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公開番号2025067030
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023176676
出願日2023-10-12
発明の名称原子時計システムおよび周波数安定化装置
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類G04F 5/14 20060101AFI20250417BHJP(時計)
要約【課題】光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することを可能にする。
【解決手段】原子時計システム(1)は、第1レーザ光を出力するレーザ光源(30)と、第1原子時計(100A)と、第1光学変調器(34)と、第1光学変調器から出力されたレーザ光を、光ファイバ(80)を介して受信する第2光学変調器(54)と、反射機構(57)と、第2原子時計(100B)と、第1周波数安定化装置(40)と、第2周波数安定化装置(60)とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原子時計システムであって、
第1レーザ光を出力するレーザ光源と、
前記第1レーザ光を利用して動作する第1原子時計と、
前記第1レーザ光が入力される第1光学変調器と、
前記第1光学変調器から出力されたレーザ光を、光ファイバを介して受信する第2光学変調器と、
前記光ファイバと前記第2光学変調器との間の光路に配置され、前記光ファイバから前記第2光学変調器に向かうレーザ光の一部を反射させ、戻り光として前記光ファイバに戻す反射機構と、
前記第2光学変調器から出力される第2レーザ光を利用して動作する第2原子時計と、
前記レーザ光源と前記第1光学変調器との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第1周波数安定化装置と、
前記第2光学変調器と前記第2原子時計との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第2周波数安定化装置とを備え、
前記第1周波数安定化装置は、前記第1レーザ光と前記戻り光とを用いて、前記第1レーザ光に重畳されるファイバノイズを除去し、
前記第2周波数安定化装置は、前記第2レーザ光に重畳される高周波成分のノイズを除去する、原子時計システム。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記第1周波数安定化装置は、FNC(Fiber Noise Cancellation)の手法に基づいて、前記ファイバノイズを除去する、請求項1に記載の原子時計システム。
【請求項3】
前記第2周波数安定化装置は、PDH(Pound-Drever-Hall)法に基づいて動作する回路構成を含み、
前記回路構成は、
前記第2レーザ光の高周波成分の誤差を含むエラー信号を抽出するためのフィルタ回路と、
前記フィルタ回路によって抽出されたエラー信号を用いて前記第2レーザ光の周波数を調整する調整回路とを有する、請求項1または請求項2に記載の原子時計システム。
【請求項4】
前記第1原子時計および前記第2原子時計の各々は、
真空容器と、
前記真空容器に対して原子ビームを放射する原子発生装置と、
前記原子発生装置により前記原子ビームが放射された状態で前記真空容器に対してレーザ光を照射することによって、原子のエネルギー準位間遷移を励起するレーザ装置と、
前記真空容器において発生した原子のエネルギー遷移確率に比例して生じる光強度を検出する検出装置と、
前記検出装置によって検出された前記光強度に基づいて、前記レーザ装置によって照射されるレーザ光の周波数を特定する制御装置とを備え、
前記原子時計システムは、
前記第1レーザ光と、前記第1原子時計の前記レーザ装置から照射されるレーザ光とに基づいて、前記第1原子時計の前記レーザ装置から照射されるレーザ光の位相を位相同期ループによって前記第1レーザ光の位相に同期させる第1PLL回路と、
前記第2レーザ光と、前記第2原子時計の前記レーザ装置から照射されるレーザ光とに基づいて、前記第2原子時計の前記レーザ装置から照射されるレーザ光の位相を位相同期ループによって前記第2レーザ光の位相に同期させる第2PLL回路とをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の原子時計システム。
【請求項5】
出力装置から出力されるレーザ光の周波数を安定化させる周波数安定化装置であって、
前記出力装置から出力されるレーザ光の位相を、変調信号を用いて変調する位相変調装置と、
前記位相変調装置によって変調されたレーザ光を共振させる光共振器と、
前記光共振器から出力されたレーザ光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出信号と前記変調信号との比較値を算出する位相比較器と、
前記比較値から高周波成分の誤差を含むエラー信号を抽出するためのフィルタ回路と、
前記フィルタ回路によって抽出されたエラー信号を用いて前記出力装置から出力されるレーザ光の周波数を調整する調整回路とを備える、周波数安定化装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、原子時計システムおよび周波数安定化装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、高精度な計時を行なうために各種の原子時計が活用されている。たとえば、異なる場所に設置された2台の原子時計を用いて、一般相対性理論の検証実験が行われた例が知られている。このような検証実験などのように、2台の原子時計が利用される場面において、2台の原子時計は、レーザ光を伝送するための光ファイバで接続される。
【0003】
一般に、レーザ光を光ファイバで伝送すると、光ファイバの伸縮に伴う光路長の変化、および光ファイバの振動等によって、レーザ光にノイズが重畳される。このようなノイズは、ファイバノイズと称される。高い周波数安定度が要求されないレーザ光であれば、ファイバノイズはほとんど問題にならない。しかし、数kHz以下の線幅が要求される狭線幅なレーザ光を伝送する場合には、ファイバノイズが通信に与える影響を無視できない。
【0004】
そこで、従来、ファイバノイズキャンセル(FNC)という手法によってファイバノイズを除去する技術が知られている。FNCとは、光ファイバを通ることによってノイズが重畳した光の一部を光源に向けて打ち返し、フィードバック制御によりノイズの成分を打ち消す手法である。たとえば、非特許文献1には、FNC技術について記載されている。非特許文献2には、高安定レーザ光を長距離の光ファイバで伝送する場合においてFNCを用いる例が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
L.-S. Ma, P. Jungner, J. Ye, and J. L. Hall, “Delivering the same optical frequency at two places: accurate cancellation of phase noise introduced by an optical fiber or other time-varying path”, Opt. Lett. 19, 1777-1779 (1994).
Tomoya Akatsuka, Hitomi Ono, Keitaro Hayashida, Kuniya Araki, Masao Takamoto, Tetsushi Takano, and Hidetoshi Katori, “30-km-long optical fiber link at 1397nm for frequency comparison between distant strontium optical lattice clocks”, Jpn. J. Appl. Phys. 53, 032801 (2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、光ファイバでレーザ光を伝送する距離が長くなると、光源からレーザ光が出力されてから、レーザ光の伝送先で打ち返されたレーザ光がフィードバック制御をする位置へ戻ってくるまでの遅延時間が大きくなる。このためFNCの手法には、光ファイバでレーザ光を伝送する距離が長くなると、ノイズの高周波成分を打ち消すことができないという課題がある。この場合、レーザ光の伝送先で狭線幅なレーザ光を得ることができない。その結果、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することができないという問題が発生する。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、原子時計システムに関する。原子時計システムは、第1レーザ光を出力するレーザ光源と、第1レーザ光を利用して動作する第1原子時計と、第1レーザ光が入力される第1光学変調器と、第1光学変調器から出力されたレーザ光を、光ファイバを介して受信する第2光学変調器と、光ファイバと第2光学変調器との間の光路に配置され、光ファイバから第2光学変調器に向かうレーザ光の一部を反射させ、戻り光として光ファイバに戻す反射機構と、第2光学変調器から出力される第2レーザ光を利用して動作する第2原子時計と、レーザ光源と第1光学変調器との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第1周波数安定化装置と、第2光学変調器と第2原子時計との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第2周波数安定化装置とを備え、第1周波数安定化装置は、第1レーザ光と戻り光とを用いて、第1レーザ光に重畳されるファイバノイズを除去し、第2周波数安定化装置は、第2レーザ光に重畳される高周波成分のノイズを除去する。
【0009】
本開示は、出力装置から出力されるレーザ光の周波数を安定化させる周波数安定化装置に関する。周波数安定化装置は、出力装置から出力されるレーザ光の位相を、変調信号を用いて変調する位相変調装置と、位相変調装置によって変調されたレーザ光を共振させる光共振器と、光共振器から出力されたレーザ光を検出する光検出器と、光検出器の検出信号と変調信号との比較値を算出する位相比較器と、比較値から高周波成分の誤差を含むエラー信号を抽出するためのフィルタ回路と、フィルタ回路によって抽出されたエラー信号を用いて出力装置から出力されるレーザ光の周波数を調整する調整回路とを備える、周波数安定化装置。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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