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公開番号
2024139236
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-09
出願番号
2023050088
出願日
2023-03-27
発明の名称
ジメチルアクリジン誘導体、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置
出願人
日本放送協会
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07D
219/06 20060101AFI20241002BHJP(有機化学)
要約
【課題】イオン化ポテンシャルが小さく、発光特性に優れたドナー性材料を提供する。
【解決手段】ジメチルアクリジン誘導体であって、ジメチルアクリジン骨格にメトキシ基を繋げることにより合成したジメチルアクリジン誘導体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式(1):
TIFF
2024139236000025.tif
125
167
[一般式(1)中、X
1
のいずれか1つはメトキシ基で、X
2
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
1
及びX
2
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
Aは、C(CH
3
)
2
又はOであり、
R’は、水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基、及び下記一般式(1-1):
TIFF
2024139236000026.tif
84
164
(一般式(1-1)中、X
3
のいずれか1つはメトキシ基で、X
4
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
3
及びX
4
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、*は結合手を表わす。)で表される複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
一般式(1)及び(1-1)中、Rは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。]で表されることを特徴とする、ジメチルアクリジン誘導体。
続きを表示(約 2,700 文字)
【請求項2】
下記一般式(2):
TIFF
2024139236000027.tif
94
128
[一般式(2)中、X
1
のいずれか1つはメトキシ基で、X
2
のいずれか1つはメトキシ基で、X
5
のいずれか1つはメトキシ基で、X
6
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
1
、X
2
、X
5
及びX
6
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
Rは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。]で表される、請求項1に記載のジメチルアクリジン誘導体。
【請求項3】
下記一般式(3):
TIFF
2024139236000028.tif
97
151
[一般式(3)中、X
1
のいずれか1つはメトキシ基で、X
2
のいずれか1つはメトキシ基で、X
3
のいずれか1つはメトキシ基で、X
4
のいずれか1つはメトキシ基で、X
5
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
1
、X
2
、X
3
、X
4
及びX
5
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
Rは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。]で表される、請求項1に記載のジメチルアクリジン誘導体。
【請求項4】
下記一般式(4):
TIFF
2024139236000029.tif
97
155
[一般式(4)中、X
1
のいずれか1つはメトキシ基で、X
2
のいずれか1つはメトキシ基で、X
3
のいずれか1つはメトキシ基で、X
4
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
1
、X
2
、X
3
及びX
4
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
Rは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。]で表される、請求項1に記載のジメチルアクリジン誘導体。
【請求項5】
陽極と、正孔輸送層と、発光層と、陰極と、をこの順に具え、
前記正孔輸送層が、イオン化ポテンシャルが小さいドナー性材料である第一の有機化合物を含み、
前記発光層が、電子親和力が大きいアクセプター性材料である第二の有機化合物を含み、
前記第一の有機化合物と前記第二の有機化合物との間で励起錯体が形成される、有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第一の有機化合物が、請求項1に記載のジメチルアクリジン誘導体であることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記第一の有機化合物は、密度汎関数法を用いて算出したイオン化ポテンシャル(IP)の計算値が4.5eV以下である、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記第二の有機化合物は、密度汎関数法を用いて算出した電子親和力(EA)の計算値が2.1eV以上であるか、低エネルギー逆光電子分光法により求めた電子親和力(EA)の実測値が2.8eV以上である、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、表示装置。
【請求項9】
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、照明装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメチルアクリジン誘導体、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)素子、表示装置、及び照明装置に関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子を低い印加電圧で発光させる取り組みが精力的に行われている。例えば、テトラセン誘導体であるルブレンをドナーに用い、アクセプターとして電子親和力が大きいフラーレンを用いて、その界面で形成される励起錯体(エキサイプレックス)のエネルギーを、三重項-三重項消滅を経て、有機エレクトロルミネッセンス素子において、ルブレンの一重項励起状態の発光として取り出せることが報告されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、三重項-三重項消滅を利用できる化合物としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体等の化合物が、優れた電子的特性を持ち且つ高い発光の量子収率を示すため、低い駆動電圧で発光する有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として使われている(例えば、非特許文献1~5参照)。
【0004】
上記のような、ルブレンとフラーレンを組み合わせた有機エレクトロルミネッセンス素子においては、ルブレンの最高占有軌道(HOMO)のエネルギーであるイオン化ポテンシャルと、フラーレンの最低非占有軌道(LUMO)のエネルギー差が小さく、その小さいエネルギー差で励起状態を形成できるため、低い印加電圧で発光に寄与する励起状態を生成させることができる。一般的な有機エレクトロルミネッセンス素子では、一つの分子で電荷を再結合させるため、発光に寄与する励起状態を生成させるためにはバンドギャップのエネルギーに相当する印加電圧が必要であるが、イオン化ポテンシャルが小さいドナー性材料と電子親和力が大きいアクセプター性材料の励起錯体を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子では、より低電圧で発光が得られる。
【0005】
しかしながら、励起錯体を形成してアクセプター性材料に効率的にエネルギーを移動させることができるドナー性材料は限られており、更に低電圧で発光を得るためにはイオン化ポテンシャルの小さいドナー性材料が必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Sebastian Engmann,外5名,「Nature Communications」,第10巻,2019年,p227,doi.org/10.1038/s41467-018-08075-z
Seiichiro Izawa,外3名,DOI:10.26434/chemrxiv.14685417.v1
Futong Liu,外8名,「Journal of Materials Chemistry C」,第7巻,2019年,p14881,DOI:10.1039/c9tc05040j
Youn Jue Bae,外9名,「Journal of the American chemical society」,2018年,第140巻,p15140,DOI:10.1021/jacs.8b07498
Xiangyang Tang,外10名,「Advanced Functional Materials」,2018年,DOI:10.1002/adfm.201705813
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記非特許文献1及び2においては、テトラセン誘導体であるルブレンをドナー性材料として用いることで、低い印加電圧で発光が得られている。しかしながら、ドナー性材料としてルブレンを用いた場合では、ルブレンのイオン化ポテンシャルが5.0eV以上であるため、ドナー性材料のイオン化ポテンシャルとアクセプター性材料の電子親和力の差であるエネルギーギャップを小さくことは難しい。これに対して、よりイオン化ポテンシャルの小さいドナー性材料ができれば、低電圧で駆動する有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、イオン化ポテンシャルが小さく、発光特性に優れたドナー性材料を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかるドナー性材料を用いた、駆動電圧が低い有機EL素子、表示装置及び照明装置を提供することを更なる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、イオン化ポテンシャルの小さいドナー性材料について種々検討したところ、ドナー性材料として、ジメチルアクリジン骨格にメトキシ基を繋げることにより、上記課題をみごとに解決できることに想到し、本発明に到達したものである。
即ち、上記課題を解決する本発明のジメチルアクリジン誘導体、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置の要旨構成は、以下の通りである。
【0010】
[1] 下記一般式(1):
TIFF
2024139236000001.tif
127
169
[一般式(1)中、X
1
のいずれか1つはメトキシ基で、X
2
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
1
及びX
2
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
Aは、C(CH
3
)
2
又はOであり、
R’は、水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基、及び下記一般式(1-1):
TIFF
2024139236000002.tif
83
170
(一般式(1-1)中、X
3
のいずれか1つはメトキシ基で、X
4
のいずれか1つはメトキシ基であり、その他のX
3
及びX
4
は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、*は結合手を表わす。)で表される複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、
一般式(1)及び(1-1)中、Rは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数7~20のアラルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、及び置換若しくは未置換の炭素数3~30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。]で表されることを特徴とする、ジメチルアクリジン誘導体。
上記[1]に記載の本発明のジメチルアクリジン誘導体は、イオン化ポテンシャルが小さく(例えば、イオン化ポテンシャルの計算値が4.5eV以下)、発光特性に優れる。
(【0011】以降は省略されています)
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