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公開番号2024143678
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056466
出願日2023-03-30
発明の名称アンダーパス工法
出願人株式会社奥村組,植村技研工業株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E21D 9/04 20060101AFI20241003BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】狭い狭小発進立坑での作業のみによって、既存構造物の下方の地盤を横断する地下空間を、函体構造物により効率良く形成できるアンダーパス工法を提供する。
【解決手段】鏡部の改良地盤33,34を形成する地盤改良工程と、既存構造物30の下方を横断する天面部の箱形ルーフ21を形成する箱形ルーフ形成工程と、函体構造物15の各々の単位函体16を、一体ずつ設置して、先行の単位函体16と共に押し出す函体ピース押出し工程と、天面部の箱形ルーフ21の下方の地盤を掘削し、箱形パイプ部材17の後端部分の下部ピース18bを順次撤去するパイプ部材撤去工程とを含んでいる。パイプ部材撤去工程及び函体ピース押出し工程を繰り返すことで、複数のアンダーパス用函体ピース16が連接する函体構造物15を、箱形ルーフ21と置き換えて、地下空間26を形成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
函体構造物の計画設置領域を挟んだ一方の側の地盤に形成された、前記計画設置領域の延長よりも短い作業空間幅の狭小発進立坑を作業用立坑として、当該狭小発進立坑からの作業のみによって、既存構造物の下方の地盤に、当該既存構造物の下方を横断して、矩形状の断面形状を有する函体構造物による地下空間を形成するためのアンダーパス工法であって、
前記函体構造物は、複数のプレキャストコンクリート製の単位函体を押出し方向に連接一体化して得られたものとなっており、
前記既存構造物の下方を横断する方向における前記計画設置領域の両側の端部の地盤に、地盤改良によって鏡部の改良地盤を形成する鏡部地盤改良工程と、前記函体構造物の前記計画設置領域における少なくとも天面部分に沿って、複数の箱形パイプ部材の各々を、横幅方向に連設させるようにして前記狭小発進立坑から前記既存構造物の下方の地盤に、単位箱形パイプ毎に押し込むことで、前記既存構造物の直下部分を横断する少なくとも天面部の箱形ルーフを形成する箱形ルーフ形成工程と、前記函体構造物を構成する各々の前記単位函体を、前記狭小発進立坑に一体ずつ設置して、設置した該単位函体を、先行して押し出された前記単位函体と共に一体として前方に押し出す函体ピース押出し工程と、前記箱形ルーフ形成工程で形成された前記天面部の箱形ルーフの下方の地盤を、前記狭小発進立坑側の切羽部において掘削することにより後方に張り出すようにして露出した、前記箱形パイプ部材の後端部分における少なくとも前記単位函体の天面部と対向する部分を、順次撤去するパイプ部材撤去工程とを含んでおり、
前記パイプ部材撤去工程において、前記箱形パイプ部材の後端部分の少なくとも前記単位函体の天面部と対向する部分を撤去した長さ分、前記函体ピース押出し工程において、前記単位函体を一体として前方に押し出すようになっており、これらの両工程を繰り返すことで、少なくとも天面部を前記天面部の箱形ルーフと置き換えることによって、複数の前記単位函体を連接一体化して得られた前記函体構造物による、前記地下空間を形成するアンダーパス工法。
続きを表示（約 780 文字）【請求項２】
前記狭小発進立坑の前記計画設置領域の延長よりも短い前記作業空間幅が、前記単位函体とこれを押し出す設備とを設置可能な空間幅となっている請求項１記載のアンダーパス工法。
【請求項３】
前記単位函体は１ｍ以上の厚さを有している請求項１又は２記載のアンダーパス工法。
【請求項４】
前記箱形パイプ部材は、略四辺形状の中空断面形状を有する複数の前記単位箱形パイプを、軸方向に連結一体化して形成されるようになっており、これらの前記単位箱形パイプは、所定の長さの単位コの字状上部扁平ピースの下方に、これよりも軸方向の長さの短い複数の単位コの字状下部ピースを、軸方向に連結一体化させた状態で上下に分離可能に連結して形成されるようになっており、前記パイプ部材撤去工程において、前記箱形パイプ部材は、後端部分の前記単位コの字状下部ピース毎に、順次撤去されるようになっている請求項１又は２記載のアンダーパス工法。
【請求項５】
前記単位函体の押出し方向の先端部には、前記天面部の箱形ルーフとの間に介在して、前記単位函体の正面形状に沿った外周形状を有する一対の矩形枠体を備える、ルーフ支持鋼殻が設置されており、前記パイプ部材撤去工程において、後方に張り出すようにして露出した、前記箱形パイプ部材の後端部分における少なくとも前記単位函体の天面部と対向する部分を、前記ルーフ支持鋼殻の前記一対の矩形枠体の間隔部分を介して、前記函体構造物の内側に順次撤去できるようになっている請求項１又は２記載のアンダーパス工法。
【請求項６】
前記一対の矩形枠体は、先行して設置された前記天面部の箱形ルーフの下面と同様の高さ位置に、上辺部鋼材の上面が配置されるように設置されている請求項５記載のアンダーパス工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、アンダーパス工法に関し、特に、短い作業空間幅の狭小発進立坑からの作業のみによって、既存構造物の下方の地盤に函体構造物による地下空間を形成するためのアンダーパス工法に関する。
続きを表示（約 2,800 文字）【背景技術】
【０００２】
アンダーパス工法は、例えば既存の鉄道や道路等の既存構造物の下方の地盤に、これらを横断する地下空間を形成するための工法として採用されるものであり、Ｒ＆Ｃ工法（登録商標）（例えば、特許文献１参照）やＳＦＴ工法（登録商標）（例えば、特許文献２参照）等が知られている。アンダーパス工法は、例えば地下空間の形成予定箇所となる既存構造物の下方の地盤に、箱形パイプ部材を連設させて設置することにより、既存構造物を下方から支えて支持する天面部箱形ルーフ、及び側面部箱形ルーフを形成した後に、形成した天面部箱形ルーフや側面部箱形ルーフを、矩形断面形状を備える函体構造物を既存構造物の下方の地盤に推進させて置換することによって、置換した函体構造物による地下空間を形成するようになっている。
【０００３】
また、例えば都市部等における工事現場では、函体構造物が推進される既存構造物の下方の地盤における、当該既存構造物を挟んだ到達側に、例えば別の既存の構造物が形成されていることで、到達側には作業用立坑を設けることができない場合がある。このような場合でも、到達側に立坑を設けることなく、発進側の立坑のみを作業用立坑として、アンダーパス工法の各々の作業工程を実施可能とする技術も開発されている（例えば、特許文献３参照）。
【０００４】
さらに、アンダーパス工法において、既存構造物の下方の地盤に先行して形成された天面部箱形ルーフや側面部箱形ルーフと置換させる函体構造物を、作業用立坑の内部で、現場打ちコンクリートによって形成しようとすると、型枠の組立から打設したコンクリートを養生するまでに、相当の期間を要することから、予め工場等において、函体構造物を複数のピースに分けてプレキャストコンクート製品として形成しておき、これらを作業用立坑に搬入した後に、ＰＣ鋼線等を介して周方向及び軸方向に接合一体化することによって、函体構造物を形成する技術も開発されている（例えば、特許文献４参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２００７－１７７５５３号公報
特開２０１２－１４４９４２号公報
特開２００１－７３６７０号公報
特開２００５－２６４５５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
一方、近年、例えばアンダーパス工法によって、好ましくはより大きな中空断面形状を有する地下空間を形成することが要望されており、また例えば都市部においては、発進側にも作業用立坑を形成するための十分な広さの敷地を確保できない場合もあることから、狭い作業用立坑において、より大きな中空断面形状の地下空間を形成することを可能にする、新たなアンダーパス工法に関する技術の開発が要望されている。
【０００７】
すなわち、既存構造物を挟んだ到達側に、例えば別の既存の構造物が形成されていて、到達側の作業用立坑を設けることができないこと加えて、発進側にも、作業用立坑を形成するための十分な広さの敷地を確保できないことで、例えば立坑の作業空間幅が、１０ｍ程度以下の狭い作業用立坑しか設けることができない場合には、このような発進側の狭い作業用立坑において、既存構築物の下方の地盤を横断して箱形ルーフを形成する工程から、形成された箱形ルーフを撤去しながら、これと置き換えるようにして、函体構造物を既存構造物の下方の地盤に推進させて地下空間を形成するまでの工程を、効率良く実施できるようにするためには、それに応じた特有の設備、使用部材、及び手順等が必要とされることになる。
【０００８】
本発明は、作業空間幅が例えば単位函体とこれを押し出す設備とを設置可能な空間幅の、発進側の狭い作業用立坑での作業のみによって、到達側に作業用立坑を設けることなく、既存構造物の下方の地盤を横断する地下空間を、函体構造物によって効率良く形成することのできるアンダーパス工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、函体構造物の計画設置領域を挟んだ一方の側の地盤に形成された、前記計画設置領域の延長よりも短い作業空間幅の狭小発進立坑を作業用立坑として、当該狭小発進立坑からの作業のみによって、既存構造物の下方の地盤に、当該既存構造物の下方を横断して、矩形状の断面形状を有する函体構造物による地下空間を形成するためのアンダーパス工法であって、前記函体構造物は、複数のプレキャストコンクリート製の単位函体を押出し方向に連接一体化して得られたものとなっており、前記既存構造物の下方を横断する方向における前記計画設置領域の両側の端部の地盤に、地盤改良によって鏡部の改良地盤を形成する鏡部地盤改良工程と、前記函体構造物の前記計画設置領域における少なくとも天面部分に沿って、複数の箱形パイプ部材の各々を、横幅方向に連設させるようにして前記狭小発進立坑から前記既存構造物の下方の地盤に、単位箱形パイプ毎に押し込むことで、前記既存構造物の直下部分を横断する少なくとも天面部の箱形ルーフを形成する箱形ルーフ形成工程と、前記函体構造物を構成する各々の前記単位函体を、前記狭小発進立坑に一体ずつ設置して、設置した該単位函体を、先行して押し出された前記単位函体と共に一体として前方に押し出す函体ピース押出し工程と、前記箱形ルーフ形成工程で形成された前記天面部の箱形ルーフの下方の地盤を、前記狭小発進立坑側の切羽部において掘削することにより後方に張り出すようにして露出した、前記箱形パイプ部材の後端部分における少なくとも前記単位函体の天面部と対向する部分を、順次撤去するパイプ部材撤去工程とを含んでおり、前記パイプ部材撤去工程において、前記箱形パイプ部材の後端部分の少なくとも前記単位函体の天面部と対向する部分を撤去した長さ分、前記函体ピース押出し工程において、前記単位函体を一体として前方に押し出すようになっており、これらの両工程を繰り返すことで、少なくとも天面部を前記天面部の箱形ルーフと置き換えることによって、複数の前記単位函体を連接一体化して得られた前記函体構造物による、前記地下空間を形成するアンダーパス工法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【００１０】
そして、本発明のアンダーパス工法は、前記狭小発進立坑の前記計画設置領域の延長よりも短い前記作業空間幅が、前記単位函体とこれを押し出す設備とを設置可能な空間幅となっていることが好ましい。
（【００１１】以降は省略されています）

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