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公開番号2024131292
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023041478
出願日2023-03-16
発明の名称電流指令テーブル自動適合装置および電流指令テーブル自動適合方法
出願人株式会社明電舎
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H02P 21/22 20160101AFI20240920BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】idiqテーブルパラメータの、調整時間の短縮および調整精度のバラつきの低減を図る。
【解決手段】同期モータ1を制御するベクトル制御インバータ5と、前記モータ1に軸接続され、速度制御を行うダイナモメータ2と、idiqテーブル自動適合ツール10とを備え、前記ツール10には電流位相を走査して計測を行うための計測スケジュールを入力しておく。自動運転部11は計測スケジュールに従って、回転数の走査、電流の走査、電流位相の走査を行って総合効率η1、モータ効率η2、id,iq電流、トルクT、三相平均電圧Vのデータを計測する。テーブル作成部12は、前記計測データを基に、2D解析によって、回転数と電流ごとのθの最適点を求め、θの最適点とそのときのトルクを、idiqの分布とし、回転数とトルクに対する3Dマップを推定しidiqテーブル化する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
回転座標系のd軸電流指令、q軸電流指令を空間ベクトル変換した三相交流によって同期モータを制御するインバータと、前記同期モータに軸接続され、速度制御を行うダイナモメータと、を有し、回転数とトルクの動作状態に応じたd軸電流指令値、q軸電流指令値を定義した電流指令テーブルを用いて前記同期モータを制御する装置において、
設計値として予めインバータに設定されているidiqテーブルを基準の動作点とし、その動作点の電流位相を中心として任意の角度範囲、刻み幅で電流位相を走査して計測を行うために設定した、回転数、トルク、電流、電流位相と、位相走査範囲および刻み幅の情報を含む計測スケジュールに従って、目標回転数の走査、目標電流の走査、電流位相の走査を行い、総合効率η1、モータ効率η2、d軸電流idおよびq軸電流iq、トルクT、三相平均電圧Vのデータを計測する自動運転部と、
前記自動運転部で計測されたデータから、同一回転数及び電流iで電流位相θを変化させて取得したデータを抽出し、該抽出したデータに基づいて、効率とトルクの重みづけを考慮して電流位相に関する効率解析曲線を求め、前記効率解析曲線のピーク点を電流位相θの最適点として出力する2D解析処理と、前記2D解析処理によって求められた回転数と電流iごとのθの最適点と、このときのトルクを、回転数とトルクに対するid、iqの分布とし、回転数とトルクに対する3Dのマップを推定し、id、iqをテーブル化する3D補間解析処理と、を実行するテーブル作成部と、
を備えたことを特徴とする電流指令テーブル自動適合装置。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記自動運転部は、前記ダイナモメータによって、同期モータの回転数を前記計測スケジュールに記載の目標回転数に制御させる目標回転数移行処理と、前記インバータにトルク指令を送って計測スケジュールに記載の電流i、電流位相θで動作させる目標電流移行処理と、前記インバータにd軸電流指令値idとq軸電流指令値iqを送って電流iの絶対値を一定に保ったまま電流位相θを走査する電流位相走査処理と、安定時間経過後に平均計測により前記総合効率η1、モータ効率η2、idおよびiq電流、トルクT、三相平均電圧Vのデータを取得するデータ計測処理と、を実行し、
前記η1、η2、Vは、前記インバータの直流側電流および交流側電流、直流側電圧および交流側電圧を入力とするパワーアナライザの出力によって取得し、前記idおよびiq電流はインバータから取得し、Tは前記同期モータとダイナモメータ間に設けたトルクメータから取得し、
前記テーブル作成部の2D解析処理は、前記抽出したデータ中に、同期モータの端子電圧が前記インバータの三相平均電圧以上に上昇した電圧飽和状態があるか否かを判定し、電圧飽和状態がない場合は、電流位相θごとの総合効率η1又はモータ効率η2のいずれかを重み付けにより重視して近似曲線θ-ηを求め、電流位相θごとのトルクに関する近似曲線θ-Tを算出し、前記近似曲線θ-ηとθ-Tのどちら側を重視するかの配分重みを乗算して効率解析曲線を求め、電流位相を走査した範囲内から、この効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力し、電圧飽和状態がある場合は、電流位相θごとの電圧Vに関する近似曲線θ-Vを算出し、電圧飽和点の位相θsatを推定し、電圧飽和状態でない場合と同様の効率解析曲線から、電圧飽和状態を起こさないよう位相θsatまでの範囲に制限を行ったうえでこの効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力する処理であることを特徴とする請求項1に記載の電流指令テーブル自動適合装置。
【請求項3】
回転座標系のd軸電流指令、q軸電流指令を空間ベクトル変換した三相交流によって同期モータを制御するインバータと、前記同期モータに軸接続され、速度制御を行うダイナモメータと、を有し、回転数とトルクの動作状態に応じたd軸電流指令値、q軸電流指令値を定義した電流指令テーブルを用いて前記同期モータを制御する装置における電流指令テーブル自動適合方法であって、
自動運転部が、設計値として予めインバータに設定されているidiqテーブルを基準の動作点とし、その動作点の電流位相を中心として任意の角度範囲、刻み幅で電流位相を走査して計測を行うために設定した、回転数、トルク、電流、電流位相と、位相走査範囲および刻み幅の情報を含む計測スケジュールに従って、目標回転数の走査、目標電流の走査、電流位相の走査を行い、総合効率η1、モータ効率η2、d軸電流idおよびq軸電流iq、トルクT、三相平均電圧Vのデータを計測するステップと、
テーブル作成部が、前記自動運転部で計測されたデータから、同一回転数及び電流iで電流位相θを変化させて取得したデータを抽出し、該抽出したデータ中に、同期モータの端子電圧が前記インバータの三相平均電圧以上に上昇した電圧飽和状態があるか否かを判定し、電圧飽和状態がない場合は、電流位相θごとの総合効率η1又はモータ効率η2のいずれかを重み付けにより重視して近似曲線θ-ηを求め、電流位相θごとのトルクに関する近似曲線θ-Tを算出し、前記近似曲線θ-ηとθ-Tのどちら側を重視するかの配分重みを乗算して効率解析曲線を求め、電流位相を走査した範囲内から、この効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力し、電圧飽和状態がある場合は、電流位相θごとの電圧Vに関する近似曲線θ-Vを算出し、電圧飽和点の位相θsatを推定し、電圧飽和状態でない場合と同様の効率解析曲線から、電圧飽和状態を起こさないよう位相θsatまでの範囲に制限を行ったうえでこの効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力する2D解析処理ステップと、
テーブル作成部が、前記2D解析処理ステップによって求められた回転数と電流iごとのθの最適点と、このときのトルクを、回転数とトルクに対するid、iqの分布とし、回転数とトルクに対する3Dのマップを推定し、id、iqをテーブル化する3D補間解析処理ステップと、を備えたことを特徴とする電流指令テーブル自動適合方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、同期モータのidiqテーブルパラメータの自動適合手法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、同期モータの電流指令テーブル自動生成システムとして、例えば特許文献1に記載のものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6658023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に回転数とトルクの動作状態に応じたid電流・iq電流を定義したテーブルを用いて同期モータを制御する場合、設計値と実際のモータパラメータには誤差が含まれるため、より高精度な調整を行うために実測値に基づいたテーブルの補正を行う必要がある。
【0005】
例えばモータ回転数・トルクごとに、目標トルクに合致する電流・電流位相を手動で探索しつつ、モータ効率が高くなるパラメータを選定する場合では、電流・電流位相のいずれか一方を振ったときに、検出トルクが目標トルクからずれるため、再度、もう一方の電流位相・電流を目標トルクに合致するように調整し計測を行う必要がある。
【0006】
つまり互いに干渉するパラメータを調整しながら計測することになり、作業時間の増加を招いていた。更に、idiqテーブル値を決定するための基準は、人の感覚・経験に依存している部分があり、テーブル作成精度にバラつきがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、idiqテーブルパラメータの、調整時間の短縮および調整精度のバラつきの低減を図った電流指令テーブル自動適合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の電流指令テーブル自動適合装置は、
回転座標系のd軸電流指令、q軸電流指令を空間ベクトル変換した三相交流によって同期モータを制御するインバータと、前記同期モータに軸接続され、速度制御を行うダイナモメータと、を有し、回転数とトルクの動作状態に応じたd軸電流指令値、q軸電流指令値を定義した電流指令テーブルを用いて前記同期モータを制御する装置において、
設計値として予めインバータに設定されているidiqテーブルを基準の動作点とし、その動作点の電流位相を中心として任意の角度範囲、刻み幅で電流位相を走査して計測を行うために設定した、回転数、トルク、電流、電流位相と、位相走査範囲および刻み幅の情報を含む計測スケジュールに従って、目標回転数の走査、目標電流の走査、電流位相の走査を行い、総合効率η1、モータ効率η2、d軸電流idおよびq軸電流iq、トルクT、三相平均電圧Vのデータを計測する自動運転部と、
前記自動運転部で計測されたデータから、同一回転数及び電流iで電流位相θを変化させて取得したデータを抽出し、該抽出したデータに基づいて、効率とトルクの重みづけを考慮して電流位相に関する効率解析曲線を求め、前記効率解析曲線のピーク点を電流位相θの最適点として出力する2D解析処理と、前記2D解析処理によって求められた回転数と電流iごとのθの最適点と、このときのトルクを、回転数とトルクに対するid、iqの分布とし、回転数とトルクに対する3Dのマップを推定し、id、iqをテーブル化する3D補間解析処理と、を実行するテーブル作成部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の電流指令テーブル自動適合装置は、請求項1において、
前記自動運転部は、前記ダイナモメータによって、同期モータの回転数を前記計測スケジュールに記載の目標回転数に制御させる目標回転数移行処理と、前記インバータにトルク指令を送って計測スケジュールに記載の電流i、電流位相θで動作させる目標電流移行処理と、前記インバータにd軸電流指令値idとq軸電流指令値iqを送って電流iの絶対値を一定に保ったまま電流位相θを走査する電流位相走査処理と、安定時間経過後に平均計測により前記総合効率η1、モータ効率η2、idおよびiq電流、トルクT、三相平均電圧Vのデータを取得するデータ計測処理と、を実行し、
前記η1、η2、Vは、前記インバータの直流側電流および交流側電流、直流側電圧および交流側電圧を入力とするパワーアナライザの出力によって取得し、前記idおよびiq電流はインバータから取得し、Tは前記同期モータとダイナモメータ間に設けたトルクメータから取得し、
前記テーブル作成部の2D解析処理は、前記抽出したデータ中に、同期モータの端子電圧が前記インバータの三相平均電圧以上に上昇した電圧飽和状態があるか否かを判定し、電圧飽和状態がない場合は、電流位相θごとの総合効率η1又はモータ効率η2のいずれかを重み付けにより重視して近似曲線θ-ηを求め、電流位相θごとのトルクに関する近似曲線θ-Tを算出し、前記近似曲線θ-ηとθ-Tのどちら側を重視するかの配分重みを乗算して効率解析曲線を求め、電流位相を走査した範囲内から、この効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力し、電圧飽和状態がある場合は、電流位相θごとの電圧Vに関する近似曲線θ-Vを算出し、電圧飽和点の位相θsatを推定し、電圧飽和状態でない場合と同様の効率解析曲線から、電圧飽和状態を起こさないよう位相θsatまでの範囲に制限を行ったうえでこの効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力する処理であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の電流指令テーブル自動適合方法は、
回転座標系のd軸電流指令、q軸電流指令を空間ベクトル変換した三相交流によって同期モータを制御するインバータと、前記同期モータに軸接続され、速度制御を行うダイナモメータと、を有し、回転数とトルクの動作状態に応じたd軸電流指令値、q軸電流指令値を定義した電流指令テーブルを用いて前記同期モータを制御する装置における電流指令テーブル自動適合方法であって、
自動運転部が、設計値として予めインバータに設定されているidiqテーブルを基準の動作点とし、その動作点の電流位相を中心として任意の角度範囲、刻み幅で電流位相を走査して計測を行うために設定した、回転数、トルク、電流、電流位相と、位相走査範囲および刻み幅の情報を含む計測スケジュールに従って、目標回転数の走査、目標電流の走査、電流位相の走査を行い、総合効率η1、モータ効率η2、d軸電流idおよびq軸電流iq、トルクT、三相平均電圧Vのデータを計測するステップと、
テーブル作成部が、前記自動運転部で計測されたデータから、同一回転数及び電流iで電流位相θを変化させて取得したデータを抽出し、該抽出したデータ中に、同期モータの端子電圧が前記インバータの三相平均電圧以上に上昇した電圧飽和状態があるか否かを判定し、電圧飽和状態がない場合は、電流位相θごとの総合効率η1又はモータ効率η2のいずれかを重み付けにより重視して近似曲線θ-ηを求め、電流位相θごとのトルクに関する近似曲線θ-Tを算出し、前記近似曲線θ-ηとθ-Tのどちら側を重視するかの配分重みを乗算して効率解析曲線を求め、電流位相を走査した範囲内から、この効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力し、電圧飽和状態がある場合は、電流位相θごとの電圧Vに関する近似曲線θ-Vを算出し、電圧飽和点の位相θsatを推定し、電圧飽和状態でない場合と同様の効率解析曲線から、電圧飽和状態を起こさないよう位相θsatまでの範囲に制限を行ったうえでこの効率解析曲線のピーク点をθの最適点として出力する2D解析処理ステップと、
テーブル作成部が、前記2D解析処理ステップによって求められた回転数と電流iごとのθの最適点と、このときのトルクを、回転数とトルクに対するid、iqの分布とし、回転数とトルクに対する3Dのマップを推定し、id、iqをテーブル化する3D補間解析処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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