記載の発明は、アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するために、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にするための装置が設置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、アンモニアを燃料とするディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービンに設置されたアンモニアを貯蔵して移送するタンク及び配管において、アンモニアがタンク及び配管から大気中を含む外部へ漏洩するのを防止するために、アンモニアタンク及び配管内部の圧力を大気圧力よりも低い値にするという方法を用いることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
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