発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本開示は、原子時計システムおよび周波数安定化装置に関する。 続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】 【0002】 従来から、高精度な計時を行なうために各種の原子時計が活用されている。たとえば、異なる場所に設置された2台の原子時計を用いて、一般相対性理論の検証実験が行われた例が知られている。このような検証実験などのように、2台の原子時計が利用される場面において、2台の原子時計は、レーザ光を伝送するための光ファイバで接続される。 【0003】 一般に、レーザ光を光ファイバで伝送すると、光ファイバの伸縮に伴う光路長の変化、および光ファイバの振動等によって、レーザ光にノイズが重畳される。このようなノイズは、ファイバノイズと称される。高い周波数安定度が要求されないレーザ光であれば、ファイバノイズはほとんど問題にならない。しかし、数kHz以下の線幅が要求される狭線幅なレーザ光を伝送する場合には、ファイバノイズが通信に与える影響を無視できない。 【0004】 そこで、従来、ファイバノイズキャンセル(FNC)という手法によってファイバノイズを除去する技術が知られている。FNCとは、光ファイバを通ることによってノイズが重畳した光の一部を光源に向けて打ち返し、フィードバック制御によりノイズの成分を打ち消す手法である。たとえば、非特許文献1には、FNC技術について記載されている。非特許文献2には、高安定レーザ光を長距離の光ファイバで伝送する場合においてFNCを用いる例が記載されている。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0005】 L.-S. Ma, P. Jungner, J. Ye, and J. L. Hall, “Delivering the same optical frequency at two places: accurate cancellation of phase noise introduced by an optical fiber or other time-varying path”, Opt. Lett. 19, 1777-1779 (1994). Tomoya Akatsuka, Hitomi Ono, Keitaro Hayashida, Kuniya Araki, Masao Takamoto, Tetsushi Takano, and Hidetoshi Katori, “30-km-long optical fiber link at 1397nm for frequency comparison between distant strontium optical lattice clocks”, Jpn. J. Appl. Phys. 53, 032801 (2014). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 一般に、光ファイバでレーザ光を伝送する距離が長くなると、光源からレーザ光が出力されてから、レーザ光の伝送先で打ち返されたレーザ光がフィードバック制御をする位置へ戻ってくるまでの遅延時間が大きくなる。このためFNCの手法には、光ファイバでレーザ光を伝送する距離が長くなると、ノイズの高周波成分を打ち消すことができないという課題がある。この場合、レーザ光の伝送先で狭線幅なレーザ光を得ることができない。その結果、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することができないという問題が発生する。 【0007】 本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することを可能にすることである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本開示は、原子時計システムに関する。原子時計システムは、第1レーザ光を出力するレーザ光源と、第1レーザ光を利用して動作する第1原子時計と、第1レーザ光が入力される第1光学変調器と、第1光学変調器から出力されたレーザ光を、光ファイバを介して受信する第2光学変調器と、光ファイバと第2光学変調器との間の光路に配置され、光ファイバから第2光学変調器に向かうレーザ光の一部を反射させ、戻り光として光ファイバに戻す反射機構と、第2光学変調器から出力される第2レーザ光を利用して動作する第2原子時計と、レーザ光源と第1光学変調器との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第1周波数安定化装置と、第2光学変調器と第2原子時計との間の光路に負帰還回路が構成されるように配置される第2周波数安定化装置とを備え、第1周波数安定化装置は、第1レーザ光と戻り光とを用いて、第1レーザ光に重畳されるファイバノイズを除去し、第2周波数安定化装置は、第2レーザ光に重畳される高周波成分のノイズを除去する。 【0009】 本開示は、出力装置から出力されるレーザ光の周波数を安定化させる周波数安定化装置に関する。周波数安定化装置は、出力装置から出力されるレーザ光の位相を、変調信号を用いて変調する位相変調装置と、位相変調装置によって変調されたレーザ光を共振させる光共振器と、光共振器から出力されたレーザ光を検出する光検出器と、光検出器の検出信号と変調信号との比較値を算出する位相比較器と、比較値から高周波成分の誤差を含むエラー信号を抽出するためのフィルタ回路と、フィルタ回路によって抽出されたエラー信号を用いて出力装置から出力されるレーザ光の周波数を調整する調整回路とを備える、周波数安定化装置。 【発明の効果】 【0010】 本開示によれば、光ファイバで接続された複数の原子時計を利用して時間を観測する場面において、好適に時間を観測することが可能になる。 【図面の簡単な説明】 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する