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公開番号2025036935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-17
出願番号2023143602
出願日2023-09-05
発明の名称能動型騒音低減装置
出願人本田技研工業株式会社
代理人弁理士法人大島特許事務所
主分類G10K 11/178 20060101AFI20250310BHJP(楽器;音響)
要約【課題】ユーザの位置の変化だけでなく二次経路の伝達関数の変化にも追従した騒音低減制御を行うことで、騒音低減効果を高める。
【解決手段】能動型騒音低減装置1は、騒音を打ち消すための打消音を出力するスピーカ21と、騒音及び打消音に基づいて誤差信号を生成する誤差マイク22と、誤差信号に基づいてスピーカ21を制御する制御装置23と、を備える。制御装置23は、誤差マイク22の位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示す補正フィルタΔC^を備え、補正フィルタΔC^によって補正用信号を生成し、補正用信号によって誤差信号を補正することで補正誤差信号を生成し、補正誤差信号に基づいて制御フィルタWを適応的に更新し、二次経路フィルタC^によって打消音推定信号を生成し、打消音推定信号及び補正誤差信号に基づいて二次経路フィルタC^を適応的に更新する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
騒音を打ち消すための打消音を出力するスピーカと、
前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号を生成する誤差マイクと、
前記誤差信号に基づいて前記スピーカを制御する制御装置と、を備えた能動型騒音低減装置であって、
前記制御装置は、
前記スピーカを制御するための制御信号を生成する制御フィルタと、前記スピーカから前記誤差マイクまでの二次経路の伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタと、前記誤差マイクの位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示す補正フィルタと、を備え、
前記補正フィルタによって補正用信号を生成し、
前記補正用信号によって前記誤差信号を補正することで補正誤差信号を生成し、
前記補正誤差信号に基づいて前記制御フィルタを適応的に更新し、
前記二次経路フィルタによって前記制御信号に基づいて打消音推定信号を生成し、
前記打消音推定信号及び前記補正誤差信号に基づいて前記二次経路フィルタを適応的に更新する能動型騒音低減装置。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記制御装置は、騒音源から前記誤差マイクまでの一次経路の伝達関数の推定値を示す一次経路フィルタを更に備え、
前記補正フィルタは、
前記一次経路フィルタに対応する第1補正フィルタと、
前記二次経路フィルタに対応する第2補正フィルタと、を含む請求項1に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項3】
騒音を打ち消すための打消音を出力するスピーカと、
前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号を生成する誤差マイクと、
前記誤差信号に基づいて前記スピーカを制御する制御装置と、を備えた能動型騒音低減装置であって、
前記制御装置は、
前記スピーカを制御するための制御信号を生成する制御フィルタと、前記スピーカから前記誤差マイクまでの二次経路の伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタと、前記誤差マイクの位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示す補正フィルタと、を備え、
前記補正フィルタによって補正用信号を生成し、
前記補正用信号によって前記誤差信号を補正することで補正誤差信号を生成し、
前記騒音に対応する参照信号を取得し、
前記二次経路フィルタ及び前記補正フィルタによって前記参照信号に基づいて補正参照信号を生成し、
前記補正誤差信号及び前記補正参照信号に基づいて前記制御フィルタを適応的に更新し、
前記二次経路フィルタによって前記制御信号に基づいて打消音推定信号を生成し、
前記打消音推定信号に基づいて前記二次経路フィルタを適応的に更新する能動型騒音低減装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記誤差信号と前記打消音推定信号とに基づいて仮想誤差信号を生成し、
前記仮想誤差信号が最小になるように前記二次経路フィルタを適応的に更新する請求項3に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項5】
騒音を打ち消すための打消音を出力するスピーカと、
前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号を生成する誤差マイクと、
前記誤差信号に基づいて前記スピーカを制御する制御装置と、を備えた能動型騒音低減装置であって、
前記制御装置は、
前記スピーカを制御するための制御信号を生成する制御フィルタと、前記スピーカから前記誤差マイクまでの二次経路の伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタと、前記誤差マイクの位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示す補正フィルタと、を備え、
前記補正フィルタによって前記制御信号を補正することで補正制御信号を生成し、
前記補正制御信号を前記スピーカに出力し、
前記二次経路フィルタによって前記補正制御信号に基づいて打消音推定信号を生成し、
前記打消音推定信号に基づいて前記二次経路フィルタを適応的に更新する能動型騒音低減装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記誤差信号から前記補正フィルタの成分を除去することで補正誤差信号を生成し、
前記補正誤差信号に基づいて前記制御フィルタを適応的に更新する請求項5に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項7】
前記制御装置は、騒音源から前記誤差マイクまでの一次経路の伝達関数の推定値を示す一次経路フィルタを更に備え、
前記補正フィルタは、前記一次経路フィルタと前記二次経路フィルタの両方に対応している請求項5又は6に記載の能動型騒音低減装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音とは逆位相の打消音を騒音に干渉させることで騒音を低減する能動型騒音低減装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中の高齢者や子供といった脆弱な立場にある人々に配慮し、このような人々に持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。その実現に向けて、車両の居住性に関する開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発が注目されている。
【0003】
車両の居住性を向上させるためには、車内空間における騒音の低減を図ることが好ましい。そこで、騒音とは逆位相の打消音を騒音に干渉させることで騒音を低減する能動型騒音低減装置の研究開発が積極的に行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ユーザの頭部の位置を検出する位置検出装置を備えた能動型騒音制御システムが開示されている。この能動型騒音制御システムは、位置検出装置が検出したユーザの頭部の位置に応じて複数の補助フィルタのうちの一つを選択し、選択した補助フィルタの出力によってマイクエラー信号(マイクでピックアップした信号)を補正し、補正したマイクエラー信号に基づいて可変フィルタを更新し、更新した可変フィルタによってスピーカを制御している。このように、ユーザの頭部の位置に応じて複数の補助フィルタのうちの一つを選択することで、ユーザの頭部の位置の変化に追従した騒音低減制御を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第7262899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の能動型騒音制御システムは、スピーカからマイクまでの二次経路の伝達関数を学習していない。そのため、窓の開閉等によって二次経路の伝達関数が変化した場合に、二次経路の伝達関数の変化に追従した騒音低減制御を行うことができず、騒音低減効果が低下する恐れがある。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑み、ユーザの位置の変化だけでなく二次経路の伝達関数の変化にも追従した騒音低減制御を行うことで、騒音低減効果を高めることが可能な能動型騒音低減装置を提供することを課題とする。延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、騒音を打ち消すための打消音を出力するスピーカ(21)と、前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号(e)を生成する誤差マイク(22)と、前記誤差信号に基づいて前記スピーカを制御する制御装置(23、83)と、を備えた能動型騒音低減装置(1、81)であって、前記制御装置は、前記スピーカを制御するための制御信号(u)を生成する制御フィルタ(W)と、前記スピーカから前記誤差マイクまでの二次経路の伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタ(C^)と、前記誤差マイクの位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示す補正フィルタ(ΔP^、ΔC^)と、を備え、前記補正フィルタによって補正用信号(x、x

、x

)を生成し、前記補正用信号によって前記誤差信号を補正することで補正誤差信号(e
ear
)を生成し、前記補正誤差信号に基づいて前記制御フィルタを適応的に更新し、前記二次経路フィルタによって前記制御信号に基づいて打消音推定信号(y^)を生成し、前記打消音推定信号及び前記補正誤差信号に基づいて前記二次経路フィルタを適応的に更新する。
【0009】
この態様によれば、制御装置は、補正フィルタ(誤差マイクの位置における音響特性とユーザの位置における音響特性との相違を示すフィルタ)によって補正用信号を生成し、補正用信号によって誤差信号を補正することで補正誤差信号を生成し、補正誤差信号に基づいて制御フィルタを適応的に更新する。これにより、ユーザの位置の変化に追従した騒音低減制御を行うことができるため、ユーザの位置において騒音低減効果を高めることができる。また、制御装置は、打消音推定信号及び補正誤差信号に基づいて二次経路フィルタを適応的に更新する。これにより、二次経路の伝達関数の変化に追従した騒音低減制御を行うことができるため、騒音低減効果を一層高めることができる。
【0010】
上記の態様において、前記制御装置は、騒音源から前記誤差マイクまでの一次経路の伝達関数の推定値を示す一次経路フィルタ(P^)を更に備え、前記補正フィルタは、前記一次経路フィルタに対応する第1補正フィルタ(ΔP^)と、前記二次経路フィルタに対応する第2補正フィルタ(ΔC^)と、を含んでいても良い。
(【0011】以降は省略されています)

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