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公開番号
2024158748
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023074245
出願日
2023-04-28
発明の名称
制振シート
出願人
トヨタ紡織株式会社
,
日本特殊塗料株式会社
代理人
弁理士法人暁合同特許事務所
主分類
G10K
11/162 20060101AFI20241031BHJP(楽器;音響)
要約
【課題】対象物に非融着で使用可能で、かつ、質量を大きくすることなく高い制振性能を発揮する制振シートを提供する。
【解決手段】非通気性および可撓性を有するシート本体部30と、互いに間隔をおいてシート本体部30から突出して形成され、それぞれの先端面32aが対象物であるフロアパネル12に接してシート本体部30を支持する複数の支持部32と、を備え、それら複数の支持部32の先端面32aを含む先端側の部分が、粘弾性を有するとともに、磁力を有するものとし、当該制振シート10の単位面積当たりの磁力による吸着力を24Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下とする。この構成により、少なくとも300Hz~500Hzの振動を効果的に減衰させることができる。
【選択図】図7
特許請求の範囲
【請求項1】
金属製の対象物の表面に配されて前記対象物から伝わる振動を減衰させる制振シートであって、
非通気性および可撓性を有するシート本体部と、
互いに間隔をおいて前記シート本体部から突出して形成され、それぞれの先端面が前記対象物に接して前記シート本体部を支持する複数の支持部と、
を備え、
複数の前記支持部は、少なくとも、前記先端面を含む先端側の部分が、粘弾性を有するとともに、磁力を有しており、
当該制振シートの単位面積当たりの前記磁力による吸着力が24Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下とされていることを特徴とする制振シート。
続きを表示(約 700 文字)
【請求項2】
当該制振シートの単位面積当たりの前記磁力による吸着力が52Nf/m
2
以上とされている請求項1に記載の制振シート。
【請求項3】
当該制振シートの単位面積当たりの前記磁力による吸着力が52Nf/m
2
未満とされている請求項1に記載の制振シート。
【請求項4】
前記シート本体部および複数の前記支持部は、非通気性および可撓性を生じさせる主剤と磁性体粉末とを混合した材料から一体的に成形されてなり、
複数の前記支持部における少なくとも前記先端面が着磁されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振シート。
【請求項5】
複数の前記支持部は、
前記シート本体部を形成する材料と同一の非通気性および可撓性を生じさせる材料から成形された基層と、
前記基層の先端側に積層され、磁性体粉末を含む材料から成形されて着磁されている表層と、からなる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振シート。
【請求項6】
複数の前記支持部は、互いに4mm以上の間隔が設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振シート。
【請求項7】
複数の前記支持部は、4mm以上10mm以下の幅を有する形状とされている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振シート。
【請求項8】
当該制振シートの単位面積当たりの質量は、40Nf/m
2
以下とされている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振シート。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振シートに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
例えば、乗物においては、乗物の外側や乗物の駆動部からの騒音や振動が乗物室内に伝わらないように、乗物室を区画する部分に、それらノイズを抑制する部材が設けられる。周波数の高い高周波領域のノイズの抑制には、吸音材や遮音材が用いられ、それら吸音材や遮音材で対応可能な周波数より低い領域のノイズ、具体的には、ロードノイズやエンジンノイズ(比較的周波数の低い領域部分)の抑制には、防振材や制振材が用いられる。例えば、下記特許文献1,2には、制振シートの一例が開示されている。下記特許文献1に記載の制振シートは、車両振動部のタテ面に融着して使用されるものである。この特許文献1に記載の制振シートは、タテ面への融着を容易にするために、制振シート層の片面に、磁性粉末を40~80%配合したホットメルト層が形成されており、その磁力によってタテ面に仮止めした後、タテ面に熱融着させられる構成のものとなっている。また、下記特許文献2に記載の制振シートは、可撓性の重シートと、重シートに固く結合された粘弾性の支持層からなり、その支持層が、多数の角度をつけて構成された支持構造物から形成されていることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平4-334674号公報
米国特許第5186996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の制振シートは、ホットメルトによって対象物に融着されて制振性能を発揮するものであるため、対象物から分離することが困難であり、リサイクルしにくいという問題がある。また、上記特許文献2に記載の制振シートは、上記特許文献1に記載の制振シートとは異なり、対象物に対して融着されない構成であるため、水平方向に広がる部分の適用に限定され、壁面などの角度がついている箇所に適用することができない。さらに、上記特許文献2に記載の、対象物に対して融着されない制振シートは、制振性能を高めるために、制振シートの質量を大きくする必要があるという問題もある。
【0005】
本発明は、対象物に非融着で使用可能で、かつ、質量を大きくすることなく高い制振性能を発揮する制振シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願に開示される制振シートは、下記の構成とされている。
(1) 金属製の対象物の表面に配されて前記対象物から伝わる振動を減衰させる制振シートであって、
非通気性および可撓性を有するシート本体部と、
互いに間隔をおいて前記シート本体部から突出して形成され、それぞれの先端面が前記対象物に接して前記シート本体部を支持する複数の支持部と、
を備え、
複数の前記支持部は、少なくとも、前記先端面を含む先端側の部分が、粘弾性を有するとともに、磁力を有しており、
当該制振シートの単位面積当たりの前記磁力による吸着力が24Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下とされていることを特徴とする制振シート。
【0007】
本願に開示の制振シートは、シート本体部と対象物との間に、複数の支持部によって連通する空間が形成された構成となっている。この支持部は、粘弾性を有するため、この支持部と対象物との間の摩擦によって対象物からの振動を減衰するとともに、対象物の振動(運動)エネルギが支持部のせん断変形エネルギに変換されることによって対象物からの振動を減衰することができる。また、この支持部の存在によって、支持部やシート本体部の変形が許容されることで、対象物の振動エネルギを吸収することができる。さらに、特定の振動入力条件下では、当該制振シートが対象物から部分的に持ち上げられ、その落下の際に生じる力(反対パルス推力)で対象物からの振動を減衰させることができるのである。
【0008】
さらにまた、本願に開示の制振シートは、支持部の先端面に磁力を持たせて、この磁力による対象物への吸着力を特定の大きさとすることで、シート本体部の質量を大きくすることなく、制振性能を高めることができる。具体的には、周波数500Hz以下の振動を減衰させること、少なくとも300Hz~500Hzの周波数帯域(以下、「中周波数帯域」と呼ぶ場合がある。)の振動を効果的に減衰させることができる。より詳しく言えば、当該制振シートの単位面積当たりの吸着力が、上記範囲のうち大きい範囲である52Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下の場合には、中周波数帯域に生じる共振を支持部に磁力を付与していない場合に比較して顕著に小さくすること、あるいは、共振ピークをほぼなくすことが可能である。特に、80Nf/m
2
以上220Nf/m
2
以下とすることで、共振ピークをほぼなくすことができる。ちなみに、支持部に付与する磁力を高めて吸着力を大きくし過ぎると、当該制振シートが対象物と同期して動くようになり、制振性能への効果は小さい。特に、単位面積当たりの吸着力が390Nf/m
2
を超えると、上記の範囲の吸着力である場合に比較して、急激に共振ピークが大きくなることが確認された。
【0009】
一方で、当該制振シートの単位面積当たりの吸着力が52Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下の場合には、300Hzより低い周波数帯域の振動に対して、支持部に磁力を付与していない場合に比較しても、制振性能が低下してしまう傾向があることが確認された。それに対して、上記範囲のうち小さい範囲である24Nf/m
2
以上52Nf/m
2
未満の場合には、52Nf/m
2
以上390Nf/m
2
以下の場合に比較して300Hz~500Hzの制振性能は低いものの、300Hzより低い周波数帯域も含めた広い周波数帯域において、支持部に磁力を付与していない場合に比較して、制振性能を向上させることができる。以上のように、本願に開示の制振シートは、少なくとも300Hz~500Hzの周波数帯域の制振性能を、シート本体部の質量を大きくすることなく高めることができる。なお、本願に開示の制振シートにおいて、目標となる磁力を付与した場合であっても、場所によってその磁力は異なるが、その磁力による吸着力が当該制振シート全域で上記の範囲内とされることが望ましい。
【0010】
また、本願に開示の制振シートは、支持部の磁力を利用して、水平面以外の傾斜面や鉛直な壁面等にも容易に配することが可能となる。ちなみに、支持部に付与した磁力に対する吸着力は対象物(例えば、塗装の有無等)によって変化する虞はある。しかしながら、本願に開示の制振シートにおいて、上記の吸着力を得るために支持部に付与する磁力(磁束密度)は10mT~30mT程度であり、その範囲の磁力においては、対象物に対する吸着力への影響は小さいと考えられる。
(【0011】以降は省略されています)
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