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公開番号
2024143519
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023056244
出願日
2023-03-30
発明の名称
粘着フィルム、及び該粘着フィルムを用いる半導体装置の製造方法
出願人
AGC株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C09J
7/38 20180101AFI20241003BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】極性溶媒への耐性を有し、粘着性、及び基材層と粘着剤層との密着性に優れる粘着フィルムを提供する。
【解決手段】50℃における貯蔵弾性率が400~800MPaでありかつ50℃から100℃の温度領域における貯蔵弾性率の減少率が20~75%の範囲であるテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む基材層と、(メタ)アクリレート系ポリマーを含む粘着剤層とをこの順に備え、前記温度領域における、極性溶媒に対する膨潤量が1質量%未満である、粘着フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
50℃における貯蔵弾性率が400~800MPaでありかつ50℃から100℃の温度領域における貯蔵弾性率の減少率が20~75%の範囲であるテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む基材層と、(メタ)アクリレート系ポリマーを含む粘着剤層とをこの順に備え、前記温度領域における、極性溶媒に対する膨潤量が1質量%未満である、粘着フィルム。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、融点が180~320℃である熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記基材層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのフィルムからなる、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記基材層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの平均粒子径が10μm未満の粒子の溶融焼結体である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記基材層が、さらに(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリイミド系ポリマー又はポリエステル系ポリマーを含有する、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート系ポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を50質量%以上含有し、前記アルキル(メタ)アクレート100質量部中、アルキル基の炭素数が8~12のアルキル(メタ)アクリレートが95質量部以上を占める、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
さらに、前記アルキル(メタ)アクリレート100質量部中、イソオクチル(メタ)アクリレート又はラウリル(メタ)アクリレートが50質量部超を占める、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項8】
前記粘着剤層が、さらに架橋剤を含有する、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項9】
前記粘着剤層の、シリコンミラーウエハを被着体とした粘着力が、前記基材層に対する粘着力よりも低い、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項10】
前記基材層の一方の表面が表面処理され、該表面処理された面上に前記粘着剤層が形成されている、請求項1に記載の粘着フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着フィルム、及び該粘着フィルムを用いる半導体装置の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ又は半導体チップの加工工程において、半導体ウエハを固定するダイシングシートや、半導体チップをピックアップする際のピックアップシートとして、テトラフルオロエチレン系ポリマー等の各種樹脂のフィルム基材上に粘着層を備えた粘着フィルムが用いられている。
また、特許文献1には、半導体素子、回路基板、微小電気機械システム(MEMS)等の各製造工程(ハンダリフロー、ダイシング、ボンディング、実装)における中間製造物の保護カバー部材を配置するため、突き上げによって半導体素子をピックアップする装置を応用した装置に供給する、テトラフルオロエチレン系ポリマーからなる保護膜と粘着剤層からなる保護カバー部材及び基材シートを備える部材供給シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2021/141124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイシングシート上に固定された半導体ウエハや、ピックアップシート上に転写された半導体チップは、製造工程において、例えば極性溶媒に浸漬したり、極性溶媒の蒸気を噴霧する等の手段により洗浄される。
かかる洗浄に際して、半導体ウエハ又は半導体チップのみならず、ダイシングシート又はピックアップシートである粘着フィルムにも極性溶媒が接触する。基材としてのテトラフルオロエチレン系ポリマーのフィルムは耐溶剤性に優れるが、極性溶媒により粘着剤層が膨潤したり、粘着剤層と基材層間の界面もしくは粘着剤層と被着体間の界面に極性溶媒が浸入することにより、粘着剤層の凝集破壊が生じ、または界面破壊が発生し、被着体が粘着フィルムから脱落する場合がある。
また、粘着フィルムを半導体ウエハ又は半導体チップから剥離する際の剥離角度や剥離速度が制限され、半導体製造工程における生産性に影響が生じる場合がある。
【0005】
本発明者らは、特定の貯蔵弾性率を備えるテトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層を基材層として、また好適には特定の(メタ)アクリレート系ポリマーを含む粘着剤層とを有する粘着フィルムは、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気絶縁性等の物性に優れ、有機溶媒、特に極性溶媒への耐性に優れ、粘着性及び基材層と粘着剤層との密着性に優れることを知見した。また、かかる粘着フィルムは半導体装置の製造方法に有効に適用できることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、極性溶媒への耐性を有し、粘着性、及び基材層と粘着剤層との密着性に優れる粘着フィルムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 50℃における貯蔵弾性率が400~800MPaでありかつ50℃から100℃の温度領域における貯蔵弾性率の減少率が20~75%の範囲であるテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む基材層と、(メタ)アクリレート系ポリマーを含む粘着剤層とをこの順に備え、前記温度領域における、極性溶媒に対する膨潤量が1質量%未満である、粘着フィルム。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、融点が180~320℃である熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]の粘着フィルム。
[3] 前記基材層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのフィルムからなる、[1]又は[2]の粘着フィルム。
[4] 前記基材層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの平均粒子径が10μm未満の粒子の溶融焼結体である、[1]~[3]のいずれかの粘着フィルム。
[5] 前記基材層が、さらに(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリイミド系ポリマー又はポリエステル系ポリマーを含有する、[1]~[4]のいずれかの粘着フィルム。
[6] 前記(メタ)アクリレート系ポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を50質量%以上含有し、前記アルキル(メタ)アクレート100質量部中、アルキル基の炭素数が8~12のアルキル(メタ)アクリレートが95質量部以上を占める、[1]~[5]のいずれかの粘着フィルム。
[7] さらに、前記アルキル(メタ)アクリレート100質量部中、イソオクチル(メタ)アクリレート又はラウリル(メタ)アクリレートが50質量部超を占める、[1]~[6]のいずれかの粘着フィルム。
[8] 前記粘着剤層が、さらに架橋剤を含有する、[1]~[7]のいずれかの粘着フィルム。
[9] 前記粘着剤層の、シリコンミラーウエハを被着体とした粘着力が、前記基材層に対する粘着力よりも低い、[1]~[8]のいずれかの粘着フィルム。
[10] 前記基材層の一方の表面が表面処理され、該表面処理された面上に前記粘着剤層が形成されている、[1]~[9]のいずれかの粘着フィルム。
[11] 前記基材層と前記粘着剤層との間にプライマー層を有する、[1]~[10]のいずれかの粘着フィルム。
[12] 前記極性溶媒が、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン又はN-メチルピロリドンである、[1]~[11]のいずれかの粘着フィルム。
[13] 電子部品加工用粘着シートである、[1]~[12]のいずれかの粘着フィルム。
[14] [1]~[13]のいずれかの粘着フィルム上に半導体ウエハ又は半導体チップを保持した状態で、前記粘着フィルムと前記半導体ウエハ又は前記半導体チップとの積層物を極性溶媒に接触させる工程を含む、半導体装置の製造方法。
[15] 前記極性溶媒が酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン又はN-メチルピロリドンであり、前記工程が前記半導体ウエハ又は前記半導体チップの洗浄工程である、[14]の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、極性溶媒への耐性を有し、粘着性、及び基材層と粘着剤層との密着性に優れる粘着フィルムを提供できる。かかる粘着フィルムは、電子部品加工用粘着シートとして、半導体装置の製造方法に有効に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語は、以下の意味を有する。
テトラフルオロエチレン系ポリマーの「50℃から100℃の温度領域における貯蔵弾性率の減少率」は、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用い、テトラフルオロエチレン系ポリマーの層又はフィルムの試料(5mm×3cm×厚さ100μm)を、標線間長2cmで試料変形モードを引張として、50℃から100℃の間で2℃/分で昇温しながら1Hzにて貯蔵弾性率を求めた際の、100℃における貯蔵弾性率を50℃における貯蔵弾性率で除した値のパーセンテージ値として求められる値である。
粘着フィルムの膨潤量は、粘着フィルムの複数枚を積層した厚さ1mm、1cm四方のフィルムの質量(質量A)と、それを85℃/85%RH環境下に静置しておいた極性溶媒に1時間浸漬させてから乾燥して得られるフィルムの質量(質量B)とから、以下の式を用いて算出される値である。
膨潤量[%]=(質量B-質量A)/質量A × 100
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子の体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子のD50は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で液状組成物を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0009】
本発明の粘着フィルム(以下、「本粘着フィルム」とも記す。)は、50℃における貯蔵弾性率が400~800MPaでありかつ50℃から100℃の温度領域における貯蔵弾性率の減少率が20~75%の範囲であるテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)を含む基材層と、(メタ)アクリレート系ポリマーを含む粘着剤層とをこの順に備え、前記温度領域における、極性溶媒に対する膨潤量が1質量%未満である。
本粘着フィルムは極性溶媒に対する耐性に優れ、粘着性、及び基材層と粘着剤層との密着性にも優れる。かかる理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
【0010】
本粘着フィルムを構成する基材層は、50℃以下でのいわゆる常温領域においては一定の剛性を有する反面、本粘着フィルムが使用される、例えば半導体製造工程において極性溶媒と接触させる際の50~100℃の温度領域では、基材層が含有するFポリマーの貯蔵弾性率が所定の減少率であることで基材層の柔軟性が増すことで、粘着剤層との剥離を抑制する作用を奏していると考えられる。また、好適にはアルキル(メタ)アクリレートの含有量が所定範囲である、後述する特定の(メタ)アクリレート系ポリマーを主剤とする粘着剤層は、極性溶媒に対する濡れ性が低くなるため、Fポリマーに基づく耐溶剤性を有する基材層と共に、極性溶媒による粘着フィルムの膨潤が抑制され、極性溶媒に対する耐性を協奏的に向上させているとも考えられる。
その結果、本粘着フィルムは、極性溶媒に接触しても、粘着剤層の膨潤や溶解、さらには基材層との剥離が抑制され、粘着力が維持される。したがって、本粘着フィルムを電子部品加工用粘着シートとして半導体装置の製造方法に適用すると、半導体製造の洗浄工程における半導体ウエハ又は半導体チップ(被着体)の脱落や破損を防止でき、その生産効率の向上に寄与できる。
(【0011】以降は省略されています)
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