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公開番号2024153167
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-29
出願番号2023066889
出願日2023-04-17
発明の名称セメントクリンカの製造方法
出願人国立大学法人東北大学,太平洋セメント株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C04B 7/02 20060101AFI20241022BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】セメントクリンカの新規製造方法を提供すること。
【解決手段】次の工程(a)~(c);
(a)セメントクリンカ原料をマイクロ波照射装置の反応管内に充填する工程と、
(b)セメントクリンカ原料にシングルモードのマイクロ波を照射して焼成し、焼成物を得る工程と、
(c)焼成物を粉砕して粉砕物を得る工程
を含む、セメントクリンカの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
次の工程(a)~(c);
(a)セメントクリンカ原料をマイクロ波照射装置の反応管内に充填する工程と、
(b)セメントクリンカ原料にシングルモードのマイクロ波を照射して焼成し、焼成物を得る工程と、
(c)焼成物を粉砕して粉砕物を得る工程
を含む、セメントクリンカの製造方法。
続きを表示(約 200 文字)【請求項2】
工程(c)後、粉砕物を工程(a)~(c)に順次供する工程(d)を含む、請求項1記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項3】
工程(d)を1回又は2回以上行う、請求項1記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項4】
1回当たりのマイクロ波の照射により、1000℃以上の温度で1~5分間焼成する、請求項1記載のセメントクリンカの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントクリンカの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
セメントクリンカは、ロータリキルンにセメントクリンカ原料を投入し、1450℃前後の高温で焼成して製造されている(特許文献1)。しかし、当該製造方法により、約6割が原料である石灰石(CaCO
3
)に由来し、残りの4割がクリンカ焼成や粉砕等で消費される化石エネルギーに由来するCO
2
が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-169161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、パリ協定の達成に向け、日本では2050年温室効果ガス実質ゼロ、2030年温室効果ガス50%削減の目標を掲げていることから、セメントクリンカの新たな製造方法の創製が望まれている。
本発明の課題は、セメントクリンカの新規製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、セメントクリンカ原料の熱源について種々検討し、マイクロ波はエネルギーロスが少なく、対象物を直接加熱できるという特性に着目した。そして、マイクロ波の中でもシングルモードのマイクロ波はエネルギー(電界又は磁界、以下、同様である。)を局所的に集中できるため、短時間で所望の温度での加熱を完了できるとの知見を得た。そして、マイクロ波照射装置のキャビティに設けられた反応管内において、シングルモードのマイクロ波のエネルギー強度が極大でかつ均一となる位置にセメントクリンカ原料を充填したうえでマイクロ波を照射することにより、セメントクリンカ原料が選択的かつ直接的に加熱されるため、生焼け状態にならずに短時間で効率よくセメントクリンカを製造できることを見出した。なお、本明細書において「生焼け状態」とは、焼成が不十分なため、セメントクリンカ中のフリーライム(以下、「f.CaO」とも称する。)の含有量が1質量%を超える状態をいう。
【0006】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供するものである。
〔1〕次の工程(a)~(c);
(a)セメントクリンカ原料をマイクロ波照射装置の反応管内に充填する工程と、
(b)セメントクリンカ原料にシングルモードのマイクロ波を照射して焼成し、焼成物を得る工程と、
(c)焼成物を粉砕して粉砕物を得る工程
を含む、セメントクリンカの製造方法。
〔2〕工程(c)後、粉砕物を工程(a)~(c)に順次供する工程(d)を含む、前記〔1〕記載のセメントクリンカの製造方法。
〔3〕工程(d)を1回又は2回以上行う、前記〔1〕記載のセメントクリンカの製造方法。
〔4〕1回当たりのマイクロ波の照射により、1000℃以上の温度で1~5分間焼成する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載のセメントクリンカの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、セメントクリンカの新規な製造方法を提供することができる。本発明によれば、生焼け状態にならずに短時間で効率よくセメントクリンカを製造することが可能であり、また従来の炉を用いたセメントクリンカの製造方法に比べて化石エネルギー由来のCO
2
発生を大幅に削減することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明に適用可能なマイクロ波照射装置の一例を示す図である。
セメントクリンカを用いて調製されたセメントペーストの積算発熱量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のセメントクリンカの製造方法は、工程(a)~(c)を含むものである。以下、各工程について説明する。
【0010】
<工程(a)>
本工程は、セメントクリンカ原料をマイクロ波照射装置の反応管内に充填する工程である。
マイクロ波は、電磁界分布によりマルチモードと、シングルモードとに分類される。マルチモード型マイクロ波照射装置として、例えば、電子レンジが知られている。本発明者らは、マルチモード型マイクロ波照射装置を用いてセメントクリンカの製造を試みたところ、生焼け状態のセメントクリンカが製造されたことから、セメントクリンカ原料の周囲に加熱補助材を設置するか、あるいはセメントクリンカ原料を事前に予備加熱することを要することが確認された。その要因について、マルチモードのマイクロ波は、マルチモードキャビティ内の様々な方向に向かって発振されるため、セメントクリンカ原料を集中的に加熱し難いことにあると推測された。そこで、本発明者らは、マイクロ波としてシングルモードを選択したうえで、シングルモードキャビティに設けられた反応管内でマイクロ波のエネルギー強度が極大でかつ均一となる位置にセメントクリンカ原料を充填してマイクロ波を照射することにより、セメントクリンカ原料のみを集中的に加熱できるため、生焼け状態にならずに短時間で効率よくセメントクリンカを製造できることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)

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