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公開番号
2024149406
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2024047659
出願日
2024-03-25
発明の名称
計時器の回転車セットのための速度調整デバイス
出願人
ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
代理人
個人
主分類
G04C
21/02 20060101AFI20241010BHJP(時計)
要約
【課題】 計時器の回転車セットのための速度調整デバイスを提供する。
【解決手段】 本発明の一態様は、回転車セットの回転速度を調整するための調整デバイスを備える計時器に関する。この調整デバイスは、マイクロジェネレーターと、このマイクロジェネレーターによってパワー供給される少なくとも1つのLEDを備え、電気エネルギーを格納せず、回転車セットの機能的速度範囲(V
min
~V
max
)において、マイクロジェネレーターのローターの回転の対応する周波数範囲(F
min
~F
max
)は、コイルにおいて、最大周波数(F
max
)に対する最大誘導電圧値がしきい電圧(U
S
)、また、最小周波数(F
min
)に対する最小誘導電圧値よりも大きいような誘導電圧範囲を発生させ、回転車セットを駆動する動力デバイスは、回転車セットが実質的に機能的速度範囲内にて駆動されることを可能にする有効動力トルク範囲を有する。本発明は、さらに、回転車セットの回転速度を調整するための方法に関する。
【選択図】 図6
特許請求の範囲
【請求項1】
回転車セット(1)と、前記回転車セットを駆動することができるように構成している動力デバイス(200)と、前記回転車セットの回転速度を調整するための調整デバイス(1000)とを備える計時器(2000)であって、
前記調整デバイスは、ステーター(20)と、前記回転車セット(1)に機械的に結合されたローター(10)とを備えるマイクロジェネレーター(100)を備え、
前記ステーター(20)は、永久磁石(25)とコイル(11)の一方を担持し、前記ローター(10)は、永久磁石(25)とコイル(11)の他方を担持し、
前記調整デバイス(1000)は、さらに、前記マイクロジェネレーター(100)によって直接的又は間接的にパワー供給される少なくとも1つの発光ダイオード(31、32)を備え、
前記少なくとも1つの発光ダイオードが前記マイクロジェネレーターによって間接的にパワー供給されている場合、前記少なくとも1つの発光ダイオードは、いずれの実質的な電気エネルギー格納コンポーネントをもなしで電気的及び/又は電子的回路を介して前記マイクロジェネレーターに接続され、
前記マイクロジェネレーター(100)と前記少なくとも1つの発光ダイオード(31、32)は、最小速度(V
min
)と、この最小速度(V
min
)よりも厳密に大きい最大速度(V
max
)との間の回転車セット(1)の機能的速度範囲において、最小周波数(F
min
)と最大周波数(F
max
)の間にある、前記ローター(10)の回転の対応する周波数範囲は、前記コイル(11)において、前記最大周波数(F
max
)に対して発生する最大誘導電圧値が前記少なくとも1つの発光ダイオード(31、32)のしきい電圧(U
S
)よりも大きいような誘導電圧範囲を発生させ、
前記少なくとも1つの発光ダイオードと、適切な場合にいずれの実質的な電気エネルギー格納コンポーネントもない前記電気的及び/又は電子的回路とは、実質的に、前記調整デバイスにおける唯一の電気エネルギー消費デバイスを構成し、
前記動力デバイスは、前記回転車セットが実質的に前記機能的速度範囲内にて駆動されることを可能にする有効動力トルク範囲を有するように構成している
ことを特徴とする計時器(2000)。
続きを表示(約 2,300 文字)
【請求項2】
前記誘導された電圧範囲の、前記最小周波数(F
min
)に対して発生する、最小の誘導電圧値も、前記少なくとも1つの発光ダイオード(31、32)の前記しきい電圧(U
S
)よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(2000)。
【請求項3】
前記調整デバイスは、前記マイクロジェネレーター(100)の前記ローター(10)の運動エネルギーを消散させる手段をいずれも備えない
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器(2000)。
【請求項4】
前記動力デバイスは、その有効動力トルク範囲が、前記回転車セット(1)を機能的速度範囲の前記最小速度(V
min
)にて駆動する最小トルク(C
MotMin
)を有し、前記回転車セット(1)を前記機能的速度範囲の前記最大速度(V
max
)にて駆動する最大トルク(C
MotMax
)を有するように構成している
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の計時器(2000)。
【請求項5】
前記調整デバイス(1000)は、最小動力トルク(C
MotMin
)と最大動力トルク(C
MotMax
)の間の前記動力デバイスの有効トルク範囲に対して、前記ローター(10)の回転周波数を、前記最小周波数(F
min
)と前記最大周波数(F
max
)の間の前記周波数範囲内に維持することによって、調整する
ことを特徴とする請求項4に記載の計時器(2000)。
【請求項6】
前記動力デバイスは、前記回転車セット(1)を含む機構を駆動すること専用のバレル(200)によって形成され、
このバレル(200)は、最小動力トルク(C
MotMin
)と最大動力トルク(C
MotMax
)の間の、自身が出力するトルクの有効範囲が、以下の条件に合うように構成しており、
この条件とは、前記最小動力トルク(C
MotMin
)が、前記回転車セット(1)が最小速度(V
min
)にて回転しているときに、前記マイクロジェネレーター(100)の前記ローター(10)を例外として、前記機構を駆動するために必要な機械的トルク(C
MecVmin
)と、前記ローター(10)の最小周波数(F
min
)に対応する最小ローター駆動トルク(C
EDmin
)との和に等しく、かつ、前記最大動力トルク(C
MotMax
)が、前記回転車セット(1)が最大速度(V
max
)にて回転しているときの、前記マイクロジェネレーター(100)の前記ローター(10)を例外として、前記機構を駆動するために必要な機械的トルク(C
MecVmax
)と、前記ローター(10)の最大周波数(F
max
)に対応する最大ローター駆動トルク(C
EDmax
)との和に等しいことである
ことを特徴とする請求項5に記載の計時器(2000)。
【請求項7】
前記調整デバイス(1000)は、一又は複数の発光ダイオード(31、32)を備え、前記調整デバイス(1000)に含まれる前記発光ダイオード(31、32)の数は、前記発光ダイオード(31、32)のタイプや大きさに応じて、前記調整デバイス(1000)が備えるすべての発光ダイオード(31、32)が、前記ローター(10)の最小周波数(F
min
)に対応する、最小ローター駆動トルク(C
EDmin
)と、前記ローター(10)の最大周波数(F
max
)に対応する、最大ローター駆動トルク(C
EDmax
)との間の、前記ローター(10)の駆動トルクで、電気エネルギーを消散させるような数である
ことを特徴とする請求項6に記載の計時器(2000)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記発光ダイオード(31、32)は、前記マイクロジェネレーター(100)の前記ステーター(20)に対して前記ローターが回転しているときに誘導される電流を供給する少なくとも1つのコイル(11)によって、唯一の電気的及び又は電子的回路を形成するグレーツブリッジ整流器を介して、間接的にパワー供給される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の計時器(2000)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記発光ダイオード(31、32)は、前記マイクロジェネレーター(100)の前記ステーター(20)に対して回転するときに、少なくとも1つのコイル(11)によって直接パワー供給される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の計時器(2000)。
【請求項10】
前記ステーター(20)は、前記永久磁石(25)を担持し、前記ローター(10)は、前記コイル(11)を担持し、
各発光ダイオード(31、32)は、前記ローター(10)に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の計時器(2000)。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転車セットと、前記回転車セットを駆動することができるように構成している動力デバイスと、前記回転車セットの回転速度を調整するための調整デバイスとを備える計時器に関し、この調整デバイスは、ステーターと、前記回転車セットに機械的に結合されたローターとを備えるマイクロジェネレーターを備え、前記ステーターは、永久磁石とコイルの一方を担持し、前記ローターは、永久磁石とコイルの他方を担持する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【0002】
本発明は、さらに、計時器の回転車セットの回転速度を調整する方法に関し、この調整は、最小速度と、この最小速度よりも厳密に大きい最大速度との間の回転車セットの機能的速度範囲において行われ、前記回転車セットは、前記計時器が備える動力デバイスによって駆動され、この方法は、回転車セット実装の回転速度を調整するための調整デバイスを実装することを可能にし、この調整デバイスは、前記回転車セットに機械的に結合されたローターを備えるマイクロジェネレーターを備え、前記ローターは、ステーターに対して回転軸を中心に運動可能であり、前記ステーターは、永久磁石とコイルの一方を担持し、前記ローターは、永久磁石とコイルの他方を担持し、前記コイルは、少なくとも1つの発光ダイオードに、直接的又は間接的に、接続される。
【0003】
本発明は、計時器、特に、携行型時計、さらに具体的には、機械的エネルギー源を備える携行型時計、の分野に関し、前記計時器は、時間の計測の専用ではなく、典型的には、音や視覚的なディスプレー機能の専用である補助的機構を備えるタイプのものであり、例えば、ストライク機能付き又は視覚的運動の携行型時計、又はミュージックボックスであり、この機構は、少なくとも1つの回転車セットを備える。本発明は、より詳細には、典型的にはばねによって活性化される、前記のような回転車セットの速度を調整する分野に関し、調整機構がないと、ディスチャージによって、回転車セットの速度が大きく変わることとなる。
【背景技術】
【0004】
計時器の車セットの速度を調整することは、昔からある課題であり、元々はベルのリングを調整することと関連している。昔の解決策は、ボールガバナーなどを用いる車セットの慣性の変動、あるいは空気摩擦による制動に基づく純粋に機械的なものであったが、このような解決策は、置き時計や振り子時計に適用されることがあるにしても、携行型時計に適用することはできなかった。
【0005】
携行型時計のケース内にて利用可能な空間が制限されているために、電磁的又は渦電流ガバナーのような新しい手法が開発された。このような手法は、機能的であるが、高コストであり、高級品向けに限られ、そのコンポーネントの一部は非常にデリケートであり、特別なメンテナンスを必要とする。
【0006】
The Swatch Group Research & Development Ltdによる欧州特許文献EP3838424は、計時器やミュージックボックスのための音楽機構やストライク機構について記載しており、これは、機械的トルクを出力するエネルギー源と、そのエネルギー源から音楽やチャイムを発生させる車セットへと機械的トルクを伝達する手段とを備える。この機構は、さらに、車セットガバナーを備える。ガバナーは、基準速度値の付近で、ピボット軸を車セットが回転する速度を調整するように構成しており、車セットの回転速度を基準速度に戻すように構成している、車セットを制動するための手段を備える。この車セットのガバナーは、「ジェネレーター」とも呼ばれるマイクロジェネレーターと、そのマイクロジェネレーターの回転周波数を調整するための電子的回路とを備えるシステムからなり、そのマイクロジェネレーターのローターは、機械的トルクを出力するエネルギー源に機械的に接続されている。この回路は、時刻を示すジェネレーターを備える携行型時計と同様に、電子的に周波数を調整する。すなわち、電子的なタイムベースを必要とする、ローター回転をカウントする技術を用いて、回転周波数をタイムベースと比較して、短絡制動パルスによってコイルにおける電流を調整するトランジスターに作用する。短く書くと、電子的な制動回路が制動パルスの生成を制御する。
【0007】
電子的又は電気的回路を用いると、機械式ムーブメントが取り付けられた携行型時計、特に、携行型時計の機械的性質を可能なかぎり維持することが重要な最高級の携行型時計、に大きな課題を発生させてしまう。実際に、これらの既知のシステムは、マイクロジェネレーターの周辺に位置する電気的回路(典型的には、PCB)上に配置された様々な電子的要素を含む電子回路を備え、このマイクロジェネレーターは、この携行型時計に比較的広範囲にわたる電子デバイスを導入することとなる。したがって、このような固定的な電気的及び電子的な部品のすべては、マイクロジェネレーターによって境界が定められる表面積にわたって又はその上において、比較的大きな表面積を占め、このアセンブリーは、典型的には目に見え、このことによって、消費者にとって携行型時計のハイブリッド性が目立つこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特に、上記の従来技術の問題を解決することを目的とする。本発明についての以下の説明を読むことによって、他の目的も明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、請求項1に記載の計時器に関し、この計時器は、回転車セットと、この回転車セットを駆動することができるように構成している動力デバイスと、回転車セットの回転速度を調整するための調整デバイスとを備える。この調整デバイスは、ステーター、及び回転車セットに機械的に結合するローターを備えるマイクロジェネレーターと、マイクロジェネレーターによって直接的又は間接的にパワー供給される少なくとも1つの発光ダイオードを備える。
【0010】
本発明は、さらに、請求項25に記載の計時器の回転車セットの回転速度を調整するための方法に関し、この調整は、最小速度と、この最小速度よりも厳密に大きい最大速度との間の回転車セットの機能的速度範囲において行われる。
(【0011】以降は省略されています)
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