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公開番号
2024153438
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-29
出願番号
2023067336
出願日
2023-04-17
発明の名称
成形体の製造方法及び製造装置並びに成形体
出願人
マツダ株式会社
代理人
弁理士法人前田特許事務所
主分類
B29C
70/42 20060101AFI20241022BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約
【課題】孔の外周に強化繊維を含む領域と含まない領域とを設けた成形体、それを容易に製造可能な製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料2を、前記強化繊維の延伸方向に対して交差する方向に延びるコア部4へ巻き付け、巻回体10を形成する巻回工程S10と、互いに対向する対向面510,520を有する固定型52及び可動型51を備え、固定型及び可動型の間に巻回体を配置した後、可動型を固定型へ接近させて対向面を突き合わせることにより、巻回体を変形させて成形体100を成形する成形工程S20と、を備え、固定型及び可動型の少なくとも一方は、成形体に孔を形成するための突出部53を有し、突出部は、変形前の巻回体に対して非接触となる位置、かつ、変形後の巻回体に接触する位置において、一方の対向面から他方の対向面へ延びる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
強化繊維と樹脂材料を含む成形体の製造方法であって、
強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料を、強化繊維の延伸方向に対して交差する方向に延びるコア部へ巻き付け、巻回体を形成する巻回工程と、
互いに対向する対向面を有する固定型及び可動型を備え、前記固定型及び前記可動型の間に前記巻回体を配置した後、前記可動型を前記固定型へ接近させて前記対向面を突き合わせることにより、前記巻回体を変形させて成形体を成形する成形工程と、を備え、
前記固定型及び前記可動型の少なくとも一方は、成形体に孔を形成するための突出部を有し、前記突出部は、変形前の前記巻回体に対して非接触となる位置、かつ、変形後の前記巻回体に接触する位置において、一方の前記対向面から他方の前記対向面へ延びる、成形体の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の成形体の製造方法において、
前記可動型及び前記固定型が、前記成形工程における成形下死点の位置に至る前、又は、成形下死点の位置に至った後、前記対向面の間に樹脂材料を追加する樹脂追加工程を有する、成形体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の成形体の製造方法において、
前記可動型及び前記固定型が、前記成形工程における成形下死点の位置に至るまでに、前記コア部が前記巻回体から引き出されるコア部取出し工程を備える、成形体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の成形体の製造方法において、
前記固定型及び前記可動型は、一方が凹部、他方が凸部を備え、前記凹部及び前記凸部はそれぞれ、天板形成部と該天板形成部の両端部から延びる側壁形成部とを有して前記巻回体を断面ハット形状へ成形可能であり、前記巻回体を前記凸部へ配置した後、前記対向面を突き合わせることにより、前記巻回体を前記凸部から外側へ流動させ、
前記突出部は、前記凸部よりも外側に設けられる、成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の成形体の製造方法において、
前記巻回体は、強化繊維の延伸方向が前記天板形成部と前記側壁形成部との間に形成される角部の延びる方向へ沿うように、前記天板形成部に配置される、成形体の製造方法。
【請求項6】
強化繊維と樹脂材料を含む成形体の製造装置であって、
強化繊維の延伸方向に対して交差する方向に延びる回転軸を有し、互いに離間する複数の折返し部材の外周に、前記強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料を巻き付け可能に構成されたコア部と、
互いに対向する対向面を有し、前記コア部によって巻回された前記繊維強化樹脂材料の巻回体を、該対向面の間に挟み込んで変形させる固定型及び可動型と、
前記固定型及び前記可動型の少なくとも一方に設けられ、変形前の前記巻回体に対して非接触となる位置、かつ、変形後の前記巻回体に接触する位置において、一方の前記対向面から他方の前記対向面へ延びる突出部と、を備える、成形体の製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載の成形体の製造装置において、
前記固定型及び前記可動型は、一方が凹部、他方が凸部を備え、前記巻回体を断面ハット形状へ成形可能に、天板形成部、前記天板形成部の両端部から延びる側壁形成部、及び前記側壁形成部から延びるフランジ形成部を有し、
前記突出部は、前記フランジ形成部に設けられる、成形体の製造装置。
【請求項8】
強化繊維及び樹脂材料を含む成形体であって、
天板部、該天板部の両端から延びる側壁部、及び該側壁部の両側から延びるフランジ部を備え、前記フランジ部に孔を有する断面ハット形状であり、
前記強化繊維が、前記天板部と前記側壁部との間に形成される稜線部の延びる方向に沿って延伸するとともにその延伸方向に複数回折り返されて補強部を構成し、
前記フランジ部は、前記孔の外周において、前記天板部から離れる方向に前記強化繊維を含まない非補強部を有する、成形体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、成形体の製造方法及び製造装置並びに成形体に関する技術分野に属する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂材料を含む成形体は、軽量かつ高強度な製品として、様々な分野で活用されている。一般的に、繊維強化樹脂材料は、強化繊維の束を樹脂へ含浸させて生成される。このような繊維強化樹脂材料をプレス成形して成形体が製造されるが、成形体には孔の形成を必要とするものがある。
【0003】
繊維強化樹脂材料を含み、孔を有する成形体の製造方法としては、例えば特許文献1に開示の方法がある。特許文献1には、FRP製板バネの製造において、円筒状の型に突起が設けてあり、樹脂を含侵させた強化繊維束をその型に巻き付ける際、突起を避けて巻き付けることで、その突起部分によって孔を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭60-132140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレス成形後に孔を開けると、孔の形成部分において強化繊維を破断させることになる。特許文献1の方法では、強化繊維の破断を防ぐことは可能であるが、突起を避けて繊維強化樹脂材料を巻き付けるには細かい調整が必要である。また、成形体は、孔の周りにおいて、強化繊維を含む領域と含まない領域を設けることにより、部品としての強度を有しつつも、取り外し時に破断させ易くすることが可能である。しかしながら、特許文献1の方法では、突起周辺で強化繊維を含まない領域を設けるように制御することは困難である。
【0006】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、繊維強化樹脂材料を含み、孔を有する高強度の成形体を容易に製造可能とし、さらに孔の外周の所定の領域において強化繊維を含まない高機能な成形体を容易に製造可能な製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術は、強化繊維と樹脂材料を含む成形体の製造方法であって、強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料を、前記強化繊維の延伸方向に対して交差する方向に延びるコア部へ巻き付け、巻回体を形成する巻回工程と、互いに対向する対向面を有する固定型及び可動型を備え、前記固定型及び前記可動型の間に前記巻回体を配置した後、前記可動型を前記固定型へ接近させて前記対向面を突き合わせることにより、前記巻回体を変形させて成形体を成形する成形工程と、を備え、前記固定型及び前記可動型の少なくとも一方は、成形体に孔を形成するための突出部を有し、前記突出部は、変形前の前記巻回体に対して非接触となる位置、かつ、変形後の前記巻回体に接触する位置において、一方の前記対向面から他方の前記対向面へ延びる構成とした。
【0008】
上記の構成によれば、突出部は変形前の巻回体に対して非接触となる位置、かつ、変形後の巻回体に接触する位置に延びるため、巻回体の変形によって流動する繊維強化樹脂材料に外周を囲まれて孔を形成する。そのため、繊維強化樹脂材料中の強化繊維が破断することを防ぎ、孔を有する高強度の成形体を容易に製造可能となる。また、このような位置に設けられることで、突出部は、巻回体の変形によって流動する強化繊維の移動を規制するため、成形体の孔周りにおいて、強化繊維を含む領域と含まない領域を容易に設けることが可能となる。
【0009】
一実施形態では、前記可動型及び前記固定型が、前記成形工程における成形下死点の位置に至る前、又は、成形下死点の位置に至った後、前記対向面の間に樹脂材料を追加する樹脂追加工程を有する構成としてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、樹脂材料を追加することで、巻回体が変形する際に巻回体から染み出る樹脂だけで成形するよりも、確実に成形体を成形できる。
(【0011】以降は省略されています)
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