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公開番号2024131732
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023042166
出願日2023-03-16
発明の名称酸化亜鉛素子およびその製造方法
出願人株式会社明電舎
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01C 7/12 20060101AFI20240920BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】優れた電気的特性を有するとともに、厚み/直径比が0.8を超える素子においても100kAの雷サージに対して素子破壊が起きない酸化亜鉛素子、およびその製造方法を提供する
【解決手段】本発明の酸化亜鉛素子は、酸化亜鉛(ZnO)と、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化コバルト(III)(Co2O3)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化第一銀(Ag2O)、および三酸化二ホウ素(B2O3)とを含み、酸化クロム(III)(Cr2O3)および二酸化ケイ素(SiO2)をいずれも含まない原料酸化物を焼成してなり、
前記酸化亜鉛素子の中心軸を通る断面の面積あたり、横幅/縦幅比が1以上で、かつ横幅が20μmを超えるボイドの総数が10個/mm2以下である。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
酸化亜鉛と、酸化ビスマス(III)、酸化アンチモン(III)、酸化コバルト(III)、二酸化マンガン、酸化ニッケル(II)、酸化第一銀、および三酸化二ホウ素とを含み、酸化クロム(III)および二酸化ケイ素をいずれも含まない原料酸化物を焼成してなる酸化亜鉛素子であって、
前記酸化亜鉛素子の中心軸を通る断面の面積あたり、横幅/縦幅比が1以上で、かつ横幅が20μmを超えるボイドの総数が10個/mm

以下である、酸化亜鉛素子。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記原料酸化物が、前記原料酸化物の総モル数を基準として、酸化ビスマス(III)を0.3モル%~1.5モル%、酸化アンチモン(III)を0.3モル%~2.0モル%、酸化コバルト(III)を0.3モル%~2.0モル%、二酸化マンガンを0.4モル%~2.0モル%、および酸化ニッケル(II)を0.5モル%~4.0モル%含み、かつ前記原料酸化物の総質量を基準として、酸化第一銀を0.005質量%~0.05質量%、および三酸化二ホウ素を0.005質量%~0.05質量%含む、請求項1に記載の酸化亜鉛素子。
【請求項3】
前記原料酸化物が、前記原料酸化物の総モル数を基準として、0.1モル%~1.0モル%の希土類酸化物をさらに含む、請求項2に記載の酸化亜鉛素子。
【請求項4】
前記希土類酸化物が酸化イットリウム(III)である、請求項3に記載の酸化亜鉛素子。
【請求項5】
請求項1または2に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型した後、等方圧成型して成型体とする工程、および
前記成型体を焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粒度D50が0.55μm以下となるように粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型して成型体とする工程、および
前記成型体を焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。
【請求項7】
請求項3または4に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型して成型体とする工程、および
前記成型体を1100℃以上で焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、避雷器等の過電圧保護装置に用いられる酸化亜鉛素子に関し、特に、素子中の粗大ボイドの形成が抑制された酸化亜鉛素子に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
送配電線、変電設備等への雷撃サージなどによる過電圧抑制のため、あるいは変圧器など各種電力機器の保護装置として酸化亜鉛形避雷器が広く用いられている。一般に、酸化亜鉛形避雷器の内部素子は、酸化亜鉛を主成分とし、これに副成分として、酸化ビスマス(III)、酸化アンチモン(III)、酸化コバルト(III)、酸化ニッケル(II)、二酸化マンガン、酸化クロム(III)、二酸化ケイ素等の酸化物を混合し、有機バインダーを用いて造粒し、造粒顆粒を円柱状等の形状に加圧成型した後、1000℃以上の高温で焼成して作製される。
【0003】
酸化亜鉛素子に要求される性能としては、雷サージ、開閉サージに対するインパルス耐量等がある。このインパルス耐量は、主に造粒顆粒中の結合、粒度分布、成型条件、成型方法等に大きく影響される。造粒顆粒を加圧成型した成型体を焼成する際には、焼成体中に粗大なボイドが形成されやすく、これにより成型体にクラックや成型不良が発生しやすくなり、インパルス耐量が低下するという問題があった。
【0004】
特開平5-36505号(特許文献1)には、酸化亜鉛を主成分とする造粒粉の表面に潤滑液を添加する酸化亜鉛非直線抵抗体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平5-36505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、潤滑剤を添加することにより粉体の流動性が増し、ボイドの形成が抑制されること、それに伴いエネルギー耐量が向上し、特に110kAの雷サージに対して破壊されない素子が得られることが示されている。
しかし、実際のエネルギー吸収による評価は素子の形状に依存し、円柱状素子における厚み/直径比が大きくなり、素子形状が縦長に近づくほど、雷サージ印加時に生じる熱応力が素子中央部に集中し、素子中央部における横割れが発生しやすくなる。円柱状素子における直径がより小さい直径41mm、厚み36mm(φ41-t36)など、厚み/直径比が0.8を超える素子では、100kAの雷サージにより素子破壊が起きるという問題が依然として存在する。
また、上記特許文献1では、酸化亜鉛素子の副成分の酸化物として酸化クロム(III)(Cr



)および二酸化ケイ素(SiO

)が用いられているが、これらの酸化物は素子の電気的特性を低下させるため、使用しない方が望ましい。その反面、副成分の酸化物から酸化クロムおよび/または二酸化ケイ素を除くと、ボイドが生じやすく、酸化亜鉛素子のインパルス耐量が低下するという問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、素子の電気的特性を向上させるとともに、厚み/直径比が0.8を超える素子においても100kAの雷サージに対して素子破壊が起きない酸化亜鉛素子、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、主成分の酸化亜鉛以外の副成分として酸化クロム(III)および二酸化ケイ素を用いることなく、酸化亜鉛素子中の一定以上の粗大なボイドの形成を抑制することにより、向上した電気的特性を有するとともに、厚み/直径比が0.8を超える素子においても100kAの雷サージに対して素子破壊を防止し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の好ましい態様は以下の構成からなる酸化亜鉛素子、およびその製造方法である。
[1]酸化亜鉛(ZnO)と、酸化ビスマス(III)(Bi



)、酸化アンチモン(III)(Sb



)、酸化コバルト(III)(Co



)、二酸化マンガン(MnO

)、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化第一銀(Ag

O)、および三酸化二ホウ素(B



)とを含み、酸化クロム(III)(Cr



)および二酸化ケイ素(SiO

)をいずれも含まない原料酸化物を焼成してなる酸化亜鉛素子であって、
前記酸化亜鉛素子の中心軸を通る断面の面積あたり、横幅/縦幅比が1以上で、かつ横幅が20μmを超えるボイドの総数が10個/mm

以下である、酸化亜鉛素子。
[2]前記原料酸化物が、前記原料酸化物の総モル数を基準として、酸化ビスマス(III)(Bi



)を0.3モル%~1.5モル%、酸化アンチモン(III)(Sb



)を0.3モル%~2.0モル%、酸化コバルト(III)(Co



)を0.3モル%~2.0モル%、二酸化マンガン(MnO

)を0.4モル%~2.0モル%、および酸化ニッケル(II)(NiO)を0.5モル%~4.0モル%含み、かつ前記原料酸化物の総質量を基準として、酸化第一銀(Ag

O)を0.005質量%~0.05質量%、および三酸化二ホウ素(B



)を0.005質量%~0.05質量%含む、[1]に記載の酸化亜鉛素子。
[3]前記原料酸化物が、前記原料酸化物の総モル数を基準として、0.1モル%~1.0モル%の希土類酸化物をさらに含む、[2]に記載の酸化亜鉛素子。
[4]前記希土類酸化物が酸化イットリウム(III)である、[3]に記載の酸化亜鉛素子。
[5][1]または[2]に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型した後、等方圧成型して成型体とする工程、および
前記成型体を焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。
[6][1]または[2]に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粒度D50が0.55μm以下となるように粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型して成型体とする工程、および
前記成型体を焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。
[7][3]または[4]に記載の酸化亜鉛素子の製造方法であって、
前記原料酸化物を粉砕した後、造粒顆粒とする工程、
前記造粒顆粒を一軸成型して成型体とする工程、および
前記成型体を1100℃以上で焼成する工程
を含む、酸化亜鉛素子の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の酸化亜鉛素子は、酸化クロム(III)(Cr



)および二酸化ケイ素(SiO

)を用いることなく、一定以上のサイズのボイドの形成を抑制し、雷サージによる素子破壊を防止することができる。
本発明の酸化亜鉛素子は、横幅/縦幅比が1以上で、かつ横幅が20μmを超えるボイドの総数が10個/mm

以下であるため、厚み/直径比が0.8を超える素子においても100kAの雷サージに対して素子破壊が起きない。
また、本発明の酸化亜鉛素子は、酸化亜鉛素子を構成する副成分の酸化物が、酸化クロム(III)(Cr



)および二酸化ケイ素(SiO

)のいずれも含まないため、これらの酸化物に起因する電気的特性の低下の問題がない。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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