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公開番号
2024135669
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023046469
出願日
2023-03-23
発明の名称
モータの軸受システム
出願人
マツダ株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
F16C
32/06 20060101AFI20240927BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】ポンプにより気体潤滑軸受として動作可能な軸受を有するモータの軸受システムにおいて、ポンプ異常時に対処するように軸受に関する制御を的確に行う。
【解決手段】モータの軸受システム100は、ポンプ30により気体潤滑軸受として動作可能な滑り軸受3と、転がり軸受4と、滑り軸受と転がり軸受とを切り替える切り替え機構20と、制御装置50とを有する。制御装置は、モータ回転速度が第1速度未満であるときは、転がり軸受が機能するよう切り替え機構を設定し、ポンプが正常でモータ回転速度が第1速度以上であるときは、滑り軸受が機能するよう切り替え機構を設定し、且つ滑り軸受を気体潤滑軸受として動作させるようポンプを制御し、ポンプの異常時にはモータ回転速度が第1速度以上であっても、転がり軸受が機能するよう切り替え機構を設定し、且つモータ回転速度を所定速度未満に制限する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
モータの軸受システムであって、
モータの回転軸を支持する転がり軸受と、
前記回転軸の軸線上において前記転がり軸受と並列して配置され、前記回転軸を支持する滑り軸受であって、当該滑り軸受に供給される気体により気体潤滑を行う気体潤滑軸受として動作可能に構成された、前記滑り軸受と、
前記滑り軸受に前記気体を供給するポンプと、
前記転がり軸受が前記回転軸を支持する軸受として機能する第1状態と、前記滑り軸受が前記回転軸を支持する軸受として機能する第2状態と、のいずれか一方に設定可能に構成された切り替え機構と、
前記モータの回転速度を検出する検出装置と、
前記検出装置により検出された前記回転速度に基づき前記ポンプ及び前記切り替え機構を制御すると共に、前記ポンプが正常であるか又は異常であるかを判定するように構成された制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記回転速度が閾値未満であるときには、前記切り替え機構を前記第1状態に設定し、
前記ポンプが正常であると判定したときにおいて、前記回転速度が前記閾値以上であるときには、前記切り替え機構を前記第2状態に設定すると共に、前記滑り軸受を前記気体潤滑軸受として動作させるように前記ポンプを制御し、
前記ポンプが異常であると判定したときには、前記回転速度が前記閾値以上であっても、前記切り替え機構を前記第1状態に設定すると共に、前記モータの回転速度を所定速度未満に制限するように前記モータを制御する、
ように構成されている、ことを特徴とするモータの軸受システム。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
モータの軸受システムであって、
複数の転動体を備え、モータの回転軸を支持する軸受であって、転がり軸受として動作するか、又は、当該軸受に供給される気体により気体潤滑を行う気体潤滑軸受として動作するように構成された、前記軸受と、
前記軸受に前記気体を供給するポンプと、
前記モータの回転速度を検出する検出装置と、
前記検出装置により検出された前記回転速度に基づき前記ポンプを制御すると共に、前記ポンプが正常であるか又は異常であるかを判定するように構成された制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記回転速度が閾値未満であるときには、前記軸受を前記転がり軸受として動作させるように、前記ポンプを停止させるか、又は、前記回転速度が前記閾値以上であるときよりも前記ポンプの駆動力を小さくし、
前記ポンプが正常であると判定したときにおいて、前記回転速度が前記閾値以上であるときには、前記軸受を前記気体潤滑軸受として動作させるように前記ポンプを制御し、
前記ポンプが異常であると判定したときには、前記回転速度が前記閾値以上であっても、前記軸受を前記転がり軸として動作させると共に、前記モータの回転速度を所定速度未満に制限するように前記モータを制御する、
ように構成されている、ことを特徴とするモータの軸受システム。
【請求項3】
前記転がり軸は、外輪、内輪及びこれらの間に設けられた転動体を有し、
前記切り替え機構は、前記第1状態と前記第2状態とを切り替えるべく、前記転がり軸受において前記外輪及び前記内輪と前記転動体とを接触させる状態と、前記外輪又は前記内輪と前記転動体とを非接触にする状態と、を切り替えるように、前記転がり軸受の一部分を移動可能に構成されている、請求項1に記載のモータの軸受システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記滑り軸受を前記気体潤滑軸受として動作させるために必要な前記ポンプの圧力が得られる前記モータの回転速度に基づき、前記閾値を設定するように構成されている、請求項1に記載のモータの軸受システム。
【請求項5】
前記制御装置は、設定された前記閾値が所定速度以上である場合には、前記回転速度が前記閾値以上であっても、前記切り替え機構を前記第1状態に設定するように構成されている、請求項4に記載のモータの軸受システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記軸受を前記気体潤滑軸受として動作させるために必要な前記ポンプの圧力が得られる前記モータの回転速度に基づき、前記閾値を設定するように構成されている、請求項2に記載のモータの軸受システム。
【請求項7】
前記制御装置は、設定された前記閾値が所定速度以上である場合には、前記回転速度が前記閾値以上であっても、前記軸受を前記転がり軸として動作させるように構成されている、請求項6に記載のモータの軸受システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記回転軸に付与されるラジアル荷重に基づき、前記閾値を設定するように構成されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータの軸受システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの軸受システムに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車両の動力源(エンジンやモータ)の回転軸などを支持する軸受として、転がり軸受や滑り軸受が用いられている。転がり軸受は、低回転領域においてフリクションが小さい一方、滑り軸受は、低回転領域においてフリクションが大きい。他方で、転がり軸受は、転がり疲労により寿命が有限であるが、滑り軸受は、潤滑が適切な条件下では寿命が永久的である。
【0003】
ここで、転がり軸受及び滑り軸受の両方を有するようにシステムを構成して、上記のような各軸受の特性に応じて、適用する軸受を切り替える技術が提案されている。例えば、特許文献1には、エンジンのクランクシャフトやカムシャフトを支持する軸受として転がり軸受及び滑り軸受を用いるシステムに関して、回転数が低い始動時には転がり軸受のみを機能させ、この始動後には滑り軸受のみを機能させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2009-19728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、エンジンにおいては、高回転領域において、滑り軸受を適用するのが効果的である。この滑り軸受には、一般的に、潤滑油による流体潤滑が用いられている。ところで、エンジンよりも高回転で動作するモータでは、このような滑り軸受をモータの高回転領域において適用すると、潤滑油の流体摩擦や抵抗が大きくなり、モータの電費が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、本件発明者は、潤滑油よりも粘度が小さい気体での潤滑(気体潤滑)を用いる気体潤滑軸受(例えば空気軸受)を、滑り軸受に適用することを考えた。この気体潤滑軸受を実現するためには、軸受と回転軸との接触防止のために、これらの間に気体層を確実に形成する必要がある。この気体層の形成には、所謂くさび効果及び絞り効果を利用するのが良いと考えられる。しかしながら、くさび効果及び絞り効果は基本的には高回転領域でしか得られないので、これら効果を利用しようとするする方法では、低回転領域において軸受と回転軸とが接触してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本件発明者は、低回転領域において気体潤滑軸受のための気体層を確実に形成するために、ポンプにより静圧を軸受に付与することを考えた。しかしながら、ポンプの消費電力は電費低下に繋がるため、ポンプの作動を最小限に抑えることが望ましい。ここで、気体層の形成は、ポンプにより付与される静圧に対して、上述したくさび効果及び絞り効果による圧力を合算したものに因る。これら効果は、気体の粘度や摺動速度や圧力から決まる。また、これら効果の発生度合いは、モータ回転速度(一義的に回転数となる。以下同様とする。)から把握することができる。
【0008】
本件発明者が行った実験によれば、モータの低回転領域では、くさび効果及び絞り効果が得られないので、気体潤滑軸受を適用することによる電費改善代が、気体潤滑軸受を実現するためのポンプ作動による電費低下代よりも低くなるため、気体潤滑軸受を適用すべきでないことがわかった。そのため、本件発明者は、この低回転領域よりも高い回転領域でのみ、ポンプを作動させることにより気体潤滑軸受を適用するようにして、低回転領域では、転がり軸受を適用することを考えた。
【0009】
ところで、上記のようなポンプに異常が発生した場合には、気体潤滑軸受を実現するのが困難となるため、低回転領域よりも高い回転領域であっても、転がり軸受を適用することが望ましいと言える。しかしながら、このような転がり軸受を適用した場合、モータが極めて高い回転数で運転したときに、転がり軸受において転動体の変形や抵抗増加などが生じる可能性がある。本件発明者は、このような知見に基づき、ポンプに異常が発生した場合に対処すべく軸受に関する制御を行うことを着想し、本発明を完成させたのである。
【0010】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、ポンプから供給される気体により気体潤滑軸受として動作可能に構成された軸受を有するモータの軸受システムにおいて、ポンプに異常が発生した場合に対処するように軸受に関する制御を的確に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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