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公開番号2024122378
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-09
出願番号2023029894
出願日2023-02-28
発明の名称光学薄膜
出願人東海光学株式会社
代理人個人,個人
主分類G02B 5/28 20060101AFI20240902BHJP(光学)
要約【課題】基材の変形が十分に抑制され、より高い性能を有し、設計の自由度がより高く、形成がより容易でより低コストである光学薄膜を提供する。
【解決手段】光学薄膜1は、第1の材質を有する1以上の第1膜と、第2の材質を有する1以上の第2膜と、第3の材質を有する1以上の第3膜と、を備えている。第1の材質は、Ti及びLaを含んだ酸化化合物である。第1膜は、引張応力を有している。第1膜の屈折率及び第2膜の屈折率は、第3膜の屈折率より高い。第3膜は、圧縮応力を有している。光学薄膜1において、直径30mmで厚さ3mmの合成石英ガラス製の板状の基材2における片側の成膜対象面Uに対して形成された場合の成膜対象面Uの面精度変化が、λ=632.8nmとして、0.2λ以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1の材質を有する1以上の第1膜と、
第2の材質を有する1以上の第2膜と、
第3の材質を有する1以上の第3膜と、
を備えており、
前記第1の材質は、Ti及びLaを含んだ酸化化合物であり、
前記第1膜は、引張応力を有しており、
前記第1膜の屈折率及び前記第2膜の屈折率は、前記第3膜の屈折率より高く、
前記第3膜は、圧縮応力を有している
ことを特徴とする光学薄膜。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
基材に対して形成されており、
前記基材の線膨張係数は、2×10
-6
/℃より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
【請求項3】
直径30mmで厚さ3mmの合成石英ガラス製の基板の片面に対して形成された場合の前記片面の面精度変化が、λ=632.8nmとして、0.2λ以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
【請求項4】
前記第2の材質は、Tiの酸化物であり、
前記第3の材質は、Siの酸化物である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
【請求項5】
前記第1膜又は前記第2膜と、前記第3膜とが交互に配置されており、
前記第2膜及び前記第3膜のペアの数を第1ペア数とし、前記第1膜及び前記第3膜のペアの数を第2ペア数とし、前記第1ペア数及び前記第2ペア数の合計に対する前記第1ペア数の割合を第1ペア数割合とした場合、
前記第1ペア数割合が、0.09以上0.55以下である
ことを特徴とする請求項4に記載の光学薄膜。
【請求項6】
前記第1膜の物理膜厚の合計である第1小計物理膜厚hと、前記第2膜の物理膜厚の合計である第2小計物理膜厚tと、前記第3膜の物理膜厚の合計である第3小計物理膜厚cと、の比である、物理膜厚比t:h:cは、t:h:c=0.12~0.19:0.17~0.28:0.63~0.64である
ことを特徴とする請求項4に記載の光学薄膜。
【請求項7】
基材に対して形成されており、
前記基材の線膨張係数は、2×10
-6
/℃より小さく、
前記第2の材質は、Tiの酸化物であり、
前記第3の材質は、Siの酸化物であり、
前記第1膜又は前記第2膜と、前記第3膜とが交互に配置されており、
前記第2膜及び前記第3膜のペアの数を第1ペア数とし、前記第1膜及び前記第3膜のペアの数を第2ペア数とし、前記第1ペア数及び前記第2ペア数の合計に対する前記第1ペア数の割合を第1ペア数割合とした場合、
前記第1ペア数割合が、0.09以上0.55以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
【請求項8】
前記第2の材質は、Taの酸化物であり、
前記第3の材質は、Siの酸化物である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
【請求項9】
前記第1膜又は前記第2膜と、前記第3膜とが交互に配置されており、
前記第2膜及び前記第3膜のペアの数を第3ペア数とし、前記第1膜及び前記第3膜のペアの数を第2ペア数とし、前記第3ペア数及び前記第2ペア数の合計に対する前記第3ペア数の割合を第2ペア数割合とした場合、
前記第2ペア数割合が、0.05以上0.20以下である
ことを特徴とする請求項8に記載の光学薄膜。
【請求項10】
前記第2の材質は、Nbの酸化物であり、
前記第3の材質は、Siの酸化物である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の膜が積層された光学薄膜に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
特開昭59-10901号公報(特許文献1)に記載された光学積層物が知られている。この光学積層物では、積層される蒸着膜の内部応力によって変形を生じる基板の上に、TiO

蒸着膜とSiO

蒸着膜とが交互に積層されている。又、この光学積層物では、TiO

蒸着膜の内部応力とSiO

蒸着膜の内部応力とが釣り合っている。
この光学積層物では、引張応力を有するTiO

蒸着膜の内部応力と、圧縮応力を有するSiO

蒸着膜の内部応力とが釣り合うため、基板の変形が抑制される。
【0003】
近時、複数の膜を有する光学薄膜における1以上の膜の膜密度が、光学薄膜の性能を向上する目的で、より高められている。TiO

膜の膜密度がより高められると、TiO

膜の引張応力はより小さくなり、更にはTiO

膜の引張応力は圧縮応力となる。従って、上記光学積層物による基板の変形の抑制は、膜密度がより高められたTiO

膜を用いる場合、行われない。
特開2003-277911号公報(特許文献2)に記載された光学薄膜では、Ti及びLaを含んだ酸化化合物が、TiO

膜に代わり高屈折率膜の材質として用いられている。この場合、高屈折率膜は、高い膜密度を有しながら、引張応力を有することができる。よって、光学薄膜は、圧縮応力を有するSiO

製の低屈折率膜を組み合わせることで、基板の変形を抑制しつつ、高性能に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭59-10901号公報
特開2003-277911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の光学薄膜は、高屈折率膜の光学膜厚が、低屈折率膜の圧縮応力に釣り合わせるため、低屈折率膜の膜厚の3倍とされた構造を有している。より詳しくは、膜構造について、低屈折率膜であることが「L」と示され、高屈折率膜であることが「H」と示され、それらの左隣において、設計波長をλ

としてλ

/4に相当する光学膜厚を1、その2倍の光学膜厚を2、・・・という要領において当該膜の光学膜厚を表す数字が示され、基板側を左側として、光学膜厚を表す数字及び「H」又は「L」が左から右へ順次並べて示される場合、上記の光学薄膜は、(1L3H)の繰り返し構造を有している。
又、上記の光学薄膜は、引張応力の膜及び圧縮応力の膜が必ず隣接する構造を有している。
上記の光学薄膜の設計は、かような構造により制限される。例えば、光学薄膜のうち、反射膜即ちミラーであって、所定の波長域の光を反射するものを上記の光学薄膜で形成すると、十分な反射率を有する波長域が極めて狭くなる。
又、上記の光学薄膜の形成の容易さ及びコストは、特に高屈折率膜の光学薄膜が厚いために、向上の余地がある。
【0006】
そこで、本開示の主な目的は、基材の変形が十分に抑制された光学薄膜を提供することである。
更に、本開示の別の主な目的は、より高い性能を有する光学薄膜を提供することである。
又、本開示の更に別の主な目的は、設計の自由度がより高い光学薄膜を提供することである。
加えて、本開示の更に別の主な目的は、形成がより容易でより低コストである光学薄膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、光学薄膜を開示する。この光学薄膜は、第1の材質を有する1以上の第1膜を備えていても良い。光学薄膜は、第2の材質を有する1以上の第2膜を備えていても良い。光学薄膜は、第3の材質を有する1以上の第3膜を備えていても良い。第1の材質は、Ti及びLaを含んだ酸化化合物であっても良い。第1膜は、引張応力を有していても良い。第1膜の屈折率及び第2膜の屈折率は、第3膜の屈折率より高くても良い。第3膜は、圧縮応力を有していても良い。
【発明の効果】
【0008】
本開示の主な効果は、基材の変形が十分に抑制された光学薄膜が提供されることである。
更に、本開示の別の主な効果は、より高い性能を有する光学薄膜を提供されることである。
又、本開示の更に別の主な効果は、設計の自由度がより高い光学薄膜が提供されることである。
加えて、本開示の更に別の主な効果は、形成がより容易でより低コストである光学薄膜が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の光学薄膜を含む光学製品の模式図である。
基板の反りδに関する模式図である。
実施例1に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例2に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例3に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例4に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例5に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例6に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例7に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例8に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例9に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例10に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例11に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例12に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例13に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例14に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例15に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例1に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例2に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例3に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例4に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例5に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例6に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
比較例7に係る設計波長を含む波長域におけるS偏光及びP偏光の各反射率分布を示すグラフである。
実施例1に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例2に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例3に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例4に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例5に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例6に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例7に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例8に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例9に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例10に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例11に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例12に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例13に係るGDD
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及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例14に係るGDD
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及びGDD
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を示すグラフである。
実施例15に係るGDD
rs
及びGDD
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を示すグラフである。
比較例1に係るGDD
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及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例2に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例3に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例4に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例5に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例6に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
比較例7に係るGDD
rs
及びGDD
rp
を示すグラフである。
実施例1~15及び比較例1~7における、面精度の変化量と、R

幅比率と、GDD
rp
幅比率とを示すグラフ、及び第1ペア数割合p

、及び物理膜厚比におけるt,h,cの各値を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態の例が、適宜図面に基づいて説明される。本開示の形態は、これらの例に限定されない。
(【0011】以降は省略されています)

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